ナズナの心労を労りつつ、彼に魔王の遺物関連資料を手渡すと、物すごい勢いで感謝されてしまう、やはり良い行いをすると良い気分になるなぁ
情けは人の為ならずって言うし、究極まで突き詰めれば人助けとか善行は自己満足な訳だしな、うん
「お前から貰った遺物の現在位置と資料のおおよその位置情報が一致しているのが分かった、順次なんらかの理由をつけて捜査に入れる」
「それは良かったです」
資料解析?に数日をかけたナズナが、側に控えている私へ 嬉しそうに微笑み言って来たため、少しドキッとしてしまう
このナズナと言う男、面が良すぎるのである。いかんな気を抜いていたら被弾してトゥンクしてしまう
そんな感じに
このノロイの怖い所は自覚が難しい所だろうし、意識していても気付く事が難しい
まぁそんな
「段取りがあるから、明日・明後日に捜査開始! とならないのは歯痒いが仕方ないと割り切るしかないな」
「王族の使者を迎える為には、アチラも相応の支度が必要ですからね、致し方ないかと」
貴族とは往々にして見栄や誉、プライドを重要視する傾向にある
信念を持ち、ブレない事は大切な事だ とはいえ それに固執しすぎるのもアレだが
とにかく、不審な行動も何も無いのに家宅捜索なんて土台無理な話なので、建前は『戴冠前の王太子による視察』と言うのが落とし所だろう、多分
「幸い、24つ ある魔王の遺物の内 2つを、確保・収容出来ているから 滑り出しとしては悪くないしな?」
「そうですね」
「そう言う訳で、最初の訪問先の準備が整うまで いま少し時間がある、だから お前の見つけ出した浄火の焔が魔王の遺物をキチンと焼却出来るのか、試す必要がある」
「その通りですね、ナズナ殿下」
メイド(私)から冷えたアイスティーを受け取り半分ほど飲んでナズナは、俺を見据えて言ってくる
これは確かに必要な事だな、うん
「ここでは試せないので移動しますね?」
「カヅキ、俺も自分の眼で確かめたいから、連れて行ってくれ」
「え? 普通に危ないので、断りたいのですが?」
「理解はしている、だが お前にばかり危険な事をさせるのもな?」
「それが私の仕事です、ナズナ殿下」
焼却実験をする事に都合が良さそうな場所を思い出し、影を用いて転移門を作り潜ろうとしたら、ナズナに止められてしまい 思わずドキッとしてしまう、いかんな一時帰郷してから気が緩んでいる様だ、気を引き締めなければ
とはいえ、ナズナの言う『自分の眼で確かめたい』と言うのは、正しい判断だろう
百聞は一見にしかず とも言うしな?
焼却中の魔王の遺物が暴走状態になって無差別に暴れる可能性はゼロではない、だが それでも自身の眼で直接見たか否かは、説明の時に言葉の重さに直結するし、仕方ない
「・・・分かりました、死んでも怪我しても、恨み言は無しですよ? ナズナ殿下」
「あぁ感謝する、カヅキ」
ナズナの真摯な眼に俺は折れる事を決めて、転移門の先を譲るとナズナは嬉しそうに言い転移門を潜っていき、私も直ぐに追い 転移門を解除し光源を展開する
「ここは?」
「魔斧が収容されていた地下?海底?遺跡です、まぁ厳密には その入り口と言った所でしょう」
「なるほど、地下に こんな空間が・・・」
私の作り出した光源により映し出された広場を ナズナはキョロキョロとしながら尋ねてきたので答えと、彼は驚嘆の言葉を紡ぐ
魔王の遺物を収容していたが、文化遺産的価値もあるのは間違いない訳だしな、うん
残念ながら私自身が歴史に興味がないから、薄っぺらい事しか言えないのは仕方ない、うん仕方ない
「では実験を始めましょう」
「そうだな」
「念の為に魔斧を直接触れずにアイデースを用いて作業を開始します、魔本に関しては内容を調査する事をで更なる有益な情報を獲得出来る可能性が有りますので」
「分かった、お前に任せる。カヅキ」
「かしこまりました」
そんなマトモな説明をしつつ四方へ至る入り口を魔法障壁で塞ぎ、万が一 魔斧が逃走しても大丈夫な様に コッソリ下準備をしておく
それからインベントリの中から魔斧を取り出し、アイデースの影腕に保持させて浄火の焔を発動しアイデースごと火柱に沈める
すると如何にも怨霊とかが上げる苦痛の声らしきものが響き始め、火柱がより一層高く上がってゆき、逃げだそうとしている様で影腕を振りほどこうとしているが、ビクともしていない
「・・・色だけは綺麗なキャンプファイヤーだなぁ」
「これが浄火の焔か? 七色に煌めく焔とはな? 初めて見たぞ?」
「そうでしょうね? 浄火の焔の習得条件が厳し過ぎるし、使用できる場面が限定的過ぎるので」
「そうなのか?」
「こちら習得条件の走り書きです、読んでみてください」
「あぁ・・・これは、お前以外に習得しているモノが居ない訳だ」
浄火の焔による延焼ダメージを負わないアイデースを維持しながら、魔斧が燃える様を見て皮肉を言うと、ナズナが反応したので習得条件を書いた走り書きを見せると、物凄く渋い表情をして 私と同じ結論に至った様だ
やっぱり習得難易度が高過ぎるよ、浄火の焔