ブロリーはボディーガードとして初めての大仕事を終えて自宅へと戻ってきていた。特に問題も起こることはなくブロリーの本来の力が振るわれることはなかったが、それでもアイを始めとするメンバー全員をしっかりとガードできた充実感で溢れていた。そしてライブがあった翌日、この日は休日である。ブロリーは特にやることもなく寝床の上でくつろいでいた。
ブロリー(今日は特に予定はない、携帯でもいじりながら適当に時間を潰すとするか。)
ピンポーン
ブロリー(んん?誰だぁ?今日は客が来る予定なんか無かったはずだが?)
ピンポーン
ブロリー「今出るから少し待ってロットォォォ!」
ブロリーは間髪入れずに連打されたインターホンに嫌々ながらも体を起こし玄関のドアを開けた。
ブロリー「誰ですかぁ?」
アイ「ブロ君、おはよう!」
ブロリー「・・アイ、何しに来たんだぁ?今日は休みだぞ。」
アイ「うん、だから普段は迎えに来てるでしょ?今日は遊びに来たの。アクアとルビーも一緒だよ。」
アクア「ブロリーさん、こんにちは。」
ルビー「遊びにきたよ。」
ブロリー「・・言っておくが家には何もないぞ。それでもいいのか?」
アイ「全然大丈夫だよ。私はブロ君の側に入れればそれだけで満足だもん。それにウチの子達は天才だからこの子達なりに楽しい時間を過ごせるんじゃないかな?」
ブロリー「どこからそういう自信が出てきやがるんだ?まぁいいだろう、入れ。」
アクア・ルビー「「お邪魔します。」」
アイ「ただいま!」
ブロリー(何故ただいまなんだ?)
明らかにおかしい言動に違和感を抱いたのはブロリーだけであり、アクアとルビーは気にする素振りも見せなかった。それだけブロリーを家族として受け入れる用意は出来ているということだろう。疑問を抱くブロリーだが、口には出さずに三人を招き入れると戸締まりをした。そして先に入ったアクアとルビーは居間を見て硬直していた。
ルビー(本当に何もない・・)
アクア(あまりにも殺風景だな・・)
ブロリーの家は本当に必要最低限の物しか置いていなかったのだ。生活必需品はしっかりまとめてあるものの、娯楽となるものは本当に何もなかった。
アイ「うわぁ、シンプルに新居って感じがする。」
ブロリー「だから何もないと言っただろ。」
ルビー「ブロリーさん、少しは飾ったりしたらどう?」
アクア「そうだ。これはあまりにも寂しいぞ。」
ブロリー「わざわざ飾る意味が理解出来ぬぅ!だいたい何を飾ればいいかわからん。」
ルビー「色々あるよ!ママのポスター張ったり、ママのクリアファイルを沢山棚に収納したり、ママのグッズを沢山飾ったりすればいいんだよ。」
ブロリー「アイばっかだな・・」
アクア「何言ってるんだ?推しに囲まれるってこれ以上の幸せはないぞ。」
ブロリー「俺はアイの熱狂的なファンじゃない。」
ルビー「えー!私達と隣の家に住んでいて?それでいて職場も同じでママの輝きを一番近くで何回も見てるはずなのに、まだママのファンにならないの!?」
アクア「・・再教育が必要なようだな?もう一度アイのライブ全て見るか?」
ブロリー「ここは俺の家だぁ!アイドルのビデオなんぞあるわけないだろう。見ることなど出来ぬぅ!」
アクア「ああ、だから持ってきたぞ。」
アクアはビデオやグッズの一部を持っていた鞄から取り出してブロリーに見せた。
ブロリー「へァッ!?なんで持ってきてるんだ!?」
アクア「ブロリーさんはアイのアイドルグッズ何一つ持ってないと思ったからだ。家でダビングして同じものを複数作ったからこれをここに置いていくぞ。」
ブロリー「いらぬぅ!」
ルビー「ブロリーさん、私気づいちゃったんだ♪」
ルビーがブロリーを見上げながら笑顔を作った。同じようにアクアも笑顔を作る。笑顔なのだが目が全く笑ってない凄みのある表情にブロリーは怪訝の表情を浮かべた。
ブロリー「・・何をだ?」
ルビー「ブロリーさん、私達がママの事を布教しようとする度に、やれ"私達が全力で楽しめるため"だの"ママを守るため"だの仕事を盾にしてのらりくらりとかわしていたよね?」
ブロリー「!そそそそのようなことがあろうはずがないぞ!」
ルビー「図星みたいだね。お兄ちゃん、これは確定だね。」
アクア「ああ、あからさまに狼狽えてるな。確かにそのときは本気でアイのことも俺達のことも守ってくれるって言ってくれて嬉しかったし、それは嘘じゃなくて本当に守ってくれるって確信しているほど今も信用している。だが、仕事を盾にアイの虜になるのを避けていたことは俺もルビーも許すつもりはない。」
ルビー「そーそー、今日は仕事はない日だからたっぷりと楽しめるよね?」
ガシッガシッ
ブロリー「!」
アクアとルビーは身長的にブロリーの赤い腰布をしっかりと握ると笑顔を解いてハイライトのない目でブロリーを見上げた。
アクア「ブロリーさん、今日という今日は観念してよ?俺達から逃げられると思わないことだな♪」
ルビー「ブロリーさん、覚悟してね♪」
ブロリー「馬ァァ鹿ァァなァァ!!」
アイ「・・・・」
ブロリーの力を持ってすれば腕を軽く振るだけでアクアとルビーを振り払えるのだが、そんなことをしてしまえば二人が大怪我をしてしまうのは明らかなため、二人に合わせて動くしかなかった。そして座らされると足の上に股がって拘束するのだった。この一連のやり取りを先程から黙って見ていたアイは、ステージでは決して見せないような不機嫌な表情になっていた。
アイ(・・なんでだろう。今ブロ君にしがみついているのは最愛の子供達なのに・・すごくムカムカして嫌な気持ちになる。・・もしかしなくても私・・アクアとルビーに嫉妬してる・・こんなこと一度もなかったのに・・私、どうしちゃったんだろう・・だけど、抑えられない・・ブロ君を誰にも渡シタクナイ・・)
ブロリー「?アイ、どうしたんだ?」
アイ「!ううん、なんでもないよ。今いく。」
ブロリーが呼び掛けるとアイはすぐに我に帰って気持ちに蓋をするように笑顔を張り付けて後を追った。そしてアクア達が持ってきたアイのビデオを二人に拘束されながら一時間程観賞したのだった。
ルビー「はぁ~最っ高!ブロリーさん、どうだった?」
ブロリー「そうだな、仕事じゃなくて普通に見るのもたまには悪くないなと思ったぞ。アイの動きが客を引き寄せてるのがなんとなくわかる気がするな。」
ルビー「!そうでしょ!ママのパフォーマンスは桁違いにすごいんだから!」
アクア「ようやくブロリーさんもアイの魅力に気づいたか。」
ブロリー「仕事で普段から見ているんだ。違い位簡単に分かるようになった。」
アクア「ブロリーさんから見て普段のアイはどう見てるの?仕事仲間?それともアイドル?」
ブロリー「違うな、お前達を愛情込めて育ててる母親だな。」
アイ(!ブロ君・・!嬉しい!)
ルビー「ブロリーさんわかってるね!そう、ママの右に出る女なんてこの世にいないんだから!ママを守る仕事に就いてるブロリーさんは世界一誇れる人なんだよ。」
ブロリー「・・そうか。」(どちらかというと力と強さで誇りたいんだが暴れるわけにも行かんしな。)
ルビー「これからもママをよろしくね。」
ブロリー「何言ってるんだ?お前達家族も含めてだ。でないと俺がここに来た意味がない。」
ルビー「!ブロリーさんありがとう。」
ブロリー「フハハハ!いいってことよ!」
アクア「・・・・」
会話に入れなくなってしまったアクアはつまらなそうに物思いに耽っていた。
アクア(・・なんでルビーにばかり構うんだ?ルビーだけじゃない、職場に行けば社長とミヤコさん、それとB小町のメンバーとまで楽しそうに話す始末。百歩譲ってアイとルビーとは楽しそうに話すのは我慢できる・・だがそれ以外の奴らがブロリーと親しげに話すのは許せねぇ・・ブロリーと仲が良いのは俺だけで――! バチン!
アクアは自分が今考えていたことに気づいて我に返ると自分の頬をはたいて思考を振り払った。
ブロリー「!どうした?」
ルビー「お兄ちゃん!?」
アイ「アクア!?どうしたの?大丈夫!?」
アクア「あ、ああ、大丈夫だ。問題ない。」
アクアは笑みを浮かべて平気アピールをする、特にアイとルビーは何か言いたげだったが、本人が大丈夫と行っているのでそれ以上追言することはなかった。
アクア(今俺は何を考えた!?どうしてブロリーと親しげになってるアイとルビーにもこんなに不快になるんだ?仲が良いのは俺だけでいい?なんでこんな気持ちになるんだ?でも抑えられない・・まさか俺、ブロリーのことを?いやいや!あり得ないだろ!俺は男だぞ、そんな目で見ていいはずがない。ああああそれでと駄目だ・・自覚したら余計に意識してしまう・・ごまかしきれない・・俺、好きなんだな。ブロリーのことが。)
アクアはブロリーへの好意を自覚して顔が朱くなっていた。そして今はブロリーの足に股がっている状態である。それにも差恥に伯爵をかけて後ろを振り返ることが出来なくなっていた。
アクア(後ろにブロリーがいる///振り向けない///)
アクアは一人、差恥心と戦っていた。そんなアクアの心情を知らずに遂に我慢できなくなったアイがブロリーの隣に座って抱き着いた。
ブロリー「!アイ、どうしたんだぁ?」
アイ「・・ブロ君、そろそろ私にも構ってほしいかな。ずっと蚊帳の外にしてさぁ。寂しいよ。」
ブロリー「かやのそとってなんだ?」
アクア「か、簡単に言うと・・ほったらかしにしてる・・っていう意味・・だよ・・」
ブロリー「なるほど。アイ、それは悪いことをしたな。」
ブロリーは空いている手をアイの頭に置いて優しく撫でる。それだけでアイの不機嫌だった顔が満面の笑みになって上機嫌な様子に変わった。
アイ「んふふ♪ブロ君に撫でられるの大好き~♪」
ブロリー「そうか。良かったYO。だがそれはそれとして何でアクアはそんなに歯切れが悪いんだぁ?」
アクア「!別に・・そんなことは・・」
ブロリー「どこか悪いのか?おかしくなったらすぐに言えよ?」
アクア「だ・・大丈夫だから・・」
ブロリー「遠慮なんていらぬぅ!楽になるまで寄りかかってロットォォ!」ボフッ
アクア「!!ッ///」
ブロリーはアクアを無理矢理自分へと寄りかからせた。するとアクアは更に顔を朱くして差恥に耐えられずに俯いてしまった。
アイ(アクア照れてる!きゃわ~!)
ルビー(お兄ちゃん真っ赤になってる。)
そしてその様子を見ていたアイはアクアを微笑ましく見ていて、ルビーは驚いた顔の後、すぐに何かを理解したような様子になって面白く無さそうに表情を歪めた。
ルビー(そっか、お兄ちゃんもブロリーさんのことが好きなんだ。・・なんでだろう、なんとなく嫌な気持ち・・ママにもお兄ちゃんにも取られたくないって思っちゃう。どうして?私には吾郎先生がいるのに・・先生一筋のはずなのに・・大きくなって再開したら結婚するのに・・吾郎先生のことを思うと対抗するようにブロリーさんのことが浮かんできてすごく苦しくなる・・どうしてこんなに苦しくなるの?・・ママもお兄ちゃんもブロリーさんが好きだから私に入り込む余地なんてないのに・・諦めなきゃいけないのに・・諦めたくない・・もしかして、私もブロリーさんのことを?)
ルビーは転生してからも吾郎と結婚することを諦めていなかった。むしろ早く再開するために早く大きくなりたいとすら思っていた。しかし、今ではブロリーとの間で気持ちが揺れ動いていたのだ。アイをストーカーから身を挺して助けたとき、それを間近で見ていたルビーのブロリーへの好感度は元々高かった。アイドルのアイに全く惹かれないことは気に食わないが、同時にアイのことを邪な目で見ないことも評価ポイントとなっていた。更にブロリーは働くことに意欲的だったこともあってボディーガード以外での雑用をこなし、アイドルのアイだけにとどまらずその家族のアクアとルビーも含めて守ろうとする行動力など、それらをずっと見ているうちにいつの間にかルビーはブロリーに惚れ込んでいたのだ。そしてその気持ちを自覚してようやく決意した。
ルビー(やっとわかった。私もブロリーさんが好きなんだ・・好きだからこの気持ちを抑えられないんだ・・私の中でどんどん先生がブロリーさんに変わっていく・・私達が安心して暮らせるように尽くしてくれてるんだ・・ブロリーさん・・大好き///)ピトッ
ブロリー「!ルビーか?お前までアイみたいに引っ付いてきてどうした?」
ルビー「なんでもないよ。ただ、なんとなく今はこうしていたいかな。」
アイ(ルビーまで・・でもなんとなくわかったよ。二人ともブロ君が好きなんだ。・・帰ったらお話する必要があるかな?)
アイはアクアとルビーにしっかりと話し合う覚悟を決めたのであった。ブロリーへの好意を自覚した三人は、持ってきたビデオを見るのも忘れてブロリーと充実した休日を過ごしたのであった。
なんか需要が変わってきた気がする。