お久しぶりです、黒ソニアです。
今年までに陰影実(このタイトルの略)の第一部を終わらせられました…
仕事が忙しい上に編集中の文章が二回も消えてまぁ……精神的にまいったのはかなり響きました、トホホ…。
※とんでもないミスをしてました。
『ロキ』じゃなくて『フェンリル』ですね。
……何で間違えたんやろう。
パトブルペル様
評価ありがとうございます。
お陰様で更にこの作品に対しての意欲が高まりました。
───私はクレア・カゲノー。
カゲノー家の期待の星にして、超絶美女よ。
……なんか言いたげな視線なのを感じるけど、そいつは後でシメるから覚悟しておいて。
ま、それはさておいて…私は成績優秀の優等生で人生を謳歌しているかと思うかもしれないけど、実は悩みがある。
クレアは傍から見ても分かるくらい不機嫌だった。
───納得がいかない。
今のクレア・カゲノーが一番強く思っている事である。
───何に対して…それは当然、ユノの事よ。
先に言っておくが、クレアはユノが大好きである。
当然、姉として、実の弟であるシドと同じ家族として愛していると…口には出さないが、その位溺愛しているのだ。
だからこそ───
───何故、あの子は不幸な思いをしなければならないのか。
どうしてその様な考えに至ってしまうのか…
それは『ミドガル魔剣士学園』の推薦試験に落ちた事である。
先ず経緯は…ユノとセルゲイ・ゴーマンとの戦うことになった頃である。
シドとユノがマラクに向かうにあたって、貴族とはいえ2人の子供が向かうには色々と難しい。
そこで、魔剣士学園生徒…それも、優等生であるクレアの付き添いならば、問題ないだろうとの事でクレアに頼んだのだ。
クレアはそれに推薦試験に受ける事を条件に同行を認めた。
───あの子は…ユノは、魔剣士としては私にはまだ劣るものの、その才能は充分に高い。
なのに……なのにどうして……!!
何故2人は落ちたのか…
シドの場合は勿論、その気が無かったから。
表では唯の田舎貴族として振る舞い、裏では実力者として行動する…
本人曰く、『一般モブとして振る舞い、陰で暗躍する実力者!』をモットーにする故にクレアの我儘(?)を受け、名目として受けたものの、ワザと落ちたのだ。
では、ユノはと言うと…
彼は
シドと一緒に入学しては大変な目に遭う事は当然の事、シドと程よく距離を取って行動する事が彼の願望だった。
だから、姉のクレアのご機嫌を取れると同時に好都合な為に本気で挑んだ…そして、不合格となった。
理由は何故なのか…一番の理由は魔剣士として実力不足。
否、
この世界は階級社会。
簡単な話、上の身分であれば優遇され下の身分は冷遇される。
ユノは確かにカゲノー家の者として扱われているが、その実態は養子。
拾われ子であるからだ。
一見、貴族として迎られれば優遇される、勝組になったと思われるが…
貴族の間では冷遇されるのだ。
無論、クレアの様に突出したレベルならば好意的に取られるが…
ユノはそのレベルでは無かった。
学力…本人が頑張っている成果があって悪くは無いが高い訳ではない。
剣技…いや、魔力の裁定では一般魔剣士レベルで突出した名のある魔剣士の様な高いレベルでは無いため、優等生として当然認められなかった。
───納得がいかない…!
頑張っている
あの子を認めないというのなら…私が、私が…!!
クレアは誓う。
大事な家族の為に、己が存在を世界に知らしめる事を…
───………私には、もう…猶予が無いかも、しれないから…。
彼女は自身の腕を強く握りしめる。
それまるで……体に
◆◆◆
そこは、暗い空間。
普通のものでない者は絶対に訪れる事も見る事も認知する事出来ない場所天界───
『神々の間』
そこにユノ・カゲノーを…いや、"只野真人"を『あの世界』に送った張本人である神が鏡の様な丸い何かで彼の様子を見ていた。
「ふむ…まぁ流石に【
一応、元来のモノとは別の仕様にしておいたが…
アレを簡単に扱える様にしておく訳にはいかないからね。
『保険』も兼ねてこの仕様で良かっただろうな。」
神は見ていた。
永い事生きてきて面白いと感じた存在を見て、『
「───あら、珍しいじゃない。」
突如として、彼…ユノを見ていた者とは違う者の声がする。
「ん? あぁ…何だお前か。」
「何よ失礼ね。折角ボッチで有名なアンタにエリートな私が忙しい中声をかけてあげたのに。」
「ボッチと言うお前の方が失礼なのだがね。
それから、自分の事をエリートと自称しているが、お前のやっているのは優秀な後輩から仕事を無理矢理ぶん取ってるタチの悪い先輩なだけだ。
更に言うなら、日本から流れて来た若い者にその外見を利用して肝心な事を説明せずにしている…詐欺まがいな事をして沢山の『転生者』を送り込んで、今現在更に状況悪化させている張本人じゃないか。」
「はぁあああ!? 聞き捨てならないわね!!
私はちゃんと職務通り親切に迷える子達に救いの手を差し伸べているだけじゃない!!」
「…」
「ちょっと。『コイツめんどくせぇな。』と言わんばかりな顔してそっぽ向かないでよ。」
「…っ、で? 本当に何のようだ?」
「何って……気まぐれなでそれでいて残忍なサイコパスな神のアンタが珍しく神としての職務をしているから様子を見に来たのよ。
しかも、今回は結構長めじゃない?」
「ん? あぁ…まぁ、そうだな。
俺の所まで流れて来る者達は若者であろうと、それは汚れものの魂ばかりだからな。
最初の頃は馬鹿正直に真面目に使命を全うしてあれやこれやと頑張ってきたが…
結果は見るまでもなく没落した結果だ。
……それが続いて、神としての職務が嫌気がさしてきた所で、だ。
面白い
久しぶりにど真面目にお仕事をしているって話さ。」
「ふーん、そんな珍しいってどんなのよ?
……って、確かこの子ってあのド汚い魂の子じゃない?」
「そう。ここに来るまでに選別してる者達からも見るに耐えないと直ぐにクーリングしようとしたあの魂さ。」
「アンタ、よくそんな汚いのに救い方を差し伸べるわね。
いかに清廉な私でも一目でポイしたやつなのに。」
「…」
「……随分と楽しそうに見たんじゃない。
って、この子に与えた『
この前話題になった貴重な代物で生み出したのじゃない!?」
「そうだが? 面白いから大盤振る舞いで頑張った。」
「あ、アンタ…よくそんな貴重な特権を使ったわね。
特権は私達『神』の評判を上げるための、言わばプレミアムチケットじゃない!!」
「…別に良いだろ? お前が損する訳でもないんだ。
俺の物をどう扱おうが俺の勝手だ。」
「別に、アンタの勝手だけど…
そんなに期待してるの? 成果が出てるの?」
「出てるぞ? 見てみろよ、俺の評価。」
「んー………っ!? ちょっ、ちょっとアンタ何よこの数値!!
どうやったらあんな汚物に近い魂の子からこんな高得点を出せるのよ!?」
「はっはっは! キミとは見る目が違うのだよ!
キミの見る目は私から見ても無さすぎる!
それ所か哀れみすら感じるレベルだからね!
私よりも永くから仕事してるくせに碌に高評価を出せてない残念な先輩?」
「むきぃぃぃいいいい!!!
何よ! アンタは生意気すぎなのよ!!
同期の
ふんっ!! アンタのそのお気に入りなんてね、どうせその内死んじゃうんだからね!!
その時は盛大に笑ってやるんだからあぁぁあああ!!」
そう言って涙目で大声を上げて逃げ出すのは美しい水色の髪を持つ美女…
「……やれやれ、先輩殿を敬うイかれた信教者にこの場面を知られれば、如何に『戦を司る神』である私も…
傷つく事制圧出来るが、面倒くささで逃げ出すだろうね。
アナタの信者達は良くも悪くも狂気レベルで敬い崇めてるからね。
世間にまで迷惑をかけておきながら、それを良しとし、愛情を注ぐその精神だけはまさしく『水を司る女神』“アクア”、か。
そこに痺れも憧れもしないが…ま、最低限後輩として敬意は向けているのだがねぇ。」
カッカッカ!と、笑うのは『戦を司る神』“アレス”。
只野真人を自身の管轄内である廃れ切った『オワコンの世界』に転生させた張本人。
「さて……暫くは目立った出来事は無さそうだし、先輩殿のご機嫌取りにでも向かうか?」
神は立ち上がる…と───
「あぁ、そう言えば…『
彼は何やら物騒な事をやらかしそうだから見ない様にしてるんだよねー。
私は
……ま、良いや。彼の結末や世界がどうなろうと、私は一向に構わない。
───何せ、神は気まぐれにして我儘の権化、だからね。」
◆◆◆
「ズズ……ふぅ。」
紅茶を啜って一息を吐く謎の人物。
「んー……この紅茶、中々美味しいじゃないか。
もしかして、コレって───」
「はい、ミツゴシ産の紅茶になります。」
謎の人物の問いに、執事が答えた。
「へぇー……今流行りで有名な『ミツゴシ』だね。
スーツやチョコレートというとんでもない代物で激進し、今やミツゴシという名を知らぬ者なんていないとされる…
そりゃ流行るよねー。
こんな時代遅れの世界に
オマケに味も良い。」
「…はい。」
「ふふ…いずれ戦うだろう相手を褒める事が気に入らないかい?」
「…そんな事はございません。
アナタ様が成されることは全て正しいですから。」
「ははは、それは嬉しい事だねー。
なーに、問題無いさ。
この美味しい紅茶を作る技術も、彼等…いや、彼女等というべきか。
兎も角、シャドウガーデンの全部ぜーんぶを戴くんだから、実質僕の物になる訳!
だから僕を褒めると思っておけばいいのさ!」
「成程、そういう事でしたら納得出来ます。」
「ふふん、そうでしょう?」
謎の人物…片方の目元に何かのマークが特徴の白髪の男は好物であるマシュマロを口に咥え、愉快そうにしていた。
「むぐむぐ…とは言えだ。
現状の僕等はたった2人だけだから、やれる事は限られている。
だから、予定通り教団側にコンタクトを取っといて。」
「はい、お任せを。」
そう言って執事服の男…いや、服装によって男にも見えるが、その顔つきはどちらかといえば女性の者だった。
その者は一礼して、部屋を後にした。
「フフッ、現状を考えて教団側はこの世界の特権を有している。
取り憑くのなら迷う事無くこっちだね。
シャドウガーデンは立場を考えれば争う術としては妥当と言えば妥当なのだけど、逆に言えば自分達は只者では無いと強調していると言える。
僕の様な者からすれば、一瞬で彼女達を叩き潰すのだけど…
しかも、派閥争いを止める事無く放置している事からして、教団側の転生者はシャドウガーデンの技術を理解してないと見える。
そこを考慮すると……研究者、なのかな?
機械技術には強いけど、生活文化自体には一切の理解の無い根からのマッドサイエンティストと言った所なんだろうね。」
男は長い考察の後、紅茶を再度口にして愉快そうに笑う。
「…さて、シャドウガーデンという如何にも厨二溢れる組織。
それを束ねる者『シャドウ』…フフッ、キミは実に愚かだね。
力はそれなりに有るみたいだけど、ミツゴシの動きから慎重に動くという考えが足りてない。
恐るに足らない相手だ、早めに全てを奪い尽くしてあげるから、精々束の間の幸福を謳歌すると良いさ。」
男は嘲笑う。
彼のイメージではシャドウは自分と同じ転生者でありながらも、現代の知識でマウントを取る小物としか見ていなかった。
◆◆◆
───私は、私達は強くならなければならない。
長い髪を靡かせ、手元の資料を見ながら彼女は思った。
そこに記述されている内容はディアボロス教団が犯してきた内容と粛清した人数、そして…ガーデンの一員の犠牲者リストだった。
彼女達は強い。
…だが、相手もまた油断ならない存在。
この世界の全てを掌握している闇の組織…ディアボロス教団。
魔人ディアボロスの復活を目論み、暗躍している彼等は各国の強力な権力を駆使し、裏で非合法な実験などを行なっている。
中では、人為的に兵器という名の怪物を生み出している事も調査で判明している。
「……それも、このミドガル王国で行われている。
その実権を握っているのは、『フェンリル』。
ラウンズの中で古くから教団を支えている厄介な相手。」
彼女は目を細めながらフェンリルと呼ばれる者を憎む様に紙を睨みついていた。
「落ち着いて下さい。その様なお姿をしてはあの方に笑われてしまいますよ。」
短い銀髪の女性エルフが淹れたての紅茶を側に置く。
「そうね……彼の前で、端ない事はしてはならないわね。」
「ええ、その通りかと。」
2人の女性が軽く笑う。
「そのお気持ちはご理解出来ます。
しかし、我等の主はもう一方おられるのですよ?」
2人の会話にもう1人、長い藍髪の女性が優雅に歩み寄る。
「ぺぎゃっ!?」
……が、その女性は足を掬い顔面からダイブしたかの様に転ぶ。
因みに、足元には何も無い。
「…はぁ、相変わらずですね。
それと、言われなくても分かっています。
あの方も、偉大なるお方にお変わりありませんので。」
「ええ、そうよ。」
「……うぅ、どうして私は昔から何も無いところで転ぶのでしょう…?」
「それを私達に問われても…。」
転んだせいで鼻血を流し、それをハンカチで抑えながらヨロヨロと立ち上がる彼女に溜め息を吐く。
「何の音かと思ったけど…相変わらずね。」
「鈍臭くてドジなのですぅ!」
更に2人の女性が入って来る。
片方は長い水色髪の女性エルフと黒髪の女性獣人。
「そう言わないであげて下さい。
結構気にしている様ですから。」
「鈍臭いのは鈍臭いのですぅ!」
「こらこら、その辺にしなさい。」
ヨロヨロとしている体を支える者と馬鹿にする者。
そして更に、大きなスパナを引きずりながらやって来る者。
「……工事、終わった。
後、さっき……大きな音が聞こえたけど、また何か壊れたの?」
そこには長い赤紫髪のエルフが眠たそうに立っていた。
「いいえ、いつもの事よ。」
「……なんだ、また?
…治して、あげようか? 勿論───」
「お断りです!
経費を上げる事も、実験にされるのも御免だわ!」
「……まだ、何も言ってないのに……チッ!」
「舌打ちしてるじゃない!!」
ギャーギャーと賑やかな空間となった。
「ふふっ、いつもの光景ね。
後は───」
「当然、私はとっくにいるよ。」
応えるように手を上げる、ソファに座る白金髪の女性獣人。
そして姿を見て微笑む長い髪を靡かせていた金髪の女性エルフ。
「チッ……もう帰って来たのです、メス猫。」
「バカ犬こそいたんだ。」
2人の獣人が火花を散らす様に睨み合う。
それを見ている金髪エルフは溜め息を漏らした。
「おっと、バカ犬の相手なんてしていられなかった。
例の件でガーデンの一員がやられたそうだね。」
「こらメス猫無視するな!」
「どうどうワンちゃん。コレでも食べていい子にしてなよ。」
白金の獣人は買い物らしき物を投げ、それが干し肉に見えて食べる黒髪獣人。
……因みに、その干し肉には痺れる薬草が鼻の効く者にも気づかれない量だが塗り込まれていたせいで、涙目で踠き蹲っていた。
「…耳が早いわね。ええ、このミドガルを管轄しているロキの足取りを追っていたメンバーが今朝……やられていたのを発見したわ。」
『!?』
「敵も、私達の存在をかなり警戒し始めてきた様だね。
ここ最近までは私達に軍配があった方だけど、ここからはどうなるか分からなくなってきたね。」
「ええ、だからここからは更に油断せずに行動を取るべき。
皆で連携し合って行動をとりましょう。」
その一言で頷き合う。
「(……アルファはそう言うけど、ここ最近の近況を報告してないって聞いてるから、正直不安で一杯…
ま、でも問題は無い。
───私がいるからね。そうでしょ? ユノ。)」
心の中で呟きながら、白金の獣人…ゼータは窓から暗い夜を照らす星々を見て、その中で一皮強い輝きを放つ大きめの星を見て、口角を上げた。
・謎の人物である白髪の男については後々分かるとだけ。
容姿について…モチーフにしているキャラは決定してます。
・さて、次回から漸く本編に入ります。
とりあえず入学編は構築出来ているので、どうなるのかご期待ください。
頑張って面白く出来るように頑張ります。
では───次回予告を、どうぞ。
闇に紛れるディボロス教団、そしてそこに干渉する謎の者。
敵に立ち向かう影使いと陰の実力者と慕う者達…
彼等に待ち受ける結末は如何に…!?
次回、『ミドガル王国』。
二年が経った影と慕う者達との再会のお話。