陰と影の実力者   作:黒ソニア

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・今回で作者の『陰の実力者になりたくて!』の一番好きなキャラに関する話で、更にはユノの今後に影響を…!


・不死身の機動歩兵隊さん、誤字報告ありがとうございます。





第6影:『力の意味』

 

 

 

シドが『悪魔憑き』だったエルフ…

アルファを被害者にした(仲間に引き入れた)事により、陰に潜み・陰を狩るという…厨二言動をする集団『シャドウガーデン』が設立した(してしまった)。

当然ながら、ユノもその一員に強制参加させられた。

 

 

「…俺、了承してないし。

それどころかお前の僕とか死んでもゴメンなんだが…。」

 

 

「いやいや、別に僕とは思ってないよ。

ちゃんとユノの事は考えているよ。

だって、ユノは僕の義弟で最大の理解者で()()なんだからさ。」

 

 

「…友達。」

 

 

ユノはその言葉を受けて嫌な雰囲気から一変し始める。

只野真人(前世)では友達が一人もいなかった、出来なかった故に二重の意味で人生・生まれて初めて友達が出来た事に喜びを感じていたのだ。

 

 

「……仕方ない。

断った所でお前は了承しないしな。」

 

 

「流石ユノ、分かってるね!」

 

 

「た・だ・し! お前の我儘も多少は聞いてやる分、俺の言う事も聞く事!

嫌だと思った事を俺に押し付けるようなら…

どうなるのか分かってるよな?」

 

 

ユノはシドをアイアンクローしながら言う。

 

 

「分かってる分かってるよ。」

 

 

「…本当だな?」

 

 

「うんうん。」

 

 

楽観的に答えるシドに疑心暗鬼になるユノだったが、二人のやり取りに困惑しているアルファの事を考えてこの辺までにするユノであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数ヶ月…

 

 

「シャドウ様! 今日も大変凛々しいです!」

 

 

シャドウ…シドを凛々しいと言うのはアルファに続いて第二の被害者となった銀髪エルフの『ベータ』。

 

 

「主様、今日も我等にお力を授け下さい!」

 

 

シャド…シドを讃えるように言うのは第三の被害者となった藍髪エルフの『ガンマ』。

 

 

「ボスゥ! 今日も遊んで欲しいのです!」

 

 

シャ…シドに遊んで欲しいと子犬の様に懇願するのは第四の被害者となった黒髪獣人の『デルタ』。

 

 

「主様、私にも『陰の叡智』を教授して下さいませ!」

 

 

バカ…シドから何かを教わろうと上品に接するのは第五の被害者となった水色髪エルフの『イプシロン』。

 

 

『陰の叡智』

前世の知恵や知識に技術の事で、シドがそれっぽくカッコつけたものである。

 

 

「…なんか今、僕を『バカ』って称さなかった?」

 

 

「何を言っているんだ、お前は…。」

 

 

…シドにやたらと密着したり色気付いてる皆を差し置いて、ユノに問いかけるシド。

 

 

「皆、シャドウが困ってるから、そこまでにしておきなさい。」

 

 

バカ…馬鹿に群がる皆にそう指示をするのは()()()()()()()にして第一の被害者の『アルファ』。

 

『シャドウガーデン』を設立して、昼間にユノとシドが家にいる間、アルファは『ディアボロス教団』の情報や他の『悪魔憑き』の居所を探していた。

その過程でアルファの手腕が活かされ、他の『悪魔憑き』を現時点で4名…そう、ベータ・ガンマ・デルタ・イプシロンを保護したのだ。

 

 

(…にしてもシドの奴、これだけの人数をこのまま騙し通す気か?

『ディアボロス教団』なんて存在しないのに…。

バレた時はどう収集をつける気だ?)

 

 

ユノが今後について考えていると、シドが考え事をしてるユノをさする。

 

 

「…どうした?」

 

 

「いや…何も…。

それより、ユノはどうしてNo.2じゃないの?」

 

 

シドの問いにアルファも頷く。

 

 

「そうよ。私よりも一番にシャドウの事を理解しているフェイカーがNo.2ではないの?

もし、聞き間違いだったら今からでも訂正を───」

 

 

「いや、大丈夫。聞き間違いでもなんでもない。

俺はただ…コイツと対等なだけだ。

『シャドウガーデン』はシャドウを象徴とした組織だろ?

俺はコイツの為に戦う訳じゃ無いから…それだけ。」

 

 

と、ユノは視線を晒してアルファ達から距離を置く。

 

 

「まぁ、僕はユノがいてくれれば別に良いけど…。」

 

 

「…フェイカー? 距離を取らなくても良いのよ?

私達はシャドウ同様に慕っているし…

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

アルファの言葉に皆は頷いた。

 

 

「…そうは言うけど、俺の『剣術』や『武術』、『魔力』や『知恵』の全てにおいて皆の中でも()()だ。

そんな俺が組織の中心のシャドウのNo.2…右腕なんてあり得ないのさ。

…そもそも、コイツの下ってのが生理的に無理。」

 

 

「ひどい。」

 

 

「…俺の戦術は『影』とこの…呪力だ。」

 

 

そう言ってユノが手に呪力を灯すと───

 

 

『…!!』

 

 

アルファ達は無意識に後退りをしてしまう。

心では思ってても、体は正直だと分かってしまう。

そう…元『悪魔憑き』である彼女達は呪力が苦手だった。

 

原因は未だ判明していないが…恐らくこの世界において『悪魔憑き』とは『呪い』の一種なのだろうとユノは考察した。

現に、シドはアルファ達に『悪魔憑き』は『魔人ディアボロスの呪い』を受けた『三英雄』の血が流れている証だと述べていた。

…あくまでも、シドが立てた設定だがコレに関しては強ち間違っていないかも知れないと…ユノは思った。

加えて、この世界では『悪魔憑き』に対する印象・風評といったのが『呪い』という概念に定義されてしまったのだと。

 

少し前にユノが無意識に漏らしてしまった呪力により、肉塊状態だったとはいえ、アルファは呪力に怯えていた。

 

 

「…アルファ達は『悪魔憑き』では無くなったが、呪力に弱いのは変わらない。

お前達の恐怖の存在である俺が、組織の中心になんていられないのさ。」

 

 

「…で、でも…。」

 

 

「大丈夫、アルファ達は何も悪く無い。

俺が呪力を使わない様にしているが、それでも怖いものは怖い。

だからその反応は正しい事だ。

…それに、俺との戦闘訓練でも最近は相手にならなくなってきてるしな。」

 

 

そう、シドはユノやアルファ達に前世の知識を『陰の叡智』と称して『剣術』『武術』『魔力』『知恵』といった技術を伝授しているのだ。

 

 

「そんな事は…。」

 

 

「謙遜は良くないぞ、アルファ。

もう俺相手では剣の鍛錬になっていない位お見通しだ。」

 

 

「それは…。」

 

 

そう、アルファはハイスペックオールラウンダーだった。

それどころか、剣術や武術も含めてシドから教わった事は直ぐにモノにして上達し、苦悩していたユノより凌駕していた。

 

 

「し、しかし、フェイカー様の腕前も…。」

 

 

「ベータ、畏まらなくてもいい。

ベータにも俺は劣っているのだから。」

 

 

そう、ベータもアルファに負けずハイスペックだった。

戦闘において、最初はユノ同様に人を殺める事に難があったのだが、ユノやシドのフォローにより改善された。

特にベータは『弓矢』の腕前が良く中距離においては一番だった。

 

 

「フェイカー様!

私はフェイカー様よりも剣の腕や武力が下です!」

 

 

「ガンマ、確かに…自分で言うのはなんだが、俺はそれらにおいてガンマよりも上だとは思う。」

 

 

「で、では───」

 

 

「だが、知力においては次元が違うレベルで下だ。」

 

 

そう、ガンマは戦闘方面では絶望的に戦闘センスが無かった為にユノより下だった…が。

ガンマはユノとシドの案によって頭を使った知恵で戦う術を与えた事により、ユノを凌駕した。

…実の所、ガンマはどちらかといえばユノを一番に慕っているが…中々実らないのである。

 

 

「フェイカーはそのじゅりょく(?)が厄介なだけで大した事ないのです!」

 

 

「そう、その通りだ。」

 

 

「…デルタ?」

 

 

「ひゃい!? ごめんなさいのです!」

 

 

アルファに睨まれて涙目になるのデルタはそう…脳筋お馬鹿である。

だが…『獣人』としての潜在能力とデルタの底力はバカはバカでも馬鹿にならない破壊力があり、『影』を用いなければユノは死んでしまうレベル。

頭の出来は悪いが、シドからは知力が有ればこの世界を取れたと言わしめる程である。

 

 

「フェイカー様、私もフェイカー様に比べたらまだまだ───」

 

 

「いや、イプシロン。

お前は全てにおいてセンスが良い。」

 

 

そう、イプシロンは全てにおいてバランスが良い。

イプシロンは最近メンバーに加わったのだが、既に剣術や武術においてユノを凌駕していた。

 

…まぁ、ここまで考慮してユノが言いたい事は───

 

 

「…ま、それらの事から分かる通り、俺の素のスペックは全員の中で最弱で、『影』と『呪力』という『才能』が無ければ俺は無能だ。

皆の足を引っ張るのは俺個人としても申し訳ない。」

 

 

───自分は足手纏いだと言う事だ。

 

 

そう言ってユノはスッとその場から立ち去るように消えた。

 

 

「…一瞬で消えた…!」

 

 

「私達はただ、フェイカー様達に一生を尽くして返したいだけなのに…。」

 

 

「私も…シャドウ様と共に救って下さった分忠義を尽くしたいのですが…。」

 

 

「ご自分をそこまで否定ならさなくても…。」

 

 

「デルタは特に無いのです!」

 

 

「…デルタ?」

 

 

「ひゃう…。」

 

 

元『悪魔憑き』の彼女らは(約一名を除く)ただ、シドやユノの為に尽くしたいのだが、ユノの性格(陰キャ)とアルファ達が呪力に怯える事から距離を取られるのであった。

 

 

「…ユノのああいった部分はどうにもならないかなー?」

 

 

シドはユノを見てそう呟いた。

シドはユノみたいなタイプについて分かってる様で分かってはいない。

彼同様に基本一人だったが、それは『陰の実力者』になる為に()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ハァ、今日も疲れた。」

 

 

森の茂みを超え、考えなしに適当に歩いているユノ。

 

 

「…今日の鍛錬も…何よりシドの待遇を間近で見ていると余計に疲れる。」

 

 

そう、ユノが皆から距離を取ったのは何も呪力の恐れ、自身の未熟、シドの面倒くさがる態度や束縛や我儘に付き合って疲労のせいでは…あるのだが、今回はシドの待遇…要はキャッキャウフフな状況が耐えきれなかったのである。

(※実際はシドがその状況に怠そうにしていただけである。)

 

 

「…羨ましいといえばそうだが…。

何より、ああいった状況での蚊帳の外ってかなりきっつい…。」

 

 

ユノは前世の時から味わっていた。

自分は人生を半ば…9割を諦めていた心境の中、目の前には幸福そうにしている者達がいて…気に入らなかったのだ。

 

 

「ハァ…。このままだとメンタル的にも組織にいられないな…。

とはいえ…正直、戦力面においても『呪力』と『影』を操る力があるから面子が保てるが…

もし無くなった場合、俺は───」

 

 

ユノは嫌な想像をし、頭を振って意地でも忘れようとする。

 

 

「…てか、今の俺…なんか前世の頃に戻ってないか?

シドに会うまでは流れが良かったのに…

今ではスランプの落ちこぼれ状態…ハァ…。」

 

 

シドに正体がバレる前のユノはシドと似た様なものだった。

…しかし、シドというある意味問題児に出会ってから、ユノは苦労人の道を辿っていた。

 

 

「いかんな。『才能』に目覚めた時に魔力の扱いも上達させるって決めてたんだ。

…ガンマの時は途中、渋々シドの手を借りたけど…次は必ず助けてみせる。先ずはそこから───ん?」

 

 

ユノは行き先を考えずに、ただひたすらに知らない道を進んでいた。

そうしていた事により、何処かも知らぬ未知なる地に立っていた。

 

 

「参ったな…俺、家の方角も碌に知らないまま適当に歩きすぎてしまったな…。」

 

 

ユノはここまで辿って来た事を振り返る。

 

 

「俺、確か…あの山を乗り越えていたよな…随分と遠くに来てしまったな。

まぁ…最悪の場合、【鵺】で空を飛んで帰るか。」

 

 

ユノがそう考えていると…少し遠くの場所でやけに明るい村らしき光景が目に映った。

 

 

「…祭り…か? この世界でもあるんだな。

いや、あるか普通。

どれどれ…どんな感じなのか少し覗いていくか。」

 

 

ユノは明るい村の方へと《影化》して素早く向かった。

 

───当然、その場所で何が起きているかも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユノが訪れた先は獣の特徴を持つ人…『獣人』である金豹族が住む村だった。

 

 

『獣人』

エルフ同様に人間以外にもいる人種の一つ。

獣の本能を持つ戦闘特化した種族である。

 

 

そして…ユノが訪れた金豹族の村では祭りなんて行われてなどなく…

 

 

「あ"あ"ぁぁぁぁ!!!」

 

 

「よくも───がぁぁぁぁ!!」

 

 

「死体を集めろ。」

 

 

そこでは殺戮が行われていた。

 

 

(何だ…一体何が起きている…!?)

 

 

ユノは茂みに隠れながら直様スライムスーツを纏って様子を見ていた。

 

 

「やめろ! 俺は敵じゃ───がぁぁぁ!!」

 

 

「何でだ…司祭殿は───あ"あ"ぁぁぁぁ!!」

 

 

次々と白いローブの者達に殺されていく獣人達であった。

 

 

(あれは…もしかして、教会の者か?

だとしたら、何故この村の獣人を殺す?

助けに行きたいところだが…

何であの『巨体な獣人』を殺そうとする獣人や教会の者。

更にはそいつを殺そうとする獣人をも殺す教会の者…

状況が全く読めない…!)

 

 

その中で───

 

 

「うおぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

一回り大きい『巨体な獣人』…いや、『獣』が歯向かう教会の者と獣人を殺めていた。

 

 

「クソッ…! 俺はただ、裏切り者のお前を…!

『悪魔憑き』を匿った裏切り者を教えたのに

───あ"あ"あ"ぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

(…『悪魔憑き』だと?)

 

 

ユノは『悪魔憑き』という言葉に事態の原因を理解するのであった。

 

 

「やらぬぅ…貴様ら何ぞに我が娘は───

ぐぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

『獣』は既に至る所で血を流しており、もう限界だった所を教会の者の一振りを受けてしまう。

周囲を見渡せば、もう既に村の生き残りはこの『獣』のみであり、教会の者達は『獣』に剣を向ける。

 

 

「ここまでか…っ!!」

 

 

『獣』が憎らしげに…死を覚悟し、剣を突きつけられる瞬間───

 

 

「…状況を理解した。」

 

 

ユノが『影の刃』で教会の者達を斬り刻んだ。

 

 

「…!? だ、誰だ!?」

 

 

『獣』がユノにそう問うも、気づいた教会の者が襲いかかるが───

 

 

「失せろ───《影斬》。」

 

 

ユノは再び『影の刃』で返り討ちにした。

 

 

「つ、強い…!」

 

 

「…『悪魔憑き』と聞いた。

いるのなら───」

 

 

ユノがそう言いかけた所で『獣』はユノの腕を力強く握りしめる。

 

 

「頼む…娘を…娘を…っ!!」

 

 

『獣』は懇願する様にユノに訴える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、大した逃げ足です。」

 

 

その男…サングラスをかけた司祭は小さな男の子を怯えながら抱える少女を教会の者達で逃げないようにしていた。

 

 

「大人しく捕まれば…痛い目に合わなかったかもしれないというのに。」

 

 

司祭は少女に向けて…女性の生首を放り投げた。

 

 

「嘘…嫌…お母さまぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

その首は少女の母だった。

司祭は小さな男の子を奪い取った。

 

 

「弟は…弟は!!」

 

 

「良い表情だ。安心なさい、これも、そこに転がっているのと同じ所へ逝くだけだ。

キミの父も、もう逝っているだろうがね。」

 

 

「…ぁ…ぁぁ…。」

 

 

「全く手こずらせてくれる…。

こんなもの───」

 

 

司祭は少女の弟を殺そうとする。

 

 

「やめ───」

 

 

少女が絶望に押し潰されている中…

 

 

 

 

 

「醜悪極まる奴め…反吐がでる!」

 

 

 

 

 

その瞬間…少女の弟を持っていた司祭の腕が斬れ落ちる。

 

 

「ぐがぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

落ちる少女の弟は大柄の何かを抱えた【玉犬】がキャッチして少女へと渡される。

 

 

「だ…誰…?」

 

 

「…っっ!! だ、誰だ貴様っ!?」

 

 

司祭は痛みに耐えながら、憎らしげに黒緑の深いローブの者を見る。

 

 

「…フェイカー。

…貴様の様なゲス極まる者を断罪する者だ。」

 

 

フェイカーはそう言い、側いた【玉犬】は少女の元に『獣』だった者を丁寧に座らせる。

 

 

「…っ! お父さま!」

 

 

「おお…()()()、無事…だったの…だな…っ!」

 

 

少女…『獣』だった男の愛娘であるリリムとその弟をボロボロながらに優しく抱きしめる。

 

 

「お父さま…お母さまが…。」

 

 

「……妻よ…。」

 

 

男は生首の妻を涙を流して娘同様に抱きしめる。

 

 

「…」

 

 

ユノはそれを見て、拳を血が出るのではないという位に握りしめた。

 

 

「…おのれぇ、小賢しい…っ!

何をボーッとしている!! 殺せ!!」

 

 

司祭は部下に指示する。

 

 

「…フッ!」

 

 

ユノは再び、『影の刃』で返り討ちに斬り刻む。

 

 

「何だと…!?」

 

 

司祭は驚愕するも、ユノはスライムに魔力を力一杯に込めたスライムソードで数人を一閃する。

 

 

「何だ…その力は…!?」

 

 

司祭は次々と部下の教会の者達を斬り刻んでいくユノを見て、ある手段を取る。

 

 

「…ク…クククク…コレを受けろ!!」

 

 

司祭は懐から妙な物を取り出して、それから気味の悪いガスを噴射させる。

 

 

「…!!」

 

 

ユノはそのガスを正面から受け、吸ってしまい、思わず片膝をつく。

 

 

「うっ!」

 

 

「…っ!」

 

 

リリム達もそのガスにより、胸を抑えて倒れ込む。

 

 

(クッ…ガァッ…コレは…毒か?

いや…それにしては…魔力が乱されるこの感じは…!?)

 

 

ユノは【大蛇】を調伏している事により、多少の毒に対する情報を肌で感じていた。

だから違うと感じ、何より…魔力が乱されるように荒ぶっているのを感じていた。

どのみち、体に悪影響が及んでいるのは確かだ。

故に【玉犬】は解かれて影に戻ってしまう。

 

 

「フッ…フフフフフ。苦しいだろう。

そうだ…これは我等が…『()()()()()()()()』が作り出した魔力を暴走させる…『アーティファクト』だっ!」

 

 

司祭はハイになっているのか、ユノを部下の剣を拾って斬り飛ばす。

 

 

「…ガハッ!」

 

 

ユノは攻撃をモロに受けてしまう。

ガスによって、魔力が碌に練れず、精々顔を覆う部分でしか維持が出来ずに元の服の状態になった状態で深傷を負う。

 

 

「ハハハ…ッ! そこの小娘と同じ餓鬼でしたか!!

舐めるのも大概になさい!!」

 

 

司祭は勢いのままユノに透かさず剣で斬り刻む。

 

 

「グッ…ガッ…!!」

 

 

ユノはガスによって体が御されないまま司祭の剣を受けて血が飛び散る。

 

 

「…ハァ…ハァ……いけませんね。

私もガスを受けてしまう。」

 

 

司祭はまだガスが残ってる故か、距離をおいて、残った部下と更にやって来た部下に指示を送る。

 

 

「奴を…殺しなさい。

それと…顔を晒せ!」

 

 

司祭がそう言うと…リリムがそれを止めようとする。

 

 

「やめっ…て! 目的は…私でしょ!!」

 

 

「黙っていろ…小娘!

ゴミ以下の『悪魔憑き』が…私の邪魔を…するな!!」

 

 

「…!!」

 

 

司祭は怒号と共にリリムを蹴り飛ばした。

 

 

 

 

 

司祭に斬り刻まれ、斬り飛ばされて木を背にして倒れていた。

 

 

(…痛い…苦しい…気持ち悪い…痛い…頭痛い…!)

 

 

ユノはガスと斬られた事によって滅茶苦茶になっていた。

 

 

(女の子…は…どうなってる?)

 

 

ユノが懸命に目を開いて見ると…司祭の言葉と蹴られて、リリムが痛み・苦しみ、怯えている姿が映った。

 

 

(あの時と…一緒だ…。

俺は…また…救えずにいる…。)

 

 

前世で西野アカネ…彼女が絶望し、怯えている姿が重なる。

 

 

(何でだ…なんで俺は…!

次は助けるって…誓っただろ…!

せっかく成れたんだろ、『特別』に!

何で『影の能力(才能)』を得たのに、負けてるんだ…っ!)

 

 

ユノは脳が血が滲む位に苦悩する。

 

この時、ユノは漸く理解したのだ。

 

───力の意味を…『才能()』を持つ者の意味を。

 

シドは自己的な所が目立つが、陰の実力者(力ある者)を目指す為に多くの研鑽を積み、多くを捨てた。

 

だが、ユノはというと…『特別』になれた故に自分では理解していない内に浮かれていたのだ。

 

 

(…)

 

 

…自分の無力を思い知る中、リリムを見下す司祭を見る。

 

 

(……奴の顔…あの顔…っ!

あの顔は…奴と…あの人達と…同じ顔だ…!)

 

 

西野を強姦しようとした連中のゲス顔、ユノに冷たく嘲笑う()()()

ユノの内に染み付いてしまっている『呪い』が目の前の司祭と重なる。

 

 

(奴を… 悪意(呪い)を…俺が…っ!!)

 

 

その瞬間…ユノに変化が起きる。

 

 

 







・ヤバイ、凄く長くなってしまった…
このシリーズ、元々5000文字位にするつもりだったのに…簡略的に出来ない自分の未熟さを感じる…


・ここでちょっとした設定。
ユノの『影』を使った『影斬』や物語ではスライムを使っての使用だけど『影槍』といった技はONE PIECEのクロコダイルの戦法を模倣しています。
何気にクロコダイルの技って好きなんですよねー。


・次回、『呪力覚醒』
ユノ、リリムどうなる───!?

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