伝説のアイドルと伝説のスーパーサイヤ人   作:ツキリョー

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皆さん大変お待たせしました。今回はブロリーやアイ達は出てきません。


悲惨な結末を迎えるサイヤ人達

カミキヒカルが警察に逮捕された事により、アイに纏わる事件が事実上収束して平穏な日常へと戻ったブロリー達。同棲は今も尚続けていてどこか退屈ながらも充実した時間を送り始めた。その一方で、悟空達サイヤ人は現在大変な思いをしていた。まず悟飯はブロリーから見逃して貰ってすぐにピッコロの所へと修行に行った。それまでは良かったのだ。

 

悟飯「......」

 

ピッコロ「悟飯、えらく身が入ってないようだがやる気あるのか?」

 

悟飯「ピッコロさん...」

 

しかし、悟飯はアイがブロリーに躊躇なく抱きついたり、普段アイドルとして見せる笑顔よりも明るく眩しい表情をブロリーへ向けていたり、アイがブロリーへ猛アタックしているのを見て、全てを察した悟飯は傷心中であり、修行に身が入らないのも当然のことであった。

 

悟飯「推しが一人の異性に惚れて恋に走ったときってどうしたらいいですか?」

 

ピッコロ「知るか!そんな事を考えてる暇があったらもっと真剣に修行に励め!」

 

そして腕を組んで悟飯を厳しい表情で見下ろしているのは全身が緑色で頭から触覚が生えたナメック星人、ピッコロである。傷心中の悟飯の事情を何も聞いてないピッコロにとって、知ったことではない上に一度も恋愛経験のないため、まともな助言などできるはずもなかった。それどころか修行しに来たにも関わらず身が入ってない今の悟飯の振る舞いはピッコロにとってもとても評価し難い出来であった。そのためやる気を出して修行するように催促するピッコロと、アイを思い浮かべてはため息をついて嘆く悟飯という今の状況が生まれたのである。

 

悟飯「うぅ...アイさん...もう一度アイさんを振り向かせたいよ...なんとかアイさんを僕に惚れるようにしたいんです。」

 

ピッコロ「ガタガタ吐かすな!これから本格的にやるぞ!さっさと構えろ!」

 

悟飯「はい...」(アイさんが近くにいるなら元気を貰いたいよ...)

 

ピッコロ「行くぞ!」

 

ピッコロと悟飯が実戦形式の組手が始まった。しかし、アイのことで身が入らない悟飯と怪我させるほどではなくとも手を抜かないピッコロ、どちらに優勢に動くかなど火を見るよりも明らかである。

 

ピッコロ「だぁ!」ドゴォ

 

悟飯「うわぁぁぁ!!」

 

悟飯はされるがままに攻撃を受けてしまい、服をボロボロにしながら地面を転がった。

 

ピッコロ「!」

 

その時、ピッコロの悟飯を見る目が変わった。そして悟飯に修行を切り上げるように伝えた。

 

ピッコロ「悟飯、今回の修行は切り上げるぞ。」

 

悟飯「えっ?どうしてですか?」

 

ピッコロ「今の身が入ってない修行を強行した所でお前が怪我するだけだ。だから気分転換をするぞ。悟飯服を脱げ!」

 

悟飯「無理ですよ。」

 

ピッコロ「俺も脱ぐからさっさとお前も脱げ!」

 

悟飯「やめろーー!!」

 

その後、その星では悟飯の悲鳴が響いたのだった。

 一方、その悟飯の実家ではこちらも大変なことになっていた。

 

「いい加減にしてけれ!!」

 

家の中どころか周囲にも響きそうなほどの怒号を出したのは悟空の妻であるチチだ。彼女は悟空達とは違い地球人でブロリーは勿論悟空達の持つ力にも到底及ばないが、サイヤ人の食欲を理解して毎食10人前以上の量の飯を用意したり、息子の悟飯のこともしっかりと勉強をスパルタで教えながらも悟空達との修行のことも理解してくれているいい奥さんである。

 

悟空「うっせー!今アイの前のライブ見て気を紛らしてんだ。」

 

チチ「悟空さ!毎日毎日働きも修行もしねぇでアイドルのことばっかり、結婚してから一銭も稼いだことあったか...それどころか高額のアイドルアイのグッズばっか集めてうちの資金は減っていくばかりだ!」

 

しかし、悟空と悟飯がアイにはまってからはそれはもうチチにとっては地獄だった。悟空は修行そっちのけで働きもせずに時間さえあればアイの推し活をしていて、悟飯も修行も勉強もせずにアイの動画ばかり見ている生活を送っていた。チチからしたら、ニート2人を養っているようなものである。それでもチチは悟空達のアイの推し活を"きつい修行の息抜き""難しい勉強の気分転換"だと自分に言い聞かせて無理矢理納得しようと努力した。だが、現実は非情で時間は解決してくれなかった。"少しすれば悟空さも悟飯ちゃんも元の生活に戻ってくれるはず"とよせた淡い期待は無惨にも打ち砕かれて、悟空も悟飯も完全にアイに心酔していった。おまけに今ではアイに恋人がいたことがテレビで取り上げられて芸能界をざわつかせていて、それが更に悟空を暴走させていた。悟飯も一時酷かったが、ある日を境に更生したのか元の生活に戻りつつあった。だが、悟空がいつまで経っても元に戻る気配がないため、遂にチチも我慢の限界を迎えたのだ。

 

悟空「チチにはアイの良さがわからねぇんか?可愛くて綺麗でステージじゃあ一人輝いてんじゃねーか。そんなんだったら応援すんに決まってんだろ。なのにアイはブロリーと一緒にいやがった!ちきしょう!許さねぇ!」

 

チチ「悟空さ!悟飯ちゃんはしっかりと今までの生活を反省して今はしっかりと修行を積んでいるだ!親である悟空さがいつまでも変わらなかったら示しがつかねぇべ!いつまでアイにこだわってるだ!その子には恋人がいたんだからキレてもしょうがねぇべ。お願いだから悟空さ、いい加減目を覚ましてけれ...いつまでもこんなの耐えられねぇだ...」

 

チチは最初こそ勢いよく物を言っていたが、最後の方はまるで懇願するかのように涙目で弱々しく震えていた。しかし、悟空には全く響いてないのかそこで大きく腹を鳴らした。

 

グゥゥゥゥ

悟空「お?アイのライブを見てたり怒ったりしてたら体力使っちまったみてぇだな。チチ、オラ腹減っちまった〜。食いもんくれぇー!」

 

これを聞いたチチはプツリと何かが切れたような気がした。次の瞬間家中にチチの怒声が響き渡った。

 

チチ「いい加減にしてけれーー!!!」ばきばきばき

 

悟空「うわぁ...!!」

 

そして悟空がアイにはまりだしてから大切にしていたアイの過去の映像がたっぷり入ってるディスクを全て叩き割ったのだ。それを見た悟空は一瞬ショックを受けた顔つきをしたが、すぐに怒りの形相を浮かべた。

 

悟空「てめぇぇぇ!!何やってんだ!オラの宝物をよくも!許さねぇ!!」

 

チチ「悟空さ!」ヒョイ

 

悟空「うわぁぁぁ!!」

 

悟空は宝物になっていたアイの映像のディスクを叩き割られた怒りでチチに飛びかかったが、チチは過去に武道大会に出たことがあり、運動神経は抜群である。簡単に悟空の軌道を読んで身を反らして躱すと、悟空は勢い余って外へと出てしまった。

 

チチ(えっ?嘘だ...悟空さってこんな弱かったか?)

 

それにチチは先ほどの怒りを忘れて困惑していた。本来なら悟空はサイヤ人で本気の地球人のチチなど相手にならず一捻りで簡単に勝負を決められる。チチは目で追うことすら叶わず気がついたら黄泉の国にいるというほどの実力差があるはずなのだ。なのにも関わらず、今のチチは悟空の動きを完全に目で追えてた上に軌道を読んで避けることすら可能だった。いくらチチが元武道家だとしても、引退してからブランクがある上にサイヤ人の動きを見切るなどあり得ないことなのだ。それだけ悟空がアイにはまりすぎて修行をサボってきた何よりの証拠である。

 

悟空「避けんじゃねぇ!このクソ野郎!」

 

チチ「こんな弱くなってたなんてオラがっかりだ!そのまま外でしっかり頭冷やして体を動かせる職業を見つけるだ!ちゃんと仕事してお金稼いでくるまで帰ってくるなー!」

 

悟空「いい!?おいおいおい!いきなりそんな事言われてもよぉ...」

 

チチ「オラ今の悟空さには幻滅してるだ。前までだったらちゃんと修行して悟飯ちゃんもオラのことも地球も守ってくれるって思える頼もしい夫だっただ。だから今まで悟空さには"働け"って無理強いはしなかっただ。でもアイにはまってからはどうだったか!修行もしない暇さえあればテレビもネットも独占してライブのチケット取ったら現場に行って大量のグッズを買ってくるの繰り返しだっただ!」

 

悟空「アイ可愛いじゃねぇかよぉ!はまるなって言うのはキチぃぞ。」

 

チチ「別にアイにはまるのが悪いわけじゃねぇだ。でものめりすぎるせいで修行は疎かになってる上にグッズのお金は全部家の資金から出ているだ!お陰で今家の家計は火の車だ!この生活を続けてたらうちは本当に破産するだ!修行として今までのグッズ分のお金稼いでくるだ!」

 

悟空「んーやれやれ。しょうがねぇな。だけど今日はもうこのくらいにしよう。腹減っちまって力が入らねぇんだ。そのうちちゃんと修行を始めっからいいだろ?」

 

チチ「駄目だ!そんなことは許さないだ!今から働きに出ないと悟空さの飯の量をオラ並に少なくする必要があるだ。」

 

悟空「いい!?嘘だろ!?」

 

チチ「嘘じゃないだ!さっきも家計は火の車だと言ったはずだ!今すぐちゃんと仕事しないなら満足に食える飯は無いと思うだ!ちゃんと仕事してお金稼いでくるまで帰ってくるなー!」ピシャン

 

チチは鋭い剣幕でまくし立てると、ドアを思いっきり閉めてそのまま鍵までかけてしまった。

 

悟空「あのクソ野郎!勝手なことばかり言いやがって!開けろー!開けてくれー!」ドゴォ ドゴォ

 

悟空はドアを殴りつけたり体当たりして破壊しようと試みたが、サイヤ人が住む家だけあって非常に頑丈な構造に加え、ろくに修行せずに弱体化している上に空腹で満足に力を伝えられない今の悟空の力ではドアはびくともしなかった。

 

チチ「悟空さ!無駄な抵抗はやめて早く仕事探してくるだ!」

 

悟空「チチ、いい加減にしろ!俺を困らせたいか!」

 

チチ「こっちのセリフだけれ!!家のお金を使い込んで困らせてるのはどっちだ!?オラももう今の悟空さにはうんざりだ!今すぐ仕事探して来ないならオラ達は終わりだ!離婚だけれー!!」

 

悟空「いい!!??そんなことになったらオラ飯作れねぇからおっちんじまうぞ。」

 

チチ「今までだらけてた結果だ!しっかりお金を家に入れなきゃ家族として見ないことにした!ちゃんと仕事してお金稼いでくるまで帰ってくるなー!!」

 

そう吐き捨てるとチチは家の奥へと行ってしまった。完全に締め出された悟空はその後、汚い叫び声を辺りに響かせて。やがて力尽きた悟空が見つかったのだった。

 更に別の豪邸でも似たようなことが起こっていた。

 

ベジータ「くっ...!ブロリーの野郎...!許さん!!」

 

ベジータは今寝転がりながら東京ドームでの映像を見返していて、それまでアイのライブで盛り上がっていたものの、ブロリーが登場したシーンでは拳を握りしめて憎悪の表情を浮かべていた。

 

「ベジータ、いい加減にしなさいよ。あんた毎日毎日映像を見て盛り上がってはブチキレる繰り返しじゃない。アイは彼を選んだんだからしょうがないでしょ?」

 

そのベジータを見て呆れた表情をしているのはベジータの妻、ブルマだ。彼女は発明家であり、実家は超裕福で大金持ちである。金銭的余裕はあるものの、"アイの映像を見返してはブロリーのシーンを見てキレる"の繰り返しでブルマの呆れの表情の中に嫌気が含まれているのが隠しきれていなかった。

 

ベジータ「黙れ!アイは完璧で究極のアイドルなんだぞ!それがブロリーなんかにぃ...!」

 

ブルマ「アイだって一人の女の子なのよ。誰かを好きになって結婚して一緒になることなんて普通じゃない。それにあんたは私と結婚してるでしょ?アイに好きな人がいたことにわざわざ目くじらを立てる必要なんてないと思うけど?何が気に食わないのよ。」

 

ベジータ「いいか!アイに好きなやつがいたってだけでも腹立たしいが、何よりも気に食わんのはその相手がブロリーだったってことだ!あいつは俺達サイヤ人の中で唯一アイに興味を微塵も抱いていなかったんだぞ!それが隣に住んでいて助けたらアイに好かれてボディーガードとして仕事までずっと一緒になっただとぉ!そんな都合のいい展開があってたまるか!」

 

ブルマ「その都合の良い展開が起きてこうなっているんでしょ?現実を見なさいよ。」

 

ベジータ「くそったれぇぇぇ!!」

 

ブルマ「喚いてる暇があるなら修行の一つでもしてきたらどうなの?言っとくけどあんた、端から見てもだらしない体つきになってるわよ。」

 

ベジータ「ぬわんだとぉぉぉ!!?き、貴様ー!!このベジータ様に向かって侮辱する発言を!!」

 

ブルマ「うるさいわね!ろくに修行もしないでアイのライブを見てはぐうたらしていたんだから当然でしょ!修行をサボってたあんたの自業自得よ。だらしないって言われんのが嫌なら今からでも修行に行ってきなさいよ。」

 

ベジータ「フン、俺に指図するんじゃないぞ!」

 

ベジータはベッドに寝転がってテレビのリモコンを操作した。完全に不貞腐れている証拠である。それを見たブルマは我慢の限界を迎えたようだ。

 

ブルマ「あんた達ホントいい加減にしなさいよ!ベジータもトランクスも!今はあんた達はただのだらしないニートよ!」

 

トランクス「嘘!?僕まで!?」

 

ブルマ「当たり前でしょ?あんた未来から来たって言ってるけどもう成人してるんでしょ?いい年して毎日修行もしないでアイドル三昧とか恥ずかしくないの?」

 

トランクス「僕もそう思います。」

 

ブルマ「じゃあやんなさいよ!ベジータも働けって言ってるわけじゃないんだから修行の一つくらいしなさいよ。」

 

ベジータ「ブルマ!指図するなと言ったはずだ。」

 

ブルマ「そんなんだからブロリーに負けるのよ。」 

 

ベジータ「なっ!?お、俺が気にしてることを...!」

 

ブルマはベジータとトランクスからアイのボディーガードになったブロリーのことで散々愚痴を聞いてきたので、彼がサイヤ人の一人だということを知っていた。伝説のスーパーサイヤ人だということも含めてだ。そしてブロリーと戦って一方的に蹂躙されたこともトランクスから聞いていた。そしてそれを突きつけるとベジータからは恨みが籠った視線が送られてきた。しかし、それもブルマは怯む素振りはなかった。

 

ブルマ「本当のことじゃない。ブロリーがアイのボディーガードになってるってことはそれを仕事にしてお金を稼いでるってことなのよ。ブロリーは既にアイを養う準備は出来てるわけ、でもあんたは何してる?修行もしない働かないで毎日無駄に多い食事を消費していくだけじゃない。純粋な力だけじゃなくて生活力も何もかもあんたを上回ってるのよ。本来だったらあんたにはブロリーを妬んだりする資格すらないのよ。」

 

ベジータ「ブルマ!言いたい放題言いやがってぇぇぇ!!行き過ぎた口は身を滅ぼす事を学習するんだな。」

 

ブルマ「逆ギレかしら?あー怖い怖い。あっそうだ。よくよく考えたらブロリーってまだ独身なのよね?彼の方が生活力あるし、いっそのこと乗り換えちゃおうかな?ブロリーって人妻には興味ないかしら?」

 

ベジータ「な!?何言ってやがるんだブルマ!!そんな勝手なことが許されると思っているのか?」

 

トランクス「母さん!闇雲に乗り換えるのは危険です!もっと慎重に検討してからでも。」

 

ブルマ「もううんざりなのよ!貴方って本当に自分勝手でいつも我儘ばかり!トランクスもいつも家に引きこもってばかりじゃない。それに気に食わないことを言われたらすぐに手を出そうとする奴となんて、一緒に暮らせるわけないでしょ!今すぐに家庭を顧みることができないなら私達別れましょ。」

 

ベジータ「ま、待てブルマ!どういう風の吹き回しだ?今までそんな事言わなかっただろう。」

 

ブルマ「我慢の限界が来たのよ!あんたにもトランクスにも!口を開けばアイの事ばかり!それすら今まで咎めてこなかっただけ感謝しなさいよ!そしてそのアイが好きな人と一緒に過ごすってわかったら毎日毎日引きこもってその人を罵倒してばかりじゃない!毎日聞くに堪えない言葉を聞かされるこっちの身にもなりなさいよ!おかしくなりそうよ!しばらくの間出ていって当分帰ってくるんじゃないわよ。」

 

トランクス「母さん待ってください!今の僕達追い出されたら...!」

 

ブルマ「ろくに生活力も収入もない故に貧しくてひもじい生活を強いられることになるでしょうね。ただでさえ大食いのサイヤ人であるあんた達に耐えられるかしら?」

 

ブルマのその問いかけは、サイヤ人でニートであったベジータとトランクスにとって死活問題だ。ブルマの凍てつくような冷たい視線に事の重大さをようやく理解した二人は顔を青ざめさせて大人しくなった。

 

ベジータ「わ、わかった。これからはしっかりと修行と家族を守ることを頑張る。だから考え直せ。」

 

トランクス「母さん!申し訳ありません。僕もこれから今までの事を反省して自立できるように頑張りますなので別れるなんてやめてください。」

 

ブルマ「...言ったわね?言質は取ったわよ。じゃあ早速この家の掃除からやってもらいましょうか。」

 

ベジータ「な!?ブルマ!今の話の流れからなぜそうなる!?」

 

ブルマ「修行の一環よ。あんたどんだけの期間家に引きこもっていたと思ってるのよ?いきなり身体をいじめても怪我するだけよ。だからまず基本的な動きができるまでは家事を手伝ってもらおうと思ったんだけど?」

 

ベジータ「サイヤ人を甘く見るな!少し動かなかったくらいでへばるようなやわな身体はしていない!」

 

ブルマ「じゃあ掃除が終わったあとは修行に励めばいいわ。」

 

ベジータ「ふざけるな!何故サイヤ人の王子であるこの俺が掃除などしなければならんのだ!」

 

ブルマ「そんなことは知ってるわよ。それとも何?サイヤ人の王子たる者が掃除すら出来ないわけ?」

 

ベジータ「なんだと!?このベジータ様をコケにするとは、いいだろう。掃除に修行を簡単にこなして俺は間違ってないと証明してやろう!」

 

ブルマの煽るような聞き方がベジータに火をつけたのか、ベジータは勢いよく掃除を始めた。しかし、ベジータの身体そのものはサイヤ人のものだが、アイにはまってからは全く動いていない身、体力は著しく落ちていた。家の一部を綺麗にしただけですぐにバテてしまったのだ。数十分後には床に座り込むベジータの姿があった。

 

ベジータ「はぁ...はぁ...バカな...この...ベジータ様が...こんなすぐに...」

 

ブルマ「だから言ったじゃない。あんたの身体は最低でもサイヤ人の底力は出せるでしょうけど体力は落ちてんのよ。掃除から始めるのはうってつけだったでしょ?さてと、まだまだやる所は残ってるわよ。さっさと行きなさい。」

 

ブルマはベジータを立たせようとするが、ベジータの身体は既に悲鳴をあげ始めていた。

 

ベジータ「まっ待ってくれブルマ。お、俺は...!ぐうぉぉああああ!!」

 

そして本人も耐えられずに悲鳴を上げていた。その後、掃除は終わらせても結局その日は修行をすることができずに、トランクスと共に寝床で呻きながら横になるという情けない姿を晒すことになるのだった。

 そしてパラガスは今家に一人でいた。悟空一家もベジータ一家も妻の逆鱗に触れて忙しくなり、アイのことなど気にする余裕などなくなっていたのだから。遊びに来ることなどありもしなかった。

 

パラガス「...カカロットは今仕事を探していて、ベジータは今家で馬車馬の如く家の手伝いをさせられてると風の噂で聞いた。トランクスもカカロットの倅も今はアイのライブどころではない毎日を送ってるみたいだ。おまけにブロリーはあの口ぶりからしてアイと同棲して幸せな毎日を送っているようだ。それに比べて俺は...」

 

パラガスは廃工場でアイに強い口調で拒絶されたことがあまりにもショックだったらしく、ブロリーがアイと同棲していることと比べて今の一人淋しく暮らしている自分を比較しては嘆いているようだ。

 

パラガス「ブロリーが一人暮らしを決意したあの時、ブロリーの言う通り静かに盛り上がってれば俺もアイと幸せになれたのだろうか...?それとも静かに過ごす事を条件にしてブロリーとまた例のマンションで一緒に暮らしていたら俺はアイと結ばれたんだろうか...?またはブロリーがアイの想い人だとわかったときに引き離そうとするのではなく受け入れて祝えていたら俺も一緒に過ごせたんだろうか...?」

 

パラガスは"もうアイはブロリー以外の人を好きになることはない"と悟り、自分がしてきたことを後悔していた。そしてため込んだ物を発散していたのはアイのライブで騒ぐことになっていたパラガスにとって共にいた他のサイヤ人がいない今の状況は、気分転換もできずに大人しくすることしかできなかった。

 

パラガス「一人は寂しいぞぉ!俺もアイと幸せな家庭を築き上げたいぞぉ!ブロリー!お助けください!」

 

パラガスの悲痛な叫びは当然誰にも届くことなく、空虚へと消えていくのであった。




次回は再びブロリー達を中心に話が進みます。個人的にブルマやチチがかなり寛容な対応だと思ったのは気の所為でしょうか?
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