ライブが終わり、アイ達は握手会に備えて簡易テーブルを挟んで向かい側に一列に並んでいた。そしてその奥にブロリーが壱護と同じサングラスをかけて壁に寄りかかりながら腕を組んで見張っていた。隣には同じくサングラスをかけている壱護がいた。
ブロリー「机を挟んで客が次々と握手していくからその中で不審者がいないか見れば良いのか?」
壱護「そうだ、アイ達の命はお前にかかっているんだ。気を引き締めろよ?」
ブロリー「了解した。」
そしてブロリーの反対側の隣には再びアクアとルビーが椅子に座っていてルビーは嫉妬心を剥き出しにしていた。
ルビー「ムーッ!ママと握手できるなんて羨ましいんですけど!」
アクア「いや俺達は毎日それ以上の思いをしてるだろ。まぁ正直俺もアイがブロリーさん以外の男と肌が触れているところなんて見たくないが。」
ルビー「本当だよ!私達とブロリーさんのママなのに!!」
ブロリー「!?待て、何故そこで俺が出てくる?」
アクア「ブロリーさんは信用できるから。普段の仕事振りとアイ達との接し方で判断した。」
ルビー「そうそう、ブロリーさんはママに対して下心がないみたいだから安心できるんだよ。ママに全く興味ないのは解せないけど!」
ブロリー「したごころってなんだ?」
アクア「・・知らない?」
ブロリー「知らん。」
アクア「だったら知らないままでいい。知らぬが仏っていうくらいだしな。」
ブロリー「教えてくれないのか?」
ルビー「知らなくていいの!ブロリーさんはそのままのブロリーさんでいてほしいから!」
ブロリー「・・なんだったんだぁ?」
ブロリーは意味を教えて貰えずに難しい顔をしていたが、ここまで頑なに教えないのならば大した意味はないのだろうと判断し、気持ちを切り替えた。
壱護「お前らもうすぐで始まるからな。ブロリーはともかくアクアとルビーは静かにしてろよ?へましてアイの子供だということがばれたら大変なことになるからな!」
アクア・ルビー「「はーい。」」
壱護「ブロリー、頼んだぞ?」
ブロリー「はい・・」
やがて時間になり、談笑していたアイ達も一斉に姿勢を整えつつ入り口に目を向ける。そしてスタッフが柵を外すと列をなして待っていたファンの行列が流れ込んできた。アイ達は皆営業スマイルを浮かべて一人一人と両手で握手して丁寧に対応していく。
「ファンです!頑張ってください!」
「ありがとうございます!」
「ずっと応援してます!」
「ありがとうございます!」
そんな流れるように綺麗に対応しているアイ達をブロリーは後ろから不審者がいないかをよく見ていた。
「アイちゃん!またきていい?」
「はい!是非とも来て下さい!」
「これからも頑張って!」
「ありがとうございます!」
「アイちゃん、後ろにいる大きい男性って誰?」
ブロリー「!」
アイ「彼はブロ君、私の恋――」
ブロリー・壱護・アクア・ルビー「「「「ッ!!」」」」
「こ?」
アイ「!――小町、このB小町が誇る自慢のボディーガードです!」
「なんだボディーガードかびっくりした。」
「良かった~。」
「凄く大きい!」
アイが口を滑らせかけて暴露しそうになったが、なんとか誤魔化す。ただ本人もそしてブロリー達も凄い量の冷や汗をかいていた。
アイ(あっ危なかった~。言っちゃうところだったよ・・)
アクア(今のはマジで焦った・・アイ、勘弁してくれ・・)
ルビー(さ、流石ママ・・こんなスリルあるサプライズをするとは・・)
壱護(何やってんだあいつは!危うく事務所ごと終わるところだったぞ・・)
ブロリー(・・アイ、恋人って言いかけたな・・俺よりもアイの方が気を付けた方が良いんじゃないか・・?)
ブロリーは堂々と紹介されたこともあり、ファンの視線が集中した。その為、深めに俯くことで誰にも表情を悟らせないようにするのだった。
そして握手会に参加したファンが続々とB小町のメンバーと握手を交わし、次々と流れていった。ブロリーはそんな中で不審者がいないかを徹底的に見張っていた。黒いレンズが入ってるサングラス越しで見るその目は真剣そのものだ。幸いにもそういった輩は誰一人として現れてないが、集中力を切らさずに仕事を続けていた。そんな最中、ブロリーにとってもの凄く聞き覚えのある声が聞こえてきた。
パラガス「いいぞぉ!遂に俺らの番という訳だぁ!」
悟空「最初はオラだ!」
ベジータ「カカロット!抜け駆けなんて卑怯だぞ!」
悟飯「お父さん情けない・・」
トランクス「悟飯さん、僕らは大人しく後にしましょう。」
悟飯「そうですね。」
パラガス達もアイ達の握手会に参加していたのだ。パラガス達に気づいたブロリーは反応して視線を上げた。そして相変わらずの騒がしさに眉を潜めた。
ブロリー「!」(あいつら、来てたのか。)
ルビー(えっ何あの人達・・特に前の二人、周りのこと考えてないの?・・ドン引きなんですけど・・)
アクア(・・うるさい。大の大人二人があんなに騒いでんのか・・気持ちはわかるが周りの人達のこと考えろよ。迷惑だ。)
パラガスと悟飯とトランクスは節度を守っているが特に騒がしい悟空とベジータには、ルビーとアクアにとっても悪評のようだ。実際にパラガス達の後続はひきつった顔で引いているのがよくわかった。
パラガス「カカロット、ベジータ、少しは静かに出来んのか?皆さん申し訳ありません。」
パラガスが後続に謝っている。とても優しい人が多く、皆気にしないでと言わんばかりに会釈していた。しかし、そんなことはお構い無しなのか悟空とベジータはアイと握手した。
悟空「アイ!ずっと応援してっぞ!」
アイ「あ、ありがとうございます!」
ベジータ「アイ、お前がナンバーワンだ!また来てやる。」
アイ「は、はい!また来て下さい!」
二人の勢いにアイはやや圧され気味で魅せる笑顔を張り付けてはいるがどこかその表情は硬くなっていた。
ブロリー「壱護、俺は行った方がいいか?」
壱護「いや、割とああいう熱狂的な奴は意外と多い。そこまで気にすることでもねぇ。」
ブロリー「・・そうか。」
ブロリーは顔見知りの悟空とベジータを止める気満々であったが、壱護が止めた為に引き下がった。
ブロリー(カカロット、ベジータ、お前達が少しでも怪しい動きをしたと俺が判断したらお約束で血祭りにあげてやる・・!)
意気込んでいたもののその思いは杞憂に終わり、悟空もベジータも特に不審な動きをすることなく終えた。そしてその後ろに悟飯、トランクス、パラガスがアイや他のメンバー達と握手していた。
パラガス「俺は改めてB小町が好きになったぞぉ!全員応援してるぞぉ!」
「ありがとうございます!」
悟飯「アイさん以外の人がセンターを張るのもこれはこれで悪くありませんね。」
トランクス「僕もそう思います。」
パラガス達も特に何もすることなくメンバー達と握手を交わしていった。
パラガス「・・・・」(・・あいつ、さっきアイが言っていたB小町のボディーガードだな。すごくブロリーに似ている気がするのだが、まさか本人か?いや、あいつはアイはおろかアイドルにすら興味を持っていなかった。アイドル事務所なんかに就職するわけがないはずだ・・)
去る直前にパラガスはブロリーを見つめてそんなことを考えていて頭に疑問を残したまま会場を後にしたのだった。
パラガス達はアイやB小町のグッズを大量に購入してから帰路に着いていた。
悟空「いやぁ、オラおでれぇたぞ。全員がセンターになるとは思わなかったな~。」
ベジータ「全くだ!お陰でアイの出番がいつも以上に少なかったぞ!ふざけやがってぇぇ!」
パラガス「落ち着けェ!あれはあれで悪くなかっただろう。俺は新しい他のメンバーの魅力に気づいたのだからな。腐☆腐。」
トランクス「アイさんだけじゃない、皆が最高すぎるんです!」
悟飯「そうですね。メンバーの皆さん次行くときは待っててくださいね。このアイドルグッズもまた持ってきてあげるからね。」
五人はこの日をとても堪能したようである。ベジータもアイの出番が少なかったことに不満こそ抱いてるものの、その手にはアイ以外のアイドルグッズが入った袋を持っていた。皆が余韻に浸ってる中、パラガスだけはどうもさっきいたブロリーのことが気になるようだ。
パラガス「・・・・」
悟空「?パラガスどうしたんだ?ボーッとして。」
ベジータ「お前らしくないぞ。」
パラガス「!ああすまない、実はB小町のボディーガードが気になってな。なんだかブロリーにとてもにている気がしたんだ。」
ベジータ「ダニィ!?ブロリーが会場にいたのか!?」
トランクス「父さん!落ち着いてください。ブロリーさんって確かアイドルに興味なかったはずですが。」
悟飯「ブロリーさんだけ一人とてもうるさそうにしてましたからね。わざわざアイドルのボディーガードなんて仕事につかない気がします。」
悟空「それにオラあの会場からはブロリーの気なんて感じなかったぞ。やっぱり人違いじゃねぇか?」
ちなみに悟空と悟飯がブロリーの気を感じとることが出来なかったのは、ブロリーが通常形態だったからである。"スーパーサイヤ人"でも"伝説のスーパーサイヤ人"でもなかったブロリーに誰も気づくことが出来なかったのだ。
パラガス「・・それもそうだな。ブロリーは俺達が騒がしくするのを嫌っていたからな。どう考えてもアイドル事務所に就職するとは思えんな。そうだな。あいつはただ似ていただけの別人だというわけだぁ!」
パラガスは疑問が晴れてスッキリした顔で大ハズレの結論を出していた。こうして誰もB小町のボディーガードがブロリーだということを認識せずに帰ったのだった。
―――一方、パラガス達が去った後もブロリーは警備を続けていた。そして何もトラブルが起きることはなく握手会は終わり、壱護、アクア、ルビーと共に一足先に楽屋に戻ったアイの元へと向かっていた。
ルビー「やっと憂鬱な時間が終わった~。早くママに甘えたいよ~。」
アクア「お前まだ抑えろよ。まだ家じゃないんだ。俺達がアイの子供であることを知られるわけにはいかないんだぞ。」
ルビー「わかってるよ。あー早く帰りたい。」
ブロリー「・・おい壱護。」
壱護「どうした?」
ブロリー「今日はうまく行ったのか?アイ以外の奴を順にセンターに立たせるというのは初めてだったはずだ。」
壱護「大成功に決まってるだろ。今後のライブはこのスタイルを続けていくつもりだ。」
ブロリー「成功ならなによリーです・・」
ブロリーはアイだけがセンターに立っていたときのライブは生では見たことがなかったのでそのときと今回の違いはいまいちわかっていなかったのだ。壱護に聞いて満足そうに"大成功"と聞いて壱護がいうからそうなんだろうと結論づけた。そして話し合っているうちにアイ達の楽屋の前に着いた。扉を壱護がノックする。
壱護「アイ、ブロリー達がきたぞ入っていいか?」
アイ「社長、うん大丈夫だよ。」
アイの許可を貰ったブロリー達は中へと入った。その瞬間、アイを始めとしたメンバー全員にブロリーは囲まれた。
新野「ブロリーさん、私達の活躍見てくれた?」
高峰「ブロリーさんから見てどうだった?」
渡辺「今日についてブロリーさんの意見聞きたいです。」
「私は私は?」
「私すごく頑張ったよ。」
「感想聞きたいです。」
ブロリー「アイからセンターが変わっても客共も盛り上がってたからよかったんじゃないかぁ?流石だと誉めてやりたい所だぁ。」
ブロリーの評価を聞いた三人は太陽のようにまぶしい笑顔を浮かべて満足そうにしていた。
アイ「・・・・」プクー
しかし、アイは先越されたこととブロリーが他の女性と親しげに話していることが気に食わずに頬を膨らませて剥れていた。
アクア(剥れてるアイ可愛すぎるー!///)
ルビー(拗ねてるママ可愛い!最高!///)
更にそのアイを見ている実の子達は普段見せない表情にメロメロである。そしてアイは我慢できなくなったのか後ろからブロリーに抱きついた。
アイ「むぅ!」ぎゅう
ブロリー「!アイどうしたんだぁ?」
アイ「ブロ君は私のものだよ。普通恋人の私を一番に労うべきなんじゃないの?」
ブロリー「恋人になった覚えなどないが?というかこれ前にも言った気がするぞ。」
アイ「私も、なんかデジャヴを感じた。」
壱護「お前らお似合いだな。」
ブロリー「うるさい!」
アイ「ッ!///」カァァァ
アイとのやり取りをメンバー達はニヤニヤして見ていて更に壱護にまで茶化されるとブロリーは即座に切り捨てるが、アイは真っ赤になって俯いていた。
壱護「よし、それじゃあ全てのイベントが終わったことだし、今日は解散だ。」
新野「そうね。今日はさっさと帰るとするわ。・・二人のためにもね!」
アイ「え!?///」
高峰「邪魔者はさっさと消えるとするわ。あとは楽しんでねアイ。」
アイ「ちょっと・・!///」
渡辺「お幸せにね。」
アイ「待ってよ!///」
「「「お疲れ様でした!」」」
ブロリー「元気でいいなぁ・・」
アイ「うう・・」(嬉しいけど・・!いざ指摘されるとめちゃくちゃ恥ずかしい・・!///)
メンバー達はさっさと帰りの支度を終えて嵐のように帰ってしまった。静けさが残る楽屋に残されたのはアイ、ブロリー、アクア、ルビー、そして壱護のみとなった。
ブロリー「何なんだぁ今のはぁ?」
ルビー「爆弾だけ綺麗に落としていったね・・」(ブロリーさんママに恋人認定されててズルい!ブロリーさんは信用してるけどママは私が守らなきゃ!じゃないとブロリーさんが父親に・・いや、アリだわ!よし、ママとブロリーさんが結ばれるようにしっかりと誘導しなきゃ。)
アクア「ああ、そうだな。」(あれは勘づいてるな、アイとブロリーを結ばせるために。もしそうなったらブロリーに元々名字はない。だから必然と婿入りということになって俺達と同じ名字になるはずだ。俺達の父親"星野ブロリー"・・いや、悪くないな。ブロリー・・逃げられると思うなよ?)
アクアとルビーが心の中で並々ならぬ決意を固めていることはブロリーに知るよしもない。
壱護「俺達も帰るぞ。」
ブロリー「はい・・」
アイ「うん・・///」
未だに上の空なアイが我を取り戻すには数分の時間を要したのだった。その後、ブロリー達はようやく帰路に着いた。こうしてブロリーの初の遠征はトラブルが起きることなく無事に終わったのだった。
今回でライブ編は終わりです。次からは通常の日を複数投稿したあと、ドームライブの会へとしようと思います。