陰と影の実力者   作:黒ソニア

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お久しぶりです。
投稿ペースは遅れど、頑張ってお話を続けます。
…とりま早くミドガル王国に行かせるようにしたい。
おうにょを登場させてぇ…笑


kuzumoti777様
評価ありがとうございます。
お陰様で更にこの作品に対しての意欲が高まりました。





第16影:『リベンジ』

 

 

 

アルファ達とユノのセルゲイ・ゴーマンとの戦いから数日後。

 

 

「ユノォオオオオオ!!」

 

 

「五月蝿いな…引っ叩いていい?」

 

 

「やめて。

───いや、それどころじゃないんだよ!」

 

 

「何だよ?」

 

 

「白トリュフ! 僕のお金だよ!!」

 

 

「……あぁ、はいはい。覚えてるよ。

アレはアルファ達に頼んどいた筈だろ?

さっさと取りに行ってこいよ。」

 

 

「もう行ったよ!」

 

 

「早…。じゃあ問題無い筈じゃないか?」

 

 

「アルファ達に預かるつもりで言った白トリュフが、アルファ達によって売却されてアルファ達の資金に使われてるんだよ!!」

 

 

何てことでしょう。

シドが必死こいて集めた白トリュフ(お金)はアルファ達…『シャドウガーデン』の活動資金とされた。

どうやらアルファ達はシドが『シャドウガーデン』の為に資金を集めていたと…相変わらず都合の良い様に捉えていたらしい。

お陰でシドは無駄働きとなって、懐に1ゼニーも入らなかったとさ。

 

 

「……クッフフフ。」

 

 

「笑い事じゃないよー!

アルファ達は何で自分達のお金だと誤認しちゃったの!?

僕、ちゃんと預かっての意味で『任せた』って言ったよね!?」

 

 

「俺もその認識で捉えてたけど……

アルファ達は間違った認識だったんだな。」

 

 

ユノに関しては正直な所、別に『シャドウガーデン』の資金に回しても問題無い…それどころか、正しいだろうという認識だが…

アルファ達の認識に関してはどうにか手を打っておかないと、自分の身も危ないのではと危機を覚えたユノだった。

 

 

「ま、アルファ達が命懸けで戦ってた中でお前は呑気にお金を優先していた訳なんだ。

自業自得だと噛み締めろ。」

 

 

「納得いかないよ! 僕のお金なのに!!

全く、いくら『悪魔憑き』が教会…宗教絡みの人達に処罰されてるからって設定に因んで、腹いせで喧嘩を売った挙げ句に人を巻き込んで、お金まで取るだなんてさ…。」

 

 

「(……全く、アルファ達は命懸けで行動してるってのに、コイツは…

ま、コイツにもう説明するのも面倒くさいし、間違った認識でいてもらった方が好都合だろうし…このままにするとして───)

過ぎたことはもう忘れる事だな。

お前はヒソヒソと盗賊狩りをしているのがお似合いだ。」

 

 

「最近、盗賊がめっきり減って収入源が無くなってるんだよー。」

 

 

「……けど、お前はこれまで貯めてきた金があるだろ。

盗賊狩りでも、資金の8割の金品をお前が持っていくだろうが…!」

 

 

「もう全然手元に残ってないよ。」

 

 

「はぁ!? 何でだよ!?」

 

 

「いやー…陰の実力者たるもの、必要な物が多くてねぇ…。」

 

 

「……一体何を買っているんだ?

伝説の剣とかでも買ってるのか…?」

 

 

ユノはそう問うが、普通に考えてそれは無い…

 

 

「僕が買ってるのは陰の実力者コレクション…

ハッキリ言うと、名画とか椅子とか有名な物を密かに集めてるんだよねー。」

 

 

「……最近買ったのだと、どれくらい?」

 

 

「フフ…高そうな宝石のついたランプ150万ゼニー。

(ドヤ顔&イケボ)」

 

 

「たっか!? そんなもんに金を費やしてるとかアホだろ!?」

 

 

「アホじゃないよ!!

陰の実力者にはそれらしい高級品が必要不可欠!

その為なら…多少の犠牲(お金)はつきものさ。」

 

 

「……はぁ、呆れた。

勝手に金欠で苦しんでろ…。」

 

 

ユノは深い溜息をついていると…両手を出しておねだりするシド。

 

 

「というわけで、金欠で苦しんでいる僕にお小遣いを下さい。」

 

 

「バイトでもして稼げ。」

 

 

ユノはおねだりし続けるシドを無視するのであった。

 

…因みに異世界とはいえ、13歳の少年がバイトが出来るのかは知りもしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フェイカー…今大丈夫?」

 

 

ユノが朝の勉学を終えた頃、アルファが1人になっているタイミングで声をかける。

 

 

「アルファか、どうした?」

 

 

「実はイータが暴走しているの。

お願い、手を貸して頂戴!」

 

 

「…何だって?」

 

 

ユノはアルファから事情を聞く。

何でもイータは研究費が全く回らない事から反乱を起こしているらしい。

それも、手練の者達を配下に無理矢理巻き込んで叛乱を起こしているのだ!

 

 

「…はぁ。またお金の話か。」

 

 

「? どうしたの、ユノ。

もしかして、今忙しかったのかしら?

…シドも姿が見えないし、この件はコッチで───」

 

 

「いや、俺も手伝う。

イータの面倒は俺が一番に慣れてるから。」

 

 

「ありがとう、ユノ。

ふふ…ユノが『ママ』って言われてる訳が分かるわね。」

 

 

「…俺、男なんだけど…。」

 

 

最初はアルファやゼータにガンマを筆頭に母性が強く、七陰やシド達の面倒を多く見る事があったが…

ユノは前世から料理、洗濯などとやらされていた事から様々な知識を備えた事からユノが率先して行動していた。

他にもシドとイータの我儘を聞いたりとしていた事から、ユノにママと呼ぶ様になったとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アレクサンドリアに着いたユノは颯爽とイータが叛乱活動をしている場所…訓練場へ足を運ぶ。

 

 

「きゃああああ!!」

 

 

…スライムスーツが半壊(?)状態で逃げる女性が目に入る。

 

 

「…そこの。これで一先ず体を隠すといい。」

 

 

ユノは頬を赤らめながらも、影から毛布を取り出して女性に投げ渡す。

 

 

「え、あ…あ、ありがとうございます。」

 

 

女性は戸惑いつつも礼を言う。

そして…ユノはイータ達の前に現れた。

 

 

「…やっぱり、アルファ様はフェイカー…ユノを連れて来た。」

 

 

「来たよ…ってか、アルファが俺を連れて来るのを読んでいたのかよ。」

 

 

「…うん。ユノが最も有効的手段だと…私自身でも気づく。」

 

 

「だとしたら、こんな騒動をやめて欲しいのだがな…。

ほら、多くの者達が乗り気じゃない感じ…

イータの実験台にされたくないから、仕方なくやっているだろうからな?」

 

 

うんうんと頷くナンバーズ達。

 

 

「…理由は何だろうが、私の…邪魔はさせない…!

111番、122番…行って…!」

 

 

イータが指示を送り、二人は申し訳なさそうに飛び掛かる。

 

 

「…キミ達は二人を見た事があるな。

申し訳ないが───速やかに拘束させて貰おう。」

 

 

ユノは瞬時に『影』を使って二人を瞬時に拘束する。

 

 

「─── 《影縛》。」

 

 

「…ぐっ!」

 

 

「早い…!?」

 

 

「…やはり、ユノ相手では…厳しい。」

 

 

ユノは二人を拘束して、後ろにやって来たアルファとガンマに引き渡す。

 

 

「…あんまり叱ってやるなよ?」

 

 

「分かっているわ。

イータ、ユノがいる以上はもう無駄よ。

大人しく降参しなさい。」

 

 

「…そうはいかない…。

研究費を得るために…最後の手段を…!

───マスター!」

 

 

「何…!?」

 

 

イータが呼び掛けると、上からカッコいいポーズをとって…奴は現れた。

 

 

「…フッ。観念するといい、我が影よ…!」

 

 

「何でお前がそっち側にいるんだよ!」

 

 

驚くアルファ達に代表してユノが問いかける。

 

 

「…これには事情があるのだ。」

 

 

「何だよ…それ……ん?

いや…待てよ?

イータは研究費…金が欲しくて暴走。

この前お前は金が無いからお小遣いを寄越せと…

───まさか?」

 

 

「そう…僕とイータは…ユノからお小遣いを貰う為に、結束したのさ!」

 

 

「ざけんな、お前!」

 

 

ユノはカンカンに怒る。

 

 

(本当…に、コイツは身勝手な奴だ…!

…たくっ、イータの叛乱を止めるためにはシドを何とかしなければならない。

アルファ達はシドにある意味弱いから、俺が相手をしなければならない。

俺がシドを……シドを……。)

 

 

「そんな……シャドウが、イータ側の方につくなんて…!?」

 

 

「これでは…。」

 

 

アルファとガンマは予想外の事態に冷や汗を掻く…が───

 

 

「……フッフフ。」

 

 

「…ユノ?」

 

 

「ユノ様?」

 

 

ユノは影の落ちた表情で不気味に笑う。

 

 

「……そう言えば、今まで訓練でお前と何回も戦ったよな。

何度も、何度も。」

 

 

「そうだね。」

 

 

「…けど、正式な戦いは一度。

お前から逃げていた時だったよな。

しかも、俺は負けてそのまま。」

 

 

「…うーん、まぁ…そうだね。」

 

 

「……俺さ、今までは別に勝敗自体にはこだわり無かったんだよ。

負けて当然…俺にとってはそれが当たり前な事だったから。

…けど、今さ…お前に勝ちたいって強く…思うんだよな…!

───だから…!」

 

 

ユノは『戦闘モード』のスライムスーツを纏い、両手に呪力を灯し構える。

 

 

「リベンジ、させてもらう…!」

 

 

「良いね…! こういうのを待ってた…!」

 

 

シドは心の底から嬉しそうに構えた。

 

両者による…『強者』の戦いが始まる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─── 《影斬》!」

 

 

「よっと。」

 

 

ユノは素早く呪力の灯った全力の『影の刃』を放ち、シドはそれを難なく受け止める…も───

 

 

「おっ…結構重いね…!」

 

 

「─── 【玉犬】!」

 

 

「それから直ぐに追撃の狼か…!

相変わらず、容赦無いな……いいね!」

 

 

「その余裕も直ぐに出来なくなる!」

 

 

『影の刃』に【玉犬】の攻撃に両手を塞がってる状態で、ユノは素早くスライムキャリバーで斬り込んだ。

 

 

「…っ、ハハ、思ってた数倍痛い…。

攻撃も避けられない速さだね…。

更に成長してるね、ユノ…!」

 

 

「…痛いって言う割に、何でそんなに楽しそうに笑ってやがるんだよ…。

本当にお前ってやつは…厄介だな!!」

 

 

シドのスライムスーツはユノやアルファ達とは違って強力だが、全力のユノの剣撃を受けた事によりダメージが入る。

…だが、ユノの斬撃を避けられずに受けても、全く手応えは薄く。

痛いと言っているのが、嘘のようだった。

 

 

「でも……避けられないと瞬時に見抜いた以上、次の行動に取るって事に瞬時に気づくべきだ…!」

 

 

「くっ…!」

 

 

何と、瞬時にスライムがユノの手足を拘束し、【玉犬】もスライムで拘束して、『影の刃』は砕かれ───

 

 

「ぐは…!!」

 

 

「お前の《影化》は実に厄介だ。

『影』と同化したら、我が攻撃でもダメージを与えられない。

───だが、『影』になるのに多少のインターバルが生じる。

それなら……僕のスライムで拘束して魔力で力づくで使わせなくして一気に叩き込む!」

 

 

「ぐぁあ…!!」

 

 

シドは最初に膝蹴りでユノの腹を蹴り、次に拳と蹴りのラッシュでユノを追い詰めていく。

 

 

「ほらほら! このままだと不味いんじゃない!?」

 

 

「ぐっ…ごぉ…んぐ……!!

─── 【大蛇】…!!」

 

 

ユノは攻撃を受けながらも、呪力で片腕の拘束を弾いて【大蛇】の掌印で自身の体から無理矢理顕現させ、シドを噛みつき、宙にへと距離を作る。

 

 

「…はぁ…はぁ…っんぐ…。

クソッタレ……【大蛇】の毒と、牙の切れ味を…味わえ…!」

 

 

「……うん、この毒は……流石に効くね…!!

呪力も含まれている分、対抗し辛い…!!

だが……直ぐに───!?」

 

 

「俺が三体で戦うのを忘れてないか…?

─── 【鵺】…!」

 

 

ユノはシドを【大蛇】で離したと同時に、【鵺】を直ぐに顕現させていた。

 

 

「…っ、んぐっ! 蛇と鳥の連携攻撃は流石に応える…!!

(前の時よりも、両方のパワーが上がってる…!

ユノ自身の成長しているからだね…!)」

 

 

「…おい、シド。【玉犬】の事を忘れてないか?」

 

 

「!?」

 

 

ユノの一言で、【玉犬】が【大蛇】をつたって駆け上がり、爪の攻撃を放つ。

 

 

「…っ、狼の爪も結構応えるね…!

成程…ユノの『式神』達は呪力で底上げされてるから結構効くのか…!」

 

 

シドが納得しているも、『式神』達の猛攻は止まらない。

【玉犬】が攻撃すると同時に墜落するも、【鵺】でフォローしつつ攻撃をし、【大蛇】でタイミングを合わせる。

 

 

「…よし。シドの奴は【玉犬】【大蛇】【鵺】の猛攻を受けて、かなり消耗をしている。

この隙に…魔力と呪力を溜めて、【円鹿】の反転術式で傷を癒す。

本来なら三体だが…この状況ならもう一体くらい───」

 

 

ユノは魔力と呪力の溜める事で身体能力を高めつつ、【円鹿】の掌印を結ぼうとすると…シドの異変に気づく。

シドの全身から青紫の魔力が溢れ、『式神』達の猛攻が止まる。

 

 

「…っ、不味いっ!! 全員戻れ!!」

 

 

ユノは直様『式神』達を『影』にへと変化させる。

 

 

「あらよっっと!!」

 

 

シドは魔力を暴発させて、『影』と化した『式神』達を吹き飛ばした。

 

 

「…ふぅ。危なかったよ。

呪力のせいで大部ダメージを受けすぎたかな…。

まぁでも、問題ないかな?

ユノが魔力の流れで身体状態を安定させているのを見て、一つ閃いたんだ。」

 

 

シドがそう言うと…魔力で傷を修復させた。

 

 

「……おいおい、嘘だろ…?」

 

 

「いやー、良いね!

ユノのお陰で僕も魔力の扱いが更に上達したよ。

魔力の操作と制御の維持で『浮遊』。

制御を起点に操作を張り巡らす事で『治癒』。

飛ぶのはいつでも行えるけど、治癒は傷を負わないと試さないからね。

お陰で僕は更に高みに行けそうだよ、ユノ。」

 

 

シドは宙に浮かびながら、地にいるユノを見下ろしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これが、彼等の戦い…!」

 

 

二人の戦いを訓練場外から見守るアルファ達。

 

 

「凄すぎます。自分の未熟さを痛感させられるばかりです。」

 

 

「…ええ。」

 

 

「しかし……主様は受けた傷を直し、全開状態にへと戻りましたが…

ユノ様は主様からの猛攻を受け、深く損傷しております。この勝負…。」

 

 

「…」

 

 

ガンマが状況を読んで勝敗を見極める。

誰もが考えても、間違いなく勝者は……シドだと断言するだろう。

 

 

「これで……イータの言う通りに、研究費を…

しかしアルファ様、今の『シャドウガーデン』には研究に追加投資する程の余裕が…

主様からいただいた、トリュフの資金も…。」

 

 

「…分かっているわ、ガンマ。」

 

 

ガンマの言いたい事は言われなくても分かっているアルファ。

因みに白トリュフの件は完全にシドからの慈悲だと認識されている。

 

 

「けど、見てみなさい。

確かにこの状況では間違いなくシドが有利でしょうね。

……けど、ユノの方も見てみなさい。」

 

 

「…ユノ様、お辛そうにしております…

けど、何処か()()()()()()()()?」

 

 

ガンマの言う通り…ユノはシドの猛攻を受けた事により息を荒くしているが、楽しんでいるのか……いや、何かを企んでいる様に笑っていた。

 

 

「ええ。勝敗はまだ…分からない。

彼は…ユノは言っていた。

『目先の出来事が全てじゃない。

明らかに決まった事も…小さな誤差でひっくり返る。』

…それはつまり───」

 

 

この状況から逆転される可能性もあるという事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ハハ、マジかよ。

(『浮遊』に加えて『治癒』まで出来るようにしたのかよ…

これじゃ、俺の【円鹿】による反転術式の回復の強みが薄れるじゃねぇかよ…!

……ったく、お前の魔力への才能…探究心は凄まじいな。

そこは素直に尊敬するよ…。)」

 

 

ユノは見下ろしているシドを見て、若干乾いた目に声をしていた。

 

 

「……だけど、油断大敵…って言葉を知った方が……良いな、お前は!」

 

 

ユノはシドを…正確には彼の身体全体に起きた影響を見て分析し、ニヤリと小さく笑った。

 

 

「折角の良い気分の所で、悪いが…引き摺り下ろしてやる…!─── 《影掴》!」

 

 

足元の影を拡大させ、無数の『影の手』をシドへ伸び放った。

 

 

「おっと!」

 

 

シドはその無数の手を高速に、華麗に躱していく。

 

 

「数はそれなり、威力も申し分は無いが……

僕を相手にそれだけだと物足りないんじゃ───アレ?」

 

 

「油断しすぎたな。」

 

 

「…はは、流石次の一手が早いねー。

拘束技の裏には更なる拘束技…しかも、この長いベトベトするこの舌。」

 

 

ユノは【蝦蟇】を顕現させており、《影掴》を放ったと同時に見えない様にしていたのである。

 

 

「僕が気づかない程の不意打ちの技術が上がってるねー。

関心関心……けどね、カエルの粘液?と合わせた強力な拘束技も、魔力で吹き飛ばしちゃうから意味がないんじゃない?」

 

 

「甘いな。【蝦蟇】の攻撃は……酸による溶かす技以外にもある…!」

 

 

ユノは指を鳴らす。

すると、シドは拘束された状態で地に勢い良く叩きつけられる。

その強力な攻撃を何度でも行う…モグラ叩きの様だった。

 

 

「(うへぇ……スライムスーツ越しからでも皮膚を溶かさんとする強力な酸に加えてこの仕打ちは結構来る…何より酔うね、コレ。

……ああ、そうか。ちゃっかり《影縛》で更に身動き取れないようする挙句、ユノのお得意の()()()()()()()()()で、魔力の流れを無理矢理不安定にさせてるのか…!)」

 

 

そう……実はユノがシドよりも優れている点があり、それが自分以外の魔力の操る…いや、制御も可能なこれは───『魔力支配』!!

 

 

『魔力支配』

本来、魔力を扱うのに操作に制御を行う事で戦うものだが…

これは自分以外の魔力を操り御する事が出来る術である。

 

 

「(……オマケに…んぐっ!

いつの間にか虎まで出しちゃって、酸ごと僕を凍らせてくるし…

結構痛いね、コレ……ん? あ、そうか。

僕の魔力が運用し辛くしてるのって呪力も含まれてるからか…

確かにユノの呪力って、魔力を阻害する効果があるんだよねー。

鍛え上げた筋力も、酸の氷が加わって神経が停止しつつある…

僕相手とはいえ、容赦なくやるねー!)」

 

【蝦蟇】【虎葬】の合わせ技に強く地面に叩きつけられる状況…

そこいらの者ならとっくに死んでいるものなのだが……

シドにとっては「辛いなー」程度のレベルなのだ。

 

 

「……さて、そろそろキツいし、全力の魔力で挑もうか…!」

 

 

魔力が運用し辛いと思っておきながら、何も抵抗無く魔力を強く巡回させる。

 

 

「そう簡単に…思い通りになると、思うなよ!」

 

 

ユノがシドの腹に向けて黒く光る拳を放つ!

 

 

「─── 《黒閃》!!」

 

 

「ごはっ…ぁっ…!!」

 

 

《黒閃》がクリンヒットし、シドは大きく血を吐いた。

 

 

「…っ、はは!! 良いね!!

最高だよ、ユノ!!

でも……これで逃げられなくなったよ!!」

 

 

シドは全身から莫大な青紫の魔力を暴発させ…かつて、霧の竜に放った『あの技』を放とうとしていた!

 

 

「───それを待っていた!!」

 

 

ユノはそう言うと、シドの自身に更なる変化が起こる。

体の至る部分から呪力が溢れだした。

 

 

「これは…!?」

 

 

「傷を修復しきっても、お前に付与させた呪力は振り切れなかったな!

お前の『アトミック』の利用して、特大の大爆発をお見舞いしてやる…!!」

 

 

そう、これがユノの勝機。

シドを追い詰め、『アトミック』による魔力の大規模な解放に合わせて呪力をぶつけ合わせて、シドを倒す───

 

 

「くらえ─── 《呪爆》!!」

 

 

ユノが指を鳴らすと……シドに纏わり溢れた呪力が彼の魔力が衝突し重なり、訓練場は黒と青の掛け合わさった紫の光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!! 訓練場が……吹き飛んでる…!?」

 

 

アルファ達は爆発が収まった訓練場だった場所にへと降り立つ。

 

 

「……シドとユノは……あの人影は…!?」

 

 

「アレは……ユノ様!!」

 

 

アルファとガンマは煙から姿を表したユノにへと駆け寄る。

 

 

「ユノ様!!」

 

 

「ゴホゴホッ! ん……ガンマにアルファ、怪我はないか?」

 

 

「は、はい! あの…その…ユノ様の方は…?」

 

 

「ああ…俺の方は、問題無い。

シドに殴られ、蹴られ続けた、痛みがあるだけだ…

戦いは見てただろ…?

後半の方は…俺は攻撃を受けてない…。」

 

 

「それは……けど、あの爆発でのダメージは…?」

 

 

「忘れてないか? 俺は…『影』になれる事を、な?」

 

 

「…成程、《影化》ね。」

 

 

「ああ、俺は…《影化》してから、シドの『アトミック』を利用したのだからな。」

 

 

「ああ、良かったです…心臓に悪いので、今後は私達にも分かるようにして下さい…!」

 

 

「悪いな、それについてはガンマの力量を上げて、貰わないと…困る、かな?」

 

 

「……ユノ、アナタが無事なのは良かったけど…

シドは? 彼は無事なの…よね?」

 

 

「ああ……魔力を探ってみろ。

……ほら、そこにいるだろう?」

 

 

ユノが目線を送る先に…倒れている人影が見える。

 

 

「シド!!」

 

 

「………ん? アルファか。

うん……僕は問題ないよ。」

 

 

「はぁ……良かった。

てっきり…爆発で…死んでしまったのかと、疑ってしまったわ…。」

 

 

「はは…アルファは心配性だねー。

正直…起き上がる事すら、キツイけど……僕は平気だよ。」

 

 

「平気か……お前なら、殺す気で挑んでも問題無いと…分かってはいたけど……マジで平気な姿を見ると、勝ったのか分からんな…。」

 

 

「ん…? 何を言っているのさ、ユノ?

───キミが勝ったんだよ。」

 

 

シドはゆっくりと体を起こす。

 

 

「俺が……勝ったのか?」

 

 

「うん、そうだよ?

勝者が勝利を疑ってどうするのさ?」

 

 

「……あ、いや、まぁ…今までの稽古では時間切れの引き分けだったからさ。」

 

 

「ふーん。」

 

 

「……勝ったのか。」

 

 

「おめでとうございます、ユノ様!

任務中のゼータもこの報告を聞けば、大喜びします!

お祝いにご馳走様を用意するべきでしょうか?」

 

 

「そこまでは良いよ。気持ちだけ、貰っとく。」

 

 

「そ、そうですか?」

 

 

そんな会話をしていると、アルファが曇った表情をしていた。

 

 

「ユノが勝ったことは驚きで、今まで頑張っていたのだから、喜ばしい事なのだけれど…

『シャドウガーデン』は『フェイカーガーデン』に改名かしら?」

 

 

「あ、そ、そう言う事なのでしょうか…?」

 

 

「いや……改名する必要はない。

あくまでも、組織は『シャドウガーデン』。

この組織は…シドが始めた事だからな。」

 

 

「そ、そうよね!」

 

 

ユノにそう言われてホッとする顔をするアルファ。

 

 

「ふぅ……さて、ユノ。

───第二ラウンドをしようか。」

 

 

「は?」

 

 

シドはジャンプして立ち上がり、ウキウキとステップを踏んでいた。

 

 

「傷ももう癒えたし、僕はまだまだやれるよ?

ユノも、まだまだやれるでしょ?

さっき、鹿だっけ?治癒出来る『式神』で回復しようとしたじゃん。

さ、続きをやろう!!」

 

 

「……すぅ……ふざけんなぁあああ!!」

 

 

ユノは逃げる様に『影』になって逃げ去った。

 

 

「はははっ! 待ってよ、ユ〜ノ〜!!」

 

 

「あはは!!」と笑いながらユノを追いかけるシド。

…リベンジ自体は出来たものの、勝ったのか…分からないオチになってしまった。

 

 

「…ふふ、元気ね。」

 

 

「ア…アハハ…。」

 

 

元気なシドを見て微笑むアルファと苦笑いをするガンマだった。

 

 

「……け、研究費…。」

 

 

尚、勝敗自体はユノが勝った事により、イータの暴走は失敗に終わった。

 

 

「あはは! 待ってよー!!」

 

 

「俺の側に近寄るなぁぁああ!!」

 

 

…因みに、ユノはもう二度とシドと戦いたくないと願っていたとか。

 

 

 







・自分、カゲマスやってないですけど、外伝のストーリーヤバすぎません?
シャドウがいないだけでエグい事が多すぎて見ていられなくなる所が多すぎる…
まさか、デルタ・ガンマだけでなくベータにまさかのアレクシアも闇堕ちするなんて予想出来んかったですわ…
もしかすると、いずれアレクシアも『悪魔憑き』を発症する可能性がありますかね?
…それからしれっとリリ様がクレアの腕を治療…てか蘇生ですよねあれ。
なんか凄い事をしてるやんけ…。
いずれ…ゼータも闇堕ちしてしまうだろうと考えると…なんか苦しいです。


・今回から出来るだけ、戦闘描写と流れを長すぎずに、かつ説明やらを簡潔に纏められる様に頑張ります。
セルゲイ戦や霧の竜との戦いに比べると早くないかと思いますけど、今回は試しです。
因みに…分かりづらいとは思いますが、戦闘中のシドは『シャドウ』としてや『シド』として話してゴチャゴチャしながら話してます。
アニメを意識して描いてみました。
……てか、今更ながらこの作品のシドが五条先生みたいに見える(笑)。


・次回、『最強の式神』
遂に…あの『式神』の調伏に挑む…!!


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