黒崎コユキ 個性【暗号解読】   作:有馬Hidden

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※何も見なかった、いいね?(2024/06/04 10:10)


USJ襲撃、そして

 

 コユキは自身の髪の毛と同じ色をしたマシンガンを抱えての先日抜き取ったデータの中にあった雄英の救助訓練施設『嘘の災害や事故ルーム』、略してUSJの地図を見ながら管理室を目指して走っていた。

 USJのシステムに細工し、()()が入ってきても警報が鳴らないようにして中でこれから起こることが外にバレないようにすることがコユキに与えられた役目だった。

 

「にはは!ここですね!全部丸裸にしちゃいますよー‼︎」

 

 こういう時でも笑顔は忘れない。

 『コユキの笑顔が好き』とだんだん薄れつつある思い出の中で両親が言っていた。それに『辛い時ほど笑え』とはどこのヒーローのモットーだったか。

 だからなのか、いつの間にかコユキはこの状況を楽しむようになっていた。そうでもしなければ辛くて耐えられないし、()()に失望されてしまうことが嫌だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ作戦が始まる時刻ですねぇ……おっ、来ました!」

 

 コユキは監視カメラで死柄木たちが黒霧のワープゲートで入ってくるのを確認した。もちろん、この映像は外部に送られてはいないし、警報も鳴らない。

 

 しかし、何故か目的であるオールマイトが居ない。そのことにコユキは少しだけ困惑していた。ただ、居ないなら居ないで死柄木たちがやりやすくなるので何も問題はなく、むしろありがたい。

 ここに居るのはプロヒーローがたったの2人、それに片方は戦闘主体のヒーローではない。それならばこれから始まるのは一方的な蹂躙、まだ高校一年生の1-Aは本物の(ヴィラン)相手になす術もなく……

 

 ふと、コユキはあの生徒たちは自分と同じくらいの歳なのではないかと考えてしまった。自分があそこに居る世界線もあったのかもしれない。

 

 

 

 

 

「まぁ……私が気にすることじゃないですねー‼︎」

 

 コユキは細かいことを気にしない。気にしている余裕はないのだから。

 

『仕事が終わったら好きなように暴れとけ、ガキの1人でも殺せれば御の字だ』

「分かってますよーっと」

 

 作戦開始前に死柄木が言っていたことを思い出し、コユキはマシンガンを握りしめて騒ぎの中心へと駆けて行った。

 

――

 

「走れ飯田ァ‼︎」

 

 黒霧に運良く飛ばされなかった生徒の1人である学級委員長の飯田は素早く走れる個性『エンジン』を活かして学校へ起こっている異常事態を伝えるために走り出していた。

 

「ちょこざいな……!外には出させない‼︎」

 

 狙いはオールマイトのみ。教師陣のプロヒーローに駆けつけられては面倒なことになるため黒霧は何としてでも阻止しようとしていた。

 

「行けええ‼︎飯田くーん!‼︎」

 

 しかし、他の生徒の妨害により個性で飛ばすことができず逆に黒霧自身が飛ばされてしまう。

 

「応援を呼ばれる……ゲームオーバーだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「にはは……あ、どうも……」

 

 黒霧を振り切り、自動ドアをこじ開けた飯田の目の前に現れたのはマシンガンを携えた少女だった。年齢は同じぐらいに見える。何より特徴的なのはピンク髪と頭上に浮かぶ光輪……

 

(いや、何を冷静に分析しているんだ……‼︎そんな場合じゃないだろう……‼︎)

「ぎゃーっ‼︎」

 

 銃を持っているということは攻撃手段がソレであると自己紹介しているようなもの、暴れられる前にエンジンの勢いを活用して蹴飛ばして無力化する。蹴飛ばされた少女はそのまま吹き飛ばされて意識を失った。

 

 同年代の女子を蹴り飛ばすことに飯田は若干の罪悪感を覚えてしまったが、こんなところで見慣れない人物が銃をこちらに向けていたのだ。襲撃犯の仲間の(ヴィラン)以外ありえない。

 

 

 

「行ってしまいましたか」

 

 黒霧はチラリと気絶しているコユキの方を見る。

 あわよくば止めてくれないかと期待していたが流石に無理だった。その辺のチンピラに止められない生徒たちがろくな戦闘訓練をしていない彼女に止められる訳がなかった。

 

「戦闘ではその辺のチンピラ以下かもしれませんがそれ以外の戦いでは重要な戦力です」

 

 既にコユキの仕事は終わっている。

 結果としては逃げられてしまったがここまで教師陣に気づかせなかったのは彼女の活躍あってのことだ。その成果を労うため、黒霧は大切な仲間であるコユキをひと足先に個性で帰宅させた。

 

――

 

「にはっ‼︎」

 

 襲撃から数時間後、コユキは鈍い腹部の痛みで飛び起きた。

 

「ここは……」

『目が覚めたかい?』

 

 先生の声で気がついた。ここは死柄木のアジト、ということは

 

『残念なことに、脳無でもオールマイトは殺せなかったようだ。流石だね』

「こっちは散々痛めつけられたってのにお前は間抜けヅラ晒して呑気に寝やがって……‼︎」

 

 敵連合は負けたのだろう。死柄木にも治療の跡が見える。

 

『コユキは戦闘要員じゃないんだ、許してやってくれ。でも活躍はしてくれただろう?』

「…………」

 

 元々、死柄木もコユキに戦闘面では期待していなかった。教師陣が駆けつけるのを数秒遅らせただけでも十分な成果なのかもしれない。

 

『適材適所、使えるコマは最大限活用できるように配置するべきなのさ』

『その点では今回のコユキの使い方は良かったと褒めてあげるよ。もちろん、コユキも頑張ってくれたね』

「にはは!先生、ありがとうございます‼︎……痛っ」

 

 脇腹を抑えてうずくまるコユキ。

 死柄木はそんないつもニヘニヘしているコユキのことを鬱陶しく感じていたが、どうやら先生のお気に入りらしく八つ当たりなんてことはできない。

 それにコユキが見えないところで活躍していたのは死柄木自身もよく分かっていた。

 

「それはそれとして、今回みたいに一回蹴られて終わりじゃあ扱いにくすぎる。もう少し鍛えろ」

「にはは……厳しいですね……」

『ふむ、弔の言う通りだ。一応その光輪は増強系の個性だから身体能力は強化されているはずだけど、コユキには戦闘経験が不足していたね』

 

『弔もコユキもしばらくはレベル上げかな』

 

――

 

 臨時休校が明け、下校時間

 緑谷、飯田、麗日は3人で駅へ向かっていた。

 

「体育祭かぁ……」

「まさか宣戦布告されるとは思わなかったね」

「しかし流石は雄英、向上心に溢れているようだな」

 

 敵の襲撃を受けて中止されるかもしれないと危惧していた雄英体育祭が無事に開催されることになり、その話題で校内は持ちきり。敵の襲撃を乗り切ったクラスということで外部からの注目も高く、早速他クラスが敵情視察と宣戦布告にやってくるなど波乱の幕開けだった。

 

「うーんでも……」

「すいません!」

「……はい、なんでしょう」

 

 そんな他愛もない雑談を交わしながら駅前へとやってくると、緑谷たちはそこでビラ配りをしている女性に話しかけられた。その顔はどこか疲れているようで十分な睡眠時間が確保できていなさそうだった。

 

「この子に見覚えはありませんか!多分あなたたちと同じぐらいのはずです!」

 

 渡されたのは迷子の捜索のチラシだった。

 どうやら8年前に居なくなってしまった子供らしい。生きているならちょうど緑谷たちと同い年だ。

 

「すみませんが……」

「そうですか……分かりました。でも、何か、どんな小さなことでも分かったら……」

 

 頭を下げて女性は緑谷たちの元から離れ、別の人へ話しかけに行っていた。なかなかビラを受け取ってくれる人は少ない。

 

「あの人、最近ずっとここで配ってるよね……」

「そうなんだ……飯田くん?」

 

 ふと、緑谷は飯田が渡されたチラシを見つめて考えこんでいることに気がついた。真剣な顔でジッと見つめている。

 

「もしかして…………!すみません!」

「はい、何でしょうか」

 

 何かに気がついたのか、飯田は先ほどの女性の元へと駆け寄る。

 

「このお子さんの個性は『暗号解読』で間違ってないんですね?」

「そうですが……」

「この個性は見た目に何か特徴が現れるものではありませんか?」

「いえ、見ただけでパソコンのパスワードを開いたり金庫をあっという間に開けてしまったりするだけの個性で……私たちが最後に見た時は特に何も……」

「分かりました。……人違いだったようです」

 

 頭を下げ、お礼を言ってから飯田は緑谷と麗日の元へと戻ってきた。

 

「すまないが2人とも、僕は一旦雄英に戻る」

「え?どうして急に?」

「この少女とよく似た人物に一昨日の襲撃の時に遭遇した」

「えっ!?」

 

 飯田が自動ドアをこじ開けて外に出たあの時、蹴飛ばした敵と髪色は似ている。それに年齢も同じぐらいに見えた。

 1人だけ外に居たのも今考えれば不自然だったが、個性が『暗号解読』なら納得がいった。おそらく施設内のセキュリティを掌握する役目を任されていたのだろう。

 

 

 

 

 

「……という訳なのですが」

「なるほど、筋は通ってるな」

 

 飯田は雄英に戻り担任の相澤先生にチラシと共に先ほどのことを話した。

 

「確かにUSJのシステムが書き換えられ警報が鳴らないようにされて外部が知ることができないようにされていたのは事実だ。お前の記憶が正しければ身体的特徴から考えても行方不明の黒崎コユキ本人で間違いないだろう」

「しかし、彼女の頭上には光輪のようなものがあったと記憶していますが……」

「その辺はこっちで調べておく。もう帰って……いや忘れないうちに似顔絵描いてから帰れ」

 

 相澤は白紙のコピー用紙を1枚取り出し、鉛筆と共に飯田に渡した。

 

 

 

「失礼しました」

「気をつけて帰れよ」

 

 相澤は飯田の描いた似顔絵を見つめる。上手いとは言えないが特徴はしっかりと描かれている。探し人の似顔絵としては100点だ。

 

「お疲れ様でーす」

「ノアか、良いところに来た。……ちょっと来い」

 

 

 

 

 

 

「……多分、コユキちゃんだと思います」

「そうか」

 

 生塩(うしお)乃亜(ノア)雄英の教師の1人であり、個性『完全記憶』を駆使してとあるプロヒーローのサイドキックとして活躍している。

 

 そして、黒崎コユキの母の優香(ユウカ)とは名字が「早瀬」だった頃からの付き合いでもある。

 そのためコユキが幼い頃には何度も会っており、顔は完全に記憶していた。すくすくと成長していれば飯田の描いた似顔絵みたいな顔になっていたことだろう。

 

「でも、どうしましょうか。コユキちゃんが雄英襲撃班の一員になっているなんて伝えたらきっとユウカちゃんとあの人は……」

「届出にある個性とは別の個性らしきものを所持しているから人違いの可能性はまだ捨てきれない。……確定するまでは黙っておけ」

 

 行方不明になっていた親友の娘が見つかったことを喜ぶべきなのか、可愛かったあの子が敵になってしまったことを悲しむべきなのかノアには分からなかった。




乃亜とか小雪みたいに世界観を合わせるために最初だけ漢字表記してあとはカタカナで呼ぶのでよろしくお願いします



没展開では脳無がユメ先輩でしたが書きたい展開ではないし人の心すぎるのでやめました
でも羂索ユメ先輩がアリなら脳無ユメ先輩もアリじゃないですか?

死刑 ユメ先輩は曇らせ厨のおもちゃじゃないんだぞ
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