ウチの戦隊ブルーが悪の女幹部として配信してるんだけど、どうすれば良いと思う? 作:新月
楽しんで頂けると幸いです。
「あ、あぶな……危なかったですわー!?」
ワタクシは、驚きのあまり自身の心臓がバクバク動いているのを感じながら、急いでその場で立ち上った。
先ほど爆発した場所とは、大分離れた位置。と言っても、所詮アリーナ内だからそこまで距離はありませんが。
そんなことより、なんて事考えますの彼!?
怒涛のコンボで追い詰めながら、最終的に爆発でトドメ!? ええ、ええ良い案でしたとも!
危うく予備の3つ目すら【ダーク・ガジェット】使うことになったのですから!
本当は二刀流までが基本なのに、スイッチOFFの手間すら惜しくて3つ目にとっさに手を出したのですから!
見なさい、“アリーナの一画が大炎上中”ですわ!? 範囲にして、全体の1/4がめっちゃメラメラ燃えていますわ!!
あの様子から見るに、1、2時間じゃ消えないでしょう。つまり、試験中ずっと炎上状態。
……まあ、仮に爆発に当たったとしても、ワタクシの命に別状があるわけではありませんが。
所詮、爆弾一つで重傷を負うほどヤワな体……というか、【ダーク・ガジェット】の強化率は弱くはございません。それも、幹部なら尚更。
本当の殺し合い、という状況なら。あの程度のダメージ無視して次の手を打っていたでしょう。
それをせずに焦ったのは、あくまでこれが試験で、ワタクシのドレスにダメージがあった場合敗北のルールだから。
それを考えると、あの一画の炎上状態、中々厄介ですわね……
火傷はそこまでしないとはいえ、ドレスそのものの炎上の可能性があります。
不用意に近づかない方が良いでしょう。
っく、我ながら中々のハンデの設定ですわね……油断すると普通にワタクシ自身が負けます。
「それにしても……彼、試験開始直後とは大いに強さが違いますわね」
ワタクシは彼、クロスさんの戦闘力について改めて考えている。
最初の“セレクト・エッジ”連打の時に比べて、物凄く戦いづらくなった。
その上、その必殺技の威力も全体的に上がっている。
大きく変わったのは、あのふざけた宣言以降……
「あの会場に響き渡る宣言以降、大きく変わった。彼、間違いなく“自己暗示”で感情コントロールをするタイプですわね」
【ダーク・ガジェット】は、感情によって出力を変える武器。
その出力を維持する方法は、人によって様々だ。
平常心が一番出力出るものもいれば、戦闘の高揚感で無理矢理上げるタイプ。
そして……“役者などになりきって気分を盛り上げる”タイプ。
彼の先ほどのエンタメ宣言、あれは……これは出し物。自分は役者。だから会場を沸かせる。
“演劇型”、と言ったらよろしいでしょうか?
観客を楽しませる為に、演者として感情を込めるメソッドを確立している。
【カオス・ワールド】で言うと、アイリスさんと同等のタイプかしら?
ティアー様もその傾向が強いですわね。悪役として周囲を盛り上げる事を常に意識してますから。
何にせよ、あのふざけた宣言も本人にとっては自己暗示に大いに役立ってたわけですわね。
「……ええ、良いでしょう。認めます、クロスさん。あなたは評価に値します」
強さとしては十分。
感情の安定の確立方法も持っている。
状況判断力、アイデア力も十分。
ええ、新人としてはかなりの高評価。花丸ですわ。
────それが、もし
……ああ、もう。
カイザー様からの事前通達が無かったら、ワタクシなら遠慮無く花丸あげていたでしょうに。
今現在ワタクシから見て、彼がヒーロー側:他悪の組織側:元所属無し、で確率を割合づけるなら……
6:3:1、と言った所でしょうか。
カイザー様の言う通り戦闘経験が高いのと、あの芝居がかった口調。
ヒーロー経験者と言われた方が納得出来る割合が高い。……とはいえ、あそこまで露骨な芝居口調のヒーローもあまりいない筈ですが。
または、他の悪の組織に所属していたが、精神的に合わなくて離反した、と言う可能性も考えられなくは無い、といった所です。
ちなみに残りの1割は、ガチの野生で湧いて来た想定です。たまにいるんですのよね、野生の外れ値。シンプルに演劇の才能が特化してて誤解される人とか。
……ええ、先に謝らせてくださいまし、クロスさん。
新人としての評価は、ここまで。
ここからは──“敵対した場合、
☆★☆
「ッあー、もう! 逃げられたーッ!!」
俺はつい悔しがってしまい、離れた位置に現れたレイスを睨みつけた。
クッソ、良い案だと思ったんだけどなーこのコンボ!
【ダーク・ガジェット】、予備は持ってるだろうとは思ってたけど、3つ目も持ってたのかよ!?
これティアーの例考えると、4つ目も持っててもおかしく無いな!?
けど、順当に追い詰めてはいる。
このまま行ければ、十分俺の合格……
──って、そんな訳無いよなあ。
だって、“あのカイザーの組織の幹部だぞ?”
「……お見事ですわ、クロスさん」
すると、ゆっくり立ち上がったレイスが、一言そう言って来た。
ドレスに着いた砂埃をパンパンッと払いながら、ゆっくりこっちを見つめ始めた。
「その戦術の組み立て、アイデア力、十分評価に値します。仮にこの試験に合格しなくとも、十分な評価を得られるでしょう。……なので」
そう言って、レイスは【ダーク・ガジェット】を“両方の手”に持ち始めた。
そしてスイッチを押して一瞬光った後、“ディメンション・ロッド”の二刀流になった。
「──ここから、さらに難易度を上げさせてもらいますわ」
ビシッとポーズを決めた後。
レイスは、そのロッドの内の片方を、“振り下ろした”。
「先に展開? 今まで無かったパターンだな」
これまでずっと、カウンターで後から“穴”を展開していたレイスだった。
その彼女が、先に“穴”を展開しようとしている?
このまま終わるとは思ってなかったけど、新しい攻撃パターンをやってくるのか。
面白い、今度はどんな攻撃を……
──あれ? なんか視界変わった?
どこだここ? あれ? 地面無くない?
て言うか、天井が出来た? ここ屋外アリーナだろ?
て言うか、天井にみんないるくない?
て言うか、みんな逆さまに座ってない?
て言うか、天井凄く早く近づいてない?
──というか、“俺が空中で、逆さまになってない?”
「ッッッ?!!! うおおおぉぉぁあ──────ッッ?!!!」
気づいた時には遅かった。
俺自身、いつの間にか空中に投げ飛ばされている状態だ!?
いや、投げ飛ばされたと言うより、“ワープ”された!?
一体いつ、と思考する間も無く、俺は地面にドシャアアアアアンッ!!! とぶつかった。
「ぐへぶぇッっ?!!」
だ、【ダーク・ガジェット】で変身してるから、致命傷にはなってないけど。
それでも、高さ10数メートルから受け身も取れず落とされるのは、かなり痛え……
と言うか、頭から落ちた。ヘルム越しとはいえたんこぶ出来そう。
「ってぇ……一体、何が……ぁアッ?!!」
とにかく立ち上がろうと、上体を起こそうとしたら……“また同じことが起きた”。
再び、空中にワープされている!?
「ってえ、またかよ!?? とあぃッ!!!」
流石に二度目だったから、俺は空中で無理矢理姿勢制御を行った。
体勢を下に向けて、ギリギリ着地体勢を得る。
そのままズズゥウウウウウ──ンッ!! と、地面に衝撃を与えながら、何とか着地する。
「くそ、何をされた!?」
俺は素早く視線を起こし、レイスの方を向いた。
丁度レイスが、再びロッドを“振り下ろす”体制になっている。
あれだ! あの動作をしてから俺が“ワープさせられている!?”
と言う事は、俺の下か!? 俺の下に直接“穴”を開けられてるのか!?
ここまでの戦いで、“ディメンション・ホール”の仕様を何となく理解した状態で得た結論はそれだった。
だから、俺は真下を確認しようとした。
──しかし、その思考とは裏腹に。
俺は無意識に、真上を見上げていた。
そこには、“迫りくる穴”がッ?!!
「ぅつおおおいッ?!!!」
とっさに横っ飛びをし、俺はギリその“穴”を回避する。
その“穴”は、俺のさっきまでいた位置をすっぽり覆いかぶさっていた。
地味に、“穴”の裏側が、シャボン玉の虹色模様のようなマダラ色で、グニョグニョしている。って、そんな事はどうでも良い!!
「ッチィ! 流石に三度目は引っかかりませんか!」
すると遠くで、レイスが明らかに舌打ちをした音が聞こえて来た。
「お前、これ、この“穴”! まさか!?」
「ええ、流石にもうお気づきですわね! “ディメンション・ホール”、実はこれ、“そのまま動かせますの”!!」
「ッヅえ──ッ?!!」
そう言って、レイスは持ってるロッドを適当に振り回す。
すると彼女の目の前で、一つの“穴”がまるで“虫取り網”の口のように、ブンブンと空中を自在に動きまくっている!!
「座標指定で、スイッチオンオフするんじゃないのかよ!? 固定座標じゃねえの!?」
「今まではそれでやってましたわよ? 試験だから最初はあえてそうしていただけで、実際は“展開後もある程度動かせますの”」
そう言って、ふふん、驚きましたか? と、レイスは自慢げに胸を張っていた。
恐らく俺が空中にワープさせられたのは、さっきみたいに“真上から穴を動かして被せられた”から。
空中に先に対となる“穴”を展開していて、もう片方の“穴”を虫取り網みたいに動かして、俺を被せて強制ワープ。
結果、俺は空中に投げ出されて自由落下。並の敵なら落下ダメージだけで殆ど倒せるだろう。
そしてやべえ、“想定していた作戦一つ瓦解した”……
俺は内心、めっちゃ焦り出した。
固定座標前提で、ある程度応用した相手の使い方は考えていたけど、“穴”自体を動かせるとなると、大分話が変わる。
その作戦の一つとは……“穴自体を閉じる時、何か挟まったら閉じれるのか?”と言う想定で立てたものだ。
つまり、“ディメンション・ホール”解除時、黒刀かパラソルを“穴”に突き刺して、閉じる時それは引っかかるのか?
その場合、“ディメンション・ロッド”のスイッチが切れないから、再展開は出来ないのではないか? という話だ。
もしこの仮説があっていたなら、さっきまで“ディメンション・ロッド”を一つしか使ってなく、固定座標の使い方しかしてなかったレイスに対して、かなり大きめな不意をつける作戦になる筈だった。
……しかし、もう“この作戦はほぼ使えない”だろう。
単純に“ディメンション・ロッド”が二刀流以上、予備を含めて4本はあると仮定しても、一個使えなくなったとしてもすぐに交換が可能。
そもそも、“穴”を展開状態で動かせるなら、わざわざスイッチを切る必要性が大分減っている事。
つまり、わざわざ閉じる瞬間に何かを突き刺す、と言う行為が限りなくやりづらくなった。
やっべえ、良い作戦だと思って、後に取っておくんじゃ無かった……さっさとさっきやれば良かった。大分後悔。
「さ、思い知って下さいましたか、ワタクシの力を」
「っ、確かに予想外だったけど、二度食らってもそこまでの致命傷じゃない。この程度じゃ、俺はサレンダーなんてしないぜ」
「ま、確かに見た感じそうですわね」
で、す、が。っと、レイスは言葉を区切り。
「次にワタクシが行う攻撃は、“カイザー様仕込み”」
「ッ!?」
「当たったら、ほぼ“詰み”と思ってくださいまし」
カイザー仕込み!?
アイツが考えた技って事か!?
食らったらほぼ“詰み”って、アイツどんな方法を……!?
「──では、喰らいなさいッ!!」
ッ、考える前に、向こうがロッドを振り下ろして来た!
その動きに合わせて、“穴”が空中から俺に向かって落ちてくる!!
「もう食らうか!! よっと!」
俺はそれを見て、落ち着いて回避をする。
“穴”の移動速度は、せいぜい“杖”を振り下ろす速度と大体同じ程度!
単純に近接で剣を振り下ろされるのと同じ程度と考えれば、反射神経さえあれば十分回避出来る!!
「二つ目もありますわよ!! ほうらッ!!」
「おっと!? 忘れてねえよ!!」
俺が回避した先に待ち伏せするように、迫ってくる二つ目の“穴”。
それも落ち着いて、前に飛び込むように回避する。
そこから何度も、何度も。俺の回避する先に穴が襲いかかり続けている。
「流石ですわね、ここまで避け続けるなんて! ですが、もうあなたの行動パターンは読めて来ましたわ!」
「っ何!?」
「ここからは、詰めの段階! 徐々にあなたの逃げ場は無くなっていきますわよ!! ほらほらぁッ!!」
その宣言の通り、“穴”の移動速度と方角がいやらしくなって来た。
時には、俺の背後から急に襲いかかってくるようなパターンもあった。
……レイスは流石だ。俺が回避する先を尽く予想して、的確に襲いかかって来ている。
まるで俺の思考を読み切ってるみたいに。
このままじゃ一瞬の油断が命取りだ。一度の失敗であっという間に捕まるだろう。
……でもさあ。
それ、“グリーンさんにいつもやられてる事なんだよね”。
「おらあッ!!」
「ッ?!」
「思考パターンを読み切られてるなんてなあ……こっちは日常茶飯事なんだよ!!!」
思い出すのは、後輩達を特訓させた当日の夜。
グリーンさんとの夜の模擬戦だ。
あの人は、俺の行動パターンをよく見た上で銃弾を発射し続けて来ていた。
あの精度に比べたら、この程度の攻撃!!!
俺は強ジャンプ、脱力、転倒、片手逆立ち、側転、ありとあらゆる動きを持って、回避し続けた。
カウンター設置型のさっきまでの攻防なら、まだそっちに分があったかもな!
でも、この虫取り網みたいな攻撃、これはただの近接攻撃擬きとも言える!
近接戦の戦闘経験なら、明らかにこっちの方がうえだ!!
そのまま、徐々に徐々に俺はレイスに距離を近づけていく。
そして……!!
「隙ありだ!! 食らええッ!!!」
「ッ!!」
俺は十分な距離を詰めてから、“セレクト・エッジ”を放とうとする!!
二本の“ディメンション・ロッド”で開けた穴は、どっちもまだ後方!!
目の前で再展開しようにも、スイッチの切り替えで一手遅れる!
この距離と速度なら、レイスの反射神経でもギリ避け切れない筈!!
これで、トドメ!
そうして、踏み込んだ足が……──“地面を踏み抜けなかった”。
「まだ、甘いですわ」
足元に、“穴”──! いつの間にか、3つ目の“ディメンション・ロッド”を持たれていた。
一体いつ……俺が接近している途中で、こっそり3つ目、4つ目を入れ替えたのか!?
途中から一つ目、二つ目の操作を放棄していたんだ! くそ!
だけど、”これくらいなら想定内”だ!!
足元に“穴”を出されるくらい想定済みだ!!
この体勢からなら、落ちながらでも十分狙える! 食らえ!!
そうして、俺は“セレクト・エッジ”を放った。
俺が落ちながらでも、そこに立っているレイスに十分ヒットする軌道。
「……お見事ですわ。
────“一緒にワタクシが、落ちていなければ”、ですが」
「──ッ?!!」
そう、レイスに向かって放った攻撃は、“あくまでレイスがその場から動いていなかったら”。
つまり、“二人とも落ちている場合は、俺の攻撃は上に逸れる”。
俺が落ちた“穴”は、最大直径の5m。
その範囲に、レイスも入っていた。
「道連れ──!?」
まさか、死なば諸共、の精神で攻撃して来たのか!?
このままだと、レイスも一緒に穴に落ちる──
「──いいえ。落ちるのは、“あなた一人”ですわ」
「──は?」
そう言って、レイスは“空中に立った”。
まるで、何か途中で地面でもあったかのように、途中で落下が止まっていた。
いや待て、あれは俺が想定した“ディメンション・ロッド”の応用の──
恐らく、4つ目のロッドを使って応用した方法。
しかしそれに気づいても関係無く、俺はそのまままた空中に放り出されていた。
「ッッくっそおッ!! また引っかかった!!」
1回目、2回目と同様に、空中にワープさせられた。
レイスは、空中で立っているまま。
けど、このままだとさっきと同じだけ。
また地面に叩き落とされて、また俺が立ち上がるだけ。
そりゃあ何度も繰り返せばダメージは蓄積するだろうけど、後数回は俺なら耐えられる。
カイザー仕込みの技って、一体どこが……
──待て。地面に中々ぶつからない。
それどころか、周りの風景が“ループしているように繰り返している”。
観客席の部分を、何度も何度も、俺の真横を素通りしている。
そのことに気づき、俺は血の気が引いた。
「……“ディメンション・ホール”。空間を自由に繋げられる技。と言う事はつまり……“出現位置と入り口を向かい合わせにする事も可能”ですわよね」
遠くで……いや、何度も通りすぎる横で、レイスがそう呟いたのが聞こえた。
見ると、アリーナの地面近く。落下中の俺の真下に、巨大な“穴”が開いていた。
そして、落下中の俺の真上、アリーナのバリアの天井付近にも、巨大な“穴”。
「永遠に同じ場所を落ち続ける。────“
何度も横を通り過ぎるから、その度にいつでもレイスの言葉が聞こえてくる。
俺はジタバタしても、殆ど横に移動出来ない。
「……空気抵抗がある場合、物体の落下の速度が最高速度になるのは、およそ“12秒”。その際、最高速度は──“時速200km”。例え【ダーク・ガジェット】で変身していたとしても、ただではすみません。大抵の人物は、変身した上でも即死でしょう」
何も知らない子供に、分かりやすく説明するように。
レイスは、淡々と簡単に説明をしていき。
「……詰みですわ。大怪我したくなかったら、サレンダーなさい」
そう静かに、宣言した。
★レイス
20歳
162cm
紅髪
秩序・善
三幹部の一人。お嬢様口調。
通称、【次元のレイス】。
「ワタクシの勝ちですわ」
“ディメンション・ホール”の展開したままの座標移動。
並びに、“穴”の配置位置による無限ループ。
更に、擬似的な空中浮遊。
これらの技術を、本気モードで解禁。
展開したままの座標移動は、そのまま虫取りにも活用可能。
【カオス・ワールド】主催の夏の虫取り大会で優勝した実績あり。
レアなカブトムシやクワガタなど沢山捕まえた。
お子さん方にムシクイーンとして大人気。
ちなみに擬似的な空中浮遊の正体は、両足で立てる最小限の“穴”を展開し、片方の“穴”の先を“地面すれすれに展開しているだけ”。
つまり彼女の足元の位置だけ、すぐに地面の距離になっている。
これにより、空中に足場として展開が可能。
というか、ただ地面に立ってるだけで、ほぼ全身だけ空中に出してる状態。
この方法は、クロスも思いついていた。想定外のタイミングでレイスに使われたが。
無限落下の方法は、カイザーに教えられた。
と言うか、プロキシをカイザーに渡した時に、彼女にやられた方法。
文字通りその身で思い知らされた形。
だからこそ、この戦法の凶悪さは実感している。
クロスがサレンダーした場合、安全に救出する方法は考えているらしい。
★大地鋼(だいちはがね)
34歳
184cm
緑髪
秩序・善
男
【ジャスティス戦隊】のグリーン。
思考パターン読みの達人。クロス曰く、レイスよりも戦闘における思考パターンの読みの精度が上。
もっとも、レイスの方が人材配置という人事としての才能は上。
才能の方向性の違い。
レッド曰く、ガジェットの適性がもっとあったなら、もっと上の上位のヒーローになれただろう、との事。
★
22歳
168cm
青髪
混沌・善
【ジャスティス戦隊】のブルー。
兼、【カオス・ワールド】の幹部、“コバルト・ティアー”。
「ハラハラ、ドキドキ」
予想以上のレイスのガチ戦術にビックリ中。
★カイザー
22歳
172cm
紫髪
混沌・悪
【カオス・ワールド】のボス。
ティアーの幼馴染み。
「……………………」
レイスに無限自由落下を仕込んだ張本人。
威力の高さはよく知っている、との事。
「ビーチパラソルッ!!!」
「っ!?」
突如、アリーナにそんな大声が響き渡る。
その直後、観客席から見てずっと同じ場所を落下し続けていたクロスが、ビーチパラソルを開いた。
それは落下方向に対して、やや斜めに展開しており、それを掴んでいたクロスはまるで振り子のように体勢が揺れた。
その勢いに任せてクロスはパラソルを解除して、無限自由落下のルートから外れて、地面に叩きつけられた。
「ガッッ──ハぁッ?!!!」
バキィ、ガシャンッッ!! っと、鎧がいつくか砕ける音がする。
アーマーの右腕、左足、ヘルムの一部。それらが砕け散り、中身の生身の人間部分が一部見えている。
見るからにダメージは大きく、吐血したのか、ヘルムの隙間からポタポタと血が落ちている。
傘で多少減速したとはいえ、かなりの衝撃は受けたのだろう。
「な、──なんて、なんて無茶をっ?!」
空中で叫ぶように、レイスがそう言ったのが会場中に聞こえた。
当然だろう。これはあくまで入隊試験。ここまで重傷を負う必要のある試験では無い。
ここまでクロスはよく戦った。あそこまでよく頑張った。あの詰みの状態ならばサレンダーしても仕方ない。
誰もがそう思った。だからこそ、無茶をして大怪我しながら脱出したクロスに対して、会場は驚きを隠せないでいた。
そんな会場の空気を他所に、クロスはゆっくりと立ち上がる。
フラフラの状態ながらも、しっかりと二本足で立ち上がり、会場を見渡していた。
「……あー、グロいのはダメか。流石に冷えるか、反省」
そう言って、ヘルム越しにポリポリと頭を掻いていた。
まるで自分の大怪我の状態を、仕事で失敗しちゃった、とでも言いたいような態度で。
「さて、と……」
そうして、クロスは視線を上げた。空中に立っている、レイスの方へ。
ヘルムが破損した影響で、壊れた隙間から鋭い目つきが、はっきりと見えている。
「────舐めんじゃねえぞ、
★
23歳
175cm
黒髪
中立・善
主人公
【ジャスティス戦隊】のレッド。
サンタクロース改め、サタン・クロス。
まだ、終わってない。
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