棘薔薇の騎士 作:ナヴィア推し
今日は原神アップデート日。それも新たな国に訪れる大型アップデートの日だ。この日のために有給休暇もとった。
それではフォンテーヌへと、いざ参らん。
スメールの砂漠地帯からフォンテーヌへ入国した主人公を出迎えてくれたのはリネとリネットの双子のマジシャンだ。彼らはフォンテーヌが海に沈むという予言に備えるため、マジックポケットを配っているという。
「なるほどなあ、フォンテーヌは沈むのか……多分、それを防ぐのが主人公なんだよな」
ストーリーを進めていくと、なんといきなり水神フリーナが登場した。
「ええぇ、随分腰が軽いな今回の神様は」
こほん、と目の前で演説を披露する水神。
「それにしても……グロシってなんだ?」
仮にも七神の一柱だ。これまでの神様も重要なことを匂わせてきたり、助言をくれたりしたし、このグロシも何かストーリーに関わる用語なのかもしれない。原神ってゲームはそう言う専門用語に溢れてるからな。
「と、ここらで昼飯買いにコンビニ行ってくるか」
メリュジーヌと巡水船に乗る前の地点で一旦、休憩。
そうして、コンビニに向かう途中の交差点で俺は車に轢かれたのだった。
目が覚めたらそこは薄暗い地下空間。錆びた鉄の壁に無造作に積み立てられた機械部品の山。流れる空気は何処か澱んでいる。
そんなガラクタの山の上で俺は目覚めた。
「いったた、なんだよコレ」
耳に入る声が甲高い。慌てて、自分の掌を見た。
「なん、だよ……コレ?」
見慣れたはずの己の手は見る影もない。
そこにあるのはまだ毛も生えていない、柔らかそうな幼児の手だ。
「そうだ……確か、俺はコンビニ……に向かっ、オェェ……はぁはぁはぁ」
突っ込んできたトラックに挽肉にされたんだ。
現状から考えるにこれは、死に際に見ている夢か、それとも異世界転生か。
さて、どうしたものか。
「とりあえず、歩きながら考えよう」
数分、ぼうっとしていたがなんの情報もない。そんな中で考えても判断材料が無いわけで。情報収集がてら周囲を散策することにした。
今いる金属スクラップらしきガラクタの山は通路の行き止まりになっている。目の前に伸びる通路を進むことにした。
しばらく進むと、通路の先から水の流れる音が聞こえてきた。
「おお、水の音だ!」
早足で先に進むと丁字路と、その奥に沿って流れる水路が見えた。
それに心做しか通路も明るくなっている気がする。
「下水道……か? それにしては臭くない」
よく分からないが、ひとまず脱水の危機は脱したと思って良さそうだ。このまま飲んだら腹を下すのは確実だろうが、最終手段でもあるとないとでは大違いだからな。
それになんというか、この通路からはここまでの道とは違って生活感のようなものを感じる。
「お! もしかして、新聞紙か?」
日本じゃ考えられないくらいにポロポロと落ちているゴミの中にひとつ、ぐしゃぐしゃになった紙を見つけた。
破れないように丁寧に地面に広げて、しわを伸ばす。
「ええと、なになに? スチームバード新聞紙、水神の演説、今週のフォンテーヌの天気予報? まさか……テイワットなのか」