アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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71話 レッツ・焼却実験 2

 

 

暫くオ"オ"ォ"ォ"と怨霊が苦悶する様な声が聞こえ、赤黒い魔斧が徐々に焼き祓われ白銀へと変貌してゆく

 

 

「悪しき物を浄化する焔 故に、依代は残る?」

 

「これはある意味、交渉しやすくなるかも知れんな」

 

「と言うと?」

 

 

私は目の前で起こる面白い現象に考察をしていると、口から溢れてしまった様で、ナズナが意味深な事を言ったので質問してみる

 

 

「魔王の遺物がテスタロッサ家に有った様に、他貴族の家に家宝や祖先から受け継がれた宝と言う可能性は充分ありえる。そう言った場合、魔王の残滓のみ焼き祓う事が出来ると、色味は変わるがモノ自体は返却出来るからな、徴収するより借用の方が交渉が用意になるだらう?」

 

「確かに、徴収する場合は相応の額を用意する必要もありますしね」

 

「あぁアチラも家宝が危険物だから無償で提出しろ、なんて言われたら懐疑的になるだろうからな」

 

 

そうナズナは説明し、俺は相槌を打つ

 

余程の考え無しや祖先を蔑ろにしている貴族ではない限り、プライドや尊厳、伝統を重んじるのが貴族だ

 

家宝や祖先の残した宝と言うのは貴族にとって、家名や命の次に大切な物だったりする場合も存在する

 

そう言う貴族相手の交渉は非常に難しい、何故ならコチラも真摯な態度で対話をしないといけないからだ

 

事細かく理由を説明し信用を勝ち取らないとならない訳だから、精一杯の誠意を見せ続ける必要がある

 

あと数年で起爆する とかではないだろうが、危険な時限爆弾や不発弾である事には変わらないので、交渉が拗れれば拗れただけリスクが高くなる

 

そんな状況での交渉ならば、徴収より借用の方が幾分か交渉は楽だろう、と そう言う話だ

 

 

「こう言っては何ですが、今 魔王の遺物が発見出来たのは良いタイミングだったかも知れませんね」

 

「なぜだ?」

 

「言い方は悪いかも知れませんが、王太子自身が国民の為に国中を奔走し潜在的脅威を潰して回る訳ですから、そんな英雄譚を美談として国中に広める事が出来ます」

 

「俺は、美談にするつもりはないんだが・・・」

 

「貴方自身は そうだろうと、国を変える為の行動は国民が見ていますから、移動中の馬車は100% 見られますから」

 

 

俺の言葉にナズナは少々不服そうだが、これは仕方ない事だ

 

22箇所もの場所にナズナが自ら向かい交渉・収容・焼却を行うのだから、幾ら身軽に行動しようとしても 目立つ

 

人の目と口には戸を張れないので、王太子であるナズナが方々に現れたと噂は 必ず広がる

 

その行動には尾ひれが付いてゆき、ナズナには良い噂が増える事になる なんなら私が細工をして そう言う風に噂を調整しよう

 

主目的である、魔王の遺物の捜索・収容の他にも問題が有れば対処をナズナはするだろう、そうすれば更にナズナには良い噂が増える

 

善政を施すには、目に見えた功績も 必要になる時もある、多分

 

 

「やはり数百年 染みついた汚れは 簡単には焼ききれない様ですね」

 

「そうだな、もう結構な時間 焼き祓っているな・・・1時間ぐらいか」

 

「この分なら、あと1時間程で焼ききれそうですね」

 

「あぁ」

 

 

流石に約1時間 棒立ちなのは疲れるのでアイデースの沼を経由して浄火の焔を維持し、魔斧から離れて壁際へ向けて歩き出すと ナズナも疲れたのかついてくる

 

 

「一体 何年前の遺跡なのか、分かりませんね」

 

「・・・この壁の材質は、リューネ建国前後の時代に採掘された物の様だな」

 

「分かるのですか?」

 

「あぁ少しだけな、魔王の遺物捜索に役立つかと思って地質学を学んだ事があるんだ」

 

「なるほど」

 

 

壁画が刻まれた黒く硬い石材らしき壁に触れて呟くと、ナズナが自分の見解を述べたので、純粋に凄いな と感心する

 

コイツ、イケメンでカリスマ持ちで努力家とか モテるに決まってるな

 

俺が生来の女だったら落ちてたわ、うん 間違いない

 

多分コロっと惚れていたな、うんチョロい

 

仕方ないよ、世の中の女子ってのは性格が良いイケメンに 弱いんだよ、多分 メイビー

 

 

「・・・お腹空きましたね」

 

「ん? そうか? ・・・いや、お前は魔力消費が多いからだな。俺の事は気にしないで、何か食べれるなら食べて構わないぞ?」

 

「では お言葉に甘えて、少々早いですが お茶の時間にしましょう」

 

「あぁ」

 

 

壁の壁画を眺めていると私の腹の虫がガォーとなり主張してきたので、呟くとナズナが気を使ってくれたので、その申し出に甘える事にしデイキャンプセットの設置を始め

 

 

「やはりキャンプファイヤーを見ながらならば、キャンプチェアに座り淹れたてコーヒーですね」

 

「そうなのか? まぁ確かに悪くないな」

 

「お茶請けにビスケットをどうぞ、焼却が終わった頃は ちょうど昼食の時間ですし」

 

「確かに そうだな」

 

 

自作キャンプチェアに腰を据えて、七色に燃え上がる魔斧を見ながら淹れたてのコーヒーを飲む、美味い

 

俺は無糖ブラック派だが、ナズナは分からないのでビスケットの横に砂糖とミルクを置いて、使いたい場合は使う様に告げる

 

あぁ癒されるなぁ、燃えてるのは邪悪な物だけど、七色の焔は綺麗で美しいし

 

そんな事を考えつつ、自作ビスケットを齧り物思いにふけるのだった

 

 

 

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