ウチの戦隊ブルーが悪の女幹部として配信してるんだけど、どうすれば良いと思う? 作:新月
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【カオス・キャッスル サタン・クロスの部屋】
「〜〜つあ──、疲れたー……」
俺は自室に戻り、軽くシャワーを浴びた後ベットに飛び込むように寝転んだ。
今日の入隊試験、マジで疲れた……あそこまで激しい戦闘になるとは思ってなかったからなあ。
けど……いくつか、収穫はあった。
【ダーク・ガジェット・プロキシ】を実際いくつか使えた事。
そして何より、試験とはいえ“三幹部のレイス”と実際に戦えた事。
「疲れてはいるが、一回今日の戦い振り返ってみるか……」
そう思い、俺は上体を起こしてベットに腰掛けるように座り直す。
……今からやるのは、俺なりの独白だ。
本当はノートとかにメモを取りたいが、仮にも悪の組織の本拠地。ヒーローの証拠になり得るようなものは残したくない。
さて、何から振り返ろうか……
①【次元のレイスの強さについて】
間違いなく、“能力がチート級”。破格すぎる。
試合後本人にも言ったが、今日俺が勝てたのはあくまで試験。ルールの範囲内だったからだ。
そもそも戦わない、を最初から選択肢に入れられてたら、俺に勝ち目は一切無い。
……とはいえ、改めて詳細を振り返ってみようか。
本当にどうしようもないのかどうか、確認してみよう。
まず、俺が絶対勝てない理由。それは現状、“レイスのディメンション・ホールを完璧に躱し続ける事が出来ていない”からだ。
相手のネタが割れた後も、一度“穴”に落ちてしまっている。俺が警戒していたにも関わらず、だ。
あの時はビーチパラソルで再度脱出出来たが、そもそも遠くの場所に繋げられた時点で、俺に戦闘続行は不可能。
つまり、“一度でもレイスの操る穴に入れられた時点で事実上の戦闘不可”。
レイスに勝つためには、“レイスの攻撃を完璧に躱し続ける”か、“穴に落ちても復帰する方法”のどちらかが必要条件になる。
現状、今の俺にはどちらも満たせていない。だから勝ち目が無い。
……が、今少しだけ疑っている部分がある。
②【本当に無制限で地球の裏側まで繋げられるの?】
正直、ここはちょっと眉唾物だった。
いくら能力が破格とはいえ、“たった一人の力だけで、そんな距離を実現出来るのか?”
“穴”を開けているだけだから、距離の概念が無いのか?
とにかくこのままだと、本当の意味で無法過ぎる。
レイスが嘘を付いているとは性格的に考えづらいが、なんらかの制約、あるいは“補助”がいるんじゃ無いかと思っている。
いずれにせよ、後で改めてレイスの能力の詳細について調べ直す必要があるかも知れない。
③【もし、次元のレイスに本気で勝ちたい場合は?】
さっきも言った通り、“レイスの攻撃を完璧に躱し続ける”か、“穴に落ちても復帰する方法”のどちらかが必要だ。
先に、“穴に落ちても復帰する方法”を考えてみよう。
手っ取り早いのは、“似たようなワープ系能力を持つ事”。
これは【ダーク・ガジェット・プロキシ】でワープ系のガジェットが手に入れば解決する可能性はある。だが、正直期待は薄だ。
そんな能力あったら確実にレアだし、管理が厳重の筈だ。
仮にも新人隊員に手に入る可能性は低い。
もう一つは、“穴に落ちても閉じる前に素早く戻る事”。とてもシンプル。
が、こっちもそんなに現実的じゃない。
横向きで入れられて、同じ横向きで地面に出されたなら、すぐ復帰できるだろう。
が、転移先が空中などだった場合、それだけで戻ってこれない。
最低でも空中を自在に動ける、“極論翼でも持ってない限り”まずは達成不可だ。
つまり、“穴に落ちても復帰する方法”は現状俺には不可。
“レイスの攻撃を完璧に躱し続ける”方法はどうだろうか?
レイスの“穴”は、大体2,3mほどの大きさの穴が、レイスの操作で迫ってくる攻撃だ。
極論その“穴”の移動方向を予測し、ドッチボールみたいに全て回避し続けられるなら、それだけで十分勝ち目はある。
が、今の俺の【ダーク・ガジェット】による身体強化の幅だと回避し切れない。
現状全体的な身体能力のパラメーターが足りないと結論付けざるを得ない。
もしくは、“穴そのものを塞ぐ”かどうか。
途中で俺が大量の浮き輪で詰まらせたように、そもそも“穴を塞ぐ”と言うことが出来れば、躱すという行為も必要なく、レイスの戦術をグッと減らせる。
まあ能力解除して、再展開とかされたら意味ないから、一瞬の隙を作る程度だけど。
だが“穴自体を機能不全にする”と言うのは、方向性としては悪く無いかもしれない。
とまあ、整理したらこんな所か。
──本当に必要なら、今回みたいに酸欠。他にも、毒、睡眠薬、武器隠し、ウイルスによる病気、食糧責め、脱水症状、などなど考慮する必要があるが……
どれも現状現実的で無い上に、今この場で一つ一つ検討しても長くなるから、今日は割愛。
④【次元のレイスに有効そうな能力は?】
一人心当たりがある。
▽=================▽
「────私は、ヒーロー戦隊の“隠し組織”。【ジャッジメント】の一人、“トール”と申します。以後お見知り置きを」
△=================△
──“【ジャッジメント】のトール”。この間直接戦ったあの女。
彼女の能力は、“雷を利用した超高速移動によるヒットアンドアウェイ戦法”。
彼女の高速移動技なら、“レイスの攻撃を完璧に躱し続けられる可能性が高い”。
もちろん移動先に“穴”を設置という罠を貼られる可能性もあるが、“穴を展開される前に移動し切れれば問題無い”。
俺が当時トールに引き分けたのは、対人戦同士、“戦いの土俵に上がらせて貰ったから”。
そもそも正面戦闘ではなく、“背後から高速移動で暗殺”だけで十二分に勝ち目がある。
実際採石場の時、トールの奴俺に“ガチ初手不意打ち雷”やってきたから、回避しなかったらそれで俺終わっていただろうし。
……まあ本当にそれをレイスにやった場合は、“レイスの異常な回避能力”を超えられるか、に掛かってはいるが。
恐らくだからカイザーはその回避能力を鍛えさせたんだろう。レイスの弱点をカバーするために。
けれど、方向性としてはやはり“トールの能力は最適解の内の一つ”になるだろう。
そもそも、どんな能力だって“発動される前に倒せば意味が無い”。
対レイスに限らず、それを成し遂げられる可能性のあるトールは、“対人戦においてかなりの優位を持つ”。
流石はカイザーの言っていたヒーロー戦隊の隠し組織の一員、暗殺特化のスペシャリスト、と言ったところだろう。“どんな能力だろうと、相手を先に殺せば関係無い”。そんなコンセプトがあるように思える。
……能力そのものは、レイスの方がレアではあるだろう。
空間能力と電気では、そのレア度の差ははっきりだ。
トール自身、そこまで目立つ派手な能力というわけで無かったし(ミョルニル除く)。
──ただ、“最低限の能力で、最高効率の暗殺”を行う。
それが【ジャッジメント】だとしたら、やはり驚異の集団ではある。
方向性の参考にはしても、それはそれとしてずっと警戒対象ではあるだろうな。
⑤【今すぐ、次元のレイスに勝つ必要は?】
……正直、現状急ぐ必要は全然無いと言っていい。
経緯はどうあれ、俺はほぼスパイとして【カオス・ワールド】に潜入している状態だと言っても過言じゃない。
恐らく、“三幹部の手のひらの上というか弱い存在だからこそ、そこまで警戒されていない”と思っていいと思う。
無理に急いで強さを求めて、それで相手に警戒心を与えたら元も子もない。
もちろん、いざ【カオス・ワールド】と本格敵対した時、勝つ手段一切ありませんでした、は話にならないため、それまでには勝つ手段を手に入れたいところだ。
……それに、そもそもの話。
“俺自身が、レイスに本当の意味で勝ってみたい”。その思いがある。
⑥【今日を通して、カオス・ワールドと言う組織への総評は?】
三幹部の一人だけで、あの強さ。
最低でもあれ級があと二人と、ティアーとカイザーがいると言う事実だけで頭が痛くなってくる。
しかも恐らく、ティアーとカイザーは三幹部より上の立場っぽいだろ?
強さが絶対とは言わないが、同等以上の実力は二人はありそうな予感がして辛い。
そもそも、“組織全体が【ダーク・ガジェット】で能力作りたい放題”だ。プロキシも含めて。
戦力の補充方法が半端じゃねえ、巨大な組織になるのも当然だ。
まだまだ底が知れない組織だ。全体が把握し切れていない。
⑦【今後の俺自身の行動について】
もちろん、【カオス・ワールド】の戦力全体の把握が最優先だ。
出来れば三幹部全員、ティアーとカイザーの実力も確かめてみたい。
今回みたいな模擬戦が出来れば、とってもありがたいんだが……
それ以外に、この場所全体の調査もしたい。配下も含めて、どんな能力者たちがいて、どんな活動を主にしているのか。隅々まで調べたい。
……で、もう一つ。どうしても調べたい事があるんだが。
▽=================▽
「さあ、思い知れ!! これこそが、【ガリオ・リベンジャー】のボス、プルガトリオの真なる力!! 貴様らにわか世代も、ヒーロー共も、一人残らず滅ぼす──」
「SET、【ジャミング・バレット】、
「──最強の、ちか、ら…………あ?」
△=================△
⑧【“ジャミング・バレット”って何?】
こっちが聞きたい。
今思うと、なんだあれティアーのやつ。
ショッピングモールの屋上で使ってたやつ。
“【ダーク・ガジェット】を無効化してたぞ”おい。
ここまで考察しておいてなんだけど、“あれ使うだけでレイス封殺出来る”じゃねーか。
実際は“穴”に撃った場合挙動がどうなるかとか分からんけど、“【ダーク・ガジェット】使えなくする可能性だけで大幅有利”じゃねーか。
ティアーが三幹部と同格じゃなくて、三幹部の上っぽい立場なの、それが理由じゃねーの?
どんなに強い能力でも、“【ダーク・ガジェット】そのものを使えなくするだけで勝ち目ゼロ”じゃねーか。
トップのカイザーは……それ使われても、勝つ実力を持ってると思いたい。なんと言うか、格的に。
そもそも、あの“ジャミング・バレット”って、“ティアー専用”なのか?
──それとも、“誰でも使えるのか?”
もし後者だとしたら……“絶対俺も手に入れて置きたいアイテム”だ。
いざ【カオス・ワールド】と敵対したときも、大きく役に立つ。
……まあ、その対策をティアーがやってないとは思えないけど。それでも、調べる価値は大きい。
俺の主目的が“【カオス・ワールド】全体の調査”なら、サブ目的が“ジャミング・バレットの調査”になりそうだ。
──下手をすると。
【ダーク・ガジェット】だけじゃなく、【ライト・ガジェット】。つまり、ヒーロー側にも特攻になってる可能性がある。
だとすると、絶対に色々な意味で危険すぎる。
そこまでの効果があるかは分からないが、詳細は絶対に調べておきたい。
あるいは“ジャミング・バレット”に限らず、【ライト・ガジェット】全般に共通の弱点をティアーは知ってるのかも知れない。
もしあるなら、それも絶対に知っておきたい。
こうして整理してみて、改めて自覚する。
この潜入調査、“思った以上に重要な意味を持つ”事になりそうだ、と。
ただ、まあ。
今日のところは、疲れた。
だから明日から、頑張ろう。
こうして俺は、部屋の電気を消して、ベットに横になった。
明日からの、【カオス・ワールド】での生活がどうなるのか思いながら────
「……………………………………………………」
⑨【もし本気で、手っ取り早く次元のレイスに勝ちたい場合は?】
「……やっぱ、いつか試してみたいよなあ」
「“【ダーク・ガジェット】と、【レッド・ガジェット】の同時発動”……」
★
23歳
175cm
黒髪
中立・善
主人公
【ジャスティス戦隊】のレッド。
サンタクロース改め、サタン・クロス。
力そのものに、正義も悪も関係無い。
ルール無用になった場合、真っ先に試したい方法の一つを思いついていた。
特に、“セレクト・エッジ”に“レッド・ギフト”を組み合わせた場合どうなるか、凄くやってみたい。
贅沢言うなら、カイザーへの切り札として取っておきたい。
ただ、リスクも懸念している。
“【ダーク・ガジェット】と【ライト・ガジェット】の両立が、本当に出来るのか”どうか。
一つ一つなら、自分自身の身で発動可能なことは確認出来てはいる。だが、それが“同時”なら?
単純な足し算ならまだしも、“互いに相殺して強化を打ち消しあってしまうのでは無いか?”
最悪の場合、“反発しあって大爆発で重傷”、と言うオチになってしまうのでは無いか?
もしリスクの懸念が正解だった場合、“ヒーロー連合側が禁止にした理由も割と納得が行く”と思っている。
まあ正直、ティアーがその危険性を放置しているとは考えづらいのだが……
ともかく、“確実にパワーアップ出来るものと、過信は出来ない”。
なので可能性の一つとして考慮だけしておき、いつか機会があれば確かめておきたい、と思っている。
ちなみに【レッド・ガジェット】は、いまだ修理中。
ただし、武器の部分として修理中なだけで、コアさえあれば変身は出来る。
つまり身体強化と火炎放射、ギフトは使える。使えないのは大剣技のみ。
これにて五章、入隊試験編が終了です!
皆様見てくれてありがとうございました!
更新が途中で止まっても、また見てくれてありがとうございます!
大変すみませんでした、今後も無理しない程度に頑張っていきたいと思います。
次回から、しばらく【カオス・ワールド】での日常編となる予定です。
クロス君の組織での交流をお楽しみ下さい。