陰と影の実力者   作:黒ソニア

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・前回の『陰と影の実力者』!
シドの我儘に付き合うユノくん!
ゼータと戯れた後、アルファから『霧の龍』について話を聞く!
アルファ達を心配したユノくんと暇を持て余したシドくんが様子を見に行くと、ドラゴンに叩き伏せられたゼータの危機にユノくんが登場!
…さぁ、ここからどうなる…!?


・この話を執筆している間、少し技について修正しました。
例:《影斬・七連》→《影斬〝七連〟》に変更。


逆月素晴様
評価ありがとうございます。
お陰様で更にこの作品に対しての意欲が高まりました。





第13影:『契約』

 

 

 

 

ゼータの命の危機にユノが駆け付けた事により、アルファ達は喜ぶ。

 

 

「来てくれたのね、フェイカー!」

 

 

「流石はフェイカー様!」

 

 

アルファとガンマがそう語り、ベータ達も安堵していた。

 

 

「…ありがとう、フェイカー。

フェイカーがいなかったら…。」

 

 

「そうはならなかった。

だからそれ以上は何も言わなくてもいい。」

 

 

ユノ…フェイカーはスライムキャリバーを解除してゼータをお姫様抱っこすると、アルファとガンマの元へと渡す。

 

 

「後は任せろ。」

 

 

「お願い。」

 

 

フェイカーは前に立つと、倒れていた『霧の龍』が立ち上がる。

 

 

「…ぐぅ……貴様、一体何者だ…?」

 

 

「…我が名はフェイカー。

偽りの陰にして、真なる影。

そして…この世界の呪いを祓う者である。」

 

 

「…フェイカー、真なる影、世界の呪いを祓う者…だと?」

 

 

龍は目を細めてフェイカーを睨みつける。

 

 

「(奴が何を言っているのか…ワシには分からん。

だが…奴の言っている事が正しいのだと告げてくる…

このワシの…魂に響く、あの黒い力…。)

…貴様が何者なのか、試してやる…!!」

 

 

龍は勢い強い翼を広げて暴風を放つ。

 

 

「…何て、風なの…?」

 

 

「こんな暴風を巻き起こすなんて…フェイカー様…!」

 

 

「大丈夫。フェイカーは負けない…!」

 

 

ゼータがそう言うと、フェイカーは自身を真っ黒に染め、『影』と化した。

 

 

「─── 《影化》。」

 

 

「何…!?」

 

 

龍が思わぬ避け方をした事に驚くも…そのまま自身に『影』が纏わりついた事に驚愕する。

 

 

「─── 《影縛》。」

 

 

「何だ…影が…ワシを縛る…だと!?」

 

 

「─── 《影斧》!」

 

 

影化した状態で『影』を操り、周りの木々を利用して龍を強く縛り上げる。

そして、スライムと『影』を合わせた巨大な『影の斧』にへと形態を変化させて、振り上げる。

 

 

「ぐぉぉぉ…っ!!」

 

 

龍はそれを力づくで『影』を払った翼で防御する。

圧倒的な力を見せる姿を見たフェイカーは語る。

 

 

「…遠目で見ていて察していたが。

『霧の龍』…お前は間違いなく、この世界で強い存在だろう。」

 

 

フェイカーは影から《影化》を解除して実体へ戻る。

目を細めて、《影斧》を受け止めている『霧の龍』の実力を悟る。

 

この世界に転生して、約13年。

これまで彼は様々な相手と戦ってきた。

調伏してきた式神、七陰であるアルファ達、教会の者達、ペトス、強くなる為に赴いた遺跡といったダンジョンに潜んでいた魔獣。

数々の相手と戦った中で最も強い存在だ。

それは間違いない……だが。

 

 

「…俺はお前よりも強い奴の面倒見ているんでね。」

 

 

そう、その男はこの世界で『最強』を名乗っても間違いのない存在。

肉体改造を施した事による『魔力生成』と『魔力適正』。

それによる莫大な魔力で屠る圧倒的な力。

折れる事の無い強靭な精神を更に持つ存在…

シド・カゲノーという男を相手に我儘に付き合ったり、手合わせたりしているのだ。

だからこそ、上位の存在である龍が相手でも一切怯む事が無いのだ。

 

 

「見せてやる…俺の力を…!!」

 

 

フェイカーは全身から『呪力』を溢れ出し、掌印を結ぶ。

 

 

「─── 【玉犬】!」

 

 

フェイカーの影から【玉犬】を顕現させ、スライムキャリバーを再び生成して呪力を纏う。

それに並び、【玉犬】も『呪力』のオーラを纏った凶々しい爪を立てる。

 

 

「行くぞ…!」

 

 

フェイカーと【玉犬】が攻撃を仕掛ける。

《影斧》を防いでいる状態ならば、一気にダメージを与えられるだろう。

 

 

「…っ! 小賢しい…!!」

 

 

龍は《影斧》を翼と縛られていた腕で力づくで払い、フェイカーへ腕を振り下ろす。

 

 

「無駄だ。」

 

 

「ぬぅ、またその奇妙な技か…!?」

 

 

「くらえ─── 《影斬》!」

 

 

《影化》して龍の攻撃をすり抜けさせ、スライムキャリバーに呪力を纏った一撃を放つ。

それと同時に【玉犬】も一撃を与える。

 

 

「ぐぅぅ…っっ!!

(何なのだ…此奴のこの力は…?

どれもこれも魔力とは異なる力…

『アーティファクト』の様な力を引き出しておるが…

問題なのが…その力が、此奴自身の体内から溢れ出ている事…!!)」

 

 

龍はフェイカーと【玉犬】の呪力を見て何処か畏怖していた。

…しかし、何処か期待を抱く感情へと変わっていた。

 

 

「これでも応えないか…ならば。」

 

 

フェイカーは更にダメージを与える為に次の掌印を結ぶ。

 

 

「─── 【虎葬】。」

 

 

その掌印は【虎葬】の印。

2メートルの大きさを持つ、全身が雪の様なので構築され、更に特徴的なのは剣の様な牙をしている豹が顕現した。

 

キルルルゥゥゥゥゥゥ!!

 

【虎葬】はフェイカーの敵である『霧の龍』に敵意を向けると、周囲が凍りつく。

 

 

「…この寒さ、貴様…一体どういう原理だ…?」

 

 

「…驚くのはそれだけじゃないぞ───行け!」

 

 

フェイカーの指示に【虎葬】が素早く動き、龍の周りを高速で移動しながら斬り刻む。

 

 

「…早いな!」

 

 

龍が高速で駆け回る【虎葬】をはたき落とそうとするも、周囲の木々をぴょんぴょんと器用に動く【虎葬】に全く触れられないでいた。

何よりも…斬り刻まれた箇所が凍りついており、反応が鈍くなっていた。

 

 

「小賢しい…だが、厄介極まる該当な…!」

 

 

「…怯むにはまだ早いな。」

 

 

フェイカーがいつの間にか龍の背後にへと立っており、無数の『影の刃』を形成していた。

 

 

「─── 《影斬〝七連〟》!」

 

 

「ぐおぉぉ…!!」

 

 

「まだまだ続く…!!」

 

 

「ぐあぁぁぁ…!!!」

 

 

『影の刃』に【玉犬】と【虎葬】の猛攻撃が加わり、龍は悲痛の叫びを上げる。

 

 

「流石だよ…フェイカー。」

 

 

「ええ。」

 

 

「このままフェイカー様の勝ちなのです!」

 

 

観戦しているアルファ達はフェイカー達の猛攻に勝利の確信をする。

 

 

「ぬぅぅぅ………!!!

調子に………乗るなぁぁぁぁ!!!!」

 

 

…しかし、そう上手くはいかない。

龍は轟砲を上げて、フェイカー達と自身に張り付いている氷を取り払った。

 

 

「…っ! まだこれだけの余力があるの!?」

 

 

「フェイカー!!」

 

 

「…呵呵々、ドラゴンという存在は…そう簡単に…やられる訳が───ぬぅ!?」

 

 

【玉犬】と【虎葬】は影へと戻り、フェイカーは龍の凄まじい轟砲に対し、全身に魔力を流す事で体の重心を崩さずに足元を地に固定して耐え、呪力を拳に一点集中に強化させて立っていた。

 

 

「…!!」

 

 

龍はそれを見た途端に背筋が先程の【虎葬】よりも凍るようなものを肌で感じた。

態々その攻撃を受けて立つ必要はない故に避けようとするも…

 

 

「ぐっ…これは…!?」

 

 

「アレは…フェイカーの手錠による拘束!」

 

 

ゼータがそう言う様に猛攻撃している間に設置していた手錠によって全身を拘束された挙句、手錠内部から刃を生み出して傷を与えて身動き取れにくくしていた。

これこそフェイカーが生み出した『暗殺術』以外に編み出した技術…それは『拘束術』。

自身の大技を確実に当てる為の戦法である。

 

 

「これしきな……んぬぅ!?」

 

 

龍はフェイカーの姿を見て、危機を感じ取る。

フェイカーの鎧腕は呪力を集約させていた事により、高密度の呪力が込まれていた。

 

 

「おおおぉぉぉぉ!!!」

 

 

その高密度に集約した呪力の籠った拳を龍の腹へと放つ。

龍とフェイカーの拳が当たる瞬間に二度の目の呪力が…凄まじい勢いで走る!

 

 

「─── 《黒閃》!!」

 

 

凄まじい黒い雷撃が樹海を、空気を、空間を震動させた。

 

本来、一度の《黒閃》で一種のゾーンに入るのが《黒閃》のルールなのだが…彼の場合かなり変わる。

彼の《黒閃》は呪術●戦のものとは異なるものであるからだ。

彼の場合、現象とは違い…ONE ●IECEの覇王●の覇気を纏った状態に近い性質だからだ。

…つまり、彼自身のレベルが上がればいずれは───

 

 

「ごぉ…っっ!!」

 

 

「まだまだぁ!!」

 

 

フェイカーは怯まずに今度は龍の肩に目掛けて拳を放つ。

 

 

「─── 《黒閃》!!」

 

 

2連続目の《黒閃》を決め、次に片方の翼に目掛けて蹴りを放つ。

 

 

「─── 《黒閃》!!」

 

 

3連続目の《黒閃》を蹴りで決める。

 

 

「……っっっ!!!」

 

 

龍は意識を失う寸前にまで追いやられると、フェイカーはトドメに頭上にまで飛び上がり!

 

 

「─── 《黒閃》っ!!」

 

 

4連続目の《黒閃》を頭上から叩き殴る様に放った。

 

 

「………馬鹿…なっ……この……ワシ…が……。」

 

 

そう言うと、『霧の龍』は倒れ込んだ。

 

 

「……はぁ…はぁ。」

 

 

「やったわ、フェイカーが『霧の龍』を倒したわ!」

 

 

「流石はフェイカー様!」

 

 

「流石は主様に並ぶお方!」

 

 

アルファ達が歓喜に溢れる中、ゼータはフェイカーを見つめる。

 

 

「…ユノ。」

 

 

ゼータは羨望の眼差しで…ユノを見つめるも、違和感に気づいて彼の元まで歩む。

 

 

「どうしたのユ…フェイカー?」

 

 

「……可笑しいんだ。奴を倒したという…達成感がないんだ。

まるで…奴自身に終わりが無いみたいな───」

 

 

「その通りだ。」

 

 

フェイカーの言葉に同調する様に龍は再び起き上がる。

 

 

「!? そんな!?」

 

 

「どうして!?」

 

 

「…龍という存在は…ありきたりな死を許されない…!

その様に…この世界に呪われているからだ…!」

 

 

「…呪われている…だと?」

 

 

「そうだ。故に龍に対する勝利は…命を奪ってこそ得られる…!!」

 

 

龍は膨大な魔力による砲撃を放とうとすると───

 

 

「…フフフ。」

 

 

「…ユノ?」

 

 

「何が可笑しい…?」

 

 

フェイカーはゆらゆらと立ち上がる。

 

 

「…『霧の龍』よ。お前は確かに強い。

俺がこの世界で出会って来た中で間違いなく強い存在だ。

……だが、気づいていなかった様だな。

お前をずっと見下ろしていた存在に…!!」

 

 

フェイカーは空に向けて指を指した。

すると、龍とアルファ達は上に顔を上げた。

 

 

「…!?」

 

 

「アレって…!」

 

 

「シャドウ…!!」

 

 

そう。アルファが名を呼んだ様に、空にシャドウが浮かんでおり、フェイカー達を見下ろしていた。

 

 

「今度の奴は何者だ…!?

何故人種が空を飛び、浮かんでいるのだ…!?」

 

 

龍が驚愕していると、シャドウはフェイカーの元へと降り立った。

 

 

「…そろそろ交代して貰うぞ?」

 

 

「…あぁ、好きにしろ。」

 

 

フェイカーはやや呆れ気味にそう答えた。

その理由は───

 

 

(やれやれ…ホント、コイツの我儘には疲れる。

俺が戦っている最中で、何度も参戦したくてウズウズしていたしな。

…ただ、アイツなりに戦いに対するポリシーなのがあったから、邪魔はしなかったな。

けどまぁ、俺の体力もそろそろ限界だったし、本音を言うなら助かったな。)

 

 

フェイカーは密かに安堵の溜め息を吐いた。

 

 

「…フェイカー、主殿の邪魔になるから離れよう。

肩を貸すからさ。」

 

 

「…あぁ、助かる。」

 

 

ゼータの言葉を借りて、ゼータの肩を借りて離れるフェイカー。

その間にもシャドウと龍が激しい戦いをしていた。

放とうとしていた魔力の咆哮をシャドウはスライムソードで斬り捌き、龍の頭上へと移動して莫大な魔力の一撃を放とうとしていた。

 

 

 

 

 

かつて、『核』に挑もうとした者がいた。

 

その者は肉体を、精神を、鍛えたが…それでも届かない高みが『核』だった。

 

その者は『核』に届くの為に…一つの答えに辿り着いた。

 

 

『そうか…僕自身が『核』に成れば良いんだ…!!』

 

 

『何決め顔で物騒な事を言っているんだ、お前…。』

 

 

 

 

 

かくして、その者…シド(シャドウ)は『核』と同列の力を放つ技を磨いた。

 

 

「─── 『アイ・アム・アトミック』。」

 

 

スライムソードから放たれた魔力による核攻撃は龍へと放たれ、龍とシャドウは青紫色の魔力の光に呑み込まれた。

 

至近距離にて放たれた核攻撃に皆に被害が及ぶ為、フェイカーは瞬時に掌印を結ぶ。

 

 

「─── 【円鹿】!」

 

 

ソソゲ…

 

その掌印は【円鹿】の印。

3メートル近くの四つの目を持つ巨体な鹿が顕現する。

 

 

「【円鹿】!! 俺の『影』と合わせて『反転術式』を展開しろ!

─── 《影斬〝柱〟》!」

 

 

フェイカーは『影の刃』を柱の様に大きく広げ、そこに【円鹿】の能力を合わせて核攻撃を中和させる。

 

 

「…あんのバカがっ!

アイツは周りの被害を考えてなさすぎだろっ!!」

 

 

『影』による障壁を解除してキレるフェイカー。

 

 

「ま、まぁ、フェイカーのお陰で私達は助かったから。」

 

 

ゼータがフェイカーを宥める。

 

 

「……【円鹿】、ご苦労様。助かった。」

 

 

フェイカーにデコを撫でられて、【円鹿】の表情は分かりにくかったが、

ここ無しか嬉しそうにしてそうだった。

 

 

「いやー、今のは50点かなー。」

 

 

シャドウは能天気に点数をつけて歩み寄る。

 

 

「お前は点数付けてないでそれによる被害を出さない様にしろっ!」

 

 

「すいません。」

 

 

胸ぐらを掴まれ、とても怖い顔をしているフェイカー(ユノ)にシャドウ(シド)はバツが悪そうに謝った。

 

 

「フェ、フェイカー? シャドウに怒るのはそこまでに…。」

 

 

アルファがフェイカーの怒りを沈めようとするも…『霧の龍』はフェイカーとシャドウの攻撃を受けてなお、立ち上がる。

それに皆は警戒心を向けるも…

 

 

「…待て、争う気は…もう無い。」

 

 

『霧の龍』はそう告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『霧の龍』は負けを認めたのか、アルファ達が事情を説明すると、『幻の都:アレクサンドリア』を拠点にする事とそれを毒霧で守護してくれる事を約束してくれた。

…しかし、その代わりとして───

 

 

「…真なる影、フェイカーよ。

盟約を果たし次第、汝に…我が命を絶つ事を願う。」

 

 

なんと、『霧の龍』は己が死を望んでいたのだった。

 

 

「…汝の『呪力』なる力が有れば、我が永きに渡るこの命を終わらせられよう。

ワシは汝達の力を付ける場所を提供し、汝は力を付け、望みを叶え次第にワシを終わらせる。

互いに利害が一致していると思うが?」

 

 

その願いにフェイカーは大変困惑していた。

 

 

「……『霧の龍』よ。もう一つ、約束して欲しい事がある。」

 

 

「何だ?」

 

 

「…俺の戦いは───」

 

 

フェイカーは『霧の龍』に近づき、皆に聞こえずらい声量で会話し始めた。

 

 

「…この願いを聞き入れてくれるか?」

 

 

「……良いだろう。やれるかは分からないが、やってみるとしよう。」

 

「…感謝する。『契約』は成立した。

互いに願いが叶う事を祈ろう。」

 

 

「…承った。」

 

 

そう言って『霧の龍』は姿を消した。

 

 

「…フェイカー? 一体、何を話してたの?」

 

 

「…気にするな。ちょっとしたお願いをしただけだ。」

 

 

「?」

 

 

アルファは首を傾げて、ゼータは何処か浮かない顔をしていた。

 

 

「…さ、この先に幻の都がある。

俺達は訳あって帰らなきゃならないが、後は任せた。」

 

 

「え? 何で?」

 

 

「…忘れたのか? 夜、姉上が帰ってくるそうだ。」

 

 

「あ、そうだった…!

───アルファ、後は任せたぞ。」

 

 

「ええ。」

 

 

シャドウに任されてアルファは笑顔で応えた。

シャドウは空を凄まじい速さで飛び去った。

 

 

「…俺も背負って連れてけよ。」

 

 

「待って、フェイカー。」

 

 

ゼータはフェイカーを呼び止めた。

 

 

「どうした?」

 

 

「話があるから…《影分身》を置いてける?」

 

 

「……ん、あぁ。分かった。」

 

 

凄い気迫のゼータに負けて、フェイカーは《影分身》を置いて、速やかにカゲノー邸へ向かった。

 

 

「……それで…何の…用だ?」

 

 

「凄いわね、会話まで成立出来るだなんて。」

 

 

「うん、だってフェイカーだからね。」

 

 

「ふふ…そうね。それじゃ皆んな、行くわよ。」

 

 

アルファはベータに樹海の外にいたイータ達を呼んでアレクサンドリアへ向かった。

 

 

「それで…どうした…?」

 

 

「…さっきの話、私にも聞かせて。

───教団を殲滅した後について。」

 

 

「…!?」

 

 

ゼータに話の一部分を聞かれていたのか、驚愕するフェイカーだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻の都…古都:アレクサンドリアを拠点に手にしたアルファ達。

小国レベルとはいえ、一つの都市を手にしたのは非常に大きく、アルファ達の活躍により、多くの『悪魔憑き』を救助していく。

 

その中で、クレア以外にも『人間』の『悪魔憑き』が『()()()()()()()()』では初となり、組織の今後としてその娘…『ニコレッタ・マルケス』の存在は大きなものとなった。

 

アルファ達は次の目的としてシドから授かった…授かってしまった『前世の知識(陰の叡智)』から『石油』があると思われるベガルタ帝国にへと足を運ぶ事となる。

 

単独行動をしているゼータの方では聖教について調べていた所、『ウィクトーリア』という聖女に出会った。

ゼータとの出会いが、彼女の運命を大きく左右する事となった。

彼女は『テンプラー』と呼ばれる組織に身を置いており、その組織は実験台として『悪魔憑き』を回収している方針である『ディアボロス教団』とは違い。『悪魔憑き』を女神に代わりに始末するという別の意味で物騒な組織だった。

 

…多くの出来事がシドの適当な発言やらが本当に実現となった事が多く、それを知ったユノは頭を抱えたり、シドが口になった事は真実となってしまうのかと恐怖を抱いていた。

 

更に事態は進み、ベガルタ帝国に足を運んだガンマ達は『ベガルタ七武剣』と呼ばれる称号を持つ二人の魔剣士との抗争に遭遇する。

 

 

『ベガルタ七武剣』

ベガルタ王国の最高位の魔剣士であるという称号。

 

 

その内の一人である女性…『カレン・フォン・ヘルツォーク』というエルフが『悪魔憑き』を発症してしまったが故に、一族諸共『セルゲイ・ゴーマン』という男が皆殺しにし、カレンを殺そうとしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…嫌な予感がする。」

 

 

ユノは落ち着かずにカゲノー邸の人気の無い場所で空を見つめながら呟いた。

 

 

「ふむ、最近はゼータ…リリムが来なくなってしまったし、()()()()との連絡手段が無いから本当に困ったな。

元気にしているだろうか…。」

 

 

ゼータ(リリム)以外の『アイツ等』とは修行中にリリムと偶然出会った時に救出した『ある種の困ったちゃん達』であった。

その困ったちゃん達はリリムの独断でアルファ達には敢えて告げずに、別の組織を作るという考えでアルファ達には黙秘されている。

ユノはそれについて難儀していた。と言うのもその困ったちゃん達はハッキリ言えば協調性が欠けていて、『シャドウガーデン』について説明すると…

 

訳あって男口調の獣人は『俺は誰かの下にはつかねー。』…と。

 

天才肌の冷めた様な口調の者は『ボクは考えの甘々の連中とは組めないね。』…と。

 

●●に親を殺された者は『わたくしは彼等と肩を並べる事が出来ません。』…と。

 

それぞれの意見を述べて上二人は単独行動を、残った一人はリリムと行動をしている。

 

正確にはもう一人いるのだが、彼女はトラウマがあって、非戦闘員である事から『シャドウガーデン』で執事をしている。

 

 

「…リリムの言う事に一理あるとは言え…承諾してしまったのは間違いだよなぁ。

バレた時はどうしよう…。」

 

 

ユノの脳裏には物凄く不機嫌で怒っているアルファやガンマの姿が思い浮かんだ。

因みに、リリムは…

 

 

 

『私と似ているから仕方ないと思う自分がいるんだよね。

面倒は私の方で見ておくから、ユノは気にしないで。

え? アルファ達にバレたら?

まぁ…その時はその時だね。

それに、あの困ったちゃん達は『シャドウガーデン』にはいない連中だから、無理に連行するよりかは各々で私達に協力して貰うとしよう。』

 

 

 

「…そうだな。こう進んだ以上はどうしようもない。

過去はどうやったって変えられない。

その時は正直に答えよう。

けど…問題は『霧の龍』の時、リリムに俺の考えを伝えた頃からリリムの様子が変わって感じがするんだよな。

ここ暫く会ってないし…心配だな。」

 

 

ユノは覚悟を決め…次にリリムに会える日を待っていた。

 

 

 







・相変わらず、戦闘の入った話は無駄に長くなる…どうにかならないものか…。


・今回で初披露になりました【虎葬】。
モチーフにしているのはパオジアンです。
だって設定的に厄災だったり、豹だったり、他の『式神』にない感じの能力が欲しいなーって模索していたら…
「すんげー俺の好みでドンピシャなのいた…!!」
となって、採用しました。
どうですかね?
ついでって、何ですが【円鹿】も今回で登場させました。
何処かで語ったと思いましたが、この作品の『反転術式』は回復以外にも『魔力』による攻撃の中和も出来るので、防御にも役立てる様に設定しました。


・…前回予告していたオリキャラを登場させるつもりでいたけど…次回に回っちゃいました。
申し訳ありません…せめてのちょっとした台詞と特徴のみだけでも登場させてもらいました…誰だか…もう分かる人には分かりますよね?


『影斧』
影を形状変化させた斧による攻撃『影の斧』。


『影斬〝柱〟』
柱の様な巨大な影斬(影の刃)。
主に壁として、防御に使う為に生まれた技。


・次回、『ゼータの様子』
久しぶりに会ったユノとゼータ。
その時、ゼータはユノに突如とんでもない事を聞き出した。
そして…嫌な予感は的中し、ゼータ達はまたも危機に陥るのであった。


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