転生したら転剣の世界でした 〜Ruby Memoria〜   作:氷月ユキナ

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4 アレッサの街

 ランデルさんの馬車に乗ってから、およそ2時間。

 

「お、見えてきたね。あれがアレッサの街だ」

 

 場所から顔を出して遠くを見ると、とても高い壁に覆われている場所があった。

 

 おそらく、街はその中にあるのだろう。

 

 そう推理していると、フランがランデルさんに質問をした。

 

「町の入場料は?」

「ああ、300ゴルドだね」

 

 ……んー、あれ? 300ゴルド?

 

 えーっと、持ってるのは453ゴルド……足りなくない?

 

 フランはまだしも、ぼく入れなくない……?

 

「宿屋は1泊いくら? 一番安くていい」

「宿ね。最低ランクの宿で、200ゴルドくらいかな。勿論素泊まりで」

「ゴブリンの角をギルドに持っていくといくら?」

「2本一組で、20ゴルドだね。商人に売ったら、一組5ゴルドくらいだと思うよ」

 

 ゴブリン安くね……? ど、どうしよう!?

 

 原作だとどうしてたっけ……? いや、こんな細かいところまで覚えてねぇよっ!

 

「ルビー、ゴブリン見つけた」

「……え、本当?」

 

 少しはお金の足しになる……か?

 

「行ってくる」

「いや、でも5ゴルド……って、あれ? ぼくは……」

 

 お、置いて行かれた……。

 

 ゴブリンとフランの勝負は、師匠の魔術で、一瞬でけりがついた。

 

 すると、フランがゴブリンが持っていた剣を持ってきてくれた。

 

 それをランデルさんに買い取ってもらうと、200ゴルドを獲得。

 

 合計、653ゴルドとなったのだ。

 

「そんなに?」

「青銅製だけど、状態が良いからね。きっと、冒険者などから奪ったばかりだったんだろう」

「そうですか……言い方はアレですが、その冒険者に感謝ですね」

『……あ、そうか。このままじゃルビーが入れなかったもんな』

「え……もしかして、気づいてなかった? ししょーさん……?」

『ハハッ、ソンナワケナイダロウガ』

「カタコトじゃねぇか」

 

 ランデルさんに聞こえないように師匠に文句を言いながら、ぼくは内心ホッとしていた。

 

 ぼくだけ外で野宿、なんてことにならなくてよかった……。

 

 

◇◆◇

 

 

「よう。ランデルじゃないか。無事戻ってこれたのか?」

「ああ、道中何度か危なかったけどな」

「そのお嬢ちゃん達は?」

「道中で拾ってね。彼女達の入場手続きも頼むよ」

「了解だ。ランデルの馬車が通りかかるなんて、運が良かったなぁ。ランデルは結構強いし、心強かっただろう?」

「そうですねー」

 

 ま、ぼくはともかくフランの方が強いけどね!

 

 ……なんで自分のことじゃないのに誇ってるんだぼくは。

 

 それはともかく、師匠があまり目立ちたくないと言ったので、ランデルさんには道中で拾った旅の少女達という事にしてもらった。

 

「じゃあ、300ゴルドな。これが仮入場証。3日間有効だ。それを過ぎると、再入場にまた金がかかるから、気を付けてくれ。アレッサの街にようこそ」

 

 最後のセリフ、何かのゲームとかに出てきそうだ。

 

 そんなくだらないことを考えながら、仮入場証を無くさないようにポケットに突っ込む。

 

「じゃあ、僕は店へ戻るよ。フランさん達は早速冒険者ギルドかい?」

「ん」

「はい、その予定ですね」

「僕の店は、西の大通り沿いにある。暇ができたら、ぜひ訪ねてくれよ」

 

 それだけ言うと、ランデルさんは去って行った。

 

 ……フツーに良い人だったな。裏とか一切なく。

 

『じゃあ、行くか』

「ん」

「そうだね、行こう!」

 

 ここからは、冒険者ギルドでの冒険者登録だ。

 

 怖さもあるが、ぼくの中には楽しみだという感情もあった。

 

 そして、ランデルさんと別れたぼくたちは、街へと足を踏み入れた。

 

「おー、人がたくさんいるなぁ」

『そうだな、街に来たって感じだぜ』

 

 こんなに人がいるのを見るのは、生まれ変わってから初めて見る気がする。

 

「ハ、一丁前に剣なんて持ってるぜ?」

「おいおい、マジかよ。黒猫族なのにか?」

「ちょっと待て、隣に居るのは白神子じゃねぇか?」

「うっわ、化け物かよ。怖ー」

 

 ……うぜぇ声が聞こえてきたなー。

 

 あーいう連中は魔獣に背中刺されて死んだらええねん。

 

『よっしゃ! とりあえずは奴の教えてくれた冒険者ギルドを探そう』

「ん! 『冒険者』になる」

「……そうだね、周りとか気にしないで行こう!」

 

 そうして歩いていると。

 

『うわあぁあんっ!』

「えっ何いきなり。どしたの?」

「う? どうしたの師匠」

『フラン……俺はもう、駄目だ……そこらの剣にも劣る駄剣だったようだ……きっと俺なんて気まぐれに作られた、見てくれだけのへっぽこ成金ソードなんだ……』

「いやへっぽこ成金ソードってなんだよ」

『俺なんて捨ててもっといい剣ゲットしてくれ…』

 

 うわ、面倒くさいスイッチ入った。

 

 師匠レベルの剣がそこら辺にいたら地獄なんだけど……そこらの剣? はい鑑定。

 

名称:上質の鋼のロングソード

攻撃力:398 保有魔力:5 耐久値:600

魔力伝導率・F

スキル:なし

 

 う〜ん、普通。

 

名称:魔銀(ミスリル)合金のダガー

攻撃力:423 保有魔力:20 耐久値:700

魔力伝導率・D+

スキル:なし

 

 さっきのよりは強いけど、それ止まりだね。

 

 確か師匠の攻撃力は392だっけ?

 

 いや、攻撃力では負けてるけど魔力伝導率とか成長性とか含めたら師匠が圧倒的なんだけど……。

 

名称:鉄の剣

攻撃力:92 保有魔力:0 耐久値:400

魔力伝導率・F-

スキル:なし

 

 ついでに、これがぼくが使っている剣だ。粗悪品だが使えなくはない。

 

「師匠は駄剣じゃない。師匠は師匠……私を助けてくれた綺麗ですごい剣。それにスキルを使いこなす剣なんてほかにない」

『ふ、フラン……!』

「そーだね、周りの剣にスキルあるのとか無いし」

『ルビーぃ……!』

 

 ……魔力伝導率は後でガルスさんから教えてもらえることだけど、自信持ってほしいし今言っても別にいいか。

 

 バタフライエフェクトもあんまし起きないでしょ。

 

「そもそもさ、師匠」

『ん? どうした?』

「魔力伝導率がAの剣のどこが駄剣なの?」

『え? 魔力伝導率? なんだそれ』

「魔力伝導率っていうのは魔法の武器特有の性質で、魔力を刃に纏わせて攻撃力を上げるんだよ。魔銀(ミスリル)での魔力伝導率・C-が伝導効率が70%位。師匠は魔力伝導率がAだから伝導効率が200%位なんだよ? つまり魔力を100纏わせたら攻撃力+200。そんな剣が駄剣なわけないよ」

『えっマジで』

「マジだよ」

『ひゃっはーっ! お、俺つええええ! フラン、安心してくれ! 俺強いらしいぞ!』

「だから最初から言ってる。師匠はすごい剣」

『フラン……!』

「師匠……!」

「ラブラブだねー」

 

 二人、いや一人と一剣が抱きしめあう。

 

「感動してるところ悪いけど、冒険者ギルドまで来たしさっさと入るよ。それと周りの目を気にして?」

 

 剣を抱きしめるフランに、奇異の目が集まり始めているのに気づいたぼくは、フランを連れてせかせかと冒険者ギルドに入るのだった。

 

 

◇◆◇

 

 

「おお、冒険者の人たちがいる!」

 

 さて、受付は……あっ、笑顔なのに心の中で死ねばいいのにとか思ってる受付嬢さんだ。

 

 ……僕もさっき心の中で死んだらええねんって思っちゃってたし、人のこと言えないな。

 

『たのもう!』

「たのもー」

「いや、道場破りじゃないんだからさ」

「あら? どうしたのお嬢さん達。道にでも迷った? ここは冒険者ギルドよ」

「知ってる。冒険者になりたい」

「えーっと、そゆことです。お願いできますか?」

「あ……はい、分かりました。でも登録は誰でも出来るわけではなく、実戦形式の試験を受けさせていただきます」

「ん」

「はい」

 

 ついに試験か。……師匠みたいな膨大なスキルとか持ってないし、気合い入れないとね。

 

「本気か……?」

「マジかよ……」

「あんなガキどもが?」

 

 おい周り。聞こえてるよ。

 

『大丈夫か? フラン、ルビー』

「あんなの気にしてないし大丈夫だよ」

「?」

「……大怪我をなさっても、何があっても当ギルドは責任を負いませんが」

 

 受付嬢さんめっちゃ念を押してくるじゃん。

 

 ま、それでも答えは一つだけどね。

 

「ん、大丈夫」

「僕も大丈夫です。……さ、案内してくれません?」

「……ではこちらへ」

 

 ここまで持ってきた鉄の剣の絵を握りしめて、ぼくは覚悟を決める。

 

 さて……戦おうか。

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