転生したら転剣の世界でした 〜Ruby Memoria〜   作:氷月ユキナ

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7 鍛治師

「アニキィィィ! こいつら殺して! 殺してくれェェ!」

「ヒャハッ! こいつゥ!」

「やっちまったなァ、てめェら! 黒猫共が……!」

 

 今フランが足を斬ったダムンの仲間が、フランに向かって襲いかかる。

 

 ……が。

 

 ものの数分で、フランがチンピラ全員を《振動衝》で倒した。

 

『上手いぞ、フラン。《振動衝》は内部から破壊するスキルだ。当分は起きれんだろ』

「ん、勝てた!」

「やるなぁ、嬢ちゃんたち」

「いいもの見れたぜ」

 

 いやー、スッキリしたー!

 

 ……僕は何もできてないけどね。いや、これから強くなればいいんだ。

 

『不可抗力とはいえ結構派手にやっちまった…。ネルさんに注意されるかな~……』

「ん……」

「いや、大丈夫っぽいよ」

 

 ネルは、メッチャいい笑顔でグッドマークをしていた。

 

 ぼくと同じくボコボコにされたチンピラ達を見てスッキリしたようだ。

 

「フランちゃん、グッジョブ!」

「グッジョブじゃねェ! あの餓鬼共を衛兵に突き出してくれェェ!」

 

 うわダムンとかいう男がまだ叫んでる。

 

 ナチュラルにうざい。

 

「もう呼びにやりました♡ 今のはあの子たちの正当防衛。私の目にはそう見えましたよ? なので、傭兵崩れのチンピラ共が雑なクマの毛皮を売ってできたしょぼい金を山分けするのに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と通報しました」

「て、てめえ何でたらめを……」

「犯しただの殺しただの言ってる犯罪者と、アレッサ冒険者ギルドの受付嬢の私……衛兵さんはどっちの言葉を信じるかしらね~?」

「ひ、ぐ……」

「ていうか、ここ汚した修繕費を請求しますね? 100000ゴルド位。払うまで回復はさせないから、いいわね?」

 

 助けてもらってるのにあれだけど、怖っ。

 

 100000ゴルド位って……エグッ。味方で良かった。

 

『く、黒い……! けどナイスだネルさん! だが二人とも、ネルさんを怒らせるのはよそうな』

「ん!」

「もちろん」

 

 絶対にネルは敵に回さないようにしよう。うん。

 

「あとは任せておいてね?」

「うん。ありがとう、ネル」

「ネル、ありがとうございます!」

『よし! 早速宿をとって、入った金で二人の防具でも探すか』

「防具、欲しい!」

「防具か、夢が広がるね~」

 

 防具……そろそろ、ガルスさんに会えるかな。

 

 こうして僕たちは、冒険者ギルドを去ったのだった。

 

 ……そう、去ったのだ。ガルスさんが話しかけてくると思ったのに、何故か何も起こらず去ってしまった。

 

 あれ? これ早速原作崩壊?

 

 ……いーや、大丈夫のはずだ。気にしない方向で行こう。

 

 なので、まずは防具の前に宿をとっておこうと思ったんだけど……。

 

『まさか、断られるとは思わなかったな』

「うん」

「ん」

『ギルドカード持ってても、子供だけじゃ泊められない、か』

「断られた原因さ、絶対にこの服装だろうね。ボロボロの布服とサンダルしかはいていないし、いかにも貧民か、逃亡奴隷の少女達って感じだよ」

『やっぱりそうだよな』

「浄化の魔術掛けて貰ってるから見た目のわりに綺麗だけど、まぁ勘違いもされるよね。とりあえず、今日も野宿はしたくないなぁ」

 

 この街に来るまで野宿だったし、いい加減ベットか布団で寝たいという欲求があるのだ。

 

 最低限度でいいから文化的な生活がしたいです。

 

『先に装備を買って、身なりを整えよう』

「その方がよさそうだね」

「?」

 

 あれ? フラン、もしかして断られた理由が分かってなかったり……?

 

 ……まあ、フランらしいし良いか。

 

『まあ、俺が選んでやるから、大船に乗った気持ちでドーンと任せとけ』

「ごめん、全然安心できない」

『ひどいっ!』

 

 そんな雑談をしながら、冒険者用の店が沢山あると聞いた冒険者ギルドのすぐそばにある広場へ向かった。

 

 その広場には、多くの冒険者がいて賑わっていた。武器鍛冶、防具鍛冶、裁縫屋、薬屋、錬金屋、酒場、料理屋、等々、様々な店がある。

 

『物価の勉強にもなるなぁ』

「うん、どのくらいの価値かわかるね」

 

 鉄製のナイフが2000ゴルド、5級ライフポーションが10000ゴルド、4級毒消しポーションが20000ゴルド。

 

 5級は最低ランクのポーションらしいけど、10000ゴルドは高いと思う。もっと手軽で良心的な価格にならないかな。

 

 命がかかってるから買うしかないけどね。命あってのお金である。

 

「防具、防具……」

「師匠。防具が売ってる店って武器屋だよね?」

『ああ、そうだと思うぞ。二人ともついに冒険者だ。防具はある程度立派なものにしないとな』

「ん」

「そうだね……どんなものにしようかな」

 

 どんな防具がいいかな。

 

 こういうのって、男心が刺激されてテンション上がるんだよね。

 

「……あれ? フラン?」

 

 フランが気付いたら何かの店の前にいた。

 

「んー……? ……なに、これ」

 

 なんかよくわからない白い芋虫みたいな生き物が店頭につるされている。

 

「ギュアー! ギュアー!」

 

 フランが触ったら、なんか鳴き始めた。

 

「いや、本当になにこれ」

『おもしれー』

「うん」

『お! フランもそう思うか?』

「珍しい物たくさん。凄い」

『そうかそうか』

「珍しい……いや、確かに珍しいけどさ。結局これ何?」

 

 フランも楽しんでるようだし、良かった良かった。

 

 けど、この白い芋虫みたいな生き物なんなんだろう……。

 

 もしかして、冬虫夏草みたいな感じで、漢方系統の薬やポーションの素材だったり? これがポーションになるのなら、なんか飲みたくなくなるな……。

 

 ぼく、昔から虫だけはダメなんだよね。虫を触れる人を尊敬するよ。

 

 そんな風にぼくたちは、色んなものを眺めていた。

 

 そこで道を尋ねた時、このアレッサには今凄腕の鍛冶師が滞在しているという情報を聞いたので、その人の店を探すことになった。

 

 ……おそらくこれはガルスさんなので、このままいい感じにお店が簡単に見つけられて、武器を売ってくれると言う展開が最適な流れだ。

 

 だけど、あの人の店ってどこだろう?

 

「はぁ……前途多難だな。防具を買いたいだけなのに」

「防具が欲しいなら、わしの店がいいぞお嬢ちゃんたち」

「う?」

「うん? 今考え事してるから、客引きなら後で──」

 

 そして隣を見れば、そこには噂にまでなっていた凄腕の鍛冶師、ガルスさんがいた。

 

 

名称:ガルス  年齢:82歳

種族:ドワーフ

職業:魔法鍛冶師

ステータス レベル:33

生命:160 魔力:173 腕力:122 敏捷:46

スキル

解体2、火炎耐性7、鍛冶10、鍛冶魔術9、鑑定7、採掘3、裁縫5、槌技2、槌術7、毒耐性2、皮革6、火魔術6、不眠不休6、魔法鍛冶7、目利き8、火神の加護、気力操作

エクストラスキル

神眼

称号

放浪の鍛冶師、クランゼル王国名誉鍛冶師、鍛冶王

装備

魔鋼の鍛冶槌、火蜥蜴の革服、鳳凰樹のサンダル、体力回復の腕輪

 

 

「だれ?」

「わしの名はガルス。しがない腕利きの魔法鍛冶師じゃよ」

 

 クランゼル王国名誉鍛冶師がしがないって……まあ、それはいいか。

 

 本当に会えて良かった。

 

「クランゼル王国名誉鍛冶師……」

「おぉ、嬢ちゃん。《鑑定》持ちか」

 

 あ、フランも気になったのか。

 

「防具を探しておると見受けるが、どうだ? わしの店を見ていかんか?」

「なんで分かる?」

「わしぐらいになりゃ、見れば分かるのさ」

「……」

「そう警戒しなさんな。なーに、簡単なことだ。お前さんの足さばきを見るに、かなりの凄腕だと分かる。なのに、防具はお粗末だ。そして、視線はいくつかある鍛冶屋や防具屋に向いていた。つまり、防具を探しに来たんじゃないのかね?」

「すごい」

「わはははは。これでも長生きしとるんでな」

 

 おお、只者じゃない雰囲気があふれてる!

 

「ちょうどいい品があるんじゃ。さっきギルドに武具納品した帰りに、お嬢ちゃんの立ち回りを見てな。あんたらみたいな実力者なら安く譲ってもいいと思ったんじゃ。いつまでもその()()じゃつらかろう」

「ん、わかった。行く」

「……あの」

「む?」

 

 そこでぼくは、唯一の心配点を尋ねた。

 

「ぼくはフランと違って強かったりはしないんですが、大丈夫なんですか?」

「ふむ……」

 

 するとガルスさんはぼくの言葉に対して深く考えるように唸る。

 

「確かに白髪のお嬢ちゃんには、強さはない。だが──お嬢ちゃんの目には、仄暗い闇が巣食っておる」

「あはは、闇って? 何のことだか」

「あの傭兵崩れ共など比でないほどの。この世界さえも包み込むような、何かへ向けられた深い闇じゃ。それが、お嬢ちゃんの目にはある」

「………………へぇ」

 

 今までに無いほどの、低い声が出た気がした。

 

「ルビー…………?」

「……それで、ぼくはガルスさんの目に適ったってことでいいのかな?」

「ああ、そうだ。……こっちだ」

 

 ぼくに何かを尋ねることもなく、ガルスさんは歩き出す。

 

 ぼくも何も言わずに、ガルスさんの後を着いていく。

 

 フランと師匠は何かを言いたそうだったが、結局何も言わずに歩いていた。




リメイク前との変更点
ルビーの心境の変化
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