Coolな芸術を求めて   作:COOL!

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この世界におけるAWCYは、『如月工務店』『夏鳥思想連盟』『日本生類総研』『石榴倶楽部』にあたる組織と融合しています。注意してください。


依頼No.480

「どうも、瑞稀さん。なんだか機嫌が良さそうですね」

 

「ああ。つい先日、久しぶりに依頼が来てなあ。依頼人の要望も叶えられて、あたしは満足だよ」

 

こんにちは。

わたしは今、とある山奥の工房に来ています。

 

ここ、『如月工房』の主を務めるのは、如月(きさらぎ)瑞稀(みずき)さん。

如月一族の当主にして、都市伝説の1つ『きさらぎさん』の正体です。

 

如月一族は古来より、『鬼』の一族として迫害を受けてきました。『異形系』のように人間とは少し違う外見で、皆頭に角が生えています。しかし瑞稀さん曰く、「あたしらのコレは個性じゃないよ。人間の知らない、神秘や怪異はいっぱいあるのさ」とのこと。

 

如月一族の個性は、奇妙でおとぎ話に出てくるようなものが多くあります。

 

例えば彼女の個性『人柱』は、一定範囲の土地及び建造物と人間を融合させるもの。

個性を持つ人を素材とした場合、建物や土地全体に素材となった人物の個性が付与されるという特性があります。

 

今回の作品も、依頼人の要望を叶えるため、依頼人自身(・・・・・)を素材にしたんだとか。

 

「今回仕上げた公園はさ、依頼人の個性で面白いことになってんだよ!いやー、楽しんでくれるといいなぁ・・・」

 


 

「見てください、向こうに門みたいなのがありますよ!」

 

「うおっ、ホントだ!」

 

現在、トガとトゥワイスは絶賛道に迷っていた。

と言っても、2人が方向オンチだったというわけではない。

 

アジトの中を歩いていたら、突然見知らぬ山道に立っていたのだ。

ヒーローの攻撃かと思い警戒したが、周辺に人の気配はない。

スマホも圏外であったため、2人は道に沿って歩くことにした。

 

そうして10分ほど歩いたところ、簡素な門を発見した。

なにやら文字が書いてあるが、かすれて読めなくなっている。

 

「わぁ〜、よくわからない遊具がたくさんありますよ!」

 

どう遊ぶのかわからない、奇妙な形の遊具にトガはウキウキしている。

 

「・・・なあ、トガちゃん。ここ、なんか変じゃないか?」

 

一方、トゥワイスには不吉な予感のようなものがあった。

 

ここには、なんというか『生』の気配がない。

芝生や遊具の状態から、管理している人がいるのは分かる。

しかし、鳥などの動物がいないどころか、動物の痕跡が一切ないのだ。

 

「・・・確かに気持ち悪い感じがしますけど、そもそも私達がここに来たのが変な現象のせいですよ?」

 

「・・・まあ、確かに?」

 

「あ、そうだ!」

 

なにかを思いついたように、トガがポンと手を叩く。

 

「なにか看板とかないですかね?『ポイ捨てはやめましょう』とか書いてるやつ。あれって大抵、管理してる自治体の名前がついてると思うんですけど・・・」

 

「うーん・・・見た感じ、そういうのはなさそうだな・・・」

 

人工物がある場所に辿り着いたが、結局ここがどこなのかはわからない。

山道はここに続いていただけらしいし、もと来た道を戻るしかなさそうだ。

 

「トガちゃん、もど「あ、女の子がいますね」

 

トガの指差した先には、5歳くらいの女の子が立っていた。

近くに親らしき人はおらず、ボーッと空を眺めているようだ。

 

「ちょっとここがどこなのか聞いてくる!」

 

小さい子が一人で遠くまでは来れないだろうから、近くに町があるはずだ。

なぜ自分達がこんな所に飛ばされたかは分からないが、とりあえず帰れるはずだ。

 

「お嬢ちゃん、ちょっといいかい?」

 

「なぁに、おじさん?」

 

女の子はニコニコしたまま、トゥワイスの方を向いた。

 

「ここがどこなのか教えてくれないかな?俺達道に迷っちゃってさ」

 

「ここはね、私が『きさらぎさん』に特別に作ってもらった公園なの!だから名前は・・・みゆき公園!」

 

「へ、へぇ〜。すごいね」

 

『きさらぎさん』・・・。

確か、『お酒を持っていけばなんでも作ってくれる美女がいる』という都市伝説だったはず。

 

たかが都市伝説、と笑い飛ばすことはできない。

それが真実であったという先例、『黒いドレスの女』がいたのだから。

 

「ここって何県かな?町の名前でもいい、教えてくれ」

 

「う〜ん・・・わかんない」

 

「じゃあさ、帰り道を教えてくれないかな?町とか村に降りれる道」

 

「帰り道・・・?」

 

女の子は不思議そうに首を傾げ、当然のように言った。

 

「ないよ?」

 

「・・・え?」

 

その瞬間、トゥワイスの頭に恐ろしい想像が浮かんだ。

自分たちが、怪談でよくある「神隠し」にあったのではないかというものだ。

 

馬鹿な。きっとこの子がちょっとイジワルしているだけだ。

 

「じゃあ、お嬢ちゃんはどこから来たんだい?俺達、帰れないと困っちゃうよ」

 

すると女の子は、ニコニコして言った。

 

「私ね、ずっとここにいるの!だって、ずっと遊べるでしょ?」

 

「・・・そう、かい」

 

女の子の発言に、トゥワイスは目の前が真っ暗になりそうだった。

 

(やべぇ、これ個性とかじゃないじゃん!ホラーなやつじゃん!)

 

「ねえ、おじさん」

 

「!な、なんだい?」

 

ニコニコしたままの少女を見る。

さっきからずっと、笑顔のまま表情が変わらない。

 

「おじさんたちも一緒に遊びましょ!1人で遊ぶより、みんなで遊んだ方が楽しいわ!」

 

「・・・」

 

よく観察してみると、女の子の様子がおかしいことに気付く。

さっきから一切まばたきをせず、仮面を貼り付けているようにずっと笑顔のままなのだ。

それより問題なのは、明らかに瞳孔がずっと開いていることなのだが。

 

「なにして遊ぶ?鬼ごっこ?かくれんぼ?おままごともいいわね!」

 

だんだん顔色が悪くなるトゥワイスをよそに、女の子は話し続ける。

 

「いっぱいしたい遊びがあるわ!ほら、早く遊びましょ?ずっと、私と一緒に。ずーっとよ?ずーっと、ずっと、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと──」

 

「う、うわぁぁぁっ!」

 

耐えきれなくなったトゥワイスは走り出す。

早くトガちゃんを連れてここを出なくては。

 

「トガちゃん、早くここ出よう!なんかやばいよここ!」

 

「は、はい!」

 

2人は入ってきた門を目指して走り出す。

既に周囲の雰囲気は大きく変わり、遊具や地面が歪み始め、空間にノイズのようなものが現れる。

 

「あははははっ!待ってよおじさ〜ん!」

 

「クソッ、追いかけてきた!」

 

背後から、あの女の子の声が近づいてくる。

全力疾走しているのに、だんだん距離が詰まってきた。

 

「私がタッチしたら、今度はおじさんが鬼だからね〜!」

 

絶対に捕まってはいけない。

トゥワイスはそう強く感じた。

 

「う、おおおおおっ!」

 

なんとか2人は、門をくぐり抜けて脱出する。

 

「はあ、はぁ・・・。トガちゃん、大丈夫か?」

 

「は、はい・・・ってあれ!?元の場所に戻っていますよ!?」

 

気が付くと、アジトの中に戻ってきていた。

幻でも見ていたのか・・・そう思いかけたが、記憶ははっきりしている。

 

一番強く記憶に残っているのは、公園を出る直前に見たものだ。

あの時トゥワイスには、門の内側に書かれた文字がはっきり見えた。

 

またどうぞ みゆき公園




今回の元ネタ・・・SCP480JP
物理法則がバグった森林公園。みんな大好き如月工務店が作った。女の子を公園から出すと大変なことに・・・詳しくは本家記事を見よう。

本作では、「ずっと遊べる公園が欲しい」という女の子の依頼により作成。個性『歪曲』を持つ依頼主を公園と融合させたことにより、空間を捻じ曲げて人を迷い込ませるやべぇ場所が誕生した。

公園にとけた女の子の意識は歪み、「ずっと遊ぶ」ことのみを目的としている。

如月工房に依頼するのはとっても簡単。
特定の儀式を行って工房に直接行き、瑞稀さんにお願いしよう。
代金はお酒で、度数が高いのを持っていくと機嫌がよくなるぞ!
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