ナズナがカルデラを促し応接間へ引き上げたのを見送る、もう一度人耳と狐耳を壁にくっつけてコンコンと軽く叩き壁の向こう側を探り、影魔法で転移門を形成して移動する
「なるほど、ここから階段がある訳か」
光源を造り 狭い空間を確認してみると壁には防音や対腐食の魔法陣が刻まれている事を確認して、石作りの階段を見つけ降っていく
約50m下降するとなると、地下へ17階分 階段を降りなければならないと言う訳で、少々面倒に感じる
「大分 昔に建造されたにしては腐食も劣化もしていない・・・これも魔杖のチカラか?」
頭上に光源を浮遊させながら、四角をなぞる螺旋?の様な構造の階段を降りつつ痛んでいない事に対して考察を巡らせてみるが、推測の域はでない
それから時間を掛けて階段を降りきり、如何にもな禍々しい紋様が描かれた鉄扉の前に辿り着いたので
「やれやれ 漸くか・・・」
私が鉄扉を押して開けようとした瞬間、鉄扉がひとりでに開き さも 招き入れようとしている 様な印象を抱く
「いいぞ? 敢えて乗ってやるよ」
先2つが割と大人しく収容出来ていたので、少し反応を期待しながら扉を潜ると 当たり前だが照明も何もない暗闇が続く空間が続いていた
「声の響方からして、それなりに広いな」
光源を増やして四方へ放ち、視界を確保してみると1辺100mぐらいの正方形な部屋である事と、鉄扉を基準に真正面の壁際に魔杖が安置された祭壇?を発見したので魔杖に向けて歩み出す
「ふぅん、そんな仕掛けか」
歩き出す事3歩で天井が抜け落ちて来たのをアイデースで受け止めて、そのまま沼へ収納し養分へ替えてしまう事にし、焦らずに ゆっくり と歩みを進める
それから数歩 進む度に罠が発動して槍が生えたり降ってきたり飛んで来たり、ギロチンが生えたりして なかなか芸が細かいなぁ と感心するが、その悉くをアイデースで粉砕し沼に沈めて養分とする、これは中々 良い養分になりそうだ
「漸く 楽しめそうだな」
石畳の一部が競り上がり騎士甲冑が3体現れ、剣を抜き 俺の前に立ちはだかる
頭の飾り羽根が赤・青・黄の信号機カラーなのは認識しやすくて助かる
ムラクモを4つ ハチリョウを2つ 展開して手始めにレッドにムラクモを射出してみるが、簡単に弾かれてしまう どうやら速度が足りなかった様だ
「物理がダメなら・・・冥土へ誘ってやろう」
アイデースの
「燃費効率が悪くなるから、やりたくは無いな・・・この後 浄火の作業も待ってるし」
どうした物かと考えていると、イエローがガシャガシャと兜を鳴らし始め雷魔法を放って来たので、ムラクモを使い誘導し攻撃を逸らす
まさか魔法攻撃をしてくるとは思わなかったので、少し驚いてしまうが 手加減するのも面倒に感じたし、三人衆のパターンでは大概 悪霊的なモンスターだと仮定する事にして一気にかたをつける事に決め
「悪いね信号機諸君、私ね 全属性を使えるのだよ。だから 君達を・・・昇天させてあげよう、 ターンアンデット」
聖魔法を使用して光球を作りだし、その光を三人衆へ当てると黒い煙を立ち上らせ始め苦悶の雄叫びを放つ
どうやら俺の推測は当たっていた様で三人衆に確かなダメージを確認できる
それから暫くターンアンデットで三人衆を炙り続けると文字通り崩れ落ち、跡形もなく消滅してしまう
「甲冑に取り憑いてる系じゃなかったか、残念」
聖魔法の照射を止めるとアイデースが再起動する感覚を感じる、どうも闇・影系統は光・聖系統と相性が悪い様で打ち負けてしまうようだ
これは1つ賢くなったな、うん
「もっと楽しめたら良かったけど、私としても暇では無いからな、収容させて貰おう、腹も減ったし」
アイデースを使い、魔斧・魔本 と同様に収容しインベントリへ隔離が完了したのを確認すると部屋自体が揺れ始める
「おいおい、まさか 魔杖からエネルギーを吸い出していた系か? 面倒だな」
急いで影転移門を形成して、ナズナとカルデラが待つ応接間へと移動すると
「終わった様だな カヅキ、ん? どうした?」
「いえ、地上は揺れていない事が想定外だったもので」
「揺れる? 何が揺れるんだ?」
「地面と言いますか・・・建物と言いますか・・・」
ナズナが涼しい表情でティーカップを傾けた後、俺に気付き 労いの言葉をかけてきたのを見て少し驚きつつ、影響が出ていない内に影転移門を閉じて説明を試みるが、イマイチ ナズナには通じていない様子だった
どうやらリューネには地震と言う概念が無い または ナズナが経験した事が無い様だ
それはそれとして、地下では かなり揺れて部屋自体が崩れていたので、本当ならば地上にも影響がある筈なのだが、一切 影響が出ていない様子なので 恐らく 何かしらの方法で魔杖からエネルギーを取り出して 空間拡張を施していたらしい と推測する
そうでなければ、地上に影響が及ばない理由が思いつかない