陰と影の実力者   作:黒ソニア

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さぁ、キミはどんな物語を描く?





第1影:『新たな人生』

 

 

 

───………ん?

 

 

彼は寝ぼけているように目覚める。

 

 

───何だ…俺は…どうなったんだ?

 

 

彼は少しずつ思い出していく。

 

 

───そうだ。俺は西野さんを庇って…。

 

 

バンッ!

 

銃で撃った音と、その後に自分の胸に弾丸が命中して激痛が襲った事を思い出す。

 

 

───そうだ! 俺は撃たれた筈───

 

 

「おぎゃぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

───ん?

 

 

「あぁ、元気に泣いてるね!」

 

 

「えぇ、安心したわ。」

 

 

───ん? んん!? どういう事!?

 

 

「おぎゃぁ! おぎゃぁぁ!!」

 

 

「ははは。」

 

 

「ふふふ。」

 

 

───俺、赤ん坊になってるぅぅぅぅぅ!!!???

 

 

「おぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

泣き続ける中、彼は理解する。

 

自分は…まさかの異世界転生をしたのだと!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、まさかのまさかだよなぁ…。」

 

 

赤ん坊から数年後、彼は転生した事から人一倍言葉を話せれた。

 

 

「でも、話し…ずらいけど…。」

 

 

コレばかりは仕方のない事だろう。

 

 

「『ユノ』、ご飯よぉ〜!」

 

 

『ユノ』それが新たな人生を迎えた彼の名前であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

親達がぐっすりと寝てるだろう時刻。

 

ユノは…

 

 

「(寝れねぇ…)」

 

 

新たな人生での一つの難問…幼い体に慣れないでいた。

 

 

「(生前は頭が残念だったから…ひたすら勉強させられたよなぁ…

しかも、結局一度もいい事が無かったよなぁ…。)」

 

 

生まれ変わっても心はあの頃から全く変わらないため、知力が残念な事に内心でショックを受けていた。

 

 

「(こればかりは仕方ないよな…

本屋で見てた限り、色んな可能性ある転生を見てきたけど…

真実は意思・意識をそのまま引き継いでいる訳だから頭の回転とかが良くなる訳ないのが現実であった。

…けど、それがどうでもいいと思える程の()()がある。)」

 

 

瞳を閉じて体の内に流れるモノを感じ取る。

 

それは『魔力』

 

この世界は魔力が存在する世界だったのだ。

多くの青少年が夢見ただろう摩訶不思議な力。

それを持って雷や氷に炎と様々な性質に変化させる魔法とかを扱えるって事だ。

 

 

「(ファンタジーが今こうして現実となっている事に…俺は感動している…っ!

あわよくば、俺に膨大な魔力で上級魔法とか神代の魔術とか扱える様に…っ!)」

 

 

ユノは密かに欲望に満ちた妄想をしていた。

 

彼は生前の影響で色々と変貌しつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから更に月日が流れた…

 

 

「くそう…なんてこった…っ!」

 

 

ユノは項垂れていた。

 

 

「まさか…この世界に()()が存在…しないだなんて…っ!

……しかも、魔力もただただ放出…して攻撃するだけのもの…。」

 

 

そう、この世界は『魔力』をその身に宿してもそれを大きく発展されてないという事実だった。

 

魔力の扱いは主に剣や槍に流し込んで振るう程度のものだった。

 

 

「ちくしょう…、聞けば変質とか変化させる技術も無いっていわれたし…」

 

 

親に聞いた時に『そんな事は出来ないよ。』と言われ、親の前では純粋な子供として振る舞っていたが、内心では涙ダダ漏れだった。

 

心底喜び過ぎた分…残念でならなかった。

 

 

「…くそ…これじゃあ…。

『特別』になんて…なれない…。

どうせ…不器用で…落ちこぼれ…。」

 

 

他に秀でた『才能』もない…。

魔力も特段多く宿してる訳でもないし、扱える技術もまだ身につけてない上に感覚も掴めていない。

 

 

「これじゃ…生前の…二の舞…。」

 

 

マズイ…マズイと瞳孔が開き、焦り始める。

血液の流れが悪くなるのを感じる。

 

そして…ユノの負の感情が強く昂り───

 

ズズズズ

 

ユノの周りから…いや、影に変化が起きた。

 

 

「…へ? コレって…まさか!?」

 

 

影は犬の様な生き物の形にへと変化したり、鋭い刃の様なモノにへと変化した。

 

 

「…っ!!!」

 

 

鼻息が荒くなる。

それを…()()()()()

ユノはワナワナと小刻みに震える。

 

 

「まさか…『十種影法術』…っ!!

ふふ…はは…ははは!!」

 

 

ユノは先程とは全く異なり、生前を含めて…初めて喜びの顔になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁって…はじめようか。

───【玉犬】!」

 

 

手を犬っぽい形に手影絵して式神を顕現させる。

 

オオン…

 

 

「おお…っ!」

 

 

夢見ていた能力を引き出せた事に喜びを得る。

───しかし。

 

 

「安定してないな。」

 

 

ユノは必死に思い出す。

 

 

(確か…宿儺が使った玉犬は『あえて形を安定させてなかった』からだけど…俺のコレは何でだろうか?

玉犬は最初に扱える式神じゃないのか…?

………いや、そもそも俺は『()()』を上手く扱えてないからか…っ!)

 

 

『呪力』

人間の負のエネルギーである。

 

 

(でも、本当にそれだけなのか?

何故かまだしっくり来ない…。

………もしかしてこれ、()()()()()()()()()()()()であってもそうでもない()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?)

 

 

ユノは自分の中で確信に至った。

 

 

(なんかこれでしっくり来た感じがする。

という事は本来、一度破壊された式神は使えなくなるというルールが無い可能性があるって事か!?)

 

 

「それならば…後は呪力を…身につけるだけだっ!」

 

 

ユノは内に流れる魔力とは異なる呪力をモノにする為に特訓を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「身についたぞ…コレが呪力…っ!」

 

 

体から黒いオーラが放出されていた。

 

 

「それに…魔力も合わせられれば…

完全オリジナルの最強の『十種影法術』となる…。

フフフ…。

さぁ、もう一度現れよ───【玉犬】!」

 

 

オオォォォォンッ!!

 

ユノの影から【式神・玉犬】を顕現させた。

 

 

「よしよし。」

 

 

ユノは【玉犬】の頭を撫でて【玉犬】は嬉しそうにしていた。

 

 

(よし、これで『十種影法術』の使い方は理解した。

更に判明した事はコレが()()()()()()()()()である事も確定した。)

 

 

ユノは【玉犬】額にある紋様に触れ、瞳を閉じる。

すると、精神世界の様な『十種影法術』の世界に導かれる。

 

 

(この世界に置かれてる銅像。

【玉犬】とは調伏の儀を行なっていないからどういう風に置かれたかは分からないけど、実際に扱える『式神』としてここに存在する。

そして、顕現させる際───)

 

 

銅像に黒い液体…いやユノの呪力が影という液体として上からぶっかかる。

その溢れた影の液体から犬の形をしたものへと変化する。

 

 

(うんうん…コレは間違いなく伏黒恵の術式とは絶対に異なるモノである事に違いない。

となると…分かりやすく別の呼称が必要だな。

そうだな…うん、分かりやすくそのまま『能力』

んで、俺は『十種影法術(影の能力)』といった所かな。)

 

 

ユノはウキウキとしながら決めた。

 

 

「さてさて…次は『黒閃』だな。

これは確実に身につけたい技ですわ。」

 

 

『黒閃』

黒い稲妻が走る攻撃。

呪術廻戦では『技』ではなく『現象』となってはいるが…

 

 

「それからそうだなぁ…他には『穿血』が出来たらいいなぁ…。」

 

 

『穿血』

赤血操術と呼ばれる『術式』があって使える技。

 

 

「けど、俺は『十種影法術(影の能力)』だから使えないかなぁ…。

ま、呪力を応用すれば見様見真似くらいの技が出来るよね! うん!」

 

 

ユノはポジティブに考えた。

 

 

「それに魔力もある訳だしな。

そうだ、魔力感知で周囲に何かいないか…警戒を…。」

 

 

ユノは呪力をメインに魔力の特訓もしていた。

先ず最初の手筈として、安全に特訓が出来るように周囲の感知の技術を身につけた。

 

どうやら、俺は心が強ければある程度の事が出来るようだと理解した。

生前は多大なストレスで心の余裕が無さすぎて発揮されなかったが、今では違う。

 

好奇心もあって魔力を通して『感知技術』をモノにした。

 

 

『感知技術』

魔力感知・気配感知などと様々な『感知』する事に特化した技術。

 

 

お陰で『影の能力』の特訓がスムーズに進んだのだ。

 

 

「よぉし! 今日は影といったら影分身!

これを身につけてみせるぞぉ!」

 

 

拝啓、我が妹よ。そして、西野さん。

 

俺、真人は…いや、ユノは第二の人生を謳歌しております!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから更に月日は流れて…

 

 

「ふぅ…呪力も完全に引き出せるようになったし、そろそろ新たな『式神』を増やしていこうかなぁ〜。

戦闘スキルも『影の能力』で影の刃を形成して攻撃したり、影に潜めたり潜ったりしたり出来るようになったし、分身も一体なら出来るようになったし、何なら縛ったり閉じ込めたりする事も出来るよな? 今度試してみるか〜。」

 

 

今現在、ユノが新たに調伏した『式神』は…

【脱兎】【蝦蟇】である。

この二つは調伏が簡単であった。

 

 

「魔力の方も順調で、感知だけでなく制御も出来るようになって、忍者みたいに木を登ったり、水の上にたったりと身体能力を強化出来るようになってきたし、少しずつ何でも出来るようになってきたぞ!

あぁ…人生が楽しいなぁ〜。」

 

 

『影の能力』『呪力』『魔力』とこの世界で3つの力を有する事で特別感に溺れ、色んな事に挑戦して様々なスキルを手にしてご大満足な人生を送ってるユノ。

 

 

「さて…まだまだやりたい事が沢山あって退屈しないなぁ〜。

いずれ、この力を利用して強いキャラを演じてみるのも…ん?」

 

 

ユノは家の前に人が大人数いる事に疑問を抱いた。

 

 

「何だろう…ウチに何かあったのかな?」

 

 

ユノが歩いて行くと───

 

 

「これは酷いな。」

 

 

「盗賊共め、ついに民間人にまで手を出してきたか…っ!」

 

 

何やら警備隊らしき人が何やら呟いてた。

 

 

「…何があったんですか?」

 

ユノは恐る恐る聞く。

彼は根が陰キャの為か、コミュ症的な喋り方になってしまうのだ。

 

 

「キミは?」

 

 

「ここの家の者です。」

 

 

「何!? ()()()()()()の子供か!?」

 

 

その言葉に周りの人達が騒つく。

 

 

「キミ! 何処にいたんだい!?

もしかして、盗賊から逃げて来たのかい!?」

 

 

「え、えぇと……お外で遊んでたら…

転んじゃって…頭を打っちゃって…

起きたら暗くなってました。」

 

 

ユノがそう言うが…無論、嘘である。

これはここ最近に限った話ではなく、自分の力の研究に時間を奪われて気がついたらとんでもない時間までいた事があり、その度に両親に怒られていたのだ。

その為、急遽『影分身』の技を会得したわけなのだが…

 

 

「あの…お父さんとお母さんは?」

 

 

「あっ!? ん…ええっと、だなぁ…。」

 

 

警備員らしき人物は何て言ったらいいのか分からない顔をしていた。

 

まぁ、当然なのだろう。

 

 

(そいや…さっき、()()()()()()って言ってたな…。)

 

 

警備員の言ってたことを思い出して、冷や汗を掻きながら思わず家の中に入った。

目に映ったのは───

 

 

「父さん…母さん…。」

 

 

父と母だったと思われる醜い有様の死体を目にしてしまった。

 

 

「うぅ…っ!」

 

 

思わず気分を悪くし、吐き出してしまうユノ。

 

特別な力を使えたって、人の根は変わらない。

ユノの精神及び価値観は生前から変わらずの一般人の為に、この様なグロい事に対する耐性は皆無だった。

 

 

(そんな…俺が夢中になってたばかりに…。)

 

 

第二の人生において、新たな父と母については嫌いではなかった。

寧ろ、凄く優しく接してくれて尚且つそれが本心である事を感じとって、それが最善の両親に対しての温度差が違う事に慣れず、仲睦まじい関係になれて無かった…

しかし、いざ彼等がいなくなったと思うと心に穴が空いたかのように空虚になった。

 

 

(そっか…俺にとってこの人達はもうそれだけの…。)

 

 

罪悪感に浸っていると、ユノの肩を優しく叩く者が現れた。

 

 

「…キミがユノくんだね?」

 

 

「…はい、そうです。」

 

 

ユノが振り向くとそこには───

 

ピカッ!

 

偉そうな貴族服のハゲがいた。

 

 

(おおう…何だ、このおじさん…。)

 

 

「私はこの一帯を収める『カゲノー家』の者だよ。」

 

 

『カゲノー』

ユノが生活している田舎を統べる貴族である。

階級は男爵。

 

 

「キミの両親とは以前から面識があってな。

盗賊がいると要請を受けていたのだが…

間に合わずに狙われてしまったようだ…っ!」

 

 

カゲノー男爵は申し訳無さと悔しさの顔をしていた。

 

 

「本当に…すまないな。」

 

 

「…はい。」

 

 

「…奴等め、殺めただけでなく金品のモノまで全て盗んでった様だ。」

 

 

カゲノー男爵がそう言い、ユノはより絶望感に浸ってしまう。

 

 

(おい…一人っ子になっただけでなく、金も無いとか…。

俺これからどうやって生きていくの?)

 

 

施設に連れて行かれるのか…はたまたホームレスとして生活するのか…

未だ慣れない世界で一人生活とか…地獄だろう。

 

 

「ユノくん…ウチに来なさい。

こんな事で罪滅ぼしにならないと分かっている。

…だが、一人は辛かろう。」

 

 

カゲノー男爵はそう語る。

 

 

(このおじさん…良い人だな…っ!)

 

 

そう思い、ユノはコクンと頷いた。

 

 

「うむ。では、この子は私が…『オトン・カゲノー』が責任とって預かる!」

 

 

その一言で俺と周囲の者達が安堵の顔を浮かべる。

これにより、ユノはカゲノー家の養子として引き取られる事になった。

 

ただ…一つだけ言わせて欲しい。

 

 

(名前が酷いやつ多くない? この世界。)

 

 

と、思うユノであった。

 

 

 







・『呪力』
ユノが宿すこの力は呪術廻戦の『呪力』と何ら変わらない。
この世界で使えるのはユノのみである。
(※変更の可能性はあります。)


・『能力』
呪術廻戦における『術式』の別名である。
分かりやすくワンピースの悪魔の実の『能力』とそれを宿す『能力者』と同じ仕組み。
最初は『術式』でそのまま通そうかと思ったが、説明を求められた時に上手く説明出来ないために凄く分かりやすくしようと考えこうなった。


・ここで断言しちゃいます。
自分は『呪術廻戦』をアニメと漫画を読んでますが、全て…いや、殆どの仕組みを理解してないです…
あくまでも『十種影法術』が好きなんです、はい。


・後半なんか投げやりっぽくなった気がするけど…大丈夫だよね?


・次回、『カゲノー家』。
カゲノー家の養子になった彼の運命はいかに?
そして…『奴』と出会う。


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