アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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87話 れつごー テレジア領 4

 

 

思ったより荒れて居ない別宅に自己考察をしていると

 

 

「カヅキ、魔眼は 何処にある?」

 

「少々お待ちください、ナズナ殿下」

 

 

携行する為に閉じていた魔本を再び開き、捜索魔法を再展開して 魔眼の詳細な位置を割り出す

 

 

「・・・屋敷の地下の様ですね」

 

「そうか、ジャン お前には悪いが、此処から先 命の危険があるかも知れない、最大限 危険が無い様にはするが、覚悟はしていてくれ」

 

「・・・承知致しました」

 

 

魔本を開いたままナズナへ報告すると、ナズナは頷きジャンへ そんな事を言う、彼なりの誠意なのだろうが ジャンの何とも言えない表情を見て、少し可哀想な気持ちになる、何せジャンは道案内と鍵開けを担当する 執事だしな、うん

 

まさか、命懸けの仕事とは梅雨知らずだったろう

 

 

「ジャンさん、解錠する時以外は私の後ろに居て下さいね?」

 

「カヅキ殿・・・はい、申し訳ありませんが、そうさせていただきます」

 

「よし、行くぞ」

 

 

私より大分背の高いジャンを落ち着かせる為に歩み寄り笑んで言うと、彼は申し訳無さそうな表情をして頷き、ナズナの声で 魔眼捜索を開始する

 

 

「魔眼の反応は地下にありますから、まずは地下へ至る道を探す必要がありますね」

 

「そうだな、すまないがジャン 頼む」

 

「かしこまりました、微力ながら協力させていただきます」

 

 

まず正面玄関の鍵を解錠して屋敷へ入るが、魔王の遺物 特有の異臭が薄いので、まだ封印は強固に維持されている様で、ひとまずは安心する

 

 

「カヅキ殿、反応は どちらでしょうか?」

 

「正面を12時として2時方向ですね」

 

「承知致しました・・・2時方向ですと、奥の扉から向かえる様です」

 

「分かりました」

 

 

エントランスホールに入り一瞥するが、貴族の それも大貴族の別宅とは思えない程に質素な内装に違和感を抱いていると、ジャンに声を掛けられたので、答えると彼は再び 何処からともなくファイルを取り出して 数秒確認後に指を指したので、注意しながら その方向へと進む

 

一応、ミニマップで敵性存在の索敵はしてあるが、反応しないステルス能力持ちが居る可能性も考慮して慎重に進んでいく

 

そんな訳で、ジャンに扉を解錠してもらい 奥の扉から廊下へ侵入すると、エントランスとは打って変わって、妙にリアルな石像が置かれているのが目に入る

 

 

「ハヤテ様の趣味でしょうか?」

 

「さてな、俺も兄上と最後に会ったのは10年以上前の お互い子供の頃だ、分からない」

 

「申し訳ありません、私もテレジア家執事長とはいえ、管理する お屋敷の全てを完全把握している訳ではありません、特にハヤテ様の事は旦那様が自身で対応していました」

 

「テレジア候が直接? ふむ・・・」

 

 

石像に違和感を抱きつつ疑問を口にすると、ナズナもジャンも 分からない と口にし、あの研究大好き変態おじさん テレジアが直接 対応をしていた事をジャンは教えてくれ、その事に違和感が更に強まる

 

まず違和感 その1、妙にリアルな石像は かなりの技術がないとダメだから美術品としての価値が高い筈、その筈なのにエントランスに飾らずに わざわざ 人目のつきにくい奥の廊下へ飾られている

 

違和感 その2、これだけの美術品に作者の名前が刻まれたプレートが存在しない、これは通常あり得ない事だ

 

芸術家とは自身の作品に誇りを持っているから、盗作や贋作を嫌うので必ず自身の名を示す筈なのだが、石像には それが無い

 

 

違和感 その3、この屋敷の主人であるハヤテは、王位継承権が無いとはいえ王子だから テレジア家 当主であるレフが直接対応するのは正しいのだろうが、現王太子であるナズナにすら嫌味を言うレベルの研究大好き変態おじさん であるレフが、わざわざ 自分で対応していた、と言うのは不可解すぎる、絶対に理由がある筈だ

 

そんな考察をしながら不定期に置かれた石像を横目に廊下を進み、ふと 思い出す

 

 

「そういえばハヤテ様は、この屋敷で療養されていた そうですが、どの様な病だったのですか?」

 

「兄上は元々 病弱で身体も強くはなかった上に、奇病を患ったらしくて 伯父であるレフが治療をする為に引き取ったらしい」

 

「あぁ、そうです。旦那様が直接 対応されていた理由は それです、何でも周りの者にも影響が出てしまう類いの奇病だとかで、必要最低限の平民から雇用していたとか、給与は破格の額と風の噂で耳にした事もございます」

 

 

「周りに影響の出る奇病・・・王子の世話に使い捨ての聞く平民を雇用・・・その上で、ここの地下に魔眼? 出来すぎている」

 

「どうした、カヅキ」

 

 

私の質問に答えてくれた2人の説明に引っかかりを覚え、石像の前に立ち止まり、改めて石像を観察し始めるとナズナが訝しみ声をかけてきたが、今は無視して

 

 

「ジャンさん、この屋敷で雇用された使用人の数は分かりますか?」

 

「え? はい、詳細な数までは分かりませんが、確か30名程だったかと」

 

「次に、ハヤテ様の居室も こちら側だったのでは? 」

 

「え? えぇ、その通りです。カヅキ殿」

 

「おい、カヅキ どう言う事だ? 」

 

 

恐らく最悪の答えに辿り着いた私は、否定したくてジャンへ尋ねるが その悉くが答えの正しさを証明して行き、急に そんな事をし始めたナズナが私へ尋ねてくる

 

あぁこれはナズナにとっても最悪の答えなのだろうな

 

 

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