5日間の移動を経てベルナール家邸宅へと到着し、馬車から降りると なんだか苦労人な様相の男性が出迎えで立っていた
「遠路遥々ようこそお越しいただきましてありがとうございます、ナズナ殿下」
「出迎え ご苦労カルデラ、急な訪問になり すまない」
「いえいえ、王家へ忠を尽くすが我等貴族の務め、要請が有れば従うが道理にございます」
「そうか、感謝する」
「勿体なきお言葉」
こう比較するのも悪いかも知れないが、完全に文官家であるテスタロッサ家当主 ベルファさんと比べてガッシリとした身体付きをしているから、恐らくベルナール家は武官家なのだろうな
あとカルデラの実年齢は分からないけど、外見的にはナズナの親父より少し下ぐらいに見える
「フロイド、親衛隊の皆様をお部屋へ ご案内を、失礼の無い様に」
「は、委細承知致しました」
「ナズナ殿下、コチラへ 応接間へ ご案内させて頂きます」
「あぁよろしく頼む」
カルデラは執事へ指示を出して、ナズナの案内を始める
なんというか、良貴族感が凄いあるな この人
貴族の家と言うのをテスタロッサ家と王家別荘、王城とかしか知らないので、詳しくは判断出来ないが 割と質素に見える廊下を進んでいく
高そうな調度品や絵画とかが無い様だけど、もしもの備えは また考えているのだろうか?
貴族が美術品を購入するのは、もしもの時の資産と言う意味がある とか聞いた事がある
いや、こんな人目に晒して破損・損傷・劣化が懸念される場所に資産価値がある美術品を置く訳ないか、うん
資産価値のある美術品は、大切に専用の蔵や倉庫、展示室に仕舞われているだろう
そんな事を考えつつ、魔王の遺物 特有の悪臭に耐えポーカーフェイスを保ちながら、カルデラの案内に随伴して数分程 移動して、最低限 最上位貴族の応接間の威厳を整えた応接間に到着し、ナズナへ上座のソファーを進め自身は下座へ座る、なかなかやりおる
「書簡により訪問の意図は触り程度で ございますが 理解致しております、しかし 本当に当家に その魔王の遺物なる 特級呪物があるのでしょうか?」
「あぁ、間違いなく存在する。カヅキ」
「はい」
カルデラは至極当然の質問をナズナへ投げかけてきて、ナズナは私の顔をチラッと見てから彼の質問に答え断言し、資料を出す様に合図をしてきたので返事をして、持参したベルナール様の資料を取り出し、ナズナへ渡す
「この資料を見てくれ、俺の方では 遺物の現在位置と種類までは分かっているが、どの様な見た目をしているのか までは分かっていない。すまないが協力を頼む」
「かしこまりました、この様な資料まで存在するならば、私としても異論はございません、謹んでご協力させていただきます」
「感謝する」
ナズナはカルデラへ資料を渡して説明をするとカルデラは資料に素早く目を通し、すぐさま協力を了承してくれる 素晴らしく判断が早い
「では早速 捜索と行こう、カヅキ」
「はい、東南東200m と言った所でしょうか」
「東南東? そちらの方角ですか? えーっと・・・」
「まぁ普通は分からないな、カルデラ カヅキの指示を聴きながら先導をしてくれ、各部屋のマスターキーを所持してな」
「は、かしこまりました」
ナズナの言葉に魔王の遺物が存在する方角と距離を口にしたが、カルデラには サッパリわからない様で困惑させてしまった
まぁそりゃそうだ、普段から自宅で方角を気にしながら生活をする奴なんて、そうそう居ないだろうからな、うん
そう言う訳でカルデラを先頭に随時 私が彼へ方向指示をする事でカバーする事に決まり応接間を出る
「ベルナール卿、まずは左手へ進んで貰えますか?」
「承知しました、カヅキ殿」
方向指示をすると、俺の様な小娘にも敬意を示し指示に従ってくれるカルデラの好感度が爆上がりする
この人、めっちゃ良い人やん、是非とも友好を結んでおきたい、将来間違いなくナズナのチカラになってくれるに違いない
「ん? んー・・・下、の様です」
「下・・・つまり地下ですか? 当家にも備えで地下室や地下倉庫は存在しますが、資料にありました 杖 を見た事はありません」
「そうなると・・・」
「入り口が隠されている、と言う事になるだろうな? いつから封印されているかは分からないが、存在を完全に隠蔽するならば一切の情報を残さないのは悪くない手ではある」
「最善では無いですが、次善策ではありますな」
カルデラに方向指示をしている内に 後50m程度まで近づいたが、どうやら地下に安置されている様で、そこへ至る部屋を知らないとカルデラが言う、この人はナズナに嘘をつく訳が無いので、本当に分からないのだろう
しかし、間違いなく 此処に魔王の遺物 “魔杖” は存在するので、隠し部屋へ至る隠し扉なり何なりを見つけ出す必要がある と言う結論に至る
これは少々 面倒な事になった 恐らく 殆ど手掛かりが無いからだ
魔王の遺物の悪臭を頼りに徘徊するのも手ではあるが、近づくと臭いが強くて鼻が効きにくくなるから、それなりに難しい
全リミッターを外せば容易く見つけられるかもだが、そうなると 隠蔽術も吹っ飛んでしまうしな、うん