通算3つ目の魔王の遺物 “ 魔杖 ” の収容後、順番に隣接地であるアレクサンドル・ベジャール・フランシスカ・ローレンツ・ヴェロニカ・ハインリヒと巡り、魔爪・魔弓・魔兜・魔の指輪・魔槍・魔符 の収容する事に成功したので、一旦 浄火作業を行う事になり、
「約2ヶ月で10個、悪くない・・・いや、順調だな」
「えぇ、何かが待ち受けていそうなぐらいに順調です」
「確かに順調過ぎて怖いな」
私がアイデースで魔杖以降に収容した魔王の遺物を保持して浄火の焔で火刑執行しているのを眺めながらキャンプチェアに座りコーヒーを啜るナズナが呟いたので、返すと、同意してくる
この男も大したものだ浄火されている魔王の遺物の『オ"ォ"ォ"ォ"』と言う怨念の詰まった雄叫び?が聞こえているのに眉ひとつ動かさず呑気に私が淹れたコーヒーを啜っているのだから
因みに全力運用の為に隠蔽術を解除しているので、かなり楽である
「約半数の収容が順調に済んだとはいえ、この先も順調とは限らない、気を引き締めねばな」
「そうですね殿下、時に 私の故郷には『勝って兜の緒を締めよ』と言う言葉が有ります」
「どう言う意味だ?」
「本来の意味は『
「良い言葉だな」
「そうですね、私も そう思います」
ナズナの言う通り、物事が上手く行っている時こそ 油断や隙が生まれてしまうし、戒めの様に成功している時こそ警戒し気を引き締めねばならない
私達が収容しているモノは、そんじょそこらにある美術品や武具とは違う、一歩どころか半歩 扱いをミスれば街や都市・領 1つが容易く地図から消える可能性を持つ超危険物なのだから、最新の注意が必要だ
しかし、だからこそ 焦らずに収容作業をしなければならない、故に
「選抜隊に1週間の休養は必要不可避ですね」
「あぁ、お前がいるとはいえ、機動性重視の少数精鋭では彼女達にも負担を強いる事になっているからな、休ませるのも俺の仕事だ」
「そうですね」
「本当ならば、お前にも休暇をやらねばならないのだが、すまない」
「構いませんよ、どうせながら作業程度の手間ですし」
ナズナの言葉に返答を返してローテーブルに置かれた 各領を訪れた時に購入しておいた焼き菓子や生菓子の1つを取り口にする
やはり甘い物は良い、コーヒーの苦味・風味と調和して至福を感じる
「・・・カヅキ、このクッキー 甘過ぎないか?」
「そうですか?」
「甘過ぎて頭痛がしそうだぞ?」
「なら、相当甘いですね? 不思議です」
ローテーブルに広がる菓子類からクッキーを摘み上げて一口 食べ顔を顰めるナズナの言葉に対して私も同種のクッキーを食べて、答えると信じられない物を見た様な表情をされてしまう
もともと甘味は嫌いではなかったが、転生・転性してから妙に甘味が美味しく感じるのも代償なのだろうか?
または糖分は素早くエネルギーに変換可能だからか、私には分からないが 甘味が美味しいのは まごう事なき事実だから仕方ない
ナズナには甘過ぎたのか無糖ブラックコーヒーを飲み、口内を中和している
この様子だと、ナズナにモンスターエナジー等の魔剤を飲ませたら 面白い反応を見せてくれるかも知れない、まぁ無いから飲ませられないのだけれども
「この甘過ぎるクッキーは 一旦何処で購入したものだ? トリスタンか? ベジャールか?」
「ヴェロニカだったかと」
「ヴェロニカか・・・なるほど、それなら これだけ砂糖を使っている事も理解出来る」
「と言うと?」
ナズナは自身の口に合わなかったクッキーを指差して尋ねてきたので、素直に答えると、1人で勝手に自己完結して私にはサッパリ分からないので尋ねる
「比較的南に位置するリューネは、絶妙に国の位置が悪い為か砂糖の原料で有る
「つまり香辛料より砂糖は希少だと?」
「あぁ砂糖は水気にも弱いし貿易等で入手する事も難しい、それに西側では香辛料の貿易や生産がされているからな、砂糖の価値は更に高い 」
「なるほど」
ナズナの説明を聴き、ヴェロニカ領で菓子類を購入しに出た時の事を思い出してみると、確かに菓子屋へ向かう途中の露店にラム酒のミニボトルやスキットルが大量に売られていた
あの量を仕込んで放出出来るのは、サトウキビの産地だからか 納得せざるを得ない
そういえば、菓子作りで使う為にラム酒を買ったのを思い出したので、後で試飲でもしてみる事にしよう
転生して味覚が変わっている様だし、案外 口に合うかも知れないし、少し楽しみだ
各領都に標も打ってあるし、気に入れば再購入しに行けるしな、こう言う時は抜け目なくしておくに越した事はない