転生したら転剣の世界でした 〜Ruby Memoria〜   作:氷月ユキナ

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8 防具試着

 あの後、ガルスさんにお店に案内されたぼくたちは、まずはフランから店の防具を試着させてもらっている。

 

 それはガルスさんが、倉庫から色々と持ち出してきたものだ。

 

「おぉ、ぴったし」

「どうフラン? ちゃんと動きやすい?」

「ん」

『かわいいじゃんか。フラン、似合ってるぞ』

「うん、いいと思うよ」

「ありがとう」

 

 ……いや、ぴったりすぎない?

 

 サイズとか計るスキルとか持ってるの? ……いや、これ作ったのフランが来る前だろうし……え、怖。

 

「……あのー、サイズぴったりすぎません? なんか怖いんですけど」

「多少のサイズは自動調整する魔法が付与してあるからじゃな」

「ははー、なるほど。そんな魔法があるんですね」

「どうじゃ? いい品じゃろ」

「はい……他の防具と比べて、高性能ですね」

「そうじゃろう?」

 

 《鑑定》してみた防具のステータスはこんな感じだ。

 

名称:炎角牛の改造胸当て

防御力:88 耐久値:330/330

効果:火炎耐性付与[小]

 

名称:麻痺爪猫の改造篭手

防御力:39 耐久値:160/160

効果:衝撃耐性付与[小]、麻痺耐性付与[小]

 

名称:毒劣飛竜のブーツ

防御力:52 耐久値:200/200

効果:毒耐性付与[小]

 

名称:ミスリルの耳輪・猫族用

防御力:10 耐久値:100/100

効果:魔術耐性付与[小]

 

「次は、ルビーお嬢ちゃんの防具じゃな」

「……え、ぼくの分もですか?」

「当たり前じゃろ」

 

 そうしてガルスさんは、ぼくの為に防具を奥から引っ張り出してきてくれた。

 

「おお……! どうかな、フラン!」

「ん、至高。ルビーは可愛い」

「えへへ、そうかなぁ?」

 

 自分の防具を手に入れられそうというシチュエーションで、ぼくのテンションはマックスになりそうだ。

 

名称:鋼鉄巨人の改造胸当て

防御力:75 耐久値:250/250

効果:物理耐性付与[小]、気絶耐性付与[小]

 

名称:黒闇鳥の改造マント

防御力:45 耐久値:180/180

効果:闇耐性付与[小]、敏捷上昇[小]

 

名称:深淵魚のブーツ

防御力:60 耐久値:220/220

効果:水耐性付与[小]、毒耐性付与[小]

 

「全部で、150000ゴルドでどうだ?」

「いいの? こんなにすごい防具」

「それに、ぼくたち二人分なのに……?」

「ああ。フランお嬢ちゃんの防具は客に頼まれて小柄な種族用に作ったんだが、受け取る前に本人が迷宮(ダンジョン)でおっ死んじまった……ルビーお嬢ちゃんの防具も、昔同じような事があった時に作ったもので、そろそろ処分しようかと思っていたくらいじゃ。……宙に浮いてた品だ、使ってやってくれ」

迷宮(ダンジョン)、ですか……」

 

 ……当たり前だけど、迷宮(ダンジョン)のせいで死んでしまう人が居るんだな。

 

 魔獣のせいで、命を失ってしまった人が。

 

 ……ぼくたちが迷宮(ダンジョン)に行く時は、絶対に油断はしないようにしないと。

 

 この防具を使うはずだった人に、自分のようにはなるなと、そう言われているような気がするから。

 

 なんて悲壮(?)な覚悟を決めているぼくの隣で、フランは目をキラキラと輝かせていた。

 

「おおお……フランは、初めての防具を手に入れた!」

 

 ……それにしても、この装備がフランのと合わせても150000ゴルドか。破格すぎない?

 

 今のお金は169053ゴルドだし、購入可能。

 

 それに、この防具があれば上位悪魔(グレーターデーモン)と戦う時にも安心だ。

 

 剣は……奴隷商の奴らから奪ってきたやつでいいか。これ以上のお金は使いたくないし……。

 

「剣も見たい」

「……え?」

 

 ……あのフランが、師匠以外の剣を使うとか考えられないんだが?

 

「はあ? お前さん、立派な剣を背負ってるじゃねーか。初めて見たぜ? 『知性持つ剣(インテリジェンス ウェポン)』なんてな。……フランお嬢ちゃん、その知性ある武器(インテリジェンス・ウェポン)と話をさせてくれんか?」

「……!」

 

 さて……ぼくは、どうしようかな。

 

 話に割り込んでもいいけど……ここは介入しなくていいな。損になる事とかないし。

 

「……なんでそれを知ってる?」

「ああ、いや。別にどーこーしようって訳じゃない。確認しただけだ。わしの目は特別性でな。スキル《神眼》というスキルが宿っておるのだ。スキル《鑑定遮断》を持っとるようだが、わしの《神眼》は誤魔化せねぇ……特に武器に関しちゃぁな。ふむ……『神剣』とまではいかないが、これはそこらの剣じゃ敵わねぇ。かなり強え剣だな。どうだい、剣さんよ?」

『だろ!? 攻撃力は低いが、魔力伝導率がAの剣なんてそんなねぇからな!』

「師匠!」

「お、喋ってくれたな。そりゃ《念話》ってやつか」

『あ、ヤベッ……』

「本当に知性があるとはな! すげーすげー!」

『ガキみたいだな』

「時おり師匠もあーなる」

『え、うそ?』

「本当」

『あー、まあ。誰だって興味あることを前にしたら、童心に戻るものなんだよ』

「ん」

 

 ……なんだろう。

 

 わざわざ魔力伝導率のこと前もって教えてあげたのに結局原作通りうっかり喋っちゃってるじゃねぇかって怒る気持ちと、それでも師匠っぽくていいなって思ってうれしい気持ちがある。

 

 ま、師匠はあんな感じの師匠のままでいいか。

 

『……あれと同じか』

「いやー……時おりあんな感じになってるけど、あそこまでじゃないと思うよ」

『そ、そうだよな!?』

「うんうん、あそこまでじゃない……と、思うよ?」

『最後の間はなんだ!?』

「う〜ん……大丈夫だよ、きっと」

『ルビー? なぁ、ルビー!?』

「ほら、アレだよ、アレ。……えーっと」

『言い訳すら思いつけてねぇじゃねぇかッ!』

「……師匠。この世界はね、88柱の神が作ったんだ。その中に、特に力の強い10柱の神がいる。まず最初に、太陽の神、銀月の神、大海の神、大地の神、火焔の神、風雨の神、森樹の神、獣蟲の神が、世界を作り、生命を作って──」

『いきなり何の話だぁッ!? 全く関係ねぇぞッ!』

 

 ここにいるのは暇だし、展示されてる装備とかを見て回ろう。

 

 師匠の叫び声? ……ただの幻聴だと思うよー。

 

「おっと、すまねーな。ちっとばかし興奮しちまった。まあ安心しろ。何かしようってんじゃないんだ。鍛冶師の興味として、話してみたいってだけじゃよ」

「ガルス、きっと悪い人じゃない」

『……ルビーは?』

「ぼくの意見要る? ……ひたすら自分の興味に対して、純粋なだけだと思うよ」

 

 フランだけで十分だろうけど、意見を求められたので自分の感じたことを言ってみた。

 

 咄嗟に言った言葉だが、案外的を射ているように思える。

 

『……だな、まあいいか!』

「ありがとよ。……《鑑定遮断》が邪魔して何から何までわかるわけじゃないが……『知性ある武器(インテリジェンスウェポン)』つう種別と大まかな性能……後は知識と経験からの目利きだ。見たとこ攻撃力:392……」

『……攻撃力のことは言わないでくれ』

「おいおい、間違いなくお前さんは魔剣の域にある。それも、魔剣としても最高峰だ。自信持て!」

『……爺さん、あんた良い奴だな!』

「チョロいね師匠」

 

 さっきまであんなに疑ってたのに、褒められただけで好感度maxとか……詐欺とかに引っかからないか不安になるな。

 

「ふむ、これ以上はわからんな。ところでお前さん、誰に作られたなんて剣なんだ?」

『んー……』

 

 あ……確か、師匠を作ったのって神だったよな。

 

 冥界の神、銀月の神、混沌の神の3柱……だったっけ?

 

「名前は『師匠』! すーぱーすごい剣!」

「ぶふッ!?」

『オレは……ってオイ』

 

 ……いやいや、いきなりドヤ顔で行ったから吹いちゃったよ。

 

 大丈夫だよね? 吹いたとこ見られてないよね?

 

「し……『師匠』? それ名前じゃったのか……残念な……

 

 ……ぼくの名前、ルビーで良かった。いや本当に。

 

 師匠に感謝だな。

 

『それはおいといて、爺さん。俺は誰に何のために作られたのか全く記憶にないんだ。逆に聞くが、俺を爺さんの《神眼》で見て何かわかることがあれば教えてほしい……』

「そうなのか……」

『何か知ってるのか? 知ってたら教えてほしいんだが』

「ふうむ……ちょっと判断つかんな。意思を持つ剣などわし位の『魔法鍛冶師』が作れる魔剣のレベルを超えとるからの。おそらく、鍛冶師の最高位『神級鍛冶師』……が作ったとふんどるが……」

 

 う〜ん、惜しいけど不正解っ!

 

『神級鍛冶師?』

「ああ……鍛冶師には、ランクがある。鍛冶師、上級鍛冶師、魔法鍛冶師、神級鍛冶師ってな具合だ。他にも派生する職業もあるから、全部じゃねーがな。そんな中で、間違いなく頂点に君臨するのが、天を裂き、地を割るともいわれる超絶兵器『神剣』を生み出すという伝説級の鍛冶師じゃ。過去に5人しか確認されておらん」

「伝説の5人。かっこいい」

『え……じゃあまさか、俺その『神剣』の可能性もあるのか? 俺でんせつのつるぎ級?

 

 いやいや、『神剣』はそんなんじゃないから。

 

 ……もっと性能ヤベーからな、アレ。

 

 

名称:炎剣・イグニス

攻撃力:1800 保有魔力:6200 耐久値:10000

魔力伝導率・SS

スキル

火炎魔術付与、神炎付与、火炎魔術強化、火炎無効、魔力極大回復、魔力統制

 

 

 確か、こんな感じだったよーな。

 

 ……現時点では、性能面も合わせて師匠は負けてる。

 

「うぅむ……じゃが『神剣』と呼ぶにはちと性能不足じゃな……お前さん、神剣というには、弱いんだよな。でも、魔剣にしちゃ強すぎる。ちょうど中間くらいなんだよな」

 

 ですよね。

 

『なんだそれ。じゃあ、凄腕の魔法鍛冶師が作ったかもしれないんだな?』

「ま、その可能性もあるな。わしに分かるのはその位じゃ……すまんな……ふぅむ……

『いや……かなり助かったよ。ありがとな』

「まあ何かの縁じゃ。ちょくちょく顔を出してお前さんを鑑定や目利きさせてくれ。何か分かったときは教えてやるからよ」

『ああ、分かったよ』

「で、剣はどうする?」

『フランの剣は俺でいいや。だが、俺の鞘だけ作ってもらいたいんだが、いいか?』

「おう、最高の鞘を作らせてもらうぜ」

 

 よし、原作通りだ。

 

 ここまで来たのなら、もう安心かな。

 

「ルビー」

 

 ふと横を見れば、何故か金槌を右手に持っているフランがチラチラとこちらを見ていた。

 

「フラン? どうしたの?」

「このかなづち……重い……」

「……? ……そっか」

 

 ……………………?

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