いつの間にかヤバい奴認定されていたみたいです。 作:Cross Alcanna
思い付いたコンセプトがあったので、執筆しました。現在時点ではメインです書き進めるか未定です。
他作品を優先する事になれば、こちらの投稿頻度は下がると思われます。
今のところは、皆さんの声や小説の動向次第となっております。
では、どうぞ。
「ようやく追い付いたぞ!“操機”!!」
「…………」
ゲヘナ学園の近郊。私達が取り締まりの対象としている“操機”の目撃情報があった。
風紀委員会ほぼ総出(委員長は別仕事で不在)で相対している訳だが、これは決して過剰な戦力とは言えない。寧ろ、まだ足りないとさえ考えられる。
正直な事を言うなら、委員長にも来て欲しかったところはある。
その事は置いておくとして。
“操機”とは、何か。
それは、とある1人のゲヘナ生徒を指す。
今目の前にいる、変な杖……みたいなのを持った
長い間追い続けているうちに、いつの間にか付いていた渾名の様なモノ。七囚人とかいうヤツらの“○○の○○”みたいな、そんなやつ。
「……何とか言ったらどうなんだ!」
「…………」
何も、言葉を発しない。
それどころか。こちらに目もくれず、思考を巡らせているかのような仕草。まるで、「お前達など気にも留めていない」と言われている様な気分。
……腹が立つ。
私達と相対する時、殆ど言葉を発する事が無いコイツ。最後に声を聞いたのも、果たしていつだったか。
…………が、実力は折り紙付き。委員長含めて、風紀委員会総出で無いと、十分に負けうる位には。
だけど、倒さないといけない。実際問題、被害を出している訳だ。被害情報も実際に聞いている以上、風紀委員会が動かない訳にはいかない。
「今日こそ捕まえてやる!総員!一斉射撃用意!!」
今日こそ、今日こそは。
─捕まえてやる。
────────
「ようやく追い付いたぞ!“操機”!」
何事かと逃げてきたものの、逃げるのも難しそうな場所にまで追い詰められた。そんな事をしてのけたのは、我らがゲヘナの風紀委員会。
風紀委員会と言えば。
ゲヘナの中でも有数の武力集団。その中身は、ゲヘナの秩序を保とうとする、何とも健全な軍団。
何だかんだ実力はある“美食研究会”や“温泉開発部”すらも、制圧出来てしまう程の実力。
それが今蓋を開ければ、俺に向けられている。
…………何で?
いや、俺何もしとらんて。(ある意味)模範的なゲヘナの生徒達みたいな意味不明で豪胆な行動なんて起こした記憶も無ければ、無抵抗の誰かに危害を加えたいわれはない。
そんな俺、
…………いや何で?
幾ら考えても、分からん。
……ひょっとして、言いがかりか何か?だとしたら、ただの下世話なんだが?コイツら、マトモに調査とかしてるんか?いや、してねぇなこれ。
…ぶっ飛ばしても、文句言われる筋合いねぇよなぁ?いや、あってたまるかっての。
「……何とか言ったらどうなんだ!」
……いや、言える訳ないでしょーが!
俺、コミュ障だぞ!?1体1で話そうとなれば、まぁ言葉の詰まる事。ましてや、こんな険悪な雰囲気でお話なんて、コミュ障には難しい事この上ない。
そこんとこ分かって言ってんのかコラ。
事と次第によっては、トラウマ植え付けてもいいんだぞ。
「…………」
言葉は、無い。
いや、出せない。コミュ障にとってこの無言の空間は、えも言われぬ嫌な感じを醸していると言える。
……いや、誰も何も言わない空間なんて、余程の事が無い限り心地いいなんて思う人おらんやろ。
シバくぞ?(唐突)
「今日こそ捕まえてやる!総員!一斉射撃用意!!」
……馬鹿なんか?
どうしてんな大声で指示飛ばすんだか。こっちにバレるやんけ。合図の一つや二つ、決めといた方がええんとちゃいますの?
…………いや待て待て。何を冷静になっているんだ、俺は。
俺は今、弾丸の嵐を受ける直前なんだぞ?何をそんな菩薩みてぇに達観した思考してるんだ。
ヤベェ。今になって焦りが込み上げてきた。
…………やっぱ、やるしかねぇか。あんまし気が乗らねぇんだけどなぁ。
どうせ俺がここでねじ伏せたとして、また尾ビレがついて噂が大きくなってくんだろうな。
嗚呼、頭が痛い。
────────
「…………それで?また逃がしたの?」
「……うん」
場所は変わって、風紀委員会の執務室。
私の対面で座っているのは、どこか不機嫌そうな委員長。
無理はない。だって、アイツを逃がしたから。
「…そう。やっぱり、これからは私も同行しないといけないわね……」
委員長にそう言わせてしまう私が、本当に不甲斐ないと思う。
だけど、一向に勝てる気がしてこない。
あれだけの数で、それでいてしっかりとした質も担保されているというのに。それを何度向けても、いつも突きつけられるのは、“敗北”の二文字。
アイツが持つ変な杖を地面に突き立てたと思えば、突如として現れる蛇のような見た目の機械。アビドス砂漠で目撃される“ビナー”に、近い様な遠い様な見た目。
ソレが備えている機関銃に、いつもやられてしまう。圧倒的な弾幕に、私達は為す術もないまま敗北を喫する。
いつかに、少数で立ち向かった事があった。が、結果は同じ。いや寧ろ、自分に対する弾幕の量が桁違いに増える事もあってか、より悲惨な結果になった。
勝てないと。そう明確に思う相手は、委員長以外にアイツしかいない。アイツは私達とは、
圧倒的に修練された一。極限まで研ぎ澄まされた一。どう言い表すのが適切なのかは分からないけど、もしアイツを一言で言うとするなら、そんな言葉になるだろう。
「……そういえば。イオリ、温泉開発部の動向はどうなってるの?」
「温泉開発部?最近はあまり音沙汰ないけど……」
「そう。…何があるか分からないから、一応目を光らせて頂戴」
書類を書き続けながら、半ば流れ作業気味にそう言う委員長。その目の下には、隈があった。
委員長はゲヘナでもトップクラスの戦闘能力を有している。そして、人を束ねる素質もある。だからこうして、風紀委員会の委員長をやっている訳だけど……。
その戦闘力もさながら、委員長という肩書きも相まって、必然的に委員長が請け負う責任や仕事は私達よりも数段多い。
簡単な治安維持の為の巡回から、温泉開発部や美食研究会等の制圧、果ては
何が言いたいのか。
つまり。ゲヘナは、治安が悪過ぎる。そして、それを1人でも制圧し切れる委員長は、1人の人間に課せられるには多過ぎる業務を負っている。
そして、その現状を解決出来ずにいるのが、風紀委員会。
いや、待って欲しい。
言い訳の様に聞こえるかもしれないけど、待って欲しい。私達が今以上に強くなればいいだろうと、そういう意見もあるかもしれない。
確かに、それはそうだ。しかし、委員長が
ハッキリ言おう。
ああなるのは、無理だ。
皆で団結して委員長を凌ぐ強さに、であればそれなりの現実味はある様に(客観的に見れば)思える。が、個でそれを成し遂げようとなれば、まず不可能。
それだけ、委員長が異質なのだ。
「今度捕まえに行く時は、私が忙しくても一声掛けて。余程の事じゃない限りは同行するから」
「…分かった」
今度こそ。今度こそ。
捕まえる。