伝説のアイドルと伝説のスーパーサイヤ人   作:ツキリョー

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ライブ編が長い・・


帰る伝説のスーパーサイヤ人と蠢く悪

東京ドームで最後の握手会を終えてブロリー達は車で帰路に着いていた。最後の握手会はアイがブロリーとの関係を公表したこともあり、アイへの祝福の言葉だけでなく、アイ達の後方で見守っているブロリーに対しても手を振ってきたり"絶対に幸せにするように"と激励されたりとファン達から大いに注目された。様々な意味で一躍有名になったブロリーは帰りの車の中で上機嫌になっていた。

 

ブロリー「♪」

 

アイ「なんかブロ君機嫌いいね。何があったの?」

 

ミヤコ「握手会で貴女のファン達から注目されて応援されたことに得意気になっているのよ。」

 

ブロリー「応援されて悪い気はしない。」

 

ミヤコ「素直ね。アイ達が主役だった筈なんだけどね。」

 

アイ「ね!B小町とブロ君のダブル主役になっちゃったね。」

 

ミヤコ「そうね。あんなに少しの登場ですぐに有名になるとは思わなかったわ。」

 

そして助手席で項垂れながらもアイ達の会話を聞き取っていた壱護は、頭で復唱しつつ思考を凝らしていた。

 

壱護(ブロリー、ミヤコの言うとおり確かに少しの出番で絶大なインパクトを残した。まぁ最もそれは色んな意味を含めてだが、体格を始めとする異質な見た目だからか"見る者を惹き付ける"という力はアイにも劣らないぞ。思わぬ人材がいたもんだ。よし!)

 

ブロリーに芸能界でやっていけるかもしれないと感じ取った壱護は勢い良く顔を上げてブロリーを見た。

 

壱護「なぁブロリー。」

 

ブロリー「んん?なんだぁ?」

 

壱護「お前、芸能界に入る気はないか?役者とかどうだ?」

 

ブロリー「どうしたんだぁ?急に。」

 

壱護「握手会での出来事で意外と才能あるかもって思ったんだ。お前なら成功する可能性を秘めてるんだ。だからどうだ?芸能界に入ってみないか?成功したら給料も増額するぞ。」

 

ブロリー「断る。」

 

壱護「!何故だ?理由でもあるのか?」

 

ブロリーが断った理由は至極真っ当なものだった。それを壱護に突きつけた。

 

ブロリー「感情とは違う表情をすることは苦手だ。アイのように本当だと思わせるような演技など出来ぬぅ。」

 

壱護「そ、そうか・・」

 

演技力、それはアイドルは勿論役者や俳優、女優等テレビに出る者に求められる必須のスキルである。物語の世界線に合わせてまるで本当にそういう人物じゃないかと思わせるほどの力がなくてはいけないのだ。そしてブロリーは、新惑星ベジータでは、孫悟空もといカカロットと遭遇すると、過去の因縁からすぐに伝説のスーパーサイヤ人に覚醒して戦ったくらい、感情を押し殺すことが苦手だった。今までアイと良い関係を築けてきたのも、決してアイに合わせてた訳ではない。独り暮らしをするに当たって"面倒事を起こされたくない。眠れない程騒がしい親父達の元に戻りたくない"と思った故の行動だったのだ。生まれた頃から誰よりも強い戦闘力を持って生まれたブロリーは過酷な環境の中過ごしてきた経緯もあり、どうしても自分第一となる傾向がある。そして強い戦闘力を持つことにも誇りを誇っている。そのため、決められた台詞や上の者の言いなりとなり、自身の感情とは違う表情で演技をしなければならない芸能界の道は、ブロリーにとってとても耐え難い屈辱だった。嫌々やっても長続きしない。ブロリーはそう思って断ったのだった。そして芸能界において何よりも重要な演技の面で苦手だとはっきりと言われれば、壱護も諦めるしかなかった。

 

アイ「社長駄目だよ。ブロ君は今後は私の専属ボディーガードになるんだから。」

 

ブロリー「は?聞いてないが?」

 

アイ「今言ったからね~。」

 

壱護「今世間はお前とアイの交際に賛否両論だ。アイが女優になってもお前がずっと側にいてやれ。少なくとも皆が皆敵対するわけではないからな。」

 

壱護は言葉では賛成よりの発言だが、その表情は引きつっていた。自棄になってしまったようだ。そんなことは知らずにブロリーは言った。

 

ブロリー「・・俺はアイとはただの隣人の関係になって転職するんじゃないのか?」

 

「「「「「え!?」」」」」ピシッ

 

ブロリーの衝撃の発言に車内の空気が凍り、ブロリーを除く五人が固まった。特にアイとアクア、ルビーに至っては目からハイライトが消えていた。そして低い声でアイは尋ねた。

 

アイ「ブロ君・・どうしてそう思ったのかな?」

 

ブロリー「俺はアイのボディーガードとして雇われた。アイが事務所を辞めるなら俺は用無しになるんじゃないのか?」

 

壱護「そんなわけないだろう。確かにアイがアイドルを引退するのは事実だが、だからといってアイが事務所を出ていく訳じゃないぞ。うちはアイドルだけでなく幅広い分野で活動しているから引き続き事務所には所属するぞ。」

 

ブロリー「そうなのか?」

 

ミヤコ「ブロリー君もしかしてアイが引退したら離ればなれになると思ったのかしら?」

 

ブロリー「はい・・」

 

アイ「・・・・」ギュ

 

アクア・ルビー「「・・・・」」ガシッ

 

ブロリー「!!」

 

ミヤコの質問に肯定すると、ハイライトをオフにしたアイがブロリーの腕に両手でしっかりと抱きついた。同じようにハイライトがオフになったアクアとルビーも席に座っているブロリーの両足の上に股がって拘束した。

 

ブロリー「・・何してるんだぁ?」

 

アイ「ブロ君・・約束したよね?私のことを守ってくれるって、ファンの皆の前で"私の安全を脅かすのは破壊する"って公言したよね?なのにすぐに私と離れるつもりだったの?そうはいかないよ。私のボディーガードになったんだからずっと側にいてもらうよ。絶対に逃ガサナイカラネ・・」

 

ルビー「ママの言うとおりだよ。あれだけ見栄張っておいてサヨナラなんてするわけないじゃん!逃げられるなんて思ワナイデネ・・」

 

アクア「二人の言うとおりだ。アイのボディーガードとして雇われたんだから例えアイがアイドルから別の道に行こうとブロリーさんも一緒だ。沢山のファンの前であんなこと言ったんだ。最後まで責任を取ってもらうよ。もし逃げたらドコマデモオイカケルカラ・・」

 

ブロリー「・・・・」

 

三人から圧をかけられながら密着拘束されるが、そもそもとしてブロリーは辞めたくてこの話題を振った訳ではない。ただ、もしアイが事務所を辞めるなら自分も辞める羽目になると運命を受け入れつつ聞いたのだ。なので今三人から拘束されても無抵抗なのだ。それどころか、空いたもうひとつの手をルビーとアクアがバランスを崩さないようにそっと添えて支えているのである。

 

ブロリー(アイとは離れるわけではないのか。仕方ないな、アイでは不安だから俺が側にいてやろう。)

 

そして内心ではプライド故に"仕方なしに合わせてやる"的なことを思っているが、外見では満更でもない様子なのが丸わかりだった。

 

ブロリー「この俺が逃げるだと?フン、そんなのは力の無い雑魚の手段の一つに過ぎん。大口を叩いたからには最後まで付き合ってやろう。」

 

アイ「!今ブロ君付き合ってくれるって言ったよね!?やった!今すぐに恋人になろう!」

 

ルビー「ママ何言ってるの?今のは私に言ったんだよ。ブロリーさん、年齢なんて関係ない。今から恋人として付き合おうよ。」

 

アクア「何言ってるんだ二人とも。ブロリーさんは俺の問いに対して"付き合う"と言ったんだ。恋愛が成立したのは俺だろう。ブロリーさん、恋人として行きたいところがあったら言ってくれ。どこでも付き合うよ。」

 

三人は早くブロリーと恋人になりたいあまり、それっぽい言葉を都合良く認識を改変して告白成立を迫っていた。

 

ブロリー「俺はボディーガードとしてお前達と付き合うと言ったつもりなんだが?」

 

アイ「うん!それは勿論だよ!でも今ブロ君は付き合うって言ったからね。言質は取ったよ!あっそうだ!なんだったら今日から一緒に住もう!もう隠す必要は無いんだし。」

 

ブロリー「へぁっ!?」

 

ルビー「それなら賛成!」

 

アクア「おれも同意する!」

 

ミヤコ「貴方達都合良く捉えすぎよ。第三者の私達から聞いてても明らかにブロリー君はボディーガードとしての仕事上最後まで付き合うって意味で言ってたわ。」

 

壱護「そうだ。流石に早とちりしすぎだ。ブロリーはまだ何も自分の意見を言ってないだろう。お前らは恋人の意見も聞かずに物事を決めるのか?そんなんじゃ長続きしないぞ。少しは相手の事尊重しろ。」

 

アイ・アクア・ルビー「「「はーい・・」」」

 

ブロリー(助かった。)

 

壱護とミヤコの説得でようやく三人の暴走が収まり、ブロリーは心の片隅で密かに斎藤家夫婦に感謝したのだった。それでもアイ達三人はブロリーから放れず、むしろ隙間なくぴったりとくっついていた。やがて拘束するにも四歳の体力には限界が来たのか、そのままブロリーの膝の上でアクアとルビーは寝落ちしてしまったようだ。

 

ブロリー(アクアとルビー寝たな。俺の体で寝るとはいい度胸だ。)

 

アイ(ブロ君の膝で寝てるうちの子きゃわー///恋人として最高に格好いいブロ君とちょこんとくっついて寝てるアクアとルビー、萌えるわー///)

 

アイは尊すぎる目の前の光景に発狂しそうになってるが、せっかく寝た子供達を起こすまいと両手を口に当てて必死に抑えて悶絶していた。

 

ブロリー「アイ、揺らすとガキ共が起きるぞ。」

 

アイ「だってぇ~。可愛すぎるんだもん!」

 

ブロリー「そうか。」

 

アイ「ちょっと!そこは"アイの方が可愛いよ"って気を利かせて言うところだよ!」

 

ブロリー「そうなのか?」

 

アイ「もう!乙女心理解しなさすぎ!そんなんじゃいつまで経ってももてないよ。」

 

ブロリー「もてるってなんだ?」

 

ミヤコ「沢山の異性から好意の目で見られることよ。つまり見ただけで好きに近い感覚を沢山の女性から持たれることを"もてる"って言うのよ。」

 

ブロリー「なるほど。ファンに近い感覚か。」

 

ミヤコ「うーん、まぁおおむねその認識でいいわ。」

 

アイ「ねぇ話それてるよ。ブロ君はもう少し乙女心を理解した方がいいと思う。」

 

ブロリー「できるなら善処しよう。」

 

アイ「そこは"わかった、気を付ける"でいいの!もうブロ君の鈍感!アホ!獣!」

 

ブロリー「そうか、じゃ俺はアイの側にいると迷惑なようだから引っ越して転職もするか。」

 

アイ「!?嘘ウソ!ごめんなさい!調子に乗りました!ブロ君はかっこ良くて強くて賢い自慢の夫ですぅぅぅ!」

 

ブロリー「夫ではないだろ。」

 

ミヤコ「二人とも何やってるのよ・・後ブロリー君、あまりアイをからかわないの。」

 

ブロリー「面白面白。フハハハ!」

 

ブロリーは自分に必死で縋りつくアイをからかって面白がっていた。だが今まで星野家の三人に自分の意思を貫きつつも振り回されてたことを考えれば可愛いいたずらである。ブロリー達先に寝落ちしたアクアとルビーを支えつつ、車で家まで帰ったのだった。

場所が変わってここはB小町とは別の芸能事務所である。そこで社長室と書かれたプレートがある部屋で一人の男が、本日行われた東京ドームでのアイのライブをテレビで見ていた。そしてライブが終わるとテレビを消して目の黒い星を不気味に光らせて歪んだ笑みを見せた。

 

?「アイ、まさか生きていたとはね。でも結果的にあの時死ななくて良かったよ。お陰で君はこんなにも輝くアイドルになれたんだから。」

 

その男は金髪でスーツを身に纏っていて、目に黒い星を宿しているこの事務所の社長である。整った顔で歪んだ笑みを漏らしていた。この男が言うあの時と言うのは言わずもがな、アイとブロリーが出会ったストーカー襲撃事件の日である。

 

?「・・それとアイの口ぶりからして彼があの時の邪魔者だったんだね。確かに凄い体つきでナイフを折った事にも納得できるね、だけど刃物は横からの衝撃に弱い。運が良かったね。体格は凄いけど武器には勝てるのかな?アイのボディーガードさん?まぁアイをここまで輝かせてくれたことには感謝してるけどね。」

 

そして男はブロリーがストーカーを退けられたのは偶々だと思っているようだ。ブロリーがストーカーを撃退したのは偶々でもマグレでもなく、ブロリーの力である。正式には、力の100分の1も出してはいなかった。伝説のスーパーサイヤ人であるブロリーがもしその気になれば、銀河一つを消すことくらい訳がないのだから。それ程の戦闘力を持つブロリーが、たかがナイフを所持した人間一人に遅れをとることなどありえなかった。ブロリーの正体を知らないが故の余裕である。そんな余裕を持ちながら男"カミキヒカル"は独り言を続けた。

 

カミキ「今のアイは一番輝いていると言っても過言じゃないだろうね。つまりそれは最高に価値があると言うこと。・・フフフ、今のアイを殺せばそれだけ僕の命の重みを実感できる。今度は失敗しないよ。念入りにじっくりと用意しないとね。」

 

カミキヒカルは、アイを殺害するために色々と計画を練っているようである。彼は価値ある命が自らの手で滅んでいくことに悦びを感じる快楽殺人鬼で、既に何人もの芸能人を殺めていた。だが、今まで捕まっていないのはうまく立ち回ってきたことで回避していたのだった。そしてカミキヒカルは社長室を出ると、一人暗い廊下へと姿を消した。しかし、彼は知らない。ブロリーと敵対することがどれだけ命知らずな愚かな行為だと言うことを。




近々本格始動すると思います。
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