転生したら転剣の世界でした 〜Ruby Memoria〜   作:氷月ユキナ

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3 商人のランデルさん

「……ん、泣き止んだ?」

『ご迷惑をおかけしました』

 

 申し訳なさそうな師匠の声が頭に流れてくる。

 

『まあなんにせよ、強くならないと話にならなそうだし……実戦で鍛えよう!』

「ん!」

『幸い俺は装備者に『技能(スキル)』をシェア出来る能力、《スキル共有》を持つ魔剣だ。俺が強いスキルをゲットして、セットすればすぐフランも使う事が出来るはず。つまり俺が強くなればそれがフランの強さに直結する。俺は敵の『魔石』を喰らえばスキルを奪える上に成長する剣なんだ。だから何はともあれ『魔石』を見つけたら俺に喰わせてほしい』

「それじゃ、ぼくがゴブリンを倒すときは『魔石』は壊さないようにした方がいいってことだね」

『そういうことだな。よろしく頼む』

「ほ~……お!」

「ん? どうしたの?」

 

 すると、フランは駆け足でさっきの魔獣の魔石を手に持って帰ってきた。

 

 ──ガン、ガン

 

 フランは叩くように、師匠の刀身に押し当てた。

 

『えっ何痛いやめて!』

「……食べさせようとしてるんじゃない?」

「ん。さっきの魔獣の『魔石』……食べて」

『いやそこ実は口じゃないから! 『刃』に当てて割ってくれ!』

「……ふっ、ふふ、あっははははははっ!」

『笑ってないで止めてくれ!』

 

 むぅ……とフランが不満げな顔をしながら刀身ではなく『刃』に『魔石』を当てる。

 

 すると、その魔石の力は師匠に吸収された。

 

『ウッ……♡ ウマー!』

「おお~」

「……キッショ」

『ひでぇなオイ! ……ま、まあ、こんな感じで『魔石』を頼む……』

「ん! 分かった」

「オッケー」

 

 気を取り直すように、ぼくたちは再び歩き始めた。

 

『ふーむ、後は……とりあえず武器は俺でいいとしても、フランとルビーの『防具』がいるな。……というか、ルビーのその剣はどこにあったんだ?』

「これ? 奴隷商人(あいつら)の馬車にあったやつだよ」

『なるほどな……そのまま使っていけそうか?』

「うん。不良品とかじゃないっぽいし、このままで大丈夫だよ」

『じゃあ、後は『防具』か。そのためには、やっぱり『金』が必要だな……』

「『金』ねー……フラン、奴隷商人(あいつら)の馬車に少し金あったよね。確か持ってきてなかった?」

「ん!」

『おお、でかした! えーと、銀貨二枚、銅貨が、ひいふう……』

「四五三……ゴルド? 一、二泊できるかもぐらい……だって」

『そ、そうか。大した金額じゃなさそうだな、むぅ……』

「これからの生活を考えると、心もとないなー……」

 

 やっぱり、生活においてお金というのは必要不可欠だ。

 

 そんなところまで元の世界と一緒じゃなくていいんだけど……。

 

『このあたりに街とか無いの?』

「あると思う、たぶんあっち」

「お、いいじゃん! まずはそこ行こ? 冒険者登録とかできるかもしれないし」

『異世界モノのテンプレ展開だな! じゃ、街の方行くか!』

「ん!」

「おー!」

 

 街か……奴隷になる前は生まれた村から出たことなかったし、奴隷になってからはずっと馬車の中にいるか仕事をさせられるだけだったから、街って見たことないんだよね。

 

 何があるか楽しみだと思いながら、フランたちと一緒に歩き始めた。

 

 そしてその道中、野営の旅にフランと師匠と協力して魔獣を解体しまくった。

 

 すると、スキル《解体》が獲得できました。やったー!

 

 そうして、師匠と会って奴隷から解放されてから三日目。

 

 ……ついに、街道を発見した。

 

『やった! ついに街道に出たな!』

「長かったねー……いや、マジで。たどり着けないかと……」

「ん、長かった。……ん?」

「……フラン?」

「襲われてる」

 

 フランの指さす方向に目を向けると、確かに馬車がゴブリンどもに襲われていた。

 

『行くぞ!』

「ん、助ける!」

「よし、ちゃっちゃとおわらせよっか!」

 

 フランとぼくが互いに目を合わせると、同時に地面を蹴って馬車に向かって駆け出した。

 

 

◇◆◇

 

 

「くそっ! ゴブリンどもめ! 数が多すぎる……」

 

 そこにフランが跳んできて、《剣技》三連突(トリプル・スラスト)がゴブリンたちに牙をむく。

 

 風のようにくるくると舞い、三匹のゴブリンを一瞬で仕留めたのだ。

 

「ギャワ!?」

「ギィイ!」

「うるさい」

 

 そこから動きをつなげて、二段斬り(ダブル・スラッシュ)で二匹を倒す。

 

「ギャオァ!」

 

 そのフランの後ろから襲い掛かってくるゴブリンが二匹いた、が。

 

「やらせねぇよ」

 

 その二匹のゴブリンを、ぼくは後ろから不意打ちで一気に真っ二つにした。

 

 もちろん魔石は切っていないので、後で師匠が吸収出来る。

 

「……あ、ありがとうお嬢ちゃんたち。若いのに強いね、助かったよ」

 

 

名称:ランデル  年齢:39歳

種族:人間

職業:商人

ステータス レベル:20

生命:62 魔力:85 腕力:30 敏捷:34

スキル:運搬3、御者2、交渉2、算術5、商売6、槍術3、話術2

称号:なし

装備:卑鉄の槍、牛革の胸当て、蜘蛛糸の外套

 

 

 ……ランデルさん、ね。

 

「……ん」

「あはは……どういたしまして、ですかね? ……ま、ぼくなんかよりもフランの方が強いんだけど」

「うん?」

「いや、なんでもないです」

「そうかい? ならいいけど……それより、もしよかったら、馬車に乗っていくかい? アレッサの街へ向かっているんだろう?」

「街!」

 

 ちょうど歩き疲れてたところだし、原作通り乗っていった方がいいな……などと、ぼくは顎に手を当てて考える。

 

「フラン、ぼくはいいと思うんだけどどう思う?」

「師匠と相談したけど、乗っておいた方がいいって」

「ん、オッケー」

 

 よし、乗ること決定!

 

 ……正直に言うと足が本当に痛くなってたところだし、助かった。

 

「街まで護衛してあげてもいいけど?」

「……! いや参ったな、バレてたか」

「その代わり色々教えて!」

「ということで、お願いします」

「はははは、面白いね。気に入った! 乗ってくれよ」

「ん」

「僕はランデル。君たちは?」

「フラン」

「ぼくはルビーだよ」

「じゃあ、道中よろしく頼むよ、フランさん、ルビーさん」

 

 そしてぼくたちは馬車に乗り、様々なことを教えてもらった。

 

 普段はあの数のゴブリンが出ることはないこと。

 

 ここ一か月くらい魔物の動きが活発になっていること。

 

 だから街道まで魔獣が出ることが増えたこと。

 

「魔狼の平原?」

「知らないかい? ここから東に行ったところにある、A級魔境さ。あそこで強い魔獣同士の縄張り争いでもあったんじゃないかな。そのせいで周りに暮らしている魔獣達が怯えているんじゃないかって話さ」

 

 ……あ、少し思い出した。確かこれって、師匠のせいだったな。

 

 そう思い師匠の方を見てみれば、少し顔色が悪かった。

 

 ……いや、正確には色は変わってないんだけどね? 雰囲気的になんか気まずそーな空気が師匠から漂ってくるのだ。

 

「あの平原では大昔、フェンリルっていうS級の魔獣が死んだっていう伝説があってね。今でもその魔力が中心部に残ってるらしくて、中心に行けばいくほど魔獣が弱くなるっていう、不思議なエリアみたいだよ」

 

 フェンリル……原作通りなら、師匠の中にいるはずだよね。

 

「平原の中心に剣? ……う~ん、知らないなぁ。朽ちた遺跡があるらしいけど、いろんな人が調べたみたいだけど、不明なままらしいよ。しかし、フランさんとルビーさん、脅威度Gとはいえあの数のゴブリンを駆逐する手際はすごかったなぁ。僕もゴブリン1、2匹なら、追っ払う自信はあるんだけどね。ランクE相当の冒険者と見たけどどうだい?」

「……えっと、脅威度とランクって何ですか?」

 

 本当は知ってるけど、一応聞いておくことにした。

 

「……え、ええとね」

 

 常識どうなってるんだと言いたげな目線を向けられながら、ランデルさんに、脅威度とランクについて教えてくれた。……目線が痛い。

 

 まとめるとこんな感じだ。

 

 

魔獣の脅威度ランク

 

S:世界の危機、神話級の魔獣。

  フェンリル、神級(ディバイン)ドラゴン。

A:大陸の脅威。

  悪魔王(デモンロード)王級(モナーク)ドラゴン、リッチ。

B:国の危機。

  上位悪魔(グレーターデーモン)上級(アーク)ドラゴン、王級巨人族(テュポンギガス)

C:大都市の危機。

  タイラント・サーベルタイガー、下位悪魔(レッサーデーモン)

D:町の危機。

  レッサーヒュドラ、ブラスト・トータス。

E:村の危機。

  レッサーワイバーン、オーガ。

F:小規模商隊が全滅する。

  ツインヘッド・ベア、ウルフの群れ、ゴブリンの群れ。

G:成人男性なら何とか撃退可能。

  ゴブリン、牙ネズミ。

 

 ぼくたちを襲った魔獣であるツインヘッド・ベアはFランクだった。

 

 

冒険者ランク

 

S:神話級。世界に八人のみ。

A:英雄、国に数人しかいない。

B:冒険者でもトップクラス。

C:そこそこのベテラン。

D:中堅。

E:一応一人前。

F:新人、見習い。

G:駆け出し、仮免扱い。

 

「冒険者のA級とかはもう有名人かな。『百剣の』フォールンド、『鬼子母神』アマンダとかね」

「ほぇー」

 

 『鬼子母神』アマンダは原作通りなら、ちょっと経ったら会えると思うけど。

 

 ……変人だけどいい人だし、会うの楽しみだな。

 

「冒険者ギルドに登録すればランク認定してくれるよ。魔獣の素材もきちんと査定して買い取ってくれるしね」

「冒険者ね……やっぱりそれが安牌か。フランはどう思う?」

「ん、じゃあまずは冒険者になる!」

 

 そういってフランはガッツポーズをしていた。

 

「お、乗り気だねー」

 

 茶々を入れながらも、これからのことを考えながら、ぼくはワクワクしていた。

 

 ……楽しみだ。




リメイク前との変更点
ルビーの村から金品取っているということで、お金の増加
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