転生したら転剣の世界でした 〜Ruby Memoria〜 作:氷月ユキナ
「がんばる」
ぼくの問に対して、フランはそう答えた。
「……なん、で? ……理由を、聞いてもいいかな……」
もし、その理由が大したことのないものだったのなら、説得し直そうと。
そんな考えは、次の瞬間には吹き飛んでいた。
「だって、ルビーが悲しむから」
「…………は?」
予想外の方向から殴られたぼくは、思わず絶句する。
訳が、分からない。
「ぼく、が……?」
「ここで逃げたら、アレッサも無事じゃない。ルビーはあの街を気に入ってる。だから、滅びたら困る」
「
「
ぼくとフランの声が、
「もしここで逃げたら、
「……そん、な」
「
「そんな、ことで……ッ!」
「
ふと、フランの目を見た。
その眼差しは、ぼくからすればとても眩しく見えて。
「
「……は、ぁ?」
「私は、ここで逃げない。でも、死んでしまうかもしれない。だから、ルビーが私を助けて」
「フランの方が、ぼくより強いのに……? できることなんて……」
「ただ、私の隣にいて。そうすれば、私は勝てるから」
そのどこまでも強い宣言に、ぼくは言葉を失って。
水を欲する魚のように、口をパクパクと動かすことしかできなくて。
「私を助けて、ルビー。私は何も失わないで、あなたと笑ってアレッサに帰りたいから」
そして。
そして。
……ぼくは、もう、認めるしかなかった。
フランが、この先に立ち向かえるほど"強い"ということを。
「……は、ははっ……ズルいなぁ、そんな言い方……」
「……ん、ごめん」
「謝らなくていいよ。うん、そっか。……分かった、いいよ。師匠は?」
ぼくはそこで、空気を読んで口を挟まなかった師匠に意見を聞く。
『……わかった。だが、いざというときは『転移の羽』使うからな』
「ん、だけど大丈夫。私と師匠、それにルビーもいれば、きっと勝てる……」
……ぼくもいれば、か。
フランと比べればステータスもスキルも劣っているぼくに、できることなんてあるのか。
むしろ、足を引っ張るだけなのでは……。
いや、今はそんなネガティブな事は考えなくていい。
「んじゃ、師匠に補助魔術かけてもらってから行こうか」
『そうだな。今回の敵は本当にヤバイ。ありったけの能力上昇系魔術かけるぞ』
師匠の魔力が漲り、ぼくの身体を覆うように広がっていく。
それらによって力が湧き上がって来るのを感じながら、ぼくは
「フラン、準備はいい?」
「いつでも」
お互い頷いて、部屋へ向かう扉の取っ手を掴む。
そして、開いたその先いたのは……
「よォオ……最深部へようこそ。初めての客だ。歓迎するぜぇ……?」
名称:
種族:悪魔・魔獣
ステータス レベル:30
生命:1900 魔力:2409 腕力:720 敏捷:675
スキル
穴掘り3、暗黒魔術4、威圧4、運搬2、恐慌4、剣技5、剣術5、状態異常耐性7、土魔術7、登攀1、毒魔術7、魔力障壁6、闇魔術10、料理1、暗黒強化、暗黒無効、暗視、自動魔力回復、支配無効、皮膚硬化、魔力上昇[小]、腕力上昇[小]
エクストラスキル
スキルテイカー6
称号
悪魔伯爵
装備
魔影鋼の長剣
暗黒魔術:闇魔術の上位魔術。闇と影、毒と死を司る。
恐慌:自身を目視している対象に、精神状態異常〈恐慌〉を与える。
魔力障壁:魔力を消費し、物理、魔術、双方に耐性のある障壁を展開する。
スキルテイカー:条件の合う、対象のスキルを収奪する。
……強い。それしか言えない。
『フラン! ルビー! 気を抜くなよ、多分こいつ脅威度Bだ! 油断したら瞬殺されるぞ!』
「ん!」
「分かってる!」
《反逆の魂》を《剣術》にかけて超強化し、ぼくは剣を構えた。
……震えるな、頼むから。
「よぉ、ビビってんのか? 確かに見た目弱そうなガキだが、手加減はしねぇぜ? なにせ、
「……」
「おい、悪魔! 何やってる! 早くそいつを片付けるギョ!」
あっちが、この
名称:レアゴブリン
種族:邪人
ステータス Lv11
生命:25 魔力:131 腕力:12 敏捷:13
スキル
穴掘り2、眷属召喚5、棍棒術2、心話2、調教2、覇気1
称号
装備
樫の棍棒、革のローブ、身代りの腕輪
……雑魚だな。いや本当に。
「……チッ」
「この部屋まで到達する奴がいるなんて……貴様ら……よくもニンゲンの分際で我が『ゴブリン帝国』の精鋭たちを……兵を増やし、ニンゲン共の街を征服する計画……またやり直しではないか」
いや知らないが。それと『ゴブリン帝国』とかいうクソダサネーミングセンスどうにかならなかったのか。
「まあ貴様らを殺したあとに、次の
「おい! うるせえ! 侵入者はきちんと始末してやるからちょっと黙ってろ雑魚
「ギョ!? ギョォオ……この
「俺に支配は効かねぇからな。好きに戦わせてもらうぜぇ」
死闘を繰り広げる前のはずなのに、ぼくは何を見せられてるんだろう。何この漫才。
「さァ。あいつがうるせぇし、闘ろうぜぇ?」
「ッ!」
その瞬間、
「おらぁ!」
「はぁッ!」
それを、フランは冷静にそれを師匠で受け止める。
「おぉ? 剣ごとブチ折る気でいったんだがな。
「……っ!!」
「フランッ!」
ぼくはフランを助けるために、剣を抜いて斬りかかるが、
「オラッ!」
──パキィン……
「……え?」
「あァ? お前の剣はこいつの剣と違ってもろいみてぇだなぁ。それも確かにいい剣だが、俺の剣には敵わねぇよ」
「くっそ……! 金ケチらなきゃよかった!」
あっさりと斬られたぼくの剣を放り捨て、軽く舌打ちをする。
名称:魔影鋼の長剣
攻撃力:561+450 保有魔力:56 耐久値:1000
魔力伝導率・C+
スキル:影戻り
確かに強いけど、一回打ち合っただけで壊れるか普通!? そりゃ奴隷商の奴らからパクってきたやつだけど!
「ルビー!」
「こっちは大丈夫! それより、
「ん!」
『あんまり無理するなよ!』
僕は師匠の《補助魔術》で高められた敏捷で
戦闘手段が早々になくなっちゃったし、ぼくは大人しく撹乱役になるとしよう。