ナズナによる
まぁ文字通り、執行猶予が延びただけで確定事項だから汚嬢様に関しては、完全放置&忘却で問題ない 城の座敷牢に軟禁されているし ナズナの耳にも汚嬢様の声は届かない
そう言う訳で、年の瀬間近とあり魔王の遺物収集へ出発するのも方々に迷惑が掛かると言う事で、年が明け落ち着いてから出発する事になり ナズナは疲れを癒す為、普段は足を運ばない王宮の奥の奥にある 日本庭園へと私を伴ってやってきた
「これは にほ・・・んん、
「あぁ、俺の母上 産みの親であるリンの為に作られた庭だ、亡くなって久しいが 特別な魔法が施されているらしくてな、四季に関係なく維持され続けられている」
「素晴らしいですね」
「気に入ってもらえたなら、良かった」
人目に触れない様 隠されているのか、本当に奥に存在する日本庭園 改め 吾妻庭園の美しさに驚嘆してしまい小学生並みの感想しか言えずにいると、ナズナが 優しく微笑みを浮かべ私の鼓動が速くなる
やはりイケメンからの不意打ちに弱くなってきている気がする、これも代償の1つだろう、多分
「たまに此処へ来るんだ、此処は静かだしな」
「えぇ、とても」
歩道?参道?を ゆっくり歩きながら呟くナズナの言葉に同意する、城の中には複数の庭が存在するが、
「此処に弟妹以外を連れて来たのは、お前が初めてだ」
「そうなのですか? 光栄です」
「まぁ正しく言えば、『入園出来たのは』になるのだろうな」
「それはどういう?」
ナズナは池の前に立ち、中を泳ぐ魚を眺めながら不穏な事を言い始めたので問うと
「先程 この庭園は特別な魔法が施されている と言ったな? その魔法で資格が無いと此処には入れない仕様らしいんだ、それから その資格が何かは俺にも分からない、教えて貰う前に母上は亡くなってしまったからな」
「なるほど、なんとなく理解しました」
ナズナは珍しく何かを懐かしむ眼をしながら池の魚を眺めて言う、
そんなナズナを見てガラになく感傷的な気持ちになっていると
「かづきちゃーーーーん」
「ハルト殿下? 何故 此処に?」
外見10歳程度の2歳児であるハルトが満面の笑みを浮かべて、手をブンブン振りながら私の名を呼び此方へ走って来ているのが見え、思わず 疑問が口から漏れてしまう
「あらあら、ハルトは本当にカヅキちゃんがお気に入りねぇ」
「あらあら ではありませんよ
「多少 痛い思いをしないと子供は成長しないものよ? それにハルトはクウォーターとはいえエルフの血を継ぐ者、転けたぐらいでは死にはしないわよ」
「ぐぅ・・・」
「おぉ・・・ナズナ殿下がレスバで負けた」
「ふふふ、伊達に長生きしていないわよ?」
大型犬みたいなハルトを受け止めて軽くハグしてやりながら様子を見ていると、ナズナが自分の継母でありハルトの実母であるベアトリーチェへ苦言を呈するが、淀みなく論破されてしまい珍しくナズナが黙ってしまう、本当に珍しい
「さて久しぶりねカヅキちゃん、窮屈でしょう? 此処は資格の有る者しか立ち入れない聖域だから、隠蔽術を解除して構わないわよ?」
「・・・やはり お見通しでしたか王妃様、指摘されているのに解除しない方が失礼にあたると存じます、お言葉に甘えさせていただきます」
「ふふ、やはり綺麗な毛並みね」
「義母上?」
「もちろん分かっているわ、他言無用 でしょう?」
「はい」
ベアトリーチェに指摘されてしまったので大人しく隠蔽術を解除すると、ハルトがキャッキャしながら私の尻尾を撫で始め、ベアトリーチェは微笑みながら毛並みを褒めてきたので、なんというか悪い気はしない
「ウチのバカ貴族の為に窮屈な思いさせてごめんなさいね?」
「あーいえ・・・はい」
「ふふ、素直な子は嫌いじゃないわ」
「ははは・・・」
微笑みを浮かべていたベアトリーチェが急に申し訳無さそうな表情をして、謝罪をしてきて碌な返事を返せずにいると彼女は再び微笑み そんな事を言ってきたので愛想笑いを返しておく、なんだろう 心を見透かされている様な気がして少し苦手だな、この人
「ナズナ君の次の婚約者、貴女が望むならば私がライラントへ推薦するわよ? どう?」
「お戯れが過ぎます王妃様、仮に私が望んだとしても 現行法では平民たる私はナズナ殿下と婚姻出来ません」
「あらあら、貴女は やはり賢いわね? ますます気に入ったわ」
表情こそ微笑みを浮かべているが、瞳の奥で何を考えているか分からない恐ろしさを感じ、精一杯礼を欠かさずに言葉を選び遠回しに断りを入れると、何故だか気に入られてしまった様だ、何故だ?