ブロリーはアイのボディガードと事務の雑用の業務に加え、フルタイムで働いた後に宇宙へと飛んで修行することが日課になりつつあった。最初こそ慣れない刺激に身体に違和感を覚えていたブロリーだったが、流石は伝説のスーパーサイヤ人というべきか、数日も経てば慣れて余裕ができていた。更にブロリーの戦闘感覚も元に戻っていて今後は更に強さを求めていく目標に変わっていた。そして現在は再びアイ達と共に食卓を囲んで食事を楽しんでいた。
ガツガツガツガツ
アクア「...相変わらず凄い量だ。」
ルビー「本当だよね...体のどこに行ってんだろ?」
アイ「こんなにがっついてくれるなんて!腕を振るった甲斐があったもんだよ!」
アクアとルビーが引く中、アイだけはブロリーの食べっぷりに大喜びしていた。そんな中、点いていたテレビから驚きのニュースが飛び込んできた。
『———続いてのニュースです。俳優にしてカミキプロダクションの社長でもあるカミキヒカル容疑者が銃刀法違反の疑いで逮捕されました。———』
アクア「!!」
ルビー「え!?」
アイ「!」
ブロリー「....」
そのニュースに一同は食事の手を止めてテレビを凝視していた。ブロリーでさえも廃工場での事件は気になるようだ。
『———町外れにある海辺の廃工場で"沢山の人が倒れている"と110番通報があり、警察が駆けつけたところ、十数人の男性が気を失って倒れており、カミキ容疑者の手には銃が握られていたとして銃刀法違反の容疑で現行犯逮捕されました。調べによりますとカミキ容疑者は"銃を所持していたことは認めますが、周りに倒れていた人に関しては僕の仕業じゃありません。"と容疑を一部否認している模様です。警察は数年前から続いていた芸能人が行方不明になる事件や原因不明の死亡事件との関与性も調査していく方針です。———』
アイ「カミキ君捕まったんだ...」
ルビー「良かったじゃん!あんなクソ男捕まって当然だよ!早く死刑になってくれないかな?」
アクア「同感だ。アイだけでなくブロリーさんや家族の命も狙ったんだ。一刻も早くこの世から消すべきだ。」
アイ「うちの子が怖いよ〜...ブロ君はどう思ってるの?」
ブロリー「所詮クズはクズなのだ。」
アイ「感心なしか〜。」
カミキヒカルが捕まった情報を受けて、アクアとルビーは意気揚々としていてブロリーは途中から聞き耳こそ立てるものの食事を再開していた。そして食事が終わると各々がやりたいことをやる自由時間となっていた。アイは全員分の食器を洗い始めて、ご馳走になったブロリーもその手伝いをしていた。アクアは小説を読んでいて、ルビーはチャンネルを回してアイの出ているライブの録画を見ていた。すると、家のインターホンが鳴った。来客が来た合図である。
ピンポーン
アイ「はーい。」
アイがこの家の世帯主であることから出ようと玄関まで行った。そしてブロリーが中にいるという事もあってアイはチェーンを施錠したままドアを開けた。すると扉の向こうには青い制服を来た人達が手帳をもって立っていた。青い制服で全員が統一された格好をして4、5人ほどの人が待ち構えていた。警察である。
「警察です。星野様のお宅でよろしいですね?カミキ容疑者について少々お話を伺ってもよろしいですか?」
アイ「!?」(け、警察...!?)
ルビー「お、お兄ちゃん!どうしよう...!」
アクア「お、落ち着け!こっちに非はない筈だ...!」
ブロリー「....」
アイ「ちぇ、チェーンを外したいので、しょ、少々お待ち下さい。」
アイは動揺しながらも一度閉めてチェーンを外してから扉を全開にした。それを見た警察は軽く頭を下げてまずは感謝の言葉を述べた。
「今お時間はよろしいですか?」
アイ「はい。大丈夫です。」
「ご協力ありがとうございます。貴女とそこのお兄さんとあとお子様たちからもお願いします。」
ブロリー「いいだろう。」
アクア「わ、わかった...」
ルビー「うん...」
「ありがとうございます。早速ですが、カミキ容疑者を抑えた現場が少し離れたところにある廃工場でした。ですがそこのすぐ近くにある防犯カメラに貴方達の姿が映っていたのです。あの時の貴方達は何をしていたのですか?」
アイ「...わかりました。全てお話します。」
アイは腹を括ったかのようにポツリポツリと当時何があったのかを語りだした。
アイ「信じられないかもしれませんが、あの日私は攫われたんです。黒い服装の男性達が私と子供達を取り囲んで子持ちだったことを非難されました。そして私の腕を掴んでここから下まで連れ去られそうになりました。子供達が止めようとしてくれたのですが、その男性達は刃物を持っていてそれを突きつけようとしたんです。子供達の命が危ないと感じた私は無抵抗のまま連れ去られて車に乗せられて廃工場に移動させられたんです。」
ブロリー「それだけじゃないぞ。アイから男を引き離そうと頑張ったルビーだが、そいつはルビーを乱暴に振り払ったらしいぞ。」
ルビー「そうだよ。あの時痛かったんだから!」
「なるほど、因みにお兄さんは何をなされていたのですか?」
ブロリー「俺はその日アイの今後の仕事について取引してくれそうな相手との面談として仕事に行っていた。」
「なるほど、そうですか。」
警察の1人が事情聴取をしている中、もう1人は記帳にメモを取っていた。
「それでは辛いかもしれませんが続きをお願いしてもよろしいでしょうか?」
アイ「はい、目隠しをされたので経路はわかりませんが、目隠しを外されたら廃工場内に置いてあった椅子に座らされていました。その時に銃を持ったカミキ君と会ったんです。」
「では出会った時点で既に銃を持っていたということですか?」
アイ「はい。」
アイが事情聴取を受けている間、一緒に来ていた若い女性警察官もブロリーに事情聴取を始めた。
「貴方さっき仕事でいなかったと仰っていましたが、廃工場の防犯カメラには貴方の姿も映っていたのですがどういうことでしょうか?」
ブロリー「ちょうど昼にその面談が終わって休みの日だった事もあってそのまま帰ったんだ。そしたらアクアもルビーも泣いていてな。」
ルビー「ちょっ!ちょっと!」
アクア「言わないでよ...」
ブロリー「カワイイリアクションだったからなぁ。それよりもだ、詳しく話を聞いたらアイが攫われたというからな、急いでアイの気を探して空を飛んでいった。」
「...空を飛んだ?...空を飛んだ...あぁ空を飛ぶ勢いで急いだってことですね!」
アクア「いや、本当に空を飛んだよ?」
ルビー「あれは楽しかったー!」
ブロリーに事情聴取している女性警察官は現実離れしたアクアとルビーの証言にケラケラと笑って子供の微笑ましい冗談だと思って疑わなかった。
「あはは、君達面白いね。いい発想力だよ。でもごめんね、今はふざけてる場合じゃないんだよ。これは大事なことを聞いてるんだから本当のことを言ってほしいな。」
ルビー「うぅ...全然信じてくれない...」
アクア「普通はそうだ。俺もフォローしてるけど正直言ってダメ元だった。」
ルビーが証言に失敗してあからさまに落ち込んでいる。アクアは最初から諦めがついていたのか、冷静に受け止めてルビーを慰めていた。それをよそに女性警察官はブロリーに事情聴取を続けた。
「それでどのようにして現場まで向かったたのですか?少しと言っても距離は結構ありましたからやはり車ですか?」
ブロリー「空を飛んで行ったと言ったはずだが?」
同じ答えを出したブロリーに女性警察官は営業スマイルが凍りついて少し圧を出しながら言った。
「あの〜本当のことを言ってほしいってさっき言いましたよね?イメージではなく具体的に言ってほしいんですけど?どのように向かったのですか?」
ブロリー「だから空を飛んで行ったと言っただろう。」
「いい加減にしなさい!空を飛ぶことなんて出来るはず無いでしょう!?これ以上嘘を付くなら貴方を虚偽告訴罪で罪に問うことになりますよ!」
ブロリー「お前こそいい加減にしろ!何回同じことを言わせるんだ!俺は飛べるからアクアとルビーを連れて空を飛んで行ったんだ!お前の方こそ名誉毀損とやらになるんじゃないか?」
ブロリーの反論にカチンという音が女性警察官の頭の中に響いた。営業スマイルは完全になくなり、鋭い目付きでブロリーを睨んだ。対してブロリーも全く怯まず女性警察官に対して視線を外すことなく見据えた。アクアとルビーはそんな光景にオロオロしていた。
「...言いましたね?ならば証拠を見せてみなさい!貴方が空を飛べるという証拠を!」
ブロリー「いいだろう。のぞむところだぁ!よく見ていろ!」ビュオオオオ
ブロリーは挑発的に言うと本当に空中へと浮かび上がった。先程まで強気だった女性警察官は驚いて腰を抜かしていた。
「えっええええええ!!?ほ、本当に空を飛んでる...!!」
そして女性警察官の叫び声でアイに事情聴取していた警察官やメモを取っていた警察官などもそちらへと振り向く。
「どうした?急に大声なんか出して。」
「あ、あれ...あれ見てください...!」
女性警察官が空中に佇むブロリーを震える手で指さした。視線を向けた他の警察官たちもブロリーを見ると目を見開いた。
「貴方!何してるんですか!?」
ブロリー「そこの女に空を飛べる証拠を見せろと言われたから見せてるだけだが?」
「そうなのか?」
「は、はい...」
ブロリーの主張を聞いた警察官は女性警察官の方に向いて問うと、肯定の返事が返ってきて警察官はため息をついた。
「はぁ〜...わかりました。しかとこの目で確認しましたから降りてきなさい。」
ブロリー「ったく、注文が多い連中だ。」ビュオオオオ
ブロリーはため息をつきながらも床まで降りてくる。そして警察官は事情聴取の続きをする。
「貴方、銃を持つカミキ容疑者に対して暴行していましたね?それは防犯カメラでも確認が取れています。」
アイ「!!」
アクア「ッ!!」
ルビー「...ッ!」
ブロリー「ならばどうする?俺を捕まえるか?」
「いいえ、今回は相手が極めて殺傷性の高い武器を所持していたこともあったので正当防衛として処理しておきます。ですが、相手が丸腰であった場合はそうは行きません。あくまで実力行使は最終手段にしなさい。これは厳重注意です。」
ブロリー「了解した。」
「では事情聴取は以上です。ご協力ありがとうございました。」
警察官達はブロリー達に頭を下げるとそのまま去っていった。姿が見えなくなるとアイ達三人は地面にへたり込んだ。
アイ「良かった〜...ブロ君が逮捕されちゃうかと思ったよ〜...」
アクア「緊張した...」
ルビー「疲れた〜...」
三人の顔には疲労の色が隠しきれずに浮き出ていた。ブロリーは戦ったわけではないためなのか疲れを全く感じておらずにへたり込む三人を横目で見ていた。
ブロリー「何だ?もう疲れてるのか?」
アクア「精神的にな...」
ルビー「そういうブロリーさんは疲れてないの?」
ブロリー「身体を使った訳じゃないだろう。ただ話しただけで何が疲れるんだ?」
アイ「すごい体力と精神力だね...いいなぁ...ブロ君〜抱っこして〜。」
ブロリー「何だ急に。」
アイ「そういう気分なの〜、いいでしょ〜。」
ブロリー「お前は俺がいないと本当に駄目だな。」
アイは警察による事情聴取に疲弊しない姿勢に羨望の眼差しを向けていた。そしてブロリーに猫なで声で甘えていて、ブロリーは悪態をつきながらも満更でもない表情をしていた。そんな中、ルビーはアクアに耳打ちしていた。
ルビー「お兄ちゃん。」
アクア「何だ?」
ルビー「今日の事もしかしたら記事になるんじゃない?」
アクア「その可能性は否定できないな。たぶんなるだろう。」
そしてルビーとアクアの予想通り、後日このことが記事になることなど、今のアイとブロリーは全く想像してないのであった。
日本の法律上、戦闘描写を派手にしづらいのがネックです...ですが一番の懸念点は書けたのでまあ満足しています。