アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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83話 頭を悩ませるナズナ

 

 

冬山登山を敢行し魔棍の収容を終え最寄りの街で火山地帯特産の温泉を堪能して、存分に茹でられ疲れを癒し翌日から頑張って魔王の遺物収集を行い約1月(ひとつき)半が経過し、魔銃・魔手・魔足・魔鎧・魔扇・魔盾・魔のピアスの収容を完了する事が出来た

 

各領主が協力的だったのと、移動時間短縮の為に裏技を使いまくって日程圧縮をした お陰で約1ヶ月半で7つも収容が終わった、この調子で順調に収容の旅が進めば良かったのだが、そんな事はなく アビトボルで魔のピアスを収容後 アビトボル領主に用意してもらった部屋でナズナが軽く頭が痛そうに、先程 魔法郵便で届けられた書状を読んで肩を落としている

 

その様子から、なんとなく察してはいるが 聞かずに自己完結してはダメなのでナズナへ尋ねてみる

 

 

「ナズナ殿下、どうかされましたか?」

 

「どうもこうも、ユーラの反応が芳しくないんだ」

 

「ユーラ・・・ユーラ王国ですね? 魔王の遺物で唯一国外に反応があった魔剣の所在地」

 

「そうだ、魔剣収容の為に入国 及び 捜索・収容を打診していたが、どうも疑われてしまっていて、旅券を発行して貰えていないんだ」

 

「なるほど」

 

 

24個 存在する魔王の遺物の内 21個はリューネの大貴族である21家門が保有していて、国内の火山と霊峰に1つずつ 国外であるユーラ王国のガーナ山に1つ、安置?されている

 

正直、どう言う経緯で魔剣が国外へと持ち出されたのかは、私にも分からないが とにかく魔剣はユーラ王国内に存在している、それが事実であり 問題なのだ

 

山中だろうと自国内で有れば、王太子であるナズナは権力を用いて捜索・収容を ある程度は強行できる

 

しかし、国外では そうもいかない、下手な事をすれば国際問題となり 戦争の火種になる可能性だって存在するのだから

 

その上でユーラ王国はアビトボルの港から出る定期便でしか往来出来ず、リューネとユーラ双方から発行される旅券が無いと船へ乗船する事が出来ないので、ナズナが頭を痛そうにしている理由は それだ

 

ユーラ王国はリューネと比べて国力は3分の1程度だが、この先 何十年 何百年と隣人付き合いをする上で、変に機嫌を損ねて関係を拗らせてしまうのは得策ではないし、ユーラ王国特産品の1つである魔法鉱石が輸入出来ないのは困る、とある魔導具の部品に使用する触媒に必要なのである

 

そう言う訳でナズナが現在進行形で頭が痛そうにしている訳だ

 

 

「ユーラの気持ちが分からない訳では無いが、コチラとしては、な?」

 

「ある日突然『 貴国に我が国で発生した魔王が遺した遺物がある、収容する為に入国と捜索の許可が欲しい』なんて荒唐無稽な事を言われたら、難色を見せるのも当然と言えますし、理解もできますね?」

 

「あぁその通りだが、な?」

 

「いつ爆発しても不思議ではない爆弾と変わりませんしね、魔剣は」

 

「あぁ」

 

 

1尾分身メイドが入れた紅茶を飲んで、物言いたげな表情で私を見て言う彼に同意しつつ頷き言うと、ナズナは本当に頭が痛そうにして頷く

 

 

「私だけで潜入して秘密裏に魔剣を収容してきましょうか?」

 

「お前だけにリスクを背負わせる訳には行かないだろう? 見つかれば捕縛後に投獄、下手をしたら処刑だ 容認できない」

 

「お気持ちは嬉しい限りですが、アビトボル(ここ)で手をこまねいている場合でも無いでしょう? 新年度には学園に戻らねば、教師陣の心象も悪くなりますし」

 

「お前の命と教師陣からのイメージダウン、比べるまでもなく お前の命の方が大切だろう? 」

 

「ナズナ殿下」

 

 

私の提案にナズナは真剣な表情で私を見据えて言ってきて、ガラにもなくトゥンクとトキめいてしまった、やはりイケメンが言うと絵になってズルい

 

それはそれとして、ナズナの言う通り リスクがある

 

密入国が発覚したら 当たり前だが捕縛された後に投獄、取り調べが行われて罪状が決定して、最悪スパイ防止法とかで処刑 なんて事も充分あり得る、なんなら ある事ない事冤罪を盛られてリューネとの交渉材料に仕立て上げられたりする可能性だってある訳だし、ナズナの言葉は嬉しい限りだ

 

 

「時間がかかりそうで有れば、一旦 王都へ帰還しますか?」

 

「そうだな、それも選択肢としてはアリだな」

 

 

ナズナは足を組み変えて紅茶を飲み思案を始める、別に今 ユーラ王国行きへ拘る必要はないが、アビトボルに滞在している 今が無駄なく出国出来るチャンスである事も事実であり、最大の悩み所なのだろう

 

 

「あと数日滞在して、尚もユーラの反応が芳しくなければ 一旦 王都に帰還して、遺物の浄火作業を行おう」

 

「かしこまりました、ナズナ殿下」

 

「お前にばかり負担をかけてすまない、カヅキ」

 

「構いませんよ、それも折り込み済みですから」

 

「そうか? ん? そういえば、そろそろ一時帰宅の時期じゃないか?」

 

「そうですね? 明日辺りに一時帰宅したいと思います」

 

「分かった、ターニャとベルファによろしく言っておいてくれ」

 

「はい」

 

 

ナズナの指摘を肯定すると、そんな事を言われたので返事を返しておく

 

正直、センセイは兎も角、ベルファさんに会うかは保証出来ないが、仕方ない、うん仕方ない

 

 

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