アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

75 / 267
75話 魔杖捜索 2

 

 

 

容易く収容できると甘く見ていた魔杖収容が少々難航の兆しが見えてきたので、リミッターを全部外そうかと思いナズナへ尋ねる

 

 

「ナズナ殿下、隠蔽術を解除して全力を出しても構いませんか? 」

 

「・・・致し方無いか、カルデラ 今から見る事は他言無用で頼む。中央のバカ達が囀ると煩いからな」

 

「は、承知致しました」

 

「カヅキ、やってくれ」

 

「かしこまりました」

 

 

全9つのリミッターを全解除すると、案の定 溢れた膨大な魔力により隠蔽術は弾け飛び、狐耳と9つの尻尾がコンニチワし 隠蔽術で窮屈だったので開放感を感じる

 

やっぱり 隠すと色々と凝ってしまうならね、うん

 

 

「カヅキ殿は獣人だったのですね、狐でしょうか?」

 

「えぇ その通りです、狐・・・より正確に言うと9尾の狐の獣人になります」

 

「ほぉ、私も ごくたまに獣人の方と会う事がありますが、狐 それも9尾と言う方は初めてです、私見になりますが さぞ希少種族と お見受け致します」

 

「そうですね、私も 自分以外の9尾を知りません」

 

「そうですか、なるほど」

 

 

カルデラは私の狐耳と9尾を見て 少し驚いている表情をするが、そこに獣人への嫌悪・見下しは存在せず、純粋に珍しいから驚いている事が分かる

 

多分、このカルデラという人は腹芸とか 得意じゃないのだろうな

 

正義感や誠実さが服を着ている様な人格者だろう、少なくとも俺は そう思う

 

 

「カヅキ、捜査を始めて貰えるか?」

 

「はい、すぐに」

 

 

少しカルデラとの雑談が過ぎてしまった様で、ナズナに指示を出されてしまったので、すぐに捜索用の魔法を使用する

 

 

「影識神 黒蝶」

 

「蝶?」

 

「蝶か、妥当だな」

 

 

お馴染みのオリジナル魔法である影識神を使い蝶を無数に生成し、四方へ散り散りに送り出す

 

そう、作戦は単純明快 物理によるローラー作戦だ

 

何処が怪しいか全く分からない以上は、しらみ潰しにトライ&エラーで探すほかない

 

これをする為には相応の魔力消費と演算能力を必要としているから、リミッター全解除は必須条件だった訳だ

 

 

「うむ・・・何処かに隠し通路か入り口がある筈なのですが・・・」

 

「流石に すぐは見つからないか」

 

「そうですね、相当 巧妙に隠されている様です。可能性は低いですが敷地外に封印場所へ至る入り口が存在する事も考えられます」

 

「なるほど? カルデラ、敷地周辺に洞窟や枯れ井戸とか地下へ向かう場所はあるか?」

 

「敷地の周囲ですか? そうですな・・・殿下もご存じの通り 当家の治める領都は平地に存在しておりますので、地下へ至れる洞窟や渓谷も存在しません、平地が故に 枯れ井戸もありません 様々な用途に使用する為に川が街の中を流れてはいますが・・・それぐらいです」

 

「そうか、すまない」

 

 

黒蝶を放ち魔杖捜査を続けるが、巧妙に入り口を隠されている様で全く痕跡を発見出来ないので、あくまで可能性の話をするとナズナは理解しカルデラへ質問をし、情報を少しでも集めてくれる

 

そんな事を考えつつ目の前の壁を軽く小突いてみると、当たり前だが木材の音が鳴り 不思議な事はない

 

 

「ベルナール卿、この壁の向こう側は?」

 

「壁の向こう側ですか? 来賓室へ繋がる廊下の筈です、因みに この部屋は私の父が残した遺品を置いてある部屋になります」

 

「廊下、ですか」

 

 

平面的距離で言うと魔杖が存在する位置の真上まで10mもないので、カルデラに尋ねると、親切に教えてくれたので一旦 部屋を出て その廊下へ迂回し 違和感を感じる

 

 

「ベルナール卿、室内の奥行きと廊下までの奥行きに差異が有りますね?」

 

「え? それは当たり前では? 防音・防寒等を考えれば 多少の差は生まれるかと・・・」

 

「そうですが、私が言いたいのは 板材の隙間とかの差異ではなく、数mの差が存在していますよ、此処」

 

「本当ですか?」

 

「えぇ、私の歩幅は約70㎝ 先程の部屋は1辺が約14.2歩の約10m、ですが部屋の横の廊下は約17.1歩の約12mですから、此処には約2mの空間が存在します」

 

 

カルデラの驚く表情を見ながら説明をし、壁にベッタリと人耳・狐耳をつけてコンコンと軽く叩いて確認し、反響具合から空洞がある事を確信する

 

 

恐らく、もともと入り口なんて存在せず封印を施したのかも知れない

 

 

「ナズナ殿下、ベルナール卿、突入口を発見したので行ってまいります。お二方は応接間にてお待ち下さい」

 

「分かった、気をつけてな。カルデラ、戻るぞ」

 

「ナズナ殿下、よろしいのですか? カヅキ殿1人では危険が・・・」

 

「カルデラ、カヅキは既に2つの遺物を自力 尚且つ 無傷で収容している、俺達が随伴する方が足手纏いになって危険なんだ、分かってくれ」

 

「・・・承知致しました」

 

「ご安心をベルナール卿、丈夫さには自身があるのですよ、私は」

 

「ご武運を」

 

 

こんな廊下の真ん中に棒立ちで待っていて貰うのも悪いので、ナズナとカルデラには応接間で茶をシバきながら気長に待っていて貰おうと思い提案すると、カルデラがナズナへ異議を唱えた後に説得され渋々といった表情で提案に従ってくれる

 

いやー、やっぱり このおじさん めちゃくちゃ良い人だわ

 

マジで尊敬出来る大人だ

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。