陰と影の実力者   作:黒ソニア

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クレアが攫われてしまった。
さあユノ、キミはどうやって彼女を救出する?


※『ゼータ』と『リリム』の使い分けについて…
今の所、雰囲気…或いはプライベートとかそういう時だと認識していただければ幸いです。


Remon様、青嵐・パーシー様、ORENGE様
Heku様、お茶虎様、sol0322様
先生の刺身様、マゴヒメ様
評価ありがとうございます。
お陰様で更にこの作品に対しての意欲が高まりました。





第10影:『救出と…』

 

 

 

ユノはゼータの誘導によってアジトの場所へ着く。

 

 

「この辺りがそうなのか?」

 

 

「…厳密には敵アジトの一つだね。

今の所、三つの候補がある。」

 

 

「…多いな。流石に敵も馬鹿じゃないか。」

 

 

ユノとゼータが足跡を立てずにアジトに近づいて行くと…

 

 

「フェイカー様、ゼータ。コチラです。」

 

 

敵アジトから離れた木陰で姿を隠れているガンマが手招きする。

 

 

「…ガンマ、様子はどう?」

 

 

「何も変化はないわ。

入り口の奴等も特に話している様な感じも無いって感じよ。」

 

 

「…そっか。なら、ここは…。」

 

 

「俺の出番だな。」

 

 

ユノはそう言うと、目を閉じて手を地に付けて『気配感知』を行い…敵アジトの内部を捜索する。

ユノは『呪力の開花』に伴い、身体能力の向上だけで無く、『操作』『制御』『感知』の技術も向上した。

その一つである『感知技術』の『気配感知』を使い、敵アジト内部をバレる事無く探索可能としていた。

 

 

「………」

 

 

「凄まじい集中力ね。」

 

 

「それも当然だよ。

高度の技術故に、体力を消耗するからね。」

 

 

「………」

 

 

ゼータが言う様にユノは感知をしている間、時間を掛けていく度に汗を流していく。

 

 

「………っは…!」

 

 

ユノが目を覚ます。

 

 

「どう?」

 

 

「……ここには、いない。」

 

 

「!? ここは囮でしたか…!」

 

 

ガンマが反応する。

 

 

「…っ…仕方の…ない事だ。

ガンマ…次の場所を───」

 

 

「その必要無さそうだよ。」

 

 

「え?」

 

 

ガンマがゼータの向いている方へ振り向くと、そこにはベータがいた。

 

 

「ベータ!?」

 

 

「しっ…! 距離があるとはいえ、バレますよ。」

 

 

ベータは口元に人差し指を立て当てて声を抑えるようにする。

そして、手に持っていたタオルでユノの汗を拭く。

 

 

「…ありがとう、ベータ。」

 

 

「いえ、お疲れ様ですフェイカー様。

…その様子では()()()この場所ではない様ですね。」

 

 

「ああ…そうだけど───まさかベータ、場所が分かったのか?」

 

 

「はい。」

 

 

「でかした…!」

 

 

「やるね…どうやって分かったの?」

 

 

ゼータがベータに問うと、ベータは嬉しそうに語る。

 

 

「実は…シャドウ様が居場所を特定なされたのです…!」

 

 

「シドが…!?」

 

 

ユノはとても驚いた。

 

 

「はい。シャドウ様は私が地図を広げて説明させていただい所、瞬時に地形を把握してクレア様の居場所を突き止めたんです…!」

 

 

ベータは興奮気味に話した。

 

 

「さ、流石は主様!」

 

 

「…これには驚きが隠せないね。」

 

 

ガンマとゼータは口元を手を当てて驚愕していた。

その中でユノは───

 

 

(…可笑しい。アイツの頭はそこまで良くない筈…!

別にシドを悪く言うつもりは無いが、少なくとも『七陰』が分からなかったのを見抜く程の頭脳をアイツを持っていない筈だ…!)

 

 

ユノは『七陰』や家族の中でも一番にシドの事を理解しているからこそ、信じられない顔をしていた。

 

 

『七陰』

シドがアルファ達7人に付けた称号である。

 

 

 

それに対しユノは───

 

 

 

『何その称号…カッコいい…!』

 

 

 

と、声に出す程の反応を示したそうだ。

 

 

 

(…いや、アイツは涼しい顔こそしていたが、内心では動揺していたんだな。)

 

 

ユノはそう解釈した。

(※実際はそんな事ありません。)

 

 

「よし…ならば直ぐにでも───」

 

 

「待った、フェイカー。

それは間違った考えだよ。」

 

 

ゼータはユノにそう告げる。

 

 

「フェイカー様…お気持ちは大変理解出来ますが、今救出に出るのは悪手だと思われます。」

 

 

「はい。昼間から襲えば敵の増援が来る恐れが有ります。

加えて、カゲノー家の方々やクレア様にシャドウ様とフェイカー様の正体がバレる可能性が高いです。

襲撃は夜に行うのが賢明かと。」

 

 

ユノは3人からの指摘に冷静になって頷く。

 

 

「そうだな。悪い…。」

 

 

「いえ、お気持ちは大変理解できます。」

 

 

「フェイカーは優しいから仕方ないよ。

焦る気持ちは分かるけど、大丈夫。

私達がついてるから。

それより、フェイカーは落ち着いて夜までに万全の状態になる様に休む事だよ。」

 

 

「…そうだな。そうさせて貰うよ。」

 

 

ユノは調子を戻す為にも、一旦家に帰宅する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…時は来たな。」

 

 

ユノは全身ローブ姿のスライムスーツでアルファ達と合流する。

 

 

「ええ…所で、シャドウとは一緒じゃないの?」

 

 

「ああ…先に行ってろってな。」

 

 

ユノ…フェイカーはその様に答える。

 

ゼータに休む様に言われて家に戻り、シドにクレアについて聞いて見ると…シドは明らかに分かりやすい態度で全ては分かっていたと嘘をついていた。

実際は適当にそれっぽくやったら隠れたアジト先を見つけたと…大袈裟な態度を取っていたと勘違いしているベータを見て演技派だとかほざいていた。

 

 

(にしてもアイツはとんでもない運を持ち合わせてるな…

この悪運が、何処まで機能するのやら…。)

 

 

ユノが心の中で嘆いていると…

 

 

「───ん?」

 

 

自動(オート)状態にしてある『気配感知』に反応が生じた。

『気配感知』には邪気の様なものに反応する仕様にもなっていた。

 

 

「どうしたの、フェイカー?」

 

 

「…近くに怪しい気配を感じる。

恐らく、教団の連中かもしれん。」

 

 

ゼータの問いにフェイカーが答えると、ゼータ達は強面の顔つきになる。

 

 

「フェイカーがそう感じたなら間違いないね。

何処ら辺なの?」

 

 

「…あっちだ。」

 

 

ユノの誘導にゼータ達が着いていくと道中…

 

 

「ん…。」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「…どうやら片付いたらしい。」

 

 

ユノがそう言っていると、現地に着いた。

そこにいたのは───

 

 

「あ、ユノ───皆も来たか。」

 

 

ユノを見た時はシドだったが、ゼータ達を見た途端シャドウにへと態度を変える。

 

 

「流石ね、シャドウ。

敵が私達の存在に気がついていた可能性を読んでいたのね!」

 

 

アルファがそう言うと、ベータとイプシロンを筆頭に七陰達はいつも通りシャドウを崇拝する態度を取り始めていた。

 

 

「ま、まぁな。」

 

 

「…」

 

 

シャドウが全てを見透かした態度をとり、フェイカーはフードを深く被せた状態で睨みつつも、空気が悪くなり、その場を離れようとする。

 

 

「あ、待ってよフェイカー…!」

 

 

ゼータがフェイカーに着いて行く。

 

 

「どうしたの…?」

 

 

「…あの空気についていけないんでな。」

 

 

「?」

 

 

ゼータはフェイカーの言葉に首を傾げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何はともあれ、フェイカー達は敵アジトへと侵入する。

見張りはフェイカーが対処しようとするも、アルファ達が速やかに始末した。

そこから二手に別れる事になり、アルファ達とフェイカー、単独でシャドウが侵入する事になった。

 

敵アジトへと侵入していくフェイカー達。

敵は突然の奇襲に驚愕し、アルファ達が一目散に始末していく。

 

 

(…皆んな、やたらと率先して敵を始末していくな。

何かあったのだろうか…?)

 

 

フェイカーがそう考えていると、アルファが声をかける。

 

 

「フェイカー? どうしたの?」

 

 

「いや…俺の出番が無いのでな。」

 

 

「それは……クレア様を心配するアナタを考慮しての事よ。

それより、クレア様が幽閉されている場所はコッチで合っているのかしら?」

 

 

「ああ、【玉犬】の鼻は効くからな。」

 

 

「ええ、それは分かってはいるわ。

ただ、血の臭いで分からなくなると思って。」

 

 

「大丈夫だ、確実に姉上の居場所へと向かっている。

感知を併用しているから間違いない。」

 

 

「そう、なら良かった。」

 

 

「心配する事でもないよ。

フェイカーの【玉犬】の鼻は何処ぞのバカ犬と違って優秀だから。」

 

 

「ガルゥゥゥ……!!

雌猫! 今お前、デルタの事を言ったのです!!」

 

 

「ああ、バカ犬の自覚あったんだ。

良かったね、自覚できる位の知力があって…!」

 

 

「…コイツらと一緒にオマエも殺してやるのです…!」

 

敵を難なく殺しながら会話していると、ゼータとデルタが殺し合おうとしていた。

それをフェイカーの《影縛》で二人を止める。

 

 

「二人とも喧嘩はやめろ。」

 

 

フェイカーが二人をフードを被った状態から目元だけがギロッとした目つきで御する。

 

 

「ぅ…ごめん、フェイカー。」

 

 

「…デルタは悪くないのです。」

 

 

「…分かっているな、ゼータ。」

 

 

「はい…。」

 

 

「…俺より賢いお前ならもう問題ないな。」

 

 

フェイカーはそう言ってゼータの頭をポンと置き、少し撫でる。

 

 

「…」

 

 

ゼータは少し頬を赤く染める。

 

 

「…デルタもボスにして欲しいのですぅ…。」

 

 

「? これくらいなら、アイツはいつでもやってくれるだろう。

(頭を撫でられるのって、そんなに羨ましがる事なのか?

…いや、その辺り俺には分からないのだろうな。)」

 

 

フェイカーが考え事をしていると、デルタが口開く。

 

 

「うぅ…でも、デルタ達はボス達から離───」

 

 

「デルタ。」

 

 

アルファがデルタの頭を撫でる様に言葉を止める。

 

 

「?」

 

 

その行動に疑問を持つも、フェイカーの元に【玉犬】が何かを伝えに来た。

 

 

「…そうか、この先か。」

 

 

フェイカーの言葉に全員が気持ちを切り替えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

牢屋らしき場所で暴れたクレアを力づくで気絶させた男が少し息をついていた。

 

 

「…チッ、手間をかけさせる。」

 

 

「オルバ様…!!」

 

 

「何だ!」

 

 

その男は『オルバ』といい、教団兵士が血相を変えた表情でいた事に疑問を抱いていた。

 

 

「侵入者です!」

 

 

「何!?」

 

 

「次々と奴等に殺され───ぐあぁぁぁぁ!!」

 

 

兵士が言いかけた所で背後から大きく斬られた事により、絶命する。

 

 

「…!? 何者だ!?」

 

 

オルバがそう言うと、アルファを筆頭に七陰がオルバを囲う。

 

 

「我等は『シャドウガーデン』。

陰に潜み、陰を狩るもの。」

 

 

「『シャドウガーデン』だと?」

 

 

「我等は知っている、『魔人ディアボロス』に『ディアボロスの呪い』。

『英雄の血』に『悪魔憑き』の真実。

そして…ここがお前達『ディアボロス教団』のアジトである事も…!」

 

 

「!? 何故お前達がその名を…!!」

 

 

アルファとガンマの言葉にオルバは剣を抜く…が、瞬時に『影の刃』がオルバを刺し貫く。

 

 

「ガハッ……コレ、は…一体…何だ…!?」

 

 

オルバが血を吐きながら問うと、『影の刃』を発した本人…フェイカーが前に出る。

 

 

「お前の問いに答えるまでもない。

お前はここで…!」

 

 

フェイカーが再度『影の刃』を数本形成させると共に殺気を放つ。

 

 

「…!?」

 

 

オルバが殺気に恐怖を抱き、このままだと殺されると判断したオルバは───懐から瓶を取り出し、その中の薄赤い錠剤を飲み込んだ。

 

 

「!? 離れろ!!」

 

 

フェイカーの指示により、アルファ達は下がって距離をとる。

フェイカーはその錠剤を見て、更にそれを飲み込んだオルバから溢れる魔力を見て驚愕する。

 

 

(何だ…あの錠剤は? 見た時から不気味なオーラを感じ取ったぞ。

加えて、それを飲み込んだコイツから溢れ出すこの魔力量…

《影斬》を受けた箇所が回復してる辺りから普通じゃないないのは分かるが…何よりこの感覚は…!)

 

 

フェイカーが分析していると、オルバはフェイカーに剣を振り下ろす。

 

 

「フェイカー!」

 

 

「問題ない。」

 

 

ゼータの声にフェイカーは応じ、《影化》でオルバの攻撃をすり抜かせた。

 

 

「何…!?」

 

 

オルバはその現象を見て驚愕するも、すり抜けたフェイカーは背後からオルバに魔力の籠った蹴りを放つ。

 

 

「ガハッ…!」

 

 

その後もフェイカーは怯むオルバを蹴ったり、殴ったりを繰り返す。

 

 

「(何だ…どうなっている…!?)」

 

 

オルバは攻撃を受けて動揺していた。

 

 

「…魔力による攻撃ではこんな感じか。

次は…呪力でどうだ。」

 

 

フェイカーは拳に呪力を灯し始めた。

 

 

「!?」

 

 

オルバは魔力とは異なる『呪力』を見て驚愕と共に…

 

 

「(何だ…それは!?

何より、この異様な『悪寒』は…!?)」

 

 

呪力によって壮絶な…死の恐怖を感じたオルバは瞬時に足元を破壊し、逃亡する。

 

 

「逃すか…!」

 

 

フェイカーは逃げたオルバを追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(逃がさん…!)

 

 

逃亡するオルバを追いかけるファイカー。

オルバの行方を追うために『魔力感知』を行うと…

 

 

「…フッ、アイツと当たったか。」

 

 

オルバが全力で逃げた先にシャドウがいた事を知ったフェイカーは小さく笑む。

シャドウ相手なら確実に倒せると判断したからだ。

ユノは安心しつつも足を止めずに向かう。

その道中に、大きな地響きを感じた。

 

 

「…この感覚、もう一度あの錠剤を飲んだか。」

 

 

シャドウなら問題ないと分かっていながらも早く行動する。

そして…近くまでやって来た所で、覚えのある凄まじい魔力が放たれたのを感じ取った。

 

 

「やったか。」

 

 

それを確信し、シャドウの元まで着くと───

 

 

「…何してんだお前?」

 

 

目に映ったのはシャドウが倒したオルバの遺体から金目の物を探している様子だった。

 

 

「あ、遅かったね。敵なら倒しちゃったよ。」

 

 

「それは良いが…何漁ってるんだ?」

 

 

「金目のもの。これまでの盗賊とは違って高そうな物持ってそうだし。」

 

 

「…盗賊?」

 

 

フェイカーはシャドウが教団を『盗賊』と誤認していて頭を抱える。

 

 

「……おい、それ本気で言っているのか?」

 

 

「? そうだけど?

教団がいるとか何度も説明してくれたけどさ、()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 

「…!?」

 

 

シャドウの言葉にフェイカーは苛立ちを覚える。

そう、この男…自身が語った『ディアボロス教団』や『悪魔憑き』の真実を教えても───

 

 

 

『へぇー、ユノも中々演技に磨きをかけてるよねー。

気合い充分って感じで僕としては一緒に『ごっこ遊び』をしていられて助かるよー。』

 

 

 

…と、彼はアルファ達と一緒にこういったのを戯れ…ごっこ遊びと解釈してしまっているのだ。

フェイカーが何度も説得をしたが、最後に説明した辺りでは生暖かい目で見られる事があり、全く聞いてくれないのだと知ったのだ。

 

 

「…頭が痛くなるな。」

 

 

「お、金目の物発見!

…ん、コレは…ペンダント?」

 

 

フェイカーが頭を抱える中、シャドウは金で出来たオルバとその娘らしき人物が映った二枚の写真が入ったペンダントを見つけた。

それを一緒に見たフェイカーは…

 

 

(…何故教団に与する状況になったかは分からないが、優しい顔をしている限り溺愛していたのだな。)

 

 

フェイカーがオルバが教団といった悪逆非道を体現した連中の仲間になったのかを考察していると…シャドウは写真だけを取り除いてオルバの死体の上に放置する様に捨てた。

 

 

「おい!!」

 

 

「何?」

 

 

「何で平然と捨てるんだよ!」

 

 

「だって、写真があると売れないし。」

 

 

「…お前、人の心とかないのか?」

 

 

「え、この盗賊さんの事とか別に良くない?」

 

 

…どうやら、基本的に彼には人の心とかないらしい。

 

 

「ほら、賊は皆んな倒したんでしょ?

僕が道に迷ってる所に親玉っぽいのが来たあたり、そういう事でしょ?」

 

 

「…あぁ、そうだよ。」

 

 

「んじゃ、賊達もいなくなった訳だし先帰るねー。」

 

 

…と、姉のクレアの事も語らずにシャドウは前に進んで帰った。

 

 

「……ハッ! お、おい、おねーちゃんの事は…!?

って……もう姿が見えなくなったし…。」

 

 

フェイカーが嘆くも、死体となったオルバの元へ駆け寄り、写真を手に握らせた。

 

 

「…俺にはこの写真を見て、アンタのが根からの悪人とは思えないと感じた。

きっと何かしらの弱みを握らされたんだろうな。

(それにしても…この死体から感じる妙な違和感。

この感覚は…肉塊に近い姿だった───)」

 

 

フェイカーが再度考察していると近づいてくる者が駆け寄る。

 

 

「…フェイカー…ユノは優しいね。」

 

 

「ゼータ! どうしてここに…?」

 

 

駆け寄って来たのはゼータだった。

 

 

「……ユノ、この人をどうする?」

 

 

「……そうだな。完全な悪人とは思えないのが本音だ。

このまま何処かへ埋めてやりたい。」

 

 

「ユノがそれを望むのなら手伝うよ。」

 

 

「すまんな…リリム。」

 

 

リリムと呼ばれて少し微笑んだリリムはユノと共に死体を別の場所へ埋めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、早朝。

 

 

「姉上!」

 

 

敵アジトだった洞窟前で、ユノは横たわっていたクレアに呼び掛ける。

 

 

「……ユ…ノ?」

 

 

「目が覚めましたか…!」

 

 

クレアは痛む体を起こす。

 

 

「…あれ、怪我が治ってる?」

 

 

「怪我…? 何かあったの?

俺は姉上の身が気になって早朝から探しに参ったしだいです。」

 

 

「……そうだったのね。

ありがとう、ユノ。」

 

 

「いえ、家族として当然だよ。」

 

 

そう言ってユノはクレアを抱っこしてカゲノー邸へ帰った。

 

その後、カゲノー邸へ戻るとクレアを見ると…『あ、やべ忘れてた…。』と言わんばかりの顔をしており、クレアがシドにアイアンクローをかましていた。

それを見たユノは心なしかニッコリとしていたとか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に翌日、クレアが朝カゲノー邸を出て、『魔剣士学園』へと向かった。

クレアがやたらと名残惜しい感じでユノとシドに構って欲しかった様だが、シドが上の空の状態でいた所でクレアはあーでもこーでもないと説教を受けていた。

 

そして…夕方へと時は流れた。

 

 

「シド、ユノ。」

 

 

ユノとシドは人気の無い場所にへと呼ばれた。

 

 

「どうしたの…?」

 

 

アルファに問うシド。

シドの問いにアルファは悲しい表情で───

 

 

「お別れよ。」

 

 

そう告げた。

 

 

「「───え?」」

 

 

ユノとシドの声がハモった。

 

それと同時にユノは理解した。

あの時…アルファとゼータが悲しい様な顔をしていた理由がコレなのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

ユノはアルファ達が別れを告げた理由と経緯を考えていた。

 

 

(…ゼータめ、こうなる事はあの時には決まっていたのか。

離れた理由も、語った通り強くなる為だろう。

俺達…いや、正確にはシドの手を煩わせない為だろうな。

けど…。)

 

 

ユノが推測していくと───

 

 

「いやー、彼女達は大人になってしまったんだねー。」

 

 

と呟き始めた。

 

 

「…どう言う意味だ?」

 

 

「だって、『ディアボロス教団』なんて()()()()()()()()()、適当な口実で子供地味だ思想を持つ僕達から離れたがったのだろうねー。」

 

 

(…お前なんかと一緒にしないで欲しい。)

 

 

ユノは半眼でシドを睨んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待て。」

 

 

ユノはアルファ達を呼び止める。

 

 

「…ユノ。」

 

 

ゼータが何て言葉を返せば良いのか分からない顔をする。

 

 

「…本気で俺達から離れるのか?」

 

 

「ええ。でないと、私達は強くなれない。

アナタ達に頼りっきりになってしまう。」

 

 

「…別に良いだろ。

相手はどんな手段でも行う教団だぞ…!」

 

 

「それでも…私達は止まらないわ。

強くなって、アナタ達の隣に並ぶ存在になるの。」

 

 

「…俺達がいても隣に立てるだろう…!」

 

 

「…」

 

 

アルファを筆頭に全員が考えを譲らない顔をしていた。

 

 

「……そっか、それでも行くのだな。」

 

 

「…ええ。」

 

 

「……なら。」

 

 

ユノはスライムスーツにへと姿を変え、フェイカーとなった。

しかも、その姿はローブの姿ではなく…本気状態の『戦闘スタイル』でだ。

 

 

「その姿という事は…!」

 

 

「…うん。ユノは本気で私達を食い止める気だよ。」

 

 

ゼータがそう言い、戦闘の構えを取る。

 

 

「…正直、こうなる事は分かっていたよ。

ユノは優しいから…優しすぎるから、過保護的になるって事を。」

 

 

ゼータの横にアルファ達が横に並び、戦闘の構えを取った。

 

 

「だけど、ユノにも譲れない様に私達も譲れない思いがある。それを…!」

 

 

「「これから示す。」」

 

 

ゼータとアルファがそう言い、スライムソードで特攻し始めた。

 

 

 







・クレア救出の話は割と早めに切り上げました。
申し訳ないけど、オルバ自体はアルファ一人でも逃げるレベルですからね。
ユノ相手では直ぐ逃げるくらいじゃないと…ね?


・にしても、俺の認知のシドくん…割とサイコよりじゃない?
思考部分はアニメ寄りにしてるけど、どうですかね?
もう少し家族思いの筈だと思うけど…自分がシュミレーションするとこうなった。
それでも、受け入れてくれると嬉しいです。
でも、根っからの朴念仁って訳ではないからね?


・次回、『ユノvs七陰』
互いの譲れない思いがぶつかり合う…!!


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