アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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88話 れつごー テレジア領 5

 

 

 

恐らく相当酷い表情をしている私を見て訝しんでいるナズナに説明要求される、本当 下手に(さか)しいと余計な事まで分かってしまうのは少々煩わしいな

 

 

「ナズナ殿下、今から私が口にするのは、あくまでも状況証拠から推測した推理です、その点をご容赦下さい」

 

「あぁ分かった」

 

ナズナを見据えて推測と前置きをして彼から返事を聞いてから深呼吸をし

 

 

「先程ジャンさんへ尋ねた使用人の数が大凡30人と言う事でした、そして この廊下に並んでいる石像の数ですか、この石像が30体目なのですよ」

 

「なに? 」

 

「誠ですか? カヅキ殿」

 

 

私が推理を話すと2人はバッと振り向き石像を数え出し、驚いた表情をする

 

 

「確かに使用人と石像の数が一致するな? だが、それだけじゃないのか?」

 

「そうですね? ハヤテ様が療養中で退屈を紛らわせる為に使用人の石像を作成した、そう考える事も出来ます。しかし私の索敵魔法には此処以外の場所に石像や彫刻が存在しないのですよ、そして こんなにもリアルな彫刻が出来るならば、陛下へ献上されている筈です。まがりなりにも父子ですから」

 

「確かにな、俺は王太子だから親父の不甲斐なさに腹が立つが、後宮王子の兄上には ただの父親だ、自分の作品の1つ や 2つ ぐらいプレゼントしていてもおかしくない、だが親父から聞いた事もないな・・・親父なら間違いなく俺やユキヤに自慢するからな」

 

「つまり この石像はハヤテ様の作品ではない、そう言う事でしょうか?」

 

「その通りです」

 

 

そう石像の作者がハヤテなら使用人をモデルに彫刻した と、ただそれだけで済んだが、そうではない

 

ライラントは無類の女好きであると同時に、子煩悩な男だ 自身の子供にかなり甘い所が存在する、そうでなければ後宮の王子・姫が好き勝手出来る訳がない

 

それに王太子とはいえ、現国王へ ナメた口をきくナズナが許されている事も、その証拠と言える

 

本来ならば、お叱り は必須で 部屋で謹慎など の処分を処されても仕方ない程度にはナズナはライラントをボロクソ言っている訳だしね、うん

 

そんな子煩悩な父親に自身の作品をプレゼントしないのは、あまりに不自然だろう?

 

 

「それにハヤテ様が療養されていた屋敷の地下に、魔王の遺物 “ 魔眼 ” が存在するのは、都合が良過ぎませんか? 」

 

「それは・・・」

 

「カヅキ殿、それこそ こじつけではないですか?」

 

「果たして、そうでしょうか?」

 

 

私は核心部分を口にすると、ナズナとジャンは『流石に飛躍し過ぎでは?』と言う表情をしたので

 

 

「ジャンさん、この屋敷で働いていた使用人約30名、ハヤテ様が亡くなられた後に どうなったか ご存知ですか?」

 

「いえ、わかりかねます・・・あぁでも、使用人執務室に名簿が残っているかも知れません」

 

「その名簿って、これでしょうか?」

 

「いつのまに?!」

 

「ジャン、カヅキの魔法技術は規格外なんだ、捜索魔法の一種だろう」

 

 

やはり証拠が無いとダメだな と思い、影識神を使い見つけた証拠である使用人名簿をインベントリから取り出しジャンとナズナへ見せると、もう慣れているナズナがジャンを宥める

 

 

「確か殿下は国民の顔と名前を全て覚えていましたよね? どうぞ」

 

「あぁ、確かにそうだが・・・なんだ これは」

 

「どうされました? ナズナ殿下?」

 

 

私は神妙な面持ちでナズナへ使用人名簿を渡して中を確認してもらうと、ナズナは驚愕した表情になる

 

 

「全員 病死や事故死、行方不明・失踪として死亡扱いになっているじゃないか! それも全員が一気に雇われている訳ではない・・・最初の5人の内 1人が病死して1人雇用・・・最終的には全員死亡だと? 」

 

「病死、と言うのはあながち間違っては無いのでしょうね? 」

 

「それは、どう言う事だ? カヅキ」

 

 

私が石像を優しく撫でながら言うと、訳がわからないと言った表情のナズナが尋ねてくる、ジャンに至っては状況について来れずフリーズしている

 

 

「石化してしまうと意識は消失して呼吸も脈拍も無くなりますから」

 

「何を言って・・・おい、まさか!?」

 

「えぇ、この石像は 私の予想では魔眼の被害者です。恐らくハヤテ様は魔眼に寄生され、石化の魔眼を発現したのでしょう」

 

「そんな・・・そんな事が・・・」

 

 

そう廊下に並ぶ約30体の石像は、石化の魔眼の犠牲者だ

 

使用人名簿の姿見と石像の人相が酷似しているし、鑑定機能を使用した結果 人由来と断定されている

 

 

「なんらかの原因で魔眼に寄生されたハヤテ様は、この屋敷で療養をしていましたが、元々 病弱だった上に自身が石化させてしまった使用人への罪悪感と寄生された事による負荷で更に弱り、お亡くなりになられた・・・と推測致しました」

 

「なるほど、筋は通ってはいるな?」

 

「この推理には穴が存在します、殿下はテレジア候へ『魔眼に心当たりは?』と言う質問をし、テレジア候は『ない』と答えました。これはテレジア候が嘘をついている、あるいは私の推理が間違っている事になります」

 

「・・・そうだな、だが 今はどちらでも構わない、一刻も早く魔眼を収容しなければならない」

 

「かしこまりました」

 

 

推理を述べ終えると、ナズナは神妙な面持ちをして 最優先にすべき事を口にしたので、私は軽く頭を下げて従う意思を示す

 

これでテレジアが原因だったりしたら、その時は尿管結石じゃ済まない呪いかけてやるからな? 覚悟しとけよ? テレジア

 

 

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