アイ達の関係が修復されてから更に月日は流れ、本日はライブ当日である。今までアイを引き立てる役割ばかりだった他のメンバーは今日という日を心より楽しみにしていた。新野、高峰、渡辺のメンバーの内の三人は誰よりも早く楽屋に来ており、雑談していた。
新野「ミネ、さっきからニヤニヤが抑えられてないわよ?」
高峰「だってセンターに立てそうなんだよ!?気持ちを抑えられる方がおかしいって!そういうニノだってずっと口角上がったままだよ!?」
新野「そりゃあ私だって楽しみよ!やっとセンターに立てるって言われたんだから!」
渡辺「二人とももうちょっと声を抑えようよ。」
高峰「なんでよ!なんでナベはそんなに冷静でいられるの?センターを勤めるの楽しみじゃないの?」
渡辺「楽しみだよ。テンションが上がるのもわかる。だけどこんなに大声で話してると周りに迷惑よ。」
新野「いい子ぶっちゃって。そんなに一目見てわかるくらい全身をそわそわさせながら咎めても説得力なんてないわよ。」
渡辺「えっ嘘!?私そんなに体に出てた!?」
新野「諸に出てたわよ・・そんなに出てるのに自分で気づかないなんて末期よ。」
渡辺「うう~、だってようやくだよ?アイドルだったら誰もが憧れる役にようやく着けるんだよ?楽しみじゃない訳ないじゃん!」
高峰「なんだ~、ナベも楽しみなんじゃないの。もっと正直になりなよ。」
渡辺「・・そうよね、素直になっても良いよね。」
高峰「そうそう、その意気だよ。」
新野「それにしてもあのボディーガードさんには感謝してもしきれないわよね。」
高峰「そうだね。確かブロリーさんだったよね?あの人が社長に提言してくれたから私達がライブてセンターを勤めることが出来るんだからね。」
渡辺「うん。正直私はずっとアイの引き立て役で終わるのかとずっと思ってたから。彼が各々の特徴を見抜いて提言してくれたときは本当に嬉しかった。」
新野「そうよね。私もブロリーさんがあそこまで見抜いた上で提言してくれたことにも驚いたけど、ミヤコさんも彼の意見に賛成するとは思わなかったわ。」
高峰「確かに、あれは意外だったよね~。」
渡辺「ミヤコさんも見てくれてたってはっきりわかったね。」
新野「・・二人はブロリーさんの事異性としてどう思ってる?」
高峰「唐突だね。まぁ、まだ出会ってから二週間くらいしか経ってないけど、仕事熱心で社長とミヤコさんからの信頼も厚いしいいと思うな。それに提言もしてくれたし・・正直に言うと・・惚れちゃったかも///」
渡辺「ミネ、チョロすぎだよ。まぁ私も彼に惚れてるけど・・」
高峰「私の事言えないじゃん!」
渡辺「しょうがないでしょ、私達が長い間抱えてた悩みを彼が解決してくれたんだもん。惚れるなという方が無理な話よ。」
新野「二人とも安直すぎて将来悪い男に引っかからないか不安だわ・・」
高峰「ムッ、そういうニノはどうなの?ブロリーさんの事なんとも思ってないの?」
新野「何言ってるの?好きに決まってるじゃない!」
高峰「ニノだって安直じゃん!」
新野「私だって自分がこんなに単純だとは思わなかったわ。でもこの気持ちは間違いなく本物なのよ!ブロリーさんの事を思うと胸が高鳴って止まらないのよ///」
高峰「ニノ、すごくわかるよその気持ち。私も全く一緒だもん///」
渡辺「私も同じ。少し知識が欠けてるなって印象はあるけど淡々としててクールな感じがまた///それに加えて服越しでもわかるくらいに盛り上がってる筋肉も魅力的よね///」
新野「そうよね!ブロリーさん滅茶苦茶大きい上にあの体つき、本当に惚れ惚れしちゃう///」
高峰「ほんとほんと!何を食べてどう鍛えたらあんな体になるんだろう///」
三人の話は本日行われるライブの話からブロリーの話へと変わっていたのだった。そんな盛り上がりを見せてる楽屋の扉の前では、アイとブロリーがいてアイが扉を開けようと手をドアノブにかけていた。しかし、中から聞こえてきた会話に石のように固まっていた。
アイ(嘘・・ナベにニノにミネまでブロ君の事を・・ライバルが増えた!)
アイは恋のライバルが増えたことに強い危機感を抱いていた。一方、アイが中々扉を開けないことにしびれを切らしたブロリーはアイに声をかける。
ブロリー「どうしたんだぁ?開けないのか?」
アイ「!うん、開けるよ。」(もう!ブロ君鈍感すぎるよ!)
アイは内心で中の会話に気づかないブロリーに毒づきながら覚悟を決めて扉を開いた。
アイ「皆おはよー!」
新野「!アイおはよう。ブロリーさんもおはようございます。」
高峰「アイおはよう!ブロリーさん、今日もよろしくお願いします。」
渡辺「おはよう。ブロリーさん、今日は私達の活躍も見てくださいね。」
ブロリー「ああ。三人とも早いな。気合いが入ってるいい証だ。」
高峰「はい!遂に私達もセンターに立てますからね。ブロリーさん、改めて社長に提言してくださってありがとうございました!」
ブロリー「いや、俺は疑問に思ったことを言っただけだ。」
渡辺「それでもですよ。ブロリーさんが提言してくれなければ今もずっと引き立て役で終わってたと思います。だから感謝してもしきれません。」
ブロリー「・・そうか。」(なんかこいつらやけに近くないか?)
ブロリーは挨拶と同時にだいぶ距離を詰めて話す三人に少し困惑し、渡辺の被せるような熱弁に完全にたじろいでいた。
アイ「・・ムゥ!」ぎゅ
ブロリー「!?」
アイ「ブロ君、デレデレしすぎ。私というものがありながら浮気なんてしないよね?」
そして最後に拗ねた顔で抱きついたアイがジト目でブロリーを見上げた。
ブロリー「浮気ってなんだ?」
アイ「知らないの!?」
ブロリー「知らん。」
高峰「ブロリーさん、浮気とは配偶者や交際者がいるにも関わらず別の異性と交際することですよ。」
ブロリー「はいぐーしゃってなんだ?」
高峰「えっと、簡単にいうなら結婚相手や恋人のことです。」
ブロリー「そうか。それとこーさいってなんだ?」
高峰「結婚する前の恋人、つまり彼氏や彼女って意味です。」
ブロリー「なるほど。」
アイ「それでブロ君、浮気なんてしないよね?」
ブロリー「そもそも恋人になってないだろう。」
アイ「私ブロ君に好きだって言ったよね!?」
ブロリー「俺のどこが好きなのかさっぱり分からんな。」
アイ「助けてくれたときからだよ!」
アイとブロリーのやり取りを三人は羨ましそうにしながらも微笑ましく見ていた。そしてふと気づいたかのように新野がアイに聞いた。
新野「ねぇアイ。」
アイ「ん?ニノ、なぁに?」
新野「ブロリーさんがここに来てからずっと一緒に来てるけど家が近かったりするの?」
アイ「うん!ブロ君とはお隣さん同士なの。」
「「「そうなの!?」」」
アイ「うん、だから社長にも一緒に来てもいいって許可貰ってるんだ。」
新野「そうだったのね。それともうひとつ気になるんだけど、どんな風にストーカーから守られたの?」
高峰「あっ、私もそれ気になる~。」
渡辺「私も、ブロリーさんの格好いいストーリー聴かせてよ。」
アイ「いいよ~。あのドームライブの予定があった日はね~―――」
アイはドームライブ当日のブロリーとの出会いどのように助けられてから今に至るのかをアクアとルビーの存在を伏せつつ洗いざらい全て語った。
アイ「―――ってことなの。だからそれ以来私はブロ君の事を愛してるの。」(うん、この気持ちも絶対に嘘じゃない!私は本気でブロ君が好き///)
高峰「ブロリーさん、素敵ねぇ。」
渡辺「ほんと、そんな展開になったら誰でも好きになっちゃうって!」
新野「それにしてもブロリーさんすごいですね。刃物を持った大学生相手に素手で圧倒するなんて滅茶苦茶強いじゃないですか。」
ブロリー「あいつが武器を持ってるくせに雑魚だっただけだ。」
アイ「ね?皆もブロ君だったら安心してボディーガードを任せられると思わない?」
新野「そうね。それだけの実績があるなら私達の身柄を預けても大丈夫そうね。」
高峰「うん、彼に武術で勝てる人っていないんじゃないかしら?」
渡辺「真面目だし安心できるよね~。」
本人がいる前で讃える話で盛り上がってる為、ブロリーはむず痒い気分になってそっぽを向いたのだった。そうこうしてるうちにメンバー全員が揃い、最後に壱護も楽屋にやってきた。
壱護「よし全員揃ってるな。今日は今まで練習したようにそれぞれがセンターに立つライブだから気合い入れてけよ。」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
壱護「それとブロリー。お前はこっちだ。」
ブロリー「どこへ行くんだぁ?」
壱護「俺とミヤコと一緒に裏方から見るぞ。お前はボディーガードとして不審者や怪しい奴からアイ達を守ることだ。・・まぁ現れないとは思うがな。」
ブロリー「目立たない所から見張るということか?」
壱護「そうだ、分かってるじゃねぇか。ブロリー、お前は客ではなくボディーガード、つまり仕事しに来てることを忘れるなよ。」
ブロリー「了解した。」
アイ「ブロ君、また後でね。」
新野「お互い頑張りましょうね。」
高峰「私達の活躍するところ見ててください。」
渡辺「お仕事頑張って。」
ブロリー「ああ、全員ガンバです・・」
ブロリーはアイや他のB小町メンバーと別れて楽屋を後にしてミヤコ達と合流した。
壱護「ミヤコ、ブロリー連れてきたぞ。」
アクア「!ブロリーさん、久しぶりだな・・!」
ルビー「あー、ブロリーさんやっと会えた!」
ブロリー「!へぁっ!?お前ら何でいるの?」
ブロリーはミヤコと一緒にいるアクアとルビーを見てとても驚いていた。どうやらここにいるとは予想してなかったみたいだ。
ルビー「何でってママのライブがあるんだよ?生で見れるんだよ?見に来るに決まってるって!」
ブロリー「よーちえんとやらはどうした?」
アクア「今日は週末だから休みだぞ。それよりもブロリーさん、何であのあと勝手に帰ったんだ?」
ブロリー「あのあとってなんだ?」
アクア「とぼけるな!アイのファンになるまで帰さないって言ったのに帰っただろ!」
ルビー「そうだよ!ママについて語りたいことまだまだあったのに!」
ブロリー「お前ら寝落ちしただろ。それに俺は夜まではいたぞ。」
アクア「ぐ・・くそっ、事実だからぐうの音も出ない・・」
ルビー「うぅ・・まだ子供だから体力が持たないんだもん・・」
アクア「でも俺達だってブロリーさんには感謝してるし、隣同士ということもあってもう家族のように思ってんだ。怒り以上に悲しかったぞ・・」
ルビー「お別れの挨拶すら言えなかったの気にしてるんだから・・」
ブロリー「わかった。次言ったときはお前達が起きるまで待ってやる。」
アクア「・・約束だぞ?」
ルビー「・・絶対だよ?」
ブロリー「ああ、二言などない。」
ブロリーがはっきりと約束すると、二人の機嫌は直っていって笑顔になった。そして共に舞台裏へと移動していつでもメンバーのライブが始まっても良いように備えた。
ルビー「ねぇお兄ちゃん。今日のライブで裏方からとは言えブロリーさんはママのライブを生で見るって事だよね?・・チャンスじゃない?」ヒソヒソ
アクア「そうだな。またとない絶好の機会だ。」ヒソヒソ
ブロリー「?」
どうやらアクアとルビーはブロリーをアイに釘付けするために再び布教を試みるようだ。そんなことを知るよしもないブロリー本人は、B小町のライブが始まるのを静かに待っていた。そして―――
~♪
『あなたのアイドル☆サインはB――チュ』
曲が流れ、アイ達メンバー全員が駆け足でステージへと上ってくる。曲に合わせて歌って踊り出した。仕事とはいえ、ブロリーにとって初のアイドル生ライブが幕を開けたのだった。
今のところ本人は徐々に追い詰められています。それではまた次回。