ナズナの指示により、私の推理劇を終わりにして反応のある地下へ至る為の部屋へ向かう
「カヅキ殿の言う地下へ至る道が有る筈ですが、図面上は 存在しません・・・少なくとも この部屋には」
「しかし、ここに有る筈なのですよジャンさん。反応が この先から出ていますから」
「カヅキ、臭うか? 」
「えぇ、とても」
「臭う、とは?」
「私は少々鼻が効きまして、魔王の遺物の匂いを嗅ぎ分ける事が出来るのですよ、まぁ相当の悪臭なのですが」
「なるほど、分かりました」
屋敷の図面を見ながら言うジャンに答えると、ナズナに尋ねられたので返答する、どうやら無意識に顔をしかめていた様だ
それからジャンの質問に答えると、彼は目の前の扉を解錠し後ろに下がる
「この先は 何があるか分からないので、絶対に前に出ないでください。良いですね?」
「あぁ分かっている」
「承知致しました」
「あの、殿下? ジャンさん と同じ方向で あと4歩 後退して貰えますか?」
「・・・分かった」
念の為に2人へ念押しをして返事を聞き、ナズナの場所が悪かったので移動をお願いすると、少々不服そうな表情をして移動する、なぜだ?
それからナズナとジャンの安全確保が完了したのを確認して、慎重に扉を開き入室してクリアリングすると、明らかにおかしい状況である事が一目瞭然だと分かる
「ナズナ殿下、入ってきて大丈夫です」
「あぁ・・・なんだ、これは?」
「隠し通路への入り口、でしょうか?」
「そうでしょうね? 十中八九 有ると思っていたので存在するのは予定通り、しかし 開いているのは想定外です」
私の声にナズナとジャンが入室してきて、ナズナが隠し扉を見て警戒をし始め、ジャンは理解が及ばない様で そんな事を言う
そう目の前に有るのは隠し扉で、それが存在するのは予定通りなのだ、これまで巡ってきた21貴族の遺物が封印 又は 安置されている部屋へ至るには隠し扉を見つけなければならなかったから
そして今 問題なのは、その隠し扉が開いている事であり、何者かが侵入 ないし 意図がある事を示している、それ故に警戒しなければならない
「お二方、より一層の警戒を」
「あぁ」
「承知致しました」
私の言葉にナズナは自身の剣を抜き ジャンは強く頷く、それを確認して私は右手に魔本を保持し、左手でツッカーローアを抜刀して隠し扉を潜りクリアリングをしつつ、慎重に進む
通路は照明で照らされた一本道で、すぐに階段になっていて慎重に降ってゆき、恐らく4階分降ると1辺 10m 程の広間? へ到達する
「・・・殿下、何者かが居ます」
「分かった」
薄暗く人相までは分からないが、隠し扉を解放したであろう人物が立っていて、ナズナへ警戒を促すと剣を構えて臨戦態勢に入る
「ようこそ お待ちしていましたよナズナ殿下、いや本当に 待ちくたびれて居眠りしそうでした」
「・・・チャール、なんで お前が此処に居る? まだ学園に居る筈だろう?」
「ヤダな〜 ナズナ殿下、もう春休みに入ってますし、自分家に殿下が来る事ぐらいの情報は拾ってますって」
「全くお前と言う奴は・・・ウツケのフリをするなら最後まで続ければ良いモノを」
「そうですが、そう言ってる場合じゃ無くなってしまいましたから」
コツコツと踵を鳴らし待っていた人物、チャールが いつもの様にチャラ男の雰囲気を纏いコチラへ歩み寄ってくると、ナズナが呆れた様子で言い会話を始める、どう言う事だ? 自分の家?
「では改めて・・・ナズナ王太子殿下、ご機嫌麗しく存じます、チャール・ダンビュライト・テレジア 本日は殿下に お願い事があり、不躾ながら この様な場所へやってまいりました、どうか ご容赦願います」
「あぁ言ってみろ、判断は それからだ」
「ありがとうございます」
チャールは、私の正面 2mの位置に傅きナズナへ臣下の礼を取り頭を下げて言う、普段のチャールからは想像出来ない程の所作に、少し困惑してしまう
「王太子殿下も お気付きの事と思いますが、我が父 レフ・スフェーン・テレジアは 己の研究欲を満たす為、兄君 ハヤテ殿下の治療等 一切せず 検証実験を繰り返しておりました、王太子殿下も ご覧になられたと思いますが、廊下の石像達は高報酬に釣られてやってきた犠牲者です。その上で申し上げますレフは、ハヤテ殿下へ魔眼を寄生させた張本人であります」
「・・・そうか、それで? お前は どうしたいんだ? リューネでは連座で お前達一族郎党処刑になるが?」
「はい、つきまして。
「なるほどな」
傅きから土下座へ体勢を移行し、チャールは 何処からかダンボール箱 一杯の証拠品を私達の目の前へ出して懇願する
危険物の反応も、チャールが嘘をついている反応も出ていないから、チャールは本気でナズナにお願いしている、見逃す命に自分が入っていないのは、それだけ本気だからだろう