転生したら転剣の世界でした 〜Ruby Memoria〜   作:氷月ユキナ

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15 三人組の冒険者

〈ルビーのLv(レベル)が、5になりました〉

 

 テレッテッテー、ルビーがレベルアップー!

 

 ……恥ずかしいな、これからは辞めよう。

 

 脳内でレベルアップのメロディを流して勝手に羞恥心で悶えた後、ぼくはボロボロになっていた冒険者さんたちの元へ駆け寄る。

 

「つ、強い……」

「すげえな、っ痛っ……!」

「大丈夫?」

 

 

名称:クラール・ストーンハート 年齢:25歳

種族:ドワーフ

職業:戦士

ステータス レベル:7

生命:14/352 魔力:42 腕力:89 敏捷:52

スキル

剣術3、剣技2、盾術2、盾技1、剛力4、硬化3、不眠不休2、気力操作

装備

戦士の剣、鉄の盾、頑丈な鎧

 

名称:リリー・ウィンドシーカー 年齢:19歳

種族:ハーフエルフ

職業:レンジャー

ステータス レベル:6

生命:12/287 魔力:76 腕力:56 敏捷:93

スキル

弓術4、弓技4、隠密3、追跡3、罠解除2、植物知識2、錬金術1

装備

オーク材の弓、革の鎧、追跡者のマント

 

名称:ユースタス・グレイ 年齢:24歳

種族:人間

職業:魔術師

ステータス レベル:5

生命:8/186 魔力:238 腕力:21 敏捷:35

スキル

火魔術4、風魔術3、詠唱短縮2、状態異常耐性1、魔力上昇[小]、魔力操作

装備

魔法の杖、ローブ、魔力の指輪

 

 

 《鑑定》してステータスを確認してみるが、単に生命の数値が減ってるだけらしい。

 

 これなら後遺症が残ることもなさそうだ。

 

「フラン、普通のヒールで」

「了解。──《回復魔術》癒しの光円(サークル・ヒール)

 

 フランが唱えると、地面に癒しの光円(サークル・ヒール)の魔法陣が浮かび、その範囲内の人の傷をみるみる癒していく。

 

 負っていた傷が逆再生されているように治っていくさまを見た冒険者の一人が、茫然としながらポツリと呟いた。

 

「……こんな小さい子が、癒しの光円(サークル・ヒール)だと?」

「うぇ!? それって、Lv7の中等魔術じゃない!」

 

 そういえばと、師匠がドナドロンドさんのスキル《再生》をみて、回復魔術のレベルを上げたって言っていたことを思い出す。

 

 その決断は、ぼくがお風呂入ってる時にフランと相談して決めたらしい。

 

 ……回復魔術、ぼくも欲しいな。

 

 だが、一から習得するなど時間がかかりすぎる……師匠がいるから別に要らないという形で納得することにした。

 

「しかも、あれって魔剣?」

『おお、俺に気づいたか。まあ、他の剣とは一線を画す高貴な姿をしてるし、見るやつが見れば気づいちゃうよな。いやー、困ったね』

 

 ……いつか師匠は調子乗って痛い目見そうだ。

 

「大丈夫?」

「あ、ああ。た、助かったよ」

「ありがとう。ほら、あんたも!」

「あ、ありがとう」

 

 うんうん、フランがお礼言われてると、仲間として誇らしい気分になるな。

 

「すごいなあんたら、何者だい?」

「なにもの……?」

「どんな人かって聞かれてるの」

「……なるほど」

 

 何者って意味わからないの……?

 

 フランに常識教えるの苦労しそうだと、ぼくは少し息を吐いた。

 

 常識を教えるときは師匠にも手伝ってもらおう。もちろん強制で。

 

「フラン、Gランク冒険者」

「G……!? 俺たちと同じ!?」

「え、じゃあそっちの白い髪の娘も……?」

「あ、はい。Gランク冒険者です」

「えぇ……!?」

 

 ランク詐欺状態だから驚くのも無理はないが、その声と目線から自分たちの異端さを再確認する。

 

 やはり自分たちはおかしいのだと思い始めたときに、冒険者の一人が自分の胸に手を当てた。

 

「俺はクラール。彼女がリリー、彼がユースタスです」

「……そう。じゃ、ばいばい」

「あれ、もう行くの? んにゃ、さよなら~」

「ま、待ってください! ゴブリンの素材は仕留めた貴女達のものです。命を助けてもらって、その上施しまで受ける訳にはいきません」

「……どうする?」

「ぼく? 貰えるものなら貰っておく主義だよ」

『欲に忠実だな!? ……だが、そうだな。ここで断ると逆に印象が悪いかもしれないし、それにサービス沢山してくれたガルスに少しでも貢献したいし』

「ん、じゃあ貰っておく」

「ついでに上位種(ホブゴブリン)の素材も貰っちゃいますね」

「え、上位種(ホブゴブリン)!?」

上位種(ホブゴブリン)が混じってたのか!」

 

 上位種(ホブゴブリン)が居たことにより今から『やっぱ素材よこせ』と言われないかとビクビクしながら、ぼくは斬り殺したゴブリンの死体に触れる。

 

 ……だが、上位種(ホブゴブリン)に気づかない位に視野も狭くなってたってことは、ぼくたちが助けなかったらこの冒険者たちは本当に全滅してたかもしれない。

 

 やっぱり、魔獣はぼくの敵だ。

 

「た、確かによく見たら、ゴブリン・アーチャー、ゴブリン・シーフ、ゴブリン・ソルジャー、職業(クラス)持ちの上位種(ホブゴブリン)だわ。これって、ヤバいんじゃない? ギルドに知らせないと……」

「いやいや、待てって。本当に上位種なのか?」

「多分本当よ。あの三匹、明らかに体が大きいし」

 

 フランはゴブリンの死体を、腰に下げていた袋に仕舞うふりをして、《次元収納》に仕舞う。

 

 その隣でぼくも《解体》してフランに素材となった元ゴブリンを渡す…

 

「やばいぞ、上位種(ホブゴブリン)が三匹もいるってことは、ゴブリン狂行軍(スタンピード)が起きる前兆だ……ッ!」

 

 その言葉に、ぼくの眉がぴくりと動く。

 

 ……ゴブリン狂行軍(スタンピード)が、これからやってくる。

 

「……ゴブリン狂行軍(スタンピード)?」

「そうだよー? フラン、よく聞いてね。ゴブリン狂行軍(スタンピード)っていうのはゴブリンキングがいるときに発生するもので、ゴブリンキングがいると統率力が上がって、脅威度がD以上まで戦闘力が増える。そうすると沢山の魔獣を狩れて、死亡するゴブリンも少なくなる。そして上位種に進化する個体も増えるから、群れも大きくなって戦闘力がどんどん上がっていくっていう最悪の循環が生まれる。クソだね。しかも、そうやって大きくなった群れには女王(ゴブリンクイーン)も生まれる。ゴブリンキングとゴブリンクイーンから生まれるのは全部ホブゴブリンだから、ここまでくると本気でヤバイ。脅威度はCだから、大都市の危機だね。ゴブリンは10日程度で成体になるし、戦力が集まるまで時間もそんなにかからない。これがゴブリン狂行軍(スタンピード)だよ。悪夢みたいだ」

「……なるほど」

『説明サンキュー』

 

 ……原作知識も一種のチートだと、軽々と説明できた自分のことを顧みて思う。

 

 これなら、固有スキルの強力さも合わせてフランと一緒に戦えるのかな……?

 

「このままじゃ村がいくつも滅ぶ……!」

「城壁があるとはいえ、アレッサだってやばいぞ!」

「ギルドに知らせないと」

「取り急ぎ俺たちは上位種(ホブゴブリン)の死体を冒険者ギルドに運んで報告します! 貴女たちはどうします?」

「……ルビー、どうする?」

「ふむ、そうだね。なら──」

 

 これからどうするか、それをフランと相談しようとしたとき、

 

 ──ピィーーッ!

 

 そんな、笛の音が鳴り響いた。

 

『くっ、ストーン・アロー!』

「ギャポ!?」

 

 師匠がとっさにストーン・アローで笛を吹いたゴブリンを殺したが、今の笛の音を聞いたゴブリンがこちらに寄ってきているだろう。

 

 内心、こうなることを忘れていたと歯を食いしばるが、後悔するのは後でもいい、

 

「まだいたのか!?」

「仲間を呼ばれた!?」

「……行って」

 

 フランが、冒険者たちにそう告げる。

 

「でっ、でも貴女たちは…」

「フランの言った通り、ギルドに行ってください。いやあ、実はまだ暴れ足りなかったんですよねー」

「ん、ルビーと一緒にここで頑張ってみる」

「……それじゃあ、失礼します」

「今日は本当にありがとうね」

「ありがとうよ!」

 

 ぼくは冒険者たちに一礼して、フランと並んで森の奥へと踏み込んだ。

 

 ……普通は、ここでフランと協力してゴブリンを殲滅するところだろう。

 

 だが、原作知識を使ってこうなるまでに考えていた案があった。

 

「フラン、師匠、戦う前にちょっといい? 話があるんだ」

「……ん?」

『ルビー、どうした?』

 

 その案とは、

 

「別れよう」

 

 ぼくのセリフを聞いたフランと師匠は、何処か死んだ魚のような目になった気がした。

 

『……なんだろうな、この告ってもいないのにフラれた感じは』

「ん…………」

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