陰と影の実力者   作:黒ソニア

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ひっさしぶりの戦闘だぁ…!
色々とツッコミ所とかあるかもしれませんが、それらの解説は次回かその次にやるかと思います。


アップルプルプル様、センレン様
評価ありがとうございます。
お陰様で更にこの作品に対しての意欲が高まりました。




第24影:『陰の実力者』

 

 

 

「はぁ…!!」

 

 

ユノが地を蹴って勢いよくゼノンへと特攻する。

 

 

「甘いな!!」

 

 

その行動にゼノンは小馬鹿にする態度で斬り返すが…ユノはその攻撃を素早く躱して背後に回り、剣を振るう。

 

 

「ぐあ…!! このぉ!!」

 

 

ゼノンが一撃を受けて反撃に出る。

ユノはそれを受け流し、ゼノンに更に傷を負わせる。

 

 

「ちぃ…!!」

 

 

次の攻撃も、その次の攻撃も…ユノは剣で受け、そこから流して次に力強い一撃を与える。

 

 

「くぅ…!!」

 

 

ゼノンは思わぬ結果に眉間にシワを寄せユノを睨む。

 

 

「……相手の攻撃を剣で受け流し、そこから渾身の一撃を放ってる…?」

 

 

そう、アレクシアの言った通り、ユノの剣は日々地道に積み重ねている剣技で受け、そこから魔力を乗せた力強い剣で攻撃を放っているのだ。

 

ユノは分析しているアレクシアの元まで一旦下がり、語る。

 

 

「あの時、全てを伝えきれなかったから今言う。

俺の目指している…強いと思ってる剣は豪快な剣に日々の研鑽した剣技の二つを合わせたモノだ。

片方を極めても、それは中途半端だ。

本当の剣はその二つを極め、一つに集約された剣…それが、理想の剣である『最強の剣』だ!」

 

 

「二つの剣を重ねた…それが、理想の…最強の剣…!」

 

 

この時、アレクシアは理解した。

自分が周りから貶され、馬鹿にされた剣に…何故嫉妬していたのかを…。

それはアレクシアがアイリスの様な豪快な一撃を持つ魔力を()()扱えていないからだ。

そして…ユノと自分が似ていない様で似ているという事に気づく。

互いが互いの持っていないモノを求め、努力しているって事を。

 

彼はそれを理解して日々精進して、自分はそれを気づかずに自分を否定していたという事に…アレクシアは恥ずかしくなった。

 

だが、自分が目指すべき本当の目標を知った彼女は───

 

 

「調子こくなよ……養子の分際で…!!

田舎貴族の剣が、次期ラウンズの私に勝ったと思うなぁ!!」

 

 

ゼノンは本気の一撃をユノにへと放とうとする。

 

しかし、ユノは落ち着いてその攻撃を躱し…。

 

 

「な、何処だ!? 何処から攻撃してくる!?」

 

 

彼等のいる場所は下水道。

ユノは狭いこの場所を利用し、魔力を全身に強化していたのは攻撃を受け流す為だけで無く、この手段を取る事を予め考えていたからである。

 

ビュンビュンと、天井や壁、床を蹴る音を鳴り響かせながら立体的に移動してゼノンを動揺させて…隙を狙って渾身の一撃と剣技を合わせた必殺の一撃を放つ。

 

剣を両面にカツンカツンと地に当てて鳴らし…一度の一撃に()()()を放つ、ユノの剣の奥義『三連斬り』をゼノンに喰らわせた。

 

 

「ぐぁぁぁああああ!!!」

 

 

ゼノンはユノの奥義を受けて離れた壁に叩きつけられた。

 

 

「…凄い。今のは…!」

 

 

「はぁ……はぁ………っ、今のが……俺の…最大の奥義さ……何、最強の、剣とか……言ってるんだ……一つくらいカッコいい必殺技があっても…良いだろう?」

 

 

「……ええ、今のアナタはもしかすると、アイリスお姉様に匹敵するかもね。」

 

 

「はぁっ………そいつは、嬉しいかな。

ただ………この技をやると、反動でこうなるんだ。

だから……一撃必殺の奥義なのさ。」

 

 

そう…ユノはシドの様にモブとして立ち振るう気は無い。

それはカゲノー家の家族に期待に応えたいという思いがあるから。

その為にも、日々剣の鍛錬をしており、その末…ただのユノ自身にこの技術を体得出来たのである。

 

ユノが勝ったと……アレクシアは確信し、ユノ肩を持って立ちあがろうとすると───

 

 

「……逃が、さん…!!」

 

 

ゼノンがフラフラとしながらコチラへと歩み寄る。

 

 

「…まだ戦えるのね。でも、その傷なら私でも…!」

 

 

「…待つんだ、アレクシア。」

 

 

ユノがアレクシアを庇う様に止める。

ゼノンは次第に薄気味悪い笑みを浮かべてユノを見た。

 

 

「……認めてやろう。お前みたいな奴に()()()を使う事は無いと思っていたが……見せてやる、私の本当の力を…!

コイツを御する事の出来る者こそ…真のラウンズだぁ!!」

 

 

ゼノンは懐から赤い錠剤の入った瓶を取り出した。

 

 

(…やはり持っていたか。以前戦ったセルゲイが口にした代物とは異なって効果は弱めに見えるが…!)

 

 

ゼノンは瓶を開けて一気に呷る。するとゼノンの魔力が爆発的に上昇した。

 

 

「うぉぉぉおおお!!!

これだ!! これが私の力だぁぁああ!!」

 

 

ゼノンの姿が、過去に戦った男…オルバを思い出した。

彼と同様に魔力が底上げし、筋肉が膨張して一回り大きくなった。

 

 

「なんて……魔力なの…!?」

 

 

(見た目に大きな変化……セルゲイはあくまでも錠剤を口にし、マラクの肉を食らって変化したが……奴はあの錠剤で大幅な変化をした。

魔力は無駄に荒く、筋肉が無理に膨張…あの状態では長くない。

恐らく、コイツが飲んだ錠剤は───()()()。)

 

 

ユノはアレクシアと違って冷静に分析して……ゼノンの捨てた瓶を密かに『影』で回収した。

 

 

「ふははっ! どうだ!! これが私だ!!

覚醒した私の、真の力だ!!」

 

 

「……筋肉ムキムキになったのは飾りじゃないと、いいな。」

 

 

「ユノくん……アレと戦う気?」

 

 

「戦わないと、死ぬだろう?

(とは言え、本気で戦えない以上はスタンバイしているアイツの力が必要だな。)」

 

 

ユノは『影』を通して、後ろ先にいるシド…シャドウに出番だと連絡を入れた。

 

 

「さて……終わりにしてやる…!」

 

 

ゼノンがユノに目掛けて一瞬で移動し、剣を振り下ろす。

 

ユノはアレクシアを突き離し、剣で攻撃を受け止めるが……当然、スライムスーツも展開しておらず、呪力も影の能力も使っていない為に今のユノにはゼノンを倒すのには分が悪すぎる。

 

ユノは剣で防御するも、吹き飛ばされた。

剣はヒビ割れ、ユノの体は衝撃を受けてボロボロであった。

 

 

(……こいつは不味いな。

『三連斬』によって体にかなり負担が来てしまっている。

やはり、スライムスーツ無しでのこの技は一度きりの諸刃の剣。

アイツがいるからって、調子こき過ぎた…。

けど、もうアイツがやって来る───)

 

 

ユノは感知でシャドウの様子を直様読み取る。

シャドウはゆっくりと…カツンカツンと、強者キャラっぽく演じる為にまだ距離があった。

 

 

(早よこいや馬鹿たれがぁ!!)

 

 

「もう立つのも辛いだろう?

今楽にしてやる…!」

 

 

(あ、クソ…!!)

 

 

ユノは再び魔力を帯びた強力な一撃を剣で受け止める。

しかしその際、剣は砕かれ…ユノは耐えた衝撃などが重なって、天井や床にバウンドして大怪我を負った。

 

 

「ユノくん…!!」

 

 

「大……丈夫、だ…。

(あのクソ馬鹿厨二病狂人ポチィィッ!!

お前のせいで余計なダメージが入ってしんどいだろうが…!!)」

 

 

ユノが痛みに耐えながら、心の中で怒りを露わにしている間にも、ゼノンは魔力を再び放出しながら襲い掛かろうとして来る。

 

 

「これでトドメにしてやる…!

うおぉぉぉおおお!!!」

 

 

ゼノンが雄叫びを上げていると…カツンカツンとアレクシア達にも聞こえる程に音が響いて来た。

 

 

「な、何だ…!?」

 

 

(ようやくかよ…。)

 

 

アレクシアとゼノンは足音のする方へと視線を奪われ、ユノは呆れ顔をしていた。

 

暗闇の先から漆黒の衣を纏った男が現れる。

顔はフードで隠され、全く素性が見えないが…その圧倒的な存在感。

その正体は───

 

 

「我が名はシャドウ。陰に潜み、陰を狩る者…!!」

 

 

そう、我らがイカれ狂人にして永遠の厨二びょ───ゲフンゲフンッ!

 

最強を目指している陰の実力者:シャドウであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

地上では突如出現した怪物がミドガルの街を蹂躙していた。

 

この国の魔剣士であるアレクシアの姉…アイリス達は必死にその怪物を相手にしていたものの、斬っても斬っても再生し続ける怪物に苦戦していた。

 

その最中、アルファと名乗る謎のスーツを着込んだ者が乱入し、怪物を一撃で仕留め、アイリス達に───

 

 

『観客は観客らしく、舞台を眺めて満足していなさい。』

 

 

と告げて、この場を後にする。

 

 

「くぅ…!!」

 

 

……アルファは余計な種をまいてしまったのだ。

 

 

その様子を遠くから見下ろしていた全身をローブで身を包んでいた者がいた。

 

 

「……これは好都合。」

 

 

悔しそうにしているアイリスを見て…声からして軽く笑っているであろうその者に───二つの攻撃が襲った。

 

 

「…!?」

 

 

ローブの者は攻撃を察知して素早く回避した。

 

 

「へぇ……結構やるようだ。」

 

 

攻撃をしたのはゼータと【玉犬】。

ゼータはフェイカーの時のユノの様に仮面をつけており、素顔を見せない様にしていたが…全力では無いが、本気で斬り殺そうとした足の部分のスライムを剣にして放った攻撃を躱されて眉をしかめていた。

 

 

「見事です。私でなければ殺せていたでしょうね。」

 

 

「お前がフェンリルか?」

 

 

「ほう……その名まで漏れていましたか。

残念ですが、私はフェンリルではありません。」

 

 

(……嘘、では無いね。多分本当の事だ。

確証は無いけど、これまでの経験からして分かる。

それは良い…問題はコイツの実力だ。)

 

 

ゼータは魔力感知をしながら謎のフードを見つめる。

 

 

(読み取れない。ユノから直接伝授されたこの私が…?

……落ち着くんだ、相手がそれだけの強者って事。

ユノが警戒していた訳だ…!)

 

 

「見事な魔力感知…といった所ですかね。

(にしては妙だ…バレる様な失態は犯していないし、この者がそこまでの技量を持ち合わせている様には見えない…。

となれば、必然的にあの狼か。)」

 

 

「……驚いた。感知されていた事さえ気づかれていたなんて。」

 

 

「お互い様でしょう。アナタも私を警戒して力を更に抑え込んでいる。

その実力からして……シャドウガーデンの幹部といった所でしょう。」

 

 

「そう言うアンタはフェンリルとは異なるラウンズって事で良いんだよね?」

 

 

「どうでしょう。」

 

 

互いに探り探りの会話をしていると、雨が降り出す。

雨の音が鳴り響く頃になって───

 

 

「フッ!」

 

 

再びゼータが動き始めた。

 

 

「───《嵐脚》!」

 

 

凄まじい斬撃を飛ばす。

その攻撃を咄嗟に真っ赤な剣で防御する。

 

 

(…! 真っ赤な剣…まるで血の剣、吸血鬼が扱うとされる代物なのか?)

 

 

(驚きました……この私が防御しないと不味いと思わせるとは…。

これがシャドウガーデン、『七陰:第六席』の実力…!)

 

 

フードの者はゼータの正体に最初から気づいていた。

その理由は───

 

 

「…ぐっ!?」

 

 

フードの者に鋭い一撃を受ける。

直ぐに攻撃をされた方に剣を振るうと、そこにいたのはゼータと共にいた【玉犬】が爪を呪力で纏っていた爪でガードしていた。

 

 

「うっ…!?(この狼の存在感気がつかなかった…?

この私が…? それも気掛かりだが、あの黒いオーラは一体なんだ?)」

 

 

「ちっ…!(攻撃を受けても服の部分しか見えなかった。

存在を隠す事に徹底しているし、並の1stチルドレンの動きを遥かに凌駕している事からラウンズクラスなのは確実。

なのに……何故、未だに戦いに徹しない?)」

 

 

互いに読み合う中……フードの者は真っ赤な剣を解いた。

 

 

「……これ以上の詮索は互いに止しましょう。

では、私はこれにて。」

 

 

「逃すと───」

 

 

ゼータが逃すまいと追撃しようとすると……背後から蝙蝠達が襲いかかる。

その蝙蝠達は全身に真っ赤な魔力を纏っており、見るまでも無く危険だと判断して、ゼータは距離をとる。

しかし、蝙蝠は高速で突撃して来て、ゼータは危機に陥る。

 

 

「───《紙絵》!」

 

 

ゼータは全身の力を抜いて、ペラペラと紙のようになって躱す。

全ての攻撃を紙一重に躱している事で、蝙蝠の真っ赤な魔力にも触れずにいた。

蝙蝠の真っ赤な魔力に被弾した建物は瞬く間に完全に分解される様に塵一つ残らずに消えた。

 

 

「危ない危ない…!

やっぱり危険な魔力だったか…!」

 

 

「お見事。しかし…。」

 

 

「…!? ぐぁあ…!!」

 

 

突如、ゼータの全身が熱くなって内部から攻撃され、倒れ込んだ。

 

 

「何…この…熱は…!?」

 

 

「アナタがいけないのですよ?

止めましょうと告げたのにも関わらず、攻撃してきたのですから。

ですが…フフ、思いにもよらない手柄…。」

 

 

フードの者が倒れ込んだゼータに手を伸ばすと───

【玉犬】が呪力を最大限に纏い、フードの者に鋭い攻撃をして来た。

 

 

「防御です!」

 

 

フードの者を守る様に立ち塞がる真っ赤な魔力を展開して障壁を生み出す。

しかし、【玉犬】の呪力の攻撃は真っ赤な魔力を無力化する様に貫いた。

 

 

「…!? 何なんだ、その力は!?」

 

 

「(成程…いかに強力な魔力も呪力の特性には及ばない。)ならば……!!」

 

 

ゼータは体を無理矢理酷使して起こし…体に宿っているユノの力と自身の魔力を合わさった───『電撃の魔力』を手刀にして集中して放つ!

 

 

「───《雷切》!」

 

 

その突きによる一撃は凄まじく、彼女の攻撃に呼応する様に雷が落ちる。

雷と呼応した一撃によって、フードの者は全身を雷に打たれたのと同等のダメージを負った。

 

 

「ぅぁ……がぁ……くぅっ…!!」

 

 

「はぁ……はぁ……どうだっ!」

 

 

「………予想外、でした。

これ程の実力を隠していたとは…最初から、本気で対処すべきでした。

認めましょう…アナタは強い!」

 

 

フードの者はゼータでも視認できなかった速度で距離をとった。

 

 

「!?(この私が…目で追えなかった!?)」

 

 

「とは言え、コチラにはコチラの事情がありまして…今日はこの辺にさせていただきます。

さよなら───シャドウガーデン『七陰:第六席』のゼータ殿。」

 

 

「!? ま、待て!!」

 

 

ゼータが声を掛けると同時にフードの者は真っ赤な霧を生み出して、この場から離れた。

 

 

「………感知でも追いきれない程、遠くに逃げたか。

不覚だった……【玉犬】がいたのに、捕獲どころか仕留めれなかった…!!」

 

 

ゼータは仮面越しからでも分かる苦渋の顔を浮かべていると…【玉犬】がぺろぺろと《雷切》で焼けた手を舐めていた。

 

 

「ふふ…紳士だね。主のフェイカーと同じだ。」

 

 

【玉犬】は軽く吠えると…力を使い果たした様に消えた。

 

 

「……さて、向こうはどうなったかな?」

 

 

ゼータがユノ達がいる方角へ目を向けると……その周辺の建物が震えだした。

 

 

「あー……これは余計にやってくれた感じだね。

これが私達のせいにされたら、教団と変わらない…いや、表に明るみにされてる分、コッチが悪くなるじゃないか。

シャドウにも困ったもんだよ。」

 

 

ゼータは文句を溢してこの場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

「シャドウ、だと…?」

 

 

ゼノンはシャドウを睨みつける。

 

 

「シャドウ…?」

 

 

(おせーよ、馬鹿ポチ…!)

 

 

悠長にしているシャドウに対し、ユノは気づかれない様に文句を心に溢す。

 

 

「あぁ…教団に噛みついている野良犬か…!

小規模拠点を潰して、いい気になっている様だが…キミ達が潰した拠点には主力は一つも無い。

ただ雑魚を狙っている小物集団って訳だ…!」

 

 

ゼノンが淡々と解説している最中…シャドウは沈黙していた。

アレクシアがその事に疑問を抱き、ユノは…。

 

 

(早く…! 僕の存在をアピールしてよ、ユノ!)

 

 

「(ほんっっっと、コイツって自分勝手だなぁ…。

【玉犬】が戦いを始めたっぽいし……はぁ───)

あ、アレは…!!」

 

 

「ユノくん…何か知っているの…!?」

 

 

「………俺が、剣の真髄……理想の、剣を知った理由だよ。

あの男の剣技…そして、圧倒的なパワー。

その両方を兼ね備えた…最強の、剣…。」

 

 

「…!?」

 

 

(良いよ良いよぉ! ギャラリーが少ないのがアレだけど、演出自体は悪くない…!)

 

 

ユノの苦し紛れの演説(?)によって、シャドウの存在をアピールする。

結果は成功しており、アレクシアは「彼が!?」見たいな顔をし、ゼノンは───

 

 

「はっ! 何が最強の剣だぁ!!

そんなもの、私の力で否定してやろう!!」

 

 

ゼノンがシャドウに斬りかかる。

しかしシャドウはその攻撃を正面から受け止める。

 

 

「何!?」

 

 

「…醜いな。」

 

 

シャドウはそう呟いて、ゼノンを剣で圧倒し始めた。

 

 

「…アレは、私の……追い求めていた、理想の…剣…!」

 

 

アレクシアもシャドウの剣に目を奪われていた。

彼女の認識がユノ、そして…シャドウによって改めて変わったのだ。

 

 

「ぐはっ…!! くっ……!!

お前は何なんだ…!!

その力はなんだ…!!

それ程の力がありながら、何故正体を隠す!!」

 

 

「我はシャドウ。

そして、我等はシャドウガーデン。

陰に潜み、陰を狩る者。

我等はただ、それだけの為にある。」

 

 

「シャドウ…シャドウガーデン…?

一体、何? 何がどうなっているの…?」

 

 

アレクシアは分からない事で頭が一杯になっていた。

 

 

(その反応が普通なんだよな…。

んで、コイツは適当にそれっぽく言っているだけで、自分が適当に語った設定が実際にあるだなんて、知らないんだよな…。

教えても、「何それ?」とか、「ノリ良いよね!」とかで終わっちゃうんだよなぁ…。)

 

 

ユノが心中で悟っていると、ゼノンはシャドウに対して激しい攻撃を繰り出す。

 

 

「認めん…! 私は、次期ラウンズになる男だ!

最強の力を持つに相応しい者だ!

この力を持ってして…貴様を倒す!」

 

 

更に地に落ちていた一粒の錠剤を見つけて口にし……更に異形の姿にへと変貌し、最早人としての原形をとどめていない程の怪物に成り果てた。

 

 

「見ろぉ! これが最強だぁぁああ!!!」

 

 

ゼノンが異形の怪物になる中…シャドウは怒りを露わにして、殴った。

 

 

「ごはっ…!」

 

 

「それが最強だと?」

 

 

「ぐほっ! がぁっ!」

 

 

「借り物の力で最強に至る道は、無い!」

 

 

シャドウはゼノンを殴り、蹴り飛ばす。

そして…魔力を解放して、ゼノン達を青紫の光の空間にへと誘う。

 

 

「…!! 不味い!!」

 

 

ユノはシャドウが『アトミック』を使う事を察して、アレクシアを急遽抱き上げて、青紫の光の空間から距離を取る。

 

 

「ど、どうしたの!?」

 

 

「感じないのか…? 生命の危機ってやつを!

(アイツ…! 作戦を説明している時に、あれ程被害を出す行為はするなと何度も言っといたのに…!

こんのぉ……馬鹿がぁぁああ!!)」

 

 

ユノが必死こいて距離を取り続ける中…凄まじい光がユノ達を包み込んだ。

 

シャドウが『アトミック』を放ったのだ。

 

これにより、当然ゼノンは跡形も無く、塵も残さずに蒸発した。

それだけで無く、青紫の魔力は地を貫き、天先まで貫いた。

 

彼の『アトミック』により、ミドガル王国には街一つ消し飛ばした大穴が出来上がったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

アレクシアは凄まじい光が収まって少し経って目を覚ました。

 

 

「……私、生きてる?」

 

 

自身が本当に生きているのかを確認しながら、光が起こった方へと歩き出す。

 

 

「……何よ、コレ……これが、シャドウ…彼の、力だというの?」

 

 

アレクシアは目の前の光景に絶句する。

巨大な大穴……地上にまで影響を及ぼした光の大爆発によって生まれた跡地。

 

そして……彼女の足元にはひび割れていた剣が落ちており、アレクシアはそれを拾い上げ、構え…振るった。

 

力強く、精錬された剣技を…この大穴を生み出した人物が振るった剣を連想して。

 

 

「アレクシア! アレクシア!」

 

 

そんな中、自身の名を呼びかける…姉の声に反応する。

アレクシアを見つけたアイリスはアレクシアを強く抱きしめた。

 

 

「お、お姉様…!」

 

 

「良かった…アレクシア…!」

 

 

「…」

 

 

アレクシアが抱きしめられている中……ユノはアレクシアに被害が及ばない為に庇っていたので、全身に大怪我を負っていた。

ユノがアレクシアとアイリスの近くまで流されて…ようやくアレクシアは気がついた。

 

 

(………アイツ、ブチ殺す…!!)

 

 

 

 

 

ユノがアイリス達に保護され、手当を受けた後…痛む身体を引きずりながら寮へと帰ると、ボケーっとしながら立っていたシドの存在に気がついた。

 

 

「…!!」

 

 

「あ、ユノ。何処に行ってたの?」

 

 

「………お前のせいで………こうなったんだよぉ!!」

 

 

ユノは怒りのこもった全力のアッパーパンチをシドにお見舞いした。

 

 

 






あれ……ゼータの活躍戦って今回が初?
彼女が雷…もとい電撃を扱う事は事前に決めていたんだけど、その詳細については後々語るとします。
あ、何故『千鳥』じゃなくて『雷切』なのかについては、ただゼータはその方がピッタリかなって…千鳥って扱うなら何となくユノかなーって理由でゼータには『雷切』にしました。


『三連斬』
イメージはFGOの佐々木小次郎の宝具『燕返し』。
剣を地面に二回…表裏に回して剣を瞬時に放てる動きをし、魔力も同時に込める事で一度の攻撃に二回分の斬撃を放てる…が、荒技でもあらため、体に反動が出る。

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