Coolな芸術を求めて 作:COOL!
親しい者であっても、自分のスポンサーであっても、自分自身の魂であっても、創作活動のためなら平気で利用します。
そう、魔王のこともね。
「ふむ・・・やはり素晴らしい戦闘能力ですね」
ズズズと紅茶をすすり、地面に転がるヒーロー達を見て呟きました。
「まー、最高幹部3人の合せ技ですからね。広範囲攻撃がないとそもそも戦いになりませんよ」
マドレーヌを頬張りながら、レクターが言います。
開戦直後、わたし達はとあるものを作りました。
ギャシュリー様が生み出した赤子達を、わたしの個性で変形・結合させて作った、巨大な怪物。
世界に“cool”をもたらす神の使者・・・。
取り敢えず、『天使』と呼びましょうか。
KUNIEDA様の植物が撒き散らされる中、『天使』の相手をするのは困難。
その攻撃を逃れた幸運な者たちも、ブレイディ様に切り刻まれていきます。
「おや・・・『天使』がやられましたよ」
「ほう・・・?」
そちらに視線をやると、縦に切断された『天使』の残骸が。
傷口の様子からして、焼き切られているようですね。
「あの閃光・・・例の裏切り者でしょう」
裏切り者・・・ですか。
わたし達も
「・・・あ、ブレイディ様に切られましたね」
上半身をスパッと。
咄嗟に後退し、胴体が両断されるのは防いだようですが、あの傷ではもうすぐ死ぬでしょうね。
これにて、ここのヒーローは全滅です。
「ブレイディ様、そろそろ移動しましょう!ギャシュリー様、お願いします!」
「・・・」
ブレイディ様を呼び寄せ、ギャシュリー様に個性を発動してもらいます。
「よし・・・これで飛べるでしょう」
溢れ出る赤子達を変形させ、移動用の異形に変化させました。
ビルをも上回るそのサイズは、まさに空飛ぶ要塞。
もちろんモチーフは、世界一有名な裏切り者です。
全員を背中に乗せ、空に飛び立ちます。
「ギャシュリー様。これから『天使』をたくさん作ってばら撒きますので、どんどん赤子を出してください」
「・・・」
無言のまま頷くギャシュリー様。
空から降り注ぐ死の天使・・・実に“cool”!
空から降り注ぐ、無数の怪物達。
赤子か重なり合って出来たそれは、泣き声を上げながら全てを破壊していく。
「こいつら、一匹一匹が強い!」
脳無のように傷を再生することはない。
しかし、その巨体ゆえ致命傷となる攻撃が入らない。
「おい、上見ろ上!」
視線を上に向けると、そこにはとんでもない化物の姿があった。
「なんじゃありゃあ・・・!」
歪な6対の翼。
体の所々から見える骨。
そして、頭についた
「天使のつもりか・・・あれで」
「・・・アルティステ。次はどこに向かっている?」
「オール・フォー・ワン氏の所へ。そろそろ弱ってきた所なんじゃないですか?」
ヒーロー側は今のところ、
敵を分断し、各個撃破する。
それはつまり、オール・フォー・ワンを彼らが弱らせてくれるということです。
そうなればあとは、
それでわたし達の中期目標は達成です。
「あ。あれ、雄英じゃないですか?」
「ふむ・・・バリアが張られていますね」
中ではオール・フォー・ワン氏がヒーロー達と戦闘している様子。
いいですね、できるだけ弱らせておいてくださいよ?
「戦闘機が迎撃に来ていますよ」
「問題ありません。叩き落とします」
異形の一部を変形させ、一対の触手を作り出します。
「・・・なるほど、ムチか」
「質量と速度こそ正義。まさに神の裁き・・・“cool”ですね」
音速を超える速度で振るわれたムチは、群がってきた戦闘機群を容易く撃墜しました。
そしてそのまま、雄英に張られていたバリアも叩き壊します。
「おお!壊れましたね」
鯨の一部を剥ぎ取って変形させ、わたしの体と繋ぎ合わせます。
空中戦をするときには、変形させるものが傘だけだと心細いのでね。
「では、ちょっと
「・・・了解した」
「いってらっしゃーい!」
わたしは体を覆うように肉の鎧を作り、雄英の方向に飛び込みました。
ドゴン!
「今度はなんだ!?」
オール・フォー・ワンと死柄木の統合が乱れ、動きが鈍くなったその時。
天空の柩が、いきなり破壊された。
その直後、轟音と共に鯨から落ちてきたのは、『赤子』が組み合わさって出来た球体。
ヒーロー側の援軍でないことは、誰の目にも明らかだ。
「計画通り行かない人生・・・」
死柄木の直ぐ側に落下した肉塊から、何者かが語りかけてくる。
肉塊が解け、中から出てきた人物に吸収されるその様子を、死柄木弔はじっと見ていた。
「それもまた“cool”・・・そうでしょう?オール・フォー・ワン」
肉塊の中から現れた女──アルティステはそう言って、死柄木に微笑みかけた。
「不味い!その女は──」
エッジショットが言い終える前に、地面が大きく変形し始めた。
ヒーロー達と死柄木を引き離すように、大きな地割れが起こる。
「“檻”は壊しました。大丈夫ですか?オール・フォー・ワン」
「・・・すまない。今、意識の統合が上手くいかなくてね」
「そうですか・・・では、これを」
アルティステが死柄木に投げたのは、
「これは?」
「精神に干渉する個性を素材にしたものです。二つの人格をはっきりと分け、コントロールできるようにする装置ですよ」
それを聞いたオール・フォー・ワンは、すぐにそれを首に掛けようとする。
それを見ていた緑谷出久の『危機感知』は、なぜか猛烈な反応を示していた。
理由はわからないが、それを身につけてはいけない。
なにか恐ろしいことが起こるという予感があった。
「待て、オール・フォー・ワン!」
しかしその時既に、死柄木の首には、赤い宝石が輝いていた。
今回の元ネタ・・・SCP963
身につけた生物の人格が、ジャック・ブライト博士に乗っ取られる首飾り。
ゴリラとかもブライト博士になる。
どんどん増えるブライト博士。やばい。
本作では、宝石部分に保存された人格を他人にペーストする首飾りとなっている。
素材となったのは、とある貴族が保有していた曰く付きの首飾りと『人格転写』。
元々は怪異案件の品物だったが、色々改造した結果人格乗っ取りマシーンになった。
次回、オール・フォー・ワン死す。
デュエルスタンバイ!