無意識に
「今、親父や各員の手元にある ヴィオレッタが不貞 及び 父親であるノルベルト・マージンによる不正を行っていた証拠は、魔法契約で作製された報告書だ。 知っての通り魔法契約は人と人による契約ではなく、人と神・・・ヴェスタ神との契約だ、不正や虚偽記載は神罰の対象になる為、作製され 今 此処に存在している事、それこそが報告書が事実である証拠となる」
「ナズナ様? お言葉ですが、本当に魔法契約の元、作製された証拠がありませんわ」
私の言葉に冷静さを取り戻したナズナが、威風堂々と報告書の写しを手に持ち軽く掲げながら言うと、ヴィオレッタが口を挟み 横やりを入れてくるが、それは想定内の事 この汚嬢様が 大人しくしている訳が無いのだからな
「ジルベルト」
「は、此処に」
「ヴィオレッタの主張は最もだ、お前が報告書が本物である事を証明してくれ」
「かしこまりました ナズナ殿下、ハリトン・アゲート・ジルベルトの名において、我等が父たる主神ヴェスタに願い奉る、我が手の内に有る魔法契約を用いた書の正当性を証明し給え」
ナズナの呼び掛けに、玉座の下に並んでいた臣下の中から聖職者の様な服装を身に纏う中肉中背の優しげなオジ様が出てきて、ナズナからの依頼を了承し、祝詞?を唱えると各々が持つ報告書がピカーと光り始める
どうやら、これが神の御技?とか そう言うやつの様だ
あのハゲ マッチョ、なかなか凄い奴だったんだなぁ
「ご苦労ジルベルト、下がってくれ」
「はい、ナズナ殿下」
魔法契約を用いた報告書である事が証明され、ナズナはジルベルトを労い臣下の列へ戻る様に告げると、彼はナズナへ軽く一礼して戻っていく、ジルベルトの様な人をイケおじ と言うのだろうか?
「さてヴィオレッタ、お前の主張に対しての答えは出たぞ? 潔く罪を認めれば、多少は恩赦が付くかも知れないが どうする?」
「み、認められませんわ! 私は、私は貴方の妃となる為に産まれたのですよ? 到底認める事が出来る訳がありません!」
「はぁ・・・ここまで来て、まだそんな事を言えるのか? お前は・・・逆に関心してしまう」
絶対的証拠を叩きつけられた汚嬢様と その父親は見るからに動揺し狼狽して顔色が良くないが、自業自得だから 私は何とも思わない
そんな中で絞り出す様に言うヴィオレッタに、ナズナは呆れた様子で言うと
「それにナズナ様、私は貴方の子を身籠っていますのよ? 私と貴方は婚姻する他の道はありませんわ」
「はぁ? ありえん、俺は お前と
「いいえ ナズナ様、私達は先の夏休みで婚前交渉をしたのです」
「ありえん」
私とナズナには、明らかに嘘だと分かる
今、この場でヴィオレッタが王家別荘を訪れた時に居たのは、私・ナズナ・ライラント、そしてヴィオレッタだ
そのうち当事者であるナズナ、そして専属護衛であり側近枠の私の主張は証拠になりえないし、ライラントは嫁とイチャコラしてて知らない筈だから使えない
それ故に、ヴィオレッタの主張は かなり面倒な事を引き起こしている
「ジルベルト、度々すまないが また頼む」
「いえ、お気になさらずに ナズナ殿下」
この汚嬢様、面倒くさいな と思っていると ナズナは冷静にジルベルトを呼び出して謝罪をする
「マージン嬢の主張を この場で確認する為に、まずは本当に身籠っておられるかを確認したく存じます、陛下 よろしいですか?」
「あぁ、許す」
「それでは・・・ハリトン・アゲート・ジルベルトの名において、我等が父たる主神ヴェスタに願い奉る、ヴィオレッタ・マージン嬢に新しき命が宿っているか、我等に示し給え」
再びジルベルトがヴェスタへ祝詞を捧げると、ヴィオレッタの前に魔法陣?紋様?が浮かび上がり、ジルベルトが それを確認し
「マージン嬢が身籠っている事は事実、大凡妊娠3から4ヶ月になります」
「これでは、私を断罪出来ませんよね? ナズナ殿下」
「そうか? ジルベルトの言葉を良く聞け、妊娠が事実と言っただけで、俺の子だとは1言も言っていないぞ?」
「私がナズナ様の子と言えば、ナズナ様の子なのです!! 」
「くだらん」
なんでか勝ち誇った表情のヴィオレッタを呆れた様子で見るナズナに、まだ噛み付くヴィオレッタを見て溜息をつきジルベルトへ目をやると
「ナズナ殿下の言う通り、あくまでも身籠っている事が確定しただけ、ですが 今の段階では父親がナズナ殿下で有るか否かまでは分りかねます、無事に産まれた際に再度、改める事を具申いたします」
「分かった、ハリトン ご苦労。不貞による婚約破棄についてはヴィオレッタの子が産まれるまで保留、マージンによる不正は 到底見過ごせるものではない、追って沙汰を言い渡す それまでは城の座敷牢にて 父娘 共に過ごして貰う、私の決定に異論が有る者はいるか? 」
なんか頭が痛そうなライラントが、ジルベルトに労いの言葉をかけて 王様らしい雰囲気を出して言い、一瞥する
ナズナは少し何か言いたげな表情だったが、今は これが最善の選択だと分かっている様で、静かに頷く
この王様、やれば出来るんだなぁ