陰と影の実力者   作:黒ソニア

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前回のお話がランキングに載り、いいねと評価も増えて凄く嬉しかったです。
……その分、今回の話が上手く面白く出来ているか、ちょっと不安。


アルト・ゼロ様
評価ありがとうございます。
お陰様で更にこの作品に対しての意欲が高まりました。




第25影:『戻る日常』

 

 

 

「ただ今帰還致しました。」

 

 

扉を開け、主の元へ駆け付けるフードの者…バゼル。

 

 

「やぁ、お帰り。バゼルちゃん。」

 

 

それを暖かな顔で迎えるバベルの主人。

 

 

「どうだった…? シャドウガーデンは。」

 

 

「………それについて、ご報告が…。」

 

 

バゼルは主人に事の詳細を全て告げた。

その話を聞き、バゼルの主人は特に気にする事なく話しかける。

 

 

「成程ね……話は分かった。

元々、様子だけ見て帰還するつもりが、向こうから仕掛けて来たとは言え、『能力』を使用した挙句にやり返されてしまい、捕えれなかったから罰を受けたい、と?」

 

 

「はい。アナタ様の命に反した行動の数々…到底許されない筈です。

何なりと、わたくしめに罰を与えに…。」

 

 

「んー…別に良いよ。」

 

 

「え…?」

 

 

バゼルの主人は特に気にしてなさそうにしていた。

 

 

「確かに、コチラの手数を見せてしまったのは手痛いけどさ、何もコチラだけの話じゃないじゃん?

あっちだって、それなりの手数を見せてくれたじゃないか。

一つ目は…本気じゃなかったとはいえ、キミを傷つけた『電撃』を操ったという力。

この世界に『魔法』と呼ばれる概念は無いはずなのに、魔力を通して使ったんだろう?

それも、アーティファクトを使った形跡も無かったと。」

 

 

「はい。魔力感知でハッキリと見極めました。

間違いございません。」

 

 

「ならば大きい手柄じゃないか。

その技術は紛れもなく、相手の奥の手であるのは間違いない。

だって、キミが本気で戦えば勝てたのは間違いないんだろう?」

 

 

「はい。」

 

 

「ならば、その第六席ちゃんはもう相手にはならない。

そう断言出来たんだ、お手柄だよ。

そして、以前得た情報では『七陰』と称される者達に実力の大きな差は無いと…この情報とキミの得た情報で計画がスムーズに運べそうだよ。」

 

 

「ありがとうございます。」

 

 

「それから二つ目に、謎の狼くんの存在にその力、だよね。

魔力とは異なる力を有していたんだよね?」

 

 

「はい。これまで目にしてきた力は少なからず、魔力を経由してのものでしかありませんでした。

…しかし、あの狼だけは違いました。

まるで、この世界とは異なる力なのかと…

魔力感知で攻撃もどこに潜んでいたのかも読めませんでした。」

 

 

バゼルが狼に関しての評価を語り…

 

 

「一方で、彼女が私の実力を抑えている事に気づいたものの、読み取れなかった事から、私の存在に気づいたのは狼の方だと断定します。」

 

 

「……ふむ。そうか。」

 

 

バゼルの主人は狼の話を聞き、神妙な顔になった。

 

 

「…………まさか、ね。」

 

 

「いかがなさないましたか?」

 

 

「いや、何……もしかして、と思っただけさ。

その魔力と異なる力はどの様なものだった?」

 

 

「黒い炎……といいますか、あれはまるで()()と言うべきかもしれません。」

 

 

「黒い……呪い……まさしく、それそのものの可能性…いや、もうそれだと答えを示している様なものじゃないか。

呪いの様に見えるのは魔力を通してその様に見えるからかな?

魔力感知に引っ掛からなかったのは…うん、アレが僕の(コレ)と同じ特殊だから、かな?」

 

 

「…?」

 

 

「僕のコレで見れば全てを読み取るんだけど……それは今じゃない。」

 

 

男は立ち上がって、目を覆っていた目隠しを少し上げながら意味ありげな言葉を漏らした。

 

 

「ははっ! 兎に角、お疲れ様バゼルちゃん。

お陰でこれからの動きについて計画通りに進めやすくなった。

彼等との密談先が、()()()になった訳だし、偶然見つけたこの()()()()()()()()を完成させる為にも、彼等とは仲良くしておかないと…ね。」

 

 

懐から、やや大きめの立方体の箱を取り出す。

面には人の目の様なものが付いている不気味な箱であった。

 

 

「そう言えば、あの子との連絡はどうなってるんだい?」

 

 

「今は特には……そう言えば、ここに戻る際に伝達があり、第六席殿に呼ばれたそうです。」

 

 

「大丈夫かなぁ……彼女の支配は僕から見ても完璧だったけど、キミの影響があるからか…何処か敵に対しての殺意ってのが…それが漏れてないか心配だなぁ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

「待たせたね。それじゃ、報告を聞こうか。」

 

 

人気の無い裏路地にて、ゼータが待ち合わせていた人物を見て向き合う。

 

 

「申し訳ございません。自分はあくまでも表向きは特待生の魔剣士である以上、身動きの取れない状況でして…。

大きな成果は特にございません。」

 

 

「それは良いよ。ただ……あの学園の地下には教団の施設、恐らくフェンリル派の……いや、『例のモノ』がある事から本人がいるんだろうね。

その動きなどはどう?」

 

 

「………そうですね。あそこに侵入する経路に関しては今、動きがありました。

教団の息がかかっているであろう魔剣士が何やら手を加え始めてました。

我々が把握していた経路は全て見た事の無い代物で完全封鎖され、捜索が出来ない状態にあります。

恐らく、教団が作り出したアーティファクトなのかと思われます。」

 

 

「………やれやれ、厄介だな。」

 

 

ゼータは険しい顔になって考え始める。

 

 

「………ユノの能力で道を作ってもらう?

いや、駄目だ。ただでさえ、ユノは養子という身分から学園内では冷遇されている。

学園内捜査で、そのアーティファクトの出来次第ではユノの生活に悪影響が出かねない。

それだけは回避しなくてはならない。

やはり、ここは私達で詮索するしかない、ね…。

引き続き、調査を宜しく。」

 

 

「心得ました。」

 

 

「……それから、ユノに悪影響が出ないように手配してくれてる?

私、任務を終え次第に次の任務が来る前にユノの様子を見ているんだけど、全然改善されてないと思うけど?」

 

 

「…恐れながら、あまり無理を言わないでいただけると…。

下手に動くと、私の正体がバレる可能性が…。

私はあくまでもゼータ様達の手も借りて情報を操作し、身分を偽っている身。

教団の息がかかっている者達を完全に把握が出来ていない以上、大人しくしていなければ、逆にサポートが出来なくなります。」

 

 

「……それもそっか。

心苦しいけど、ここは目を瞑るしかない、か…。

兎に角、()()()()()()()()()()の調査はこれまで通りお願い。

進展がある事を期待しているよ───ニーナ。」

 

 

ゼータは待ち合わせていた人物…ニーナにそう告げ、ヒュッとその場から消えた。

 

 

「…」

 

 

ゼータが立ち去った後のニーナはその場でボーッと立ち尽くしていた。

その彼女の顔は無表情…まるで感情が無い様子で、瞳には光が無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

アレクシア誘拐事件から数日…

ユノはアレクシアに呼ばれ、人気の無い場所に足を運んでいた。

 

 

「何だろうな…。」

 

 

そんな疑問を抱いていると、向かっている場所からアレクシアと…シドの声が聞こえ始めた。

 

 

「…何の話をしているんだ?」

 

 

ユノは近くで足を止め、聞き耳を立てる。

 

 

「……もし、アナタで良ければ…今後も友達として構ってあげなくても───」

 

 

「いや、死んでもごめんだね。」

 

 

シドがバッサリと答え、何かをしたんだろう……一拍置くと、剣で何かを斬った音がしてユノは歩き出した。

 

そこでは……アレクシアが頬に青筋を立て、笑顔でシドを見下ろしていた。

 

血塗れのシドの姿や、アレクシアの剣に血がついている事からアレクシアがシドを斬ったのだろう。

普通なら大ごとなのだが……聞き耳を立てた時に聞いた話からして、シドが悪いと直ぐに判断したので落ち着いていたユノだった。

 

 

「あ、あら…! ユ、ユノくん…!?」

 

 

「あー…落ち着いてくれ、大体は察してるから。

シドが原因なんだろう?」

 

 

「え、ええ……ちょっとアナタの気持ちが分かったわ。」

 

 

「それはどうも。ほら…血痕を消さないと。」

 

 

ユノは飲んでいた水筒こ水を魔力を込めた勢いで血痕を流していく。

消した後、残った水で倒れているシドの顔にぶっかける。

 

 

「おら、お前もさっさと起きろ。」

 

 

「……酷くない? 僕被害者だけど。」

 

 

「お前が悪い事したんだ。自業自得だろ。」

 

 

「えー、僕が悪いのー?」

 

 

「少し内容が聞こえたからな…どうせ失礼な態度をとったんだろ。」

 

 

「え? ただ親指を下に向けて断っただけだよ?」

 

 

(やっぱりお前が悪いんじゃないか…。)

 

 

ユノはシドが人の心が無いのでは(?)と、またもや思った。

いや、ある事は理解してはいるが、無いのではと思う場面が多いので、そう思うのは無理ないだろう。

 

 

「ユノー、タオルちょーだい。」

 

 

「お前は少し反省してろ。」

 

 

「えー。」

 

 

ユノはシドを放って教室の方にへと戻って行くと、アレクシアがユノを追って来た。

 

 

「ちょっと、私を置いていくなんて…良い度胸ね。」

 

 

「あ……すまん。つい、いつもの流れで…。」

 

 

「相当ポチはアナタを困らせてるのね…。

まぁ良いわ。」

 

 

「それで要件……の前に一応聞いておきたいんだが、シドとはどんな話をしてたんだ?」

 

 

「あぁ、それね……ほら、一応私達表向きでは恋人同士だったでしょう?」

 

 

「そう言えばそうだったな。んで?」

 

 

「それは解消してあげたけど…ほら、ユノくんと一応アイツのお陰で私は自分の剣に自信がついた訳だから…その……改めて友達になってあげようと言ったのよ、そしたらアイツが…。」

 

 

アレクシアが語る出来事をユノは連想し…顔を顰めた。

 

 

「あぁ、そう言う事だったのか。

改めて悪かったな、ウチの愚兄が迷惑をかけた。」

 

 

「いいわ。アナタに免じて許してあげる。」

 

 

「感謝する。それで、俺の要件は?」

 

 

「…先ずはありがとう。私を助けてくれて。

アナタが来てくれなきゃ、私は今こうして生活していないわ。」

 

 

「別にいいさ、俺は当たり前の事をしただけなんだ。」

 

 

ユノが問い出すと、アレクシアはさっきの態度とは打って変わって不安と期待が入り混じった表情で話し始めた。

 

 

「えっとその……ユノくんは彼女とか、いるの?」

 

 

「いいや? いるはずも無ければ、出来る事もないだろう。」

 

 

「…それは少し言い過ぎじゃないの?

いくら貴族の世界では厳しい養子だからって、無理では無いはずだけど?」

 

 

「あぁ……まぁ、その…なんて言ったら良いんだろう…。

うん…率直に言ってしまえば───俺は『恋』や『愛』というのが()()()()。」

 

 

「…え?」

 

 

「恋や愛というのは…言葉で表現するのが難しんだが、分かりやすく言えば『優しさ』というのを超えたものなんだろう。

俺は……それがイマイチ分からない。

街中などで見る夫婦や恋人…その仲睦まじい光景を見て、嫉妬心を抱いたりはするが、何よりそれ以上に…それが分からない、理解出来ないから何処か腹ただしく感じるんだ。

俺がそれを理解できない以上……相手を不幸にする。

だから、俺には結婚とか以前に恋人を作る事が出来ないと思っている。」

 

 

ユノは手を微かに震わせながら答えた。

こんな事を人に告げたからなのか、それとも…一瞬脳裏に映った畏怖の存在を思い出してしまったのかは、本人にも分からない。

 

アレクシアはその姿を見て、本人が真剣に悩んでいるのだと思い、それ以上に踏み込むのを止めた。

 

 

「そう……まぁ良いわ。さっきの事は忘れて?

けど───」

 

 

アレクシアは暗く顔を顰めているユノを鼻先を突いて上げさせる。

 

 

「私、諦める気は無いから。覚悟しなさい。」

 

 

「…え?」

 

 

ユノはアレクシアのウィンクをして告げた言葉により、暗い顔から拍子抜けな顔に変えられた。

 

 

「それじゃ、先ずは友人からちゃんと始めましょう。

ささ、教室の方へ戻りましょ。」

 

 

「あ、ちょ…! 待ってくれ、アレクシアさ───」

 

 

「アレクシア、呼び捨てで呼びなさい?

王女命令よ!」

 

 

「え、あ、ええ…!?」

 

 

ユノはアレクシアのペースに乗せられながら手を引かれていくのであった。

 

 

「…」

 

 

近くの木陰から2人のやり取りをずっと見ていた者が、物凄い形相でアレクシアを睨んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

「………何? 今何つった?」

 

 

度数の高い酒を豪快にラッパ飲みしているガラの悪い兎の獣人が、執事服を着ている……コンチェッタに睨みつける様に問う。

 

 

「今先程述べた通りでございます。

ユノ様はこの前の件でお疲れになっておられますので───」

 

 

「俺が聞いてるのはそこじゃねぇ。

アイツが怪我を負った……更には負けたと言ったのか?」

 

 

「負けた……とは言いがたいのですが…。」

 

 

コンチェッタが反応に困っていると、ガラの悪い兎の獣人は飲んでいた酒瓶を握り潰す。

 

 

「言い訳はいいっ! どんな状況であろうと、クソッタレな連中に無様な姿を晒すなんざ、俺を倒した者として許さんっ!」

 

 

そう告げると、その場から一瞬で去った。

 

 

「…困りました。直ぐにユノ様とゼータ様に報告を…!」

 

 

「やれやれ、頭が残念な奴はこれだから困るよね。」

 

 

「!?」

 

 

いつの間にかさっきのやり取りを見ていた人物…蒼銀の髪を持つ少女がいつもの様に物静かな態度でそう呟いた。

 

 

「気配に気づきませんでした。お帰りなさいませ。」

 

 

「ん。でも、気配に全く気づかないのは駄目だね。

せめて違和感くらいは覚えないと。」

 

 

「……失礼しました。精進致します。」

 

 

「ま、それは兎も角として……アイツの身勝手さには困るものだね。

これだからアイツを呼び出すのも嫌なんだ。」

 

 

「……あの方をここへ連れてきたのは…。」

 

 

「そ、ボクだよ。ゼータが連れて来いって言うから渋々ここまで連れてきたんだよ。

全く、人使いが荒いよね。」

 

 

「そうでしたか。お疲れ様でした。」

 

 

「良いよ。それよりも、早くゼータに…いや、彼女だけで無く彼にも報告するべきだね。

ボクは……正直面倒だけど、アイツを遠くから見ておくよ。

連れてきたのはあくまでもボクだし、何かあったら問い詰められて五月蝿いからね。」

 

 

そう言って、蒼銀の髪の少女はさっきまで気怠そうにしていた雰囲気から目つきが変わって仕事人の雰囲気にへと変え、この場から()()()

 

 

「……久しぶりに御二方に出会いましたが、以前よりも強くなっている。

それに比べて、私は…。」

 

 

コンチェッタは自分の両手を広げ、実力不足を嘆いていると…足音を立てながら赤髪の少女がやって来る。

 

 

「そこまで自分を卑下なさらなくても宜しいのでは?

コンチェッタさんは我々とは()()()()を有しておられるのですよ?」

 

 

「…ありがとうございます。しかし……私目は皆様とは違って戦闘で役立てない事がどうしても悔やみきれず…。」

 

 

「あの方も仰られていたではありませんか。

戦闘だけが役立てる事では無いと。

コンチェッタさんの『読取の魔力』は情報収集においては無敵と言えますから。」

 

 

コンチェッタにもゼータ(リリム)同様にユノによって得た特殊な魔力を有している。

しかし、その能力は戦闘に向かず、本人はその事に思う所があった。

 

 

「わたくしは羨ましく思います。

あの方には無い力で、あの方に尽くせる事が。」

 

 

「………はい。すみません。

どうも皆様が出来る事が私目には出来ず、卑下しすぎた様です。

参りましょう、あの方の所へ───グレーテ様。」

 

 

「はい、参りましょう。」

 

 

コンチェッタは赤髪の少女…グレーテと共に彼女達の主───ユノの元へ向かった。

 

 

 






アレクシアとの会話……どうでしたかね?
正直上手く話が噛み合っている様ないない様な…分からないけど、自分ではこれが限界だった…。
難しくしなければ簡単に進めるかもしれないけど、自分の脳内シュミレーションではこんな感じになりました。
あ、因みに恋愛云々に対して単純にしちゃうと、あるあるの鈍感主人公になっちゃうんで、却下しました。
ウチのユノくんはご存知の通り訳ありなので…。
必然的に次回は、ゼータ(リリム)パートになります。

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