転生したら転剣の世界でした 〜Ruby Memoria〜   作:氷月ユキナ

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23 上位悪魔(グレーターデーモン)

「てりゃっ!」

「はっ」

 

 錯乱役として攻撃を回避しながら合間を狙って繰り出した蹴りを、上位悪魔(グレーターデーモン)は鼻で笑いながら影を利用した転移魔術で簡単に避ける。

 

「……なら、狙いを変えよっか」

 

 そしてぼくは、撹乱役に徹すると見せかけて上位悪魔(グレーターデーモン)を放置して、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「!!」

「クソっ、てめっ! 卑怯だぞ!」

「何が卑怯だ、んなもん知るか!」

 

 すると上位悪魔(グレーターデーモン)は悪態をつきながら、わざわざ迷宮管理者(ダンジョンマスター)への進行方向へ向かってぼくから庇う。

 

『な、庇った!? あんなに殺す殺すって言ってたのに……!』

「師匠、ドナドロンドさんの話聞いてた?」

 

 迷宮(ダンジョン)に潜る前、ドナドロンドさんはこう言っていた。

 

 

『フム……迷宮管理者(ダンジョンマスター)が死んだ場合は迷宮核(ダンジョンコア)が休眠状態になり迷宮が活動を停止する。(コア)の破壊時と同じく迷宮に召喚された生きている魔獣は消滅するようだ……』

 

 

「そう、つまり迷宮管理者(ダンジョンマスター)を殺せば自動的に()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 原作では師匠が気付くのに時間がかかってたけど、こっちには原作知識があるのだ。

 

 原作通りに進ませる必要なんてない、効率よく行かせてもらおう。

 

「だから、迷宮管理者(ダンジョンマスター)を一斉攻撃するよフラン!」

「……そういえばだれか言ってた」

『ドナド可哀想……』

「……さ、そろそろ攻撃お願い」

 

 忘れられていたドナドのことはさておき、フランと師匠は迷宮管理者(ダンジョンマスター)に向かって《火魔法》祭りを開始した。

 

「──ファイア・アロー!」

『──ファイア・シャベリン!』

「──ファイア・アロー!」

『──フレア・ブラスト!』

 

 ──ボン、バン、ボォン、ドゴァン!

 

 ……こうして嵌めちゃえばいいだけだが、このままじゃ二人の魔力が尽きるのが先だ。

 

「何だァ!? マジかよ、《無詠唱》持ちか!?」

 

 残念、師匠がこっそり唱えているだけだ。

 

 ……だが、このままじゃジリ貧だ。

 

「くっ」

「ギョホォォ! もっとちゃんと護るギョォ!!」

「この馬鹿野郎! だから、俺の戦闘場所は前の広場にしとけと言ったのに!」

「う、ううう、うるさいギョ! お前がいなかったら、この部屋の防衛戦力がなくなるギョォ!」

「このゴミ管理者(マスター)!! だったらせめて自衛スキルくらい持っとけやぁぁ!!」

「この『身代わりの腕輪』があれば復活できるとはいえ、死ぬのは勘弁ギョ!!」

「雑魚がそんなの千個持っても千回瞬殺だボケ!!」

 

 少し上位悪魔(グレーターデーモン)が可哀想になってきた……まぁ、殺すけど。

 

 さて、そろそろ賭けに出よう。

 

「師匠、フラン。ちょっと策があるんだ。……乗ってくれる?」

 

 そう、妖しく微笑んだぼくに。

 

『……その胡散臭い笑みはなんだ?』

「酷くない!?」

 

 

◇◆◇

 

 

「くやしいけど今の私じゃ、上位悪魔(あいつ)は倒せない……だから、任せる!!」

『おう、いつでもいいぞ!! 任せろ!!』

「ソニック・シューター!!」

『ひゃっはー!』

 

 フランは《風魔術》のLv4の技、ソニック・シューターで、剣を迷宮管理者(ダンジョンマスター)に向かって投擲した。

 

「剣を投擲ィ!? とち狂ったかァ!?」

「行け……行っけぇえぇぇぇぇ師匠ぉお!! ファイア・アロー! ファイア・アロー!」

 

 フランは迷宮管理者(ダンジョンマスター)を助けようとする上位悪魔(グレーターデーモン)に向かって《火魔法》ファイア・アローを撃ち、邪魔できないようにする。

 

「!! そういう事かよ……!! 器用な真似を! 風魔術か? だが、させねェよ。《暗黒魔術》ダークネスブラスター!!」

 

 だが、上位悪魔(グレーターデーモン)は魔術で師匠を撃つ。

 

「ししょ……!」

「甘ぇ!! その程度じゃ俺の守りは抜けねェよ」

 

 この魔術で師匠は壊される……訳がない。

 

 師匠は《念動》で無理やり自身の軌道を変えて攻撃を避けきった。

 

「なにぃ!? 曲がっ……!?」

 

 師匠はそのまま上位悪魔(グレーターデーモン)へ……いや正確には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ぼくのこと忘れないでよ、哀しいなー」

『ルビー!』

「分かってる」

 

 ぼくは飛び跳ね、《反逆の魂》の効果対象のスキルを《剣術》に切り替え()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「馬、鹿な……! く、ぉ……お、俺、のッ……魔、力が、抜け……ガァァアあぁァァああ……──!!」

「……ふぅ」

 

〈ルビーのレベルが上昇しました――〉

〈ルビーのレベルが――〉

〈ルビーの――〉

〈ルビー――〉

 

 上位悪魔(グレーターデーモン)を倒した僕にアナウンスさんの声が聞こえた。

 

「…………ッ、はぁ……」

 

 倒したと同時に緊張が解けたぼくは、崩れ落ちるように床に座り込んだ。

 

「ルビー!」

 

 駆け寄ってくるフランを横目に、《鑑定》でスキルの欄を確認する。

 

 

 エクストラスキル:スキルテイカー6

 

 

 《模改の理》を使ってコピーしたスキルをニマニマと眺めながら、ぼくは達成感に満たされて寝転んだ。

 

 

◇◆◇

 

 

「ギョホオォォォ~~ッ!? 馬鹿な馬鹿なァギョホォッ! グッ……上位悪魔(グレーターデーモン)があんな小娘に倒されるなんてギョォ……そんな事が……」

 

 その時、迷宮管理者(ダンジョンマスター)であるレアゴブリンは、迷宮核(ダンジョンコア)を見てあることを思いついてしまった。

 

「まだ……まだゴブリン帝国は終わらんギョホ……ちょうど溜まった混沌力(ゴッデスポイント)でまた……魔獣を抽選召喚してやるギョォォ!! つっ……次ギョ!! 次で上位悪魔(グレーターデーモン)以上の……いや、そこまでは言わないギョ! 何故か知らんが小娘の一人は倒れてるギョ! だから、そこそこ強い魔獣でも絶対勝てるギョォォ!! 運には自信があるギョホ!!」

 

 自分を鼓舞しながら、迷宮管理者(ダンジョンマスター)迷宮核(ダンジョンコア)へ歩いていく。

 

「ハァ……ハァ……さぁ、混沌の魔獣よ、来るギョ!!」

 

 原作ではフランが止めていたが、そのフランはルビーのもとにいて迷宮管理者(ダンジョンマスター)には目もくれていない。

 

 だからこそ、成功してしまった。

 

「……ギョホホ、やったギョ……上位悪魔(グレーターデーモン)なんか比べ物にならないほどの、悪魔王(デモンロード)を──」

「──この私に向かって囀るな、愚図」

 

 脚による二度の蹴り。

 

 一度目で『身代わりの腕輪』をつけた腕を蹴り飛ばし、二度目で首を蹴りちぎった。

 

 ()()()を呼び出したのは、迷宮管理者(ダンジョンマスター)にとって幸か不幸か分からない。

 

 ただ、一つの明確な事実として。

 

「……ほう、アレは。異分子(イレギュラー)が二人いるとは。なかなか興味深いですね」

 

 悪魔王(デモンロード)という名を冠する存在が、ここに放たれたということだ。

 

「貴方達は、私に何を見せてくれるでしょうか」

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