Coolな芸術を求めて 作:COOL!
「さて。準備はOKですか?レクター」
「はい!」
こんにちは。
わたし達は今、サーフボードに乗っています。
と言っても遊んでいるわけではなく、タルタロス侵入作戦の真っ最中です。
今も機銃掃射を回避し続けていますしね。
「ヒーローは超常解放戦線と戦闘中で、こっちに手は回らないはず。なのでこうして、
サーフボードごと
「上陸すればこっちのものです」
地面に接触した瞬間、変形した地面と建物が警備ロボット達を挟み込み、押しつぶす。
「絞り上げる」
監視塔を雑巾のように捻りました。
当然、中の職員も死んだでしょうね。
「会長!なんか飛んできてますよ!」
包丁でロボットを切断しながら、レクターは本土と繋がる橋の方を指差します。
そこには、大量のドローンが!
「1057、食べていいですよ」
水中から飛び上がった
あれは作品No.1057の1体。
わたし達はサーフボードをあの子の背中に乗せ、その上に乗ってやってきました。
さっき外壁を破壊したのもこの子です。
「レクター!」
「はーい!」
地下へ続く扉をレクターが切断し、凶悪
レクターの個性は『切断』。
物体の硬度、性質を無視して何でも刃物で切断できるという、素晴らしい能力です。
「さて・・・廊下にいるのは制圧部隊でしょうし、一旦全部潰しますかね」
廊下の床を一気に変形させ、天井まで押し上げます。
途端に悲鳴が聞こえてきますが、すぐに声は聞こえなくなりました。
「屋内ではわたしに勝てませんよ?無論屋外でも無理ですが」
まあ、もう聞こえていないでしょうがね。
「
「あっちに階段を作っておきましたよ」
筋肉の塊のような男に道案内し、囚人たちの解放を続けます。
最高幹部以外を解放する必要はないのですが、好き勝手に暴れてもらえれば世界はもっと混沌に近付くでしょう。
「・・・やーっと見つけました。さあ、さっさと出ますよ?ギャシュリー様、KUNIEDA様」
「・・・」
「やはりあなたでしたか・・・感謝しますよ、アルティステ」
2人がいつも着ていた衣装を手渡し、上への階段の場所を伝えました。
いつもの服を着てない2人の姿は、初めて見たかもしれません。
ブレイディ様はもう上に走っていきましたし・・・あとは彼だけですね。
水深500m地点に位置する、タルタロス最下層の独房。
そこに拘束されているのは、オールマイトに敗れた伝説の敵。
「お久しぶりです、オール・フォー・ワン」
「君が助けに来てくれるとは、予想外だったよ。近々ここを出ようと思っていたんだが・・・ちょうどよかった」
顔の上半分が潰れた男性・・・オール・フォー・ワン氏が、拘束衣を破壊して立ち上がりました。
「ヒーロー達と敵連合・・・いえ、超常解放戦線の大規模戦闘が起こっています。死柄木とやらは貴方の部下でしょう?助けに行きますか?」
「弔は部下じゃない、次の僕さ。向こうは彼らだけで大丈夫だろう、それより僕はここの囚人に用事があるんだ」
そう言って彼は、自分に繋がれた装置を引っ張りながら歩いて行きました。
「・・・アルティステ、橋が完全に破壊されていて通れない。新しいのを作ってくれ」
階段の上から、ブレイディ様が呼んでいますね。
用事も済みましたし、さっさと脱出しちゃいましょうか。
「よいしょっと」
破壊された橋に触れ、残骸で無理矢理修復。
「さあ、皆さんはもう自由です。存分に暴れまわってくださいね?」
「「「うおぉぉぉぉっ!」」」
喜びの声を上げた敵達は、一斉に駆け出しました。
解き放たれた獣達により、世界は混沌と化す・・・実に“cool”です。
「ギャシュリー様達はこちらへ。脱獄を記念して、合同作品を作りに行きましょう」
1057を呼び寄せ、その背中に全員分のサーフボードを載せます。
「さ、乗ってください」
「・・・アルティステ。俺は、サーフィンができない」
「・・・」
「私もです」
確かに、そういうの出来なさそうですもんね。
ギャシュリー様がサーフィンをする絵面とか、想像するだけでおもしろいです。
「大丈夫ですよ。ただ立っているだけで勝手に動くので」
「・・・なおさら難しいのでは?」
とりあえず全員を乗せ、私の作品は動き出しました。
歩く災害が破壊した地へ向かって。
「誰か・・・助けてくれぇ・・・」
ギガントマキアによって、破壊し尽くされた街。
崩壊した建物の下には、未だ多くの人が生き埋めとなっていた。
「安心してください、今瓦礫を・・・」
聞こえてくるうめき声を頼りに、ヒーロー達は救助活動を続けていた。
しかし。
バゴゴゴッ!
「ゴボッ・・・!?」
突然地面が変形し、ヒーローを串刺しにした。
「あっ・・・!?」
「ガフッ・・・」
「グエッ」
短い悲鳴を上げ、一瞬で串刺しにされていくヒーロー達。
僅か5秒で、その場にいたヒーロー全てが殺害された。
「いやー、これまたすごい光景ですね。これなら会長も串刺し公を名乗れますよ」
「・・・臓物が溢れ出している。“cool”だ」
「・・・」
感想を述べる2人とギャシュリー様を放置し、私とKUNIEDA様は作品制作に取り掛かります。
「“鉢”はわたしが作るので、KUNIEDA様はどんどん花を咲かせちゃってください」
「わかりました」
瓦礫を変形させ、巨大な植木鉢のようなものを作り上げます。
瓦礫の下にいた
「では、周りも少し整えて・・・」
周辺に残っていた建物を押しつぶし、遠くからでもよく見えるように調整しました。
「そーれ・・・。KUNIEDA様、準備は整いましたよ」
団子状態の材料を植木鉢の中に放り込み、わたしの作成部分は終わりです。
「数千人を繋ぎ合わせたものから、一体どんな花が咲くでしょうか・・・楽しみですね」
KUNIEDA様が個性を発動すると、団子から芽が出てきました。
瞬く間に成長したそれは、大輪の花を咲かせます。
「おぉ・・・」
「・・・」
「わぁー!綺麗ですね!」
「・・・美しい」
「えぇ・・・実に見事な桜です」
団子の栄養を吸って生えたのは、高さ100メートルはあるだろう巨大な桜の木。
KUNIEDA様の個性って、木も生やせるんですね。
「・・・こんな花が咲いたのは初めてです。間違いなくこれは、これまで咲かせた花で最高のものだと言えるでしょう!」
「いいですねこれは・・・実に“cool”」
花を咲かすその下には、誰にも知られず糧となった者たちが蠢いている。
なかなか良い作品になりましたね。
「ヒーローの増援が来る前に、早く帰りましょう」
「なんだよ、こりゃあ・・・」
突然連絡が途絶えた地域にやって来た、増援のヒーロー達。
そこで彼らが目にしたのは、巨大な桜の木だった。
「おい!」
ヒーローの1人が、周辺の奇妙なオブジェを指差す。
「・・・あれ、人じゃねえか?」
「どうなってんだ・・・これだけのヒーローが、抵抗もできずにやられたってのかよ!?」
一体誰が、こんな蛮行を行ったのか。
その答えは、桜の近くにあった。
「おい・・・こいつは」
「うっ・・・」
そこにあったのは、引き摺り出されたヒーローの内臓。
それが丁寧に並べられ、メッセージが残されていた。
Are We Cool Yet?
今回の元ネタ・・・SCP1057
存在しないけど存在するイタチザメ。
見えないし質量もない。でもサメからの攻撃は通る。
詳しくは本家記事を見よう。
本作では、こちらからは観測できない巨大なサメ。
材料となったのは『鮫』『光吸収』『電波吸収』『音吸収』『熱吸収』『筋力増強』で、個性を詰め込みまくった大作。
人どころか電子機器でも認識不可能。
こいつの近くでは通信機器が全て使用不能になるため、異常に気づいても助けを求めることもできない。
食欲旺盛で小さな漁船くらいは丸呑みにする。やばい。