艦娘の戦争   作:黒猫クル

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 ラストです。陽炎の行く末は……?
 是非、最後まで読んで下さい


私の見た戦争④

 最前線の鎮守府につくと提督(30代ぐらいの険しい顔をした人だった)に着任の挨拶をした後に不知火の部屋へ向かった。

 

 提督に指定された部屋の前に立って私は深呼吸をした。今から不知火に会う。彼女は私の妹と実の妹を殺している。不知火はそのことを悲しんでいるはずだし、興奮せずに彼女に寄り添うべきだ。そう自分に言い聞かせてからドアを開けた。

 

 不知火は散らかった部屋の中で私にも目をくれずに艤装の手入れをしていた。

 

「久しぶりね。不知火」

 

 私は彼女に声をかけた。

 

「お久しぶりです。3年ぶりですね」

「変わったわね」

 

 3年ぶりに見る不知火は別人のように見えた。あの時よりも痩せているし、目の下にクマができている。目つきも古参兵特有の鋭さになっていた。

 

「そうですか?」

「ええ、目付きが全然違うもの。野分と舞風はどうしたの?」

「戦死報告が届いていませんでしたか?」

 

 素っ気なく呟く不知火に激しい苛立ちを感じた。二人の妹を殺しているはずなのにどうしてこうも冷淡な態度が取れるのだろうか? 

 

 不知火は私に妹を殺したことを謝ると思っていた。謝罪を聞けば許すつもりだったし、不知火の気持ちを考えて強く言わないつもりだった。

 

 だけど、今の貴女は何なの? どうして命よりも大切だった実の妹を殺して平然でいられるの?

 

「……貴女が殺したって聞いたけど本当?」

「否定はしません」

 

 つまらなさそうに話す不知火に堪忍袋の緒が切れた。

 

「ふざけてんじゃないわよ! 実の妹と私の妹を殺して何様のつもり!? 狂ってるの?」

「私は介錯をしただけです。2人とも助けようの無い状態でしたから」

 舌打ちをした。不知火の態度はあの時と同じだ。士官学校で私が嫉妬していたあの時に。

 

「貴女……昔からそうね。そういう所、本当にムカつくわ」

「そうですか?」

「私、昔から貴女のこと大っ嫌いなのよ。年下の癖に私よりも成績優秀で私よりも大人びてて実の妹にも私の妹にも姉として慕われる人間……ずっと嫉妬してたわ。嫉妬していたからこそ、認めていた。認めていたから野分を任せれたのに……舞風も大丈夫だと思っていたのに……」

「謝れとでも言うのですか? 私は神ではありません。野分にも生きていて欲しかったですし、妹も守ろうとしました。無駄な努力と願いでしたが」

 

 思わず手が出た。平手打ちを食らわせるのと同時にパシンと高い音が鳴った。

 

「いい加減にしなさい! 昔の貴女は妹の為に生きていた。だけど、今の貴女は何? 何のために生きているの? 命よりも大切な妹を殺して抜け殻みたいになってるんじゃないの!?」

「私の生きる目的ですか? 司令官への復讐ですよ」

「復讐? どういうことよ?」

 

 私が聞くと不知火は自分の中のものを素直に話した。彼女は妹を殺された復讐を提督に対して誓っている。

 提督は深海棲艦に復習を誓い、そのために損害を問わない指揮を執る狂人だが、同時に艦娘を殺すことに罪悪感を感じている。その点をついて、生き続けて彼の罪を責め続ける。その為に不知火は秘書艦になり、彼に毎日のように皮肉を言っている。提督は戦う理由が無くなる終戦時には間違いなく自殺する。これが不知火の考えた復讐だった。

 

 話を聞いていて血の気が引いていくのが自分でも分かった。不知火の思考は常軌を逸している。直接的な復讐ならまだしも、ただ相手の罪を責め続けるだけの復讐なんて聞いたことがない。

 

「貴女……何やってるのよ……?」

「おかしいですか?」

「当たり前よ。復讐なんて馬鹿なことは辞めなさい。何の意味があると思っているの? 舞風だってそんなこと望んでないわよ」

「私の自己満足ですよ。それの何が悪いんですか?」

「何が悪いって……他人を害することが悪いことなぐらい分からないの?」

「今の私に善悪は関係ありません。今の私はそれが無いと生きていけません。それとも、陽炎が私に生きる意味を与えてくれるとでも?」

 

 返す言葉が無かった。今の不知火は復讐を糧に生きている。復讐相手の提督も似たようなものなのだろう。

 彼女の復讐を真っ向から否定するのは簡単だ。だけど、それをしたところで何になるのだろう? 不知火が納得するとは思えないし私が彼女に復讐以上の生きる意味を与えてあげれるとは思えない。1つの意見として受け入れるしかなかった。

 

「分かったわ……貴女の好きにしなさい。だけど、私はそれに協力する気は無いから」

「そうですか。好きにして下さい」

 

 不知火を止めなければならない。だけど、具体的な方法は思いつかない、会話を切ることしかできなかった。

 

 私にとって何もかもが歪んでいる不条理な地獄の日々が始まった。

 

 

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 新しい鎮守府は以前いた場所とは次元が違った。以前、叢雲が言ったように寝れる時に寝て、食事を食べれる時に食べる生活が当たり前。新兵にも古参兵同様の働きが求められるし、努力するのは当たり前ではなく努力をしないと死ぬ世界だった。それでも人が死ぬのだから死んだ人間は運がなかったと言われる……

 

 間違いなく士官学校を卒業したばかりの私が来て良い世界ではなかった。どこかで戦死するか発狂するかのどちらかだったと思う。叢雲が壊れるのも無理がない。とてもではないがその日その日を生きるのに必至で、不知火に嫉妬している余裕なんてなかった。

 

 当然ながら損害率も異常で、着任して2週間目に私が気にかけていた新人の子が戦死した。そして、戦死だけならまだしも彼女の介錯を命令された。提督に命令と言われ、仕方なく私自身の意思を押し殺して彼女にトドメをさした。

 初めて間近で経験する親しい人の死だったし、それを殺したのが私という事実は本当に辛かった。

 

 だけど、私はその現実を乗り越えなければならなかった。私の選んだ道だし、唯一残った士官学校時代の身内の不知火を助けたかったから……

 

 私が着任して1ヶ月程して急に転機が訪れた。その日、私は不知火を見習って艤装の手入れをしていた。秘書艦任務終わりの不知火が部屋に戻ってくると急に荷物をまとめ出した。

 

「不知火、何やってるの?」

「転勤です」

 

 手を止めずに彼女が呟いた。

 

「転勤? 断らなかったの?」

「司令から命令されたので断れませんでした」

 

 強制的な転勤と聞いて内心、ホッとした。別の鎮守府に移れば不知火の復讐心も少しは落ち着くだろう。私はここに残り続けることになるだろうけど……

 

「司令の指示には従うのね」

「軍隊ですから。向こうに長居するつもりはありませんが」

「どういうこと?」

 

 不知火が手を止めて私を見た。

 

「私が黙って左遷されるつもりに見えますか?」

 

 淡々と語る不知火にマズイと私の直感が言った。彼女はどんな手段を尽くしてでもここに戻ってくるつもりだ。失うものが何も無いから何をやり出すのか分からない。1人にしておくのは危険過ぎる。

 

「……私も着いていくわ」

「意外ですね。でも、司令の許可を取る必要がありますよ」

「分かってる」

 

 私は艤装の整備を中断して執務室へと向かった。幸いなことに提督は私の転勤をあっさりと(不知火のストッパーになることを期待してたらしい)承認してくれた。

 

 

ー--------------------

 

 

 案の定、不知火は新しい鎮守府についたその日のうちに行動を起こした。深夜にトイレから帰ってきて寝室に不知火が居ないことに気づき、慌てて彼女を追いかけたが追いついた時には不知火は提督に砲口を向けていた。

 

 提督は顔面蒼白だったが、不知火の話を受ける気は無い様子だった。こうなってしまった以上、両方が死ぬ結末になりかねない。何とかして妥協を引き出せないかと思い、不知火の現状を話して彼を説得しようとした。

 

 提督は初めは困惑していたが私の話を聞くうちに妥協するしかないことを察したらしく、2週間の間、訓練の指導に付き合う代わりに元いた鎮守府に戻す約束を取り付けることができた。

 

 不知火は危険だ。放っておくと何をしでかすか分からない。

 

 彼女は傍から見れば優秀な艦娘かもしれない。口数が少なく、厳しい古参兵。旗艦を務めることも多い。戦闘能力も前線の指揮能力も優秀で彼女の指示に従えば生存率が高いのは事実だ。

 

 だけど、秘書艦になるとそれが豹変する。彼女は提督の罪悪感を煽り、彼が苦しむのを楽しんでいる。提督は彼女の弱味を見せまいと強がるけど、不知火にはそれすらお見通しらしく、馬鹿にされる要素が増えるだけだった。

 

 提督が不知火を秘書艦から避けるシフトにしようとすると今度は仕事を増やされた他の秘書艦を連れて提督に不平等だと直談判に行く。鎮守府内で秘書艦任務を喜んでやる艦娘が不知火以外いないこともあって、直談判は必ず成功した。

 

 生きるのに手一杯な私は彼女を止められずにいた。私が秘書艦になれば少しは2人の距離を離せるかもしれないと思ったけど、提督に「お前が死んだ時に耐えきれなくなるかもしれない」と言われて断られた。不知火に対しては相変わらず彼女の行動に肝を冷やし、暴走するのを止めることしかできない。

 

 生き延びるのに精一杯で不知火を止められないことを悩む日々の中で、精神的にも肉体的にも私は確実に消耗していった。

 

 

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 鎮守府に戻って一か月後、提督が艦娘に殺されかける事件が起きた。咄嗟のところで不知火が庇って提督は事なきを得たが、代わりに負傷した不知火が医務室送りになった。不知火は右目付近を負傷して意識を失ったが命に別状は無いという話だった。

 

 不知火が提督を庇ったと聞いた時、私は奇跡が起きたのかもしれないと思った。勿論、秘書艦としての義務かもしれないし、彼女の復讐を終わりにしたくない意味合いがあったのかもしれない。だけど、私は不知火の良心を信じたかった。

 

 不知火が負傷した次の日、任務終わりに医務室で見守っていると不知火が目を覚ました。

 

「大丈夫?」

 

 声をかけると不知火が左目で私を見てから、違和感を感じたのか包帯の巻かれた右目に手を触れた。

 

「はい、平気です。どれぐらい寝ていましたか?」

「丸一日よ。相変わらず早いわね」

 

 不知火は負傷しても起き上がるのが早い。普通は3日ぐらい寝込む傷だったとしても彼女は負傷した次の日には必ず目を覚ます。今回もそのパターンだったらしい。

 

 外は大雨が降っている。不知火との間に会話はは無い。ただ雨音だけが室内に響いている。

 私は答え合わせとして提督を庇った意図を聞くことにした。

 

「ねぇ、聞いていい?」

「何ですか?」

「どうして、司令を庇ったの? 嫌いなんでしょ?」

「陽炎も私と同じであれば、庇ったのでは?」

「私じゃなくて貴女のことを聞いているの。どうして? 艦娘としての義務だけじゃないんでしょ?」

 

 不知火は小さくため息をついた。

 

「分からないのですか? 彼を苦しませたいから、ですよ」

 

 私の期待はあっさりと裏切られた。

 

「殺すよりも生かしておいた方が苦しめられるってこと?」

「そうですね」

 

 ガックリと肩の力が抜けるのを感じた。分かっていたはずなのに……どうして私は希望を持ってしまったのだろうか?

 不知火にとって、今回の件はより長く提督を傷つけるために一時的に自分自身の身を犠牲にしただけなのだろう。不知火は私がここに来た時から何も変わっていない。

 

「分かった。私と再会した時から貴女は何も変わってないのね」

「はい」

「話は変わるけど、整形は受ける? このままだと顔に火傷の跡が残るし、美人な顔が台無しよ? 」

「受けません」

「苦しめる為……ね…… 」

「はい」

 

 今回の件でできた顔の傷を不知火は提督を攻撃する武器にするのだろう。それを否定したところで、不知火は納得しないだろうし下手をしたら私自身がとばっちりを受けるかもしれない。彼女の意見を受け入れるしかなかった。

 

「分かった。貴女がそれならそう伝えておいてあげる。残って後悔しても知らないわよ」

「今更後悔することもありません。外面なんてどうでもいいです」

「そう……」

 

 そう呟いて私は部屋の外に出た。

 

 部屋の外で私は1人で涙を流した。もう私は不知火を止められない。 不知火は何を犠牲にしたとしても復讐を成就する気だ。復讐こそが不知火の生きる意味そのものであり、他者に介入の余地は無い。

 私の声は表面的にしか届いていないのだろう。それが不知火の心に響くことはないし、彼女の復讐を止めることにはならない。私のできることは不知火の暴走を少しでも食い止めて彼女が自滅して死なないようにすることだけ……。

 

 私は無力だった。

 

 

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 その日以降、提督が急におかしくなった。不知火と言うと常にオドオドしているし、大声をあげることが増えた。寝不足な日が増えたのか目の下にはクマができて、彼の頭髪には白髪が多く見えるようになった。提督が不知火を恐れているのは誰の目に見ても明らかだった。

 

 不知火は他の鎮守府に飛ばされたり、無謀な作戦に送られるようになった。当時は、不知火が提督に死ねと言われているようにも見えた。

 

 不知火はどんな戦場に送られても生還したし、どんな鎮守府に送られても戻ってきた。とは言っても他の鎮守府でクーデターまがいのことをしたと聞いた(私はその頃には、不知火を助けているだけど思われたのか同伴を禁止されていた)時は肝が冷えたし、流石に帰ってきた不知火に注意をした。

 

 クーデターまがいのことをしたことで不知火は一気に有名になったらしく、どの鎮守府も彼女を取らなくなった。1度だけ、私が元いた鎮守府に行ったことがある(そのせいで不知火には絶対に逆らうなと叢雲に手紙を書く羽目になった)けど数日後に帰ってきた。

 

 私は走り続ける不知火を支え続けた。義理の妹として放っておけなかったし、士官学校時代の唯一の身内なのだから。間接的に不知火の復讐の手助けになっているのかもしれないと思いながらも……

 

 

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 不知火が顔に傷を負って1年ほど経った。執務室にいる2人の様子を見に行こうとしていたら中から不知火の声が聞こえた。この日は戦死者が一人出た日だった。

 

「また、1人殺しましたね」

「そうだな……」

「死ぬ間際に、死にたくないって泣きながら叫んでいたらしいですよ。どう思いますか?」

 

 沈黙が流れた。

 

「女子供を自己満足で戦場に送って楽しいですか?」

「黙れ!」

 

 何かが殴られた音がした。嫌な予感がして扉の隙間から中を覗いて見ると不知火が笑いながら提督を見つめていた。

 

「私に当たった所で司令が罪人なことは変わりませんよ。少しは自分を見直したらどうですか?」

「黙れと言っているだろ!」

 

 提督が不知火を蹴り飛ばした。倒れた彼女の髪を左手で引っ張り顔面を背中を何度も何度も殴る。

 

「司令、落ち着いて!」

 

 慌てて中に入って提督を背中から押さえた。提督は「離せ!」としばらくもがき続けたけど、数分ほどすると少しは気持ちが落ち着いたのか力が抜けた。

 

 不知火が立ち上がった。提督からの一方的な暴力の中、不知火は笑うだけで一切抵抗をしなかった。

 

「私を殴って満足しましたか? 罪を重ねることしかできない愚かな人ですね」

「やめなさい不知火!」

 

 私の言葉に不知火はクスリと笑うと執務室を後にした。

 

「大丈夫ですか? 司令」

 

 不知火が出ていくのを見てから提督に声をかけた。

 

「ああ、すまんな……」

 

 そう呟いた彼は多少は落ち着いたように見えた。

 

「陽炎、お前は俺を恨まないのか?」

「恨みませんよ。司令を恨む理由なんてありませんから」

「……忘れたのか? 俺はお前の実の妹を殺した男だぞ」

 

 彼の一言に言葉がつまった。私は提督を恨んでいるつもりはない。だけど、彼が私の妹を殺していたことを忘れていた。もしかするとその事実を覚えていたけども、目視しないようにしていたのかもしれない。

 

 意識すると彼のことを恨む気持ちが私の中に芽生えるのを感じた。

 

「それは……」

「無理をするな。許せないなら許せないでいい。恨まれて当然の人間だからな」

 

 許すべきだと思う。提督は望んで私の妹を殺したわけじゃないし、許すことによって彼が少し救われるかもしれない。だけど、彼が深海棲艦への復讐目的に妹の命を奪ったことは事実……。

 

 掛け時計の秒針が動く音がする。息が浅い。心臓がバクバクと音を鳴らす。

 

 私は彼が許せなかった。

 

「ごめんなさい……」

 

 そう呟いて、私は彼に背を向け執務室を後にした。

 

 私も不知火と同じなのかもしれない。

 

 

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 この日以降、私は提督を見ることができなくなった。彼を見ると彼を恨む気持ちとそれに対しての罪悪感に耐えきれなくなる。彼を許せば少しは変われるのか? と考えたりもした。だけど、それをしようとすると妹の顔が浮かんでしまい、できなかった。

 

 不知火は相変わらずだった。彼女は艦娘としての任務を続けつつも提督を責め続ける。その度に彼は苦しみ、時には発狂する。誰も彼を助けようとしないし、不知火を止めようとしなかった。むしろ、提督が苦しむのを見ていい気味だという声の方が多かったと思う。私も2人の合間に入って止めることができなくなった。

 

 戦況が落ち着いたこともあって私と不知火の会話は少しだけ増えた。任務の無い日は彼女を散歩に誘ったり、買い物に付き合わせたりする。不知火が心を開くことは無かったけど、少しは彼女との距離も縮まったと思う。だけど、相変わらず私は彼女の復讐を止めることはできなかった。

 

 

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 1年が経った。

 人類の大異規模反攻作戦が始まった。私達も戦う日が増え、激務の日々が戻った。キツイ日が続いたけど戦線がどんどんと進んで行くのを見ると達成感があった。1年という短期間であっという間に終戦間際になった。終戦が近づくにつれて、暗い雰囲気しかなかったこの鎮守府も多少は笑顔が見られるようになった。

 

 だけど、良いことばかりではなかった。大規模反抗ということは戦果と引き換えに戦死者が増える。それが不知火に提督を攻撃する口実を与えた。提督は急速に老け、不安定になった。他人の前では平然を装うが不知火と二人きりになると急におかしくなる。彼は不知火の前では怯え、興奮状態になる。

 

 不知火との再会から2年経った今も私は何もできずにいた。

 

 終戦の2日前、私は叢雲からの手紙で荒潮の戦死を知った。

 彼女の戦死を知った日、食事が喉を通らなかったことを覚えている。終戦が迫っているのにどうして、荒潮は死んでしまったのだろうか? 彼女は自らの死を望んでいた。だけど、終戦直前にそれが叶うのは皮肉でしかないし、仲の良い戦友の死は純粋に悲しかった。

 

 彼女は死に場所を見つけたのだろうか? また、彼女は過去の片思いの人に会えたのだろうか……?

 

 色々な疑問が浮かんだけど、荒潮は精一杯生きただろうという結論に落ち着いた。彼女が自らの生き方をどう思ったかは分からない。だけど、彼女が後悔する生き方をしていたとは思えないし、見習わらなければならないと思った。

 

 一晩泣いたけど、荒潮の死を通じて自分の使命に気づいた。不知火を止めなければならない。提督の為にも不知火自身の為にも。止めないと両方が破滅してしまう。たとえ、それが不可能だとしてもやらなければならない。

 

 

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 次の日、不知火を散歩に誘った。

 

 とても暑い日だった。太陽が照りつける中、額から汗が流れる。セミが賑やかに合唱会を開いていた。

 

「暑いわね」

「そうですね」

 

 二人で海岸まで歩いた。海の色は青く澄んでいて波も小さく平穏そのものだった。士官学校時代に4人で海水浴に行ったことを思い出した。あの日も暑い日だった。

 

「士官学校にいた時に4人で海水浴に行ったこと、覚えてる?」

 

 私は不知火に優しく声をかけた。

 

「覚えてますよ」

「懐かしいわね。あの時は野分と舞風もいたっけ……」

「そうですね」

「あの子達は水着を着てしゃいでたけど貴方は、ずっと落ち着いていたわね」

「舞風が溺れないか不安でしたから」

「妹が第1か……あの時の不知火らしいわね」

 

 沈黙が流れた。不知火は何も話そうとしない。彼女はただじっと私を見つめている。私の言葉を待っているようにも見えた。

 

 不知火は私が何を話そうとしているのかわかっているのかもしれない。そして、それに対しての答えも……

 

「それで、やり遂げるつもりなの?」

 

 嫌な妄想を心の底に押し込んで口を開いた。

 

「なんのことですか?」

「復讐よ」

 

 不知火が少し呆れた顔をした。

 

「分かってるはずのことをどうして聞くのですか?」

「本音を話すけどいい?」

「好きにして下さい」

「私は貴女を止めたいのよ……」

 

 私の言葉に不知火がため息をついた。

 

「ここに着任して話した時からずっと貴女を止めたかったし、助けたかった」

「その割には何もしませんでしたね」

「仕方ないじゃないの!」

 

 彼女の皮肉に思わず声を上げた。

 

「どうすれば良かったの? 命よりも大切な舞風が死んだ貴女は復讐だけで生きていた。止めた時にどうなるか分からなかった。だから……私は貴女を止められなかった」

「そうですか」

「貴女はいつ死んでもおかしくないことばかりしていた。見ていて怖かった。生きて欲しかったから、死なないように貴女を支えた。いつか提督を許して分かり合えると信じていた。だけど、私の行いは貴女の心に響かなかった」

 

 視界が歪む。頬を涙が伝った。

 

「迷惑をかけましたね。申し訳ございませんでした」

「提督を庇ったと聞いた時、貴女の何かが変わったかもしれないと思った。だけど、私の淡い希望にすぎなかった。貴女はより狂っただけ。火傷跡すら提督への武器にしようとしたわ」

 

 不知火がまたあきれた様子でため息をついた。

 

「それがどうかしましたか? 嫌味を言いたいだけですか?」

「あの時の不知火に戻ってよ!」

「いつのことですか?」

「何もかもが完璧で大人びていて妹想いで私よりも優れた憎たらしい妹……本当に、大っ嫌いだったわ。あの時の日々は戻らないかもしれない。だけど、あの時の貴女は良い姉だった。だけど、今の貴女は何なの? 復讐の為にしか生きられないの?」

 

 息が切れる。こんなことで不知火が納得するはずがない。だけど、今の私にできることはこれしかない。奇跡が起きることを心の中で祈った。

 

「私は復讐の為にしか生きることはできません。陽炎がどう思うかは勝手ですが邪魔をしないで下さい」

 

 私の祈りはあっさりと裏切られた。

 

「そう……」

 

 涙がポタポタと地面に落ちてコンクリートに黒い点を作る。

 私なりに頑張ったつもりだった。無理だと分かっていたけども不知火の気持ちを理解して、彼女を止められると心のどこかでは思っていたのかもしれない。だけど、そんなことは起きず、結果は不知火を止められないという順当で不条理なもの。私が決断して、もっと早く動いていれば……いや、もしかすると不知火と再会した時点で手遅れだったのかもしれない。私のしたことは全て無駄だったのだろうか?

 

「不知火……助けてあげられなくてごめんね……」

 

 そう話して私は、不知火の前を走って後にした。今はただ、一人になりたかった。

 

 

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 終戦の日、終戦宣言を聞いてから私はせめて、二人の最後は見届けようと思い執務室に向かった。廊下を歩いていると乾いた発砲音がした。胸が締め付けられるのを感じるのと同時に不知火の壊れた笑い声が響き渡る……冷や汗が流れた。

 

「……っ!」

 

 執務室に背を向けて走り出した。私は、今の不知火を見ることができない。見たら私まで壊れてしまう。

 

 廊下を駆け抜け鎮守府を飛び出して走る。息が苦しくても、手足が疲れても走り続ける。私は行く宛もなく外を無我夢中で走り続けた。

 

 

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 それから、どうやって実家に帰ったのか覚えていない。気がつくと家にいて両親が目の前にいた。泣いている両親に抱き締められてようやく我に帰った。私は生きて帰ってこれたんだと自覚した。

 

 戦後は差別に悩まされた。人は人に似ているけど人とは異なる生き物に嫌悪感を抱く生き物だ。もしかしたら、プロパガンダ放送に使われていた時点で嫌悪感を持たれていたのかもしれない。元から変な目で見られることは多かったけど、戦後はそれがより、いっそう顕著になった。

 

 街中を歩くと指を指されるし、ヒソヒソ話をされる。血の匂いがするなんて言われたこともある。外に出るのが嫌になり、家に引きこもるようになった。

 

 毎日起きて家の手伝いをして寝るだけの生活。両親以外の誰とも話さないし、何かをする気にもなれなかった。急に不知火のことを思い出して自己嫌悪に陥る時もあったし、辛い日々が続いた。

 

 テレビでは艦娘の特集が取り上げられたり、インタビューに出てくるのを見かけたけど、表面上の賞賛にしか見えなかった。

 

 世間で戦争は終わったのかもしれない。だけど、私の中の戦争は続いていた。

 

 そんな中で、両親は常に私の味方をしてくれた。外に出たくない時は無理に出なくて良いと言ってくれたし、不知火のことで自己嫌悪に陥ったりした時も私の相談相手になってくれた。両親の助けが無かったら今の私はなかったと思う。

 

 終戦から、1年ほど経って転機が訪れた。きっかけは戦友会への誘い。半ば義理で行く面が強かったけど、戦友のことや不知火が気になっていたし参加することにした。

 

 会館で開かれた戦友会には多くの元艦娘が来ていた。私の同期や最初にいた鎮守府の子や激戦区の鎮守府にいた時の子もいた。

 

 私は無理に笑顔を作った。本当は他人と会うのが怖くて家に帰りたくて仕方がなかったけど、空気を読んで我慢した。

 

 何人かの艦娘に挨拶をした後に不知火を見つけた。

 

「不知火、久しぶり……」

「陽炎、お久しぶりです」

 

 声をかけて違和感に気づいた。彼女から生気を感じられない。無表情なのは昔から変わらないけど目がボンヤリとしている。不知火の目は死人の目だった。今の不知火は現役時の彼女とは違う。今の不知火は彼女の形をした抜け殻だ。

 

 私が助けられなかったから、という自己嫌悪が心の中に芽生える。話を続けていられなくなり、私は彼女の前から立ち去った。

 

 不知火の前から立ち去った私はテーブルに座って1人で強い酒を飲んだ。喉が焼けるような感触がしたし、頭がグラリとする。それでも私は2杯目を飲むのをやめられなかった。来なければ良かった。酒に潰れてしまいたかったし、一刻でも早くこの場を立ち去りたかったから。

 

「荒れてるわね」

 

 聞き覚えのある声に振り向くと叢雲がいた。彼女は小さなベビーカーを押していた。

 

「叢雲……久しぶり」

「久しぶりね。陽炎。結婚式の時以来かしら」

「だと思う」

 

 彼女がオレンジジュースの入ったコップを持って私の横に座った。

 

「不知火のこと?」

 

 叢雲が私の心を見透かしたように呟いた。気を使わずに直球で言ってくるのが彼女らしいと思った。

 

「うん……」

「苦労したのね……」

 

 叢雲との間に沈黙が流れた。叢雲は無理に私と不知火の関係に探りを入れてこないし、何かをさせようともしない。その気遣いがありがたかった。

 

 時間が経って気持ちが落ち着くと叢雲のことが気になった。彼女は結婚した提督と上手くやっているのだろうか?

 

「そういえば、叢雲は司令とは上手くいってるの?」

「別れたわ」

「は?」

 

 耳を疑った。

 

「最初の頃は幸せだった。戦争が終わったし、幸せになれるって信じてた」

 

 叢雲が自分の心を押し殺すようにコップに入ったオレンジジュースを飲み干した。

 

「でも、そうじゃなかった。アイツとの関係がギクシャクしてきた。旅行に行ったりしたけど何も解決しなかった」

 

 叢雲の瞳に涙が浮かぶ。泣くのを我慢しているように見えた。

 

「最終的にアイツは出ていったわ。お腹の中に子供がいるって言ったけど止められなかった。支援してくれることは約束してくれたけど……」

 

 彼女の目から涙がポタポタと零れた。

 

「私のせい……私が甘えすぎたから悪いの」

 

 叢雲がグズグズと泣き出した。

 

 2人が別れたのが信じられなかった。私が彼女の鎮守府にいた時は、提督が叢雲の下にいるような状態ではあったけど、プライベートでは仲良くしてた。普段は強気な叢雲だけど、トラウマが発症した時には提督に泣きついて彼がそれを受け入れるのがお決まりだった。終戦後の結婚式の時も2人は幸せそうだったし、皆が祝福していた。

 

 だけど、今の叢雲には彼との間に残された子供しかいない。2人の間に何かあったのだろうか? 気になったけど、泣く彼女を見ると聞く気になれなかった。

 

「叢雲も大変なのね……」

 

 下手なことを話すのは逆効果だし、私は彼女が落ち着くまで寄り添うことにした。

 

 後に提督に聞いてみた話だと、付き合うことに疲れたと言いにくそうに言っていた。叢雲に依存されていた自覚はあり、それを支えてあげたいと思っていたが耐えきれなくなった。加えて、叢雲に依存され続けるのも彼女のためにならないと思ったらしい。別れたことを後悔しているが、叢雲のことを思う気持ちは変わらないし悪かったという話だった。

 彼が支えてあげたいという気持ちを叢雲の依存が上回ってしまったのかもしれない。

 

 5分程して叢雲が涙を拭いた。

 

「ごめんなさい。迷惑かけたわね……」

「大丈夫よ。辛かったんでしょ?」

「ううう……」

 

 ベビーカーから泣き出しそうな声が聞こえた。

 

「あっ……泣かないで……! よしよし、いい子だから……」

 

 慌てて叢雲が子供を抱き抱え、あやし始めた。あたふたしていたけども彼女なりの愛情が感じられた。数分して彼女の子供は安心したのかスヤスヤと眠り出した。

 

「ごめんなさい。また、迷惑かけたわね」

「大丈夫よ。子育ても大変ね」

 

 私には子供はいないから分からないけど、1人で育てていくのは大変だと思う。叢雲のことがすごいと思った。

 

「大変よ。大変だけど、今の私にはこの子しか残されていないの。だから、私はこの子をしっかり育てたいし、立派な生き方をさせてあげたいの」

 

 笑顔で語る彼女にふと、一つの疑問が頭の中をよぎった。

 

「ねぇ叢雲。聞にくいことがあるんだけどいい?」

「何?」

「司令は子供の顔を見ているの?」

 

 笑顔だった彼女の顔が曇った。

 

「まだ、見せてないわ」

「司令は子供が生まれたことを知ってるの?」

「知らない……と思う。連絡とってないから……」

「教えてあげた方がいいんじゃないの?」

 

 叢雲が小さくため息をついた。

 

「簡単に言うわね。陽炎が私だったら連絡を取れると思うの?」

「叢雲が無理なら私が連絡を取ってあげるわよ。司令に見せてあげたいんでしょ?」

「それは……」

 

 沈黙が流れた。叢雲は本当は提督に子供の顔を見せてあげたいのだと思う。だけど、出て行ってしまった彼に声をかける勇気が無いのだろう。もしかしたら、提督も同じかもしれない。

 

「不安?」

「うん……アイツは私に会いたくないと思う」

「大丈夫よ。私がセッティングしてあげるから会ってきなさいよ」

「待って! まだ会うって決めたわけじゃ……」

「司令に会いたいんでしょ?」

 

 叢雲の顔に迷いが見えた。

 

「会ってきなさいよ」

 

「……うん」

 

 少し間が空いてから叢雲がそう呟いた。

 

 

 その日のうちに叢雲から提督の連絡先を聞いて電話をかけた。説得できるかは不安だったが、叢雲のことを話すと彼も会う約束をしてくれた。

 

 叢雲と別れた理由を聞いた後に2人の復縁を提案したが断られてしまった。叢雲には自分なんかよりも良い相手を見つけて欲しいし幸せになって欲しいと思っていると彼は話した。

 

 その叢雲が選んだのが提督だと言いたかったけど、提督の考えと思うと私も強く言えなかった。

 

 

ー--------------------

 

 

 1週間後、喫茶店で2人の再会が叶った。2人とも、相手の顔を見れない状態だったけど、叢雲の子供を見た提督は笑顔を見せた。

 

 2人の復縁は叶わなかったけど、提督は金銭面での支援をしたいことと、これからも子供に会いに行きたいと言った。叢雲もそれに応じ、その場は終わりになった。

 

 2人とも、口数は少なかったけど相手を思いやる気持ちが感じられた。別れたのが信じられないぐらいに……2人がこれから復縁するかは分からない。だけど、もしそれが叶うのであれば大きな一歩になるのかもしれないと思った。

 

 

 

 提督が喫茶店から消えた後に私は叢雲と話をした。

 

「今日はありがとうね。陽炎」

 

 叢雲が呟いた。

 

「礼を言われることじゃないわよ。上手くいって良かったわ」

 

 叢雲は不安だったかもしれないけど、緊張していたのは私も同じだった。根本的な問題は解決していないけど、二人の関係が良い方向に向かってくれて良かったと思う。

 

 二人の関係改善には時間がかかるだろう。だけど、時間は沢山あるしこれからゆっくりと改善していけば良いと思う。私が仲介役になる必要はあるかもしれないけど、二人の将来は意外と明るいのかもしれない。

 

「やっぱり陽炎は強いわね」

 

 叢雲がコーヒーに口をつけて呟いた。

 

「そう?」

「だって、いつも明るいし戦場ではいつも先頭に立ってた。切り込み隊長だったじゃない。私なんかと違ってずっと強いわ」

「そんなことないわよ。私だって落ち込むし、戦闘だって怖かったわよ」

「そうなの? 不知火のことでは落ち込んでいたけど、戦場ではそう見えなかったわ」

「怖いから前に進んでいただけよ。今思えば本当に無謀だったと思うわ。今生きているのが不思議なぐらい」

「それが陽炎の強みなんじゃないの?」

「それは……」

 

 言葉に詰まった。

 

「自分から動けるのは強いわよ。誰かの為に生きるの向いてるんじゃない?」

「誰かの為……」

 

 誰かの為という言葉が引っかかった。思えば私が艦娘になったのも誰かが犠牲にならなければならないからだった。艦娘になってからは嫉妬に悩んだり、思い通りにならないことにイライラしたりもしたけど仲間の為に動くことが多かったと思う。

 

 戦後は不知火を救えなかったことを後悔したのと差別に負けて引きこもっていたけども叢雲に再会し、彼女を助けることができた。

 

 私のやるべきことは誰かを助けることなのではないだろうか?

 

「ねぇ、叢雲」

「どうしたの?」

「私、人助けをするのに向いているかな……?」

 

 私の言葉に叢雲がクスリと笑った。

 

「向いてると思うわよ」

 私は彼女の一言にホッとした。だけど、同時に不知火の顔が浮かんだ。私は人助けをしているのに向いているのかもしれない。だけど、本当に人を救えるのだろうか?

 

「難しいこと考えているみたいね」

 

 叢雲がコーヒーに口をつけてから呟いた。

 

「人助けするのに向いていると思ったの。だけど、本当に人を救えるのかなって思って……」

「なんだ、そんなの簡単じゃない」

 

 彼女が小さくため息をついた。

 

「救えた救えないは結果でしかないの。大切なのはそれをやろうとしたことよ。たしかに、貴女の妹のように助けるのが無理な時もあるかもしれない。だけど、その人を助けようとしたことは絶対に無駄じゃないわ。助けるのが無理だったとしても……それでも助けようとするなんて普通できないわよ」

「ありがとう叢雲」

 

 叢雲の言葉に涙がでそうになった。私は私の進む道を見つけた。

 

 誰かの為に生きる。それが私の見つけた道だった。人を助けるのは難しいかもしれない。不知火の時みたいに失敗するかもしれないし、無駄かもしれない。だけど、それでも私は人を助けたい。

 

 私のやり方がどこまで通用するかは分からない。だけど、私は私のやれる形で人を助けていこうと誓った。

 

 

ー--------------------

 

 

 

 そして、現在。終戦から11年が経った。

 私は小規模な艦娘の救済団体を立ち上げて細々と活動をしている。誰かを助けたいと思い立ってから様々な艦娘と関わってきた。戦後の差別に悩んでいる子が多かったし、瑞鳳さんのように戦後病んでしまって外に出ない人もいた。何もかもが手探りだったし、相手が塞ぎ込んでしまってどうすれば良いのか分からない時もあった。それでも、助けられた子からありがとうございますの一言を聞けるのは嬉しかったし、誰かの役に立てた達成感があった。

 

 私の道を見つけてから10年経つけど私が彼女達の為にどの程度貢献できたかは分からない。ベストを尽くしているつもりだけど、立ち直った子もいれば立ち直る以前の子もいる。私の道はまだずっと長いのかもしれない。

 

 未だに不知火とはろくな会話ができていない。彼女は未だに空虚な生き方を続けているし、戦友会でも1人でいる。不知火の目がそれを語っているし、彼女の心が戻る時は死ぬまでないのかもしれない。

 

 それでも、いつかは……いつかは不知火と心を開いて話し合えると信じている。

 

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