ゲェェエティアァアア! 作:ならば来い! カルデアァァア!
全力で走り悲鳴のした場所まで行くと、所長は骸骨の集団に囲まれ襲われていた。
「何なの、何なのよコイツら!? なんだってわたしばっかりこんな目に遭わなくちゃいけないの!? もうイヤ、来て、助けてよレフ! いつだって貴方だけが助けてくれたじゃない!」
泣き喚きながらガンドを無差別に乱射する所長。
これじゃ近づけないな。
「
僕はすぐさま黒鍵を投影し、骸骨に投擲する。
骸骨は頭蓋を砕かれ、黒鍵と共に消滅した。
「マシュ! くだ男と所長を守って!」
「了解です! マスター!」
続けてマシュが骸骨達を蹴散らす。
このままじゃ不味いな。
まずは所長を落ち着かせないと。
「マシュ! 後はお願い!」
「了解しました!」
骸骨達をマシュに任せ、ガンドを避けながら所長に近づく。
「レフっ! レフぅ!」
「所長落ち着いて! 大丈夫、大丈夫ですから……ね?」
所長を抱きしめ、優しく頭を撫でる。
「……ありがとう、そしてごめんなさい」
戦闘が終わる頃、所長はようやく落ち着いてきた。
流石に恥ずかしかったのか、顔を赤らめながら僕から離れる。
マシュから一通りの事情を説明されると、咳払いをしながら話し始めた。
「……まずはベースキャンプの作成ね。いい? こういう時は霊脈のターミナル、魔力が収束する場所を探すのよ。そこならカルデアと連絡が取れるから。それで、この街の場合は……」
「このポイントです、所長。レイポイントは所長の足下だと報告します」
「うぇ!?」
マシュの言葉に驚き、飛び跳ね、離れる所長。
そして所長のいた場所にマシュが盾を設置した。
すると青白い光が立ち上り、それに呑み込まれる。
中はガチャ画面でよく見る青い電子的な空間だった。
『シーキュー、シーキュー。もしもーし! よし、通信が戻ったぞ! 2人共ご苦労さま、空間固定に成功した! これで通信もできるようになったし、補給物資だって──』
「何で貴方がそこにいるのよ!」
「落ち着いて所長……安心してください」
声を荒げた所長の頭を再び撫で、落ち着かせる。
「えー、現状カルデアの7から8割程度が壊滅、ロマニが事実上のトップとなっています。そうですよね?」
『っ!? 何でそれを!』
「ど、どういうことよ!」
僕が確認するように話すと、ロマニと所長の2人は驚きの声を上げる。
「取り敢えずコフィンは凍結してください。犯罪らしいけど、死ぬよりかはマシでしょう」
『ああ! その機能があったか! 所長!』
「今すぐしなさい! 蘇生方法は後回しよ!」
『至急手配します!』
所長が僕に何かを質問したそうにしていた。
僕に不信感を抱いているのが見て取れる。
「所長、僕に聞きたいことがあるのは分かります。でも、僕も何処まで話していいか分からないから、カルデアに戻るまで待ってください」
「………貴方は──」
「大丈夫、僕は貴方の味方です。
理論はもう完成している。
術式も何時でも展開できる。
後は聖杯のリソースを借りるだけ。
──絶対に所長を救ってみせる。
『──報告は以上です。これまでの内容に、所長の方から何か確認はありますか?』
結論から言うと、僕は受け入れられた。
怪しいが、少なくとも敵ではないと分かってくれたのだ。
その代わり、カルデアに帰ったら尋問が待ってるんだけど。
「結構よ。私がそちらにいても同じ方針をとったでしょう。納得はいかないけど、カルデアを任せます。レイシフトの修理を最優先で行いなさい。私達は特異点Fの調査を続けます」
『うぇ!? 所長、そんな地獄の底みたいな現場、怖くないんですか!? とびっきりのチキンのクセに!?』
「……ほんっとうに一言多いわね、あなたは……!」
今のは僕もどうかと思うよ、ロマニ。
まあグランドろくでなしに比べたら断然マシだけどね。
「今すぐ戻りたいのは山々だけど、レイシフトの修理が終わるまでは時間がかかるでしょ? 事故はもう既に起こったこと。それでもその与えられた状況の中で最善を尽くすこと。それこそが我らアニムスフィアの誇りです」
流石所長をやっているだけはある。
落ち着いている時はめちゃくちゃ優秀だ。
後はいつも落ち着いてくれればいいんだけどね。
「これより藤丸立香。マシュ・キリエライト。3名のマスター候補及びデミ・サーヴァントを探索員として特異点Fの調査を開始します。……とはいえ、現場のスタッフは未熟な状態。ミッションはこの異常事態の原因、その発見にとどめます」
『了解です。健闘を祈ります、所長。これからは短時間ですが通信も可能ですよ。緊急事態になったら遠慮なく連絡を』
「……ふん。SOSを送ったところで、誰も助けてくれないクセに」
『所長?』
「なんでもありません。まずは英霊召喚をしましょう。今のところ戦力は足りていますが、不測の事態が起きないとも限りません。戦力は多い方がいい」
「チュートリアルガチャか。確か星5は出なかったはず……星4確定だっけ」
現実になったから何処までゲームの仕様が適用されてるか分からないけど。
すまないさんとかヘラクレスが来ればいいんだけどね。
世界観に併せるなら自身を触媒にした縁召喚だけど……駄目だ、何が来るか分からないや。
今の僕は藤丸立香だけど、贋作である僕がどれだけ触媒として機能するか……。
本来ならあり得ないサーヴァントとかが召喚されるのかな?
「えっと、誰が契約するの?」
「藤丸立香……はぁ、紛らわしいわね。男性の方の藤丸立香がします」
「まあ、消去法だね。所長はマスター適性が無いし、ぐだ子はマスター初心者。魔術の魔の字も知らない以上、複数人との契約で何か不具合が起きるかもしれない。例えば、上手くパスが繋がらなくなったりとか」
まあ、そう言うのはカルデア側でどうにかするだろうけどね。
その点僕は問題ない。
魔術回路は少ないし質もそこそこだけど、魔力量だけはある。
「なるほど~」
「所長、準備完了です!」
マシュの方を見ると、展開された魔法陣の中心に盾が設置されていた。
「英霊召喚の仕方は──」
「ああ、大丈夫です。やり方は分かってますから」
僕はもうやりた過ぎてソワソワしてるよ。
楽しみだ。
『君は触媒を持ってないのかい?』
「持ってないです。いくら僕が特殊でも、うちは魔術師の家系ですらない一般家庭ですし。魔術師に伝手もなかったので流石に手に入れられませんでした」
僕が突然変異なだけで、親も親戚も一般人。
歴史を研究してる人とかがいれば何か手に入ったかもしれないけど、表の世界で手に入る物じゃ大した物じゃないだろう。
投影したものが触媒に使えるかも分らないし。
それじゃあ、早速始めよっか。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公」
英霊。
それは英雄や偉人として祭り上げられ精霊化した、英霊の座に刻まれし、
「祖には我が大師ソロモン」
そして英霊召喚とは、英霊の一部を複製した、人類史に刻まれた影法師を呼び出す大魔術である。
「降り立つ風には壁を」
今回行うのは、自身を触媒とした己が縁を手繰り寄せる縁召喚。
「四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
何が召喚されるかは未知数だが、それでもサーヴァント。
いるといないのでは大きな差がある。
「
……身体が熱い。
「繰り返すつどに五度」
励起した魔術回路から全身に行き渡る魔力は熱を帯び、灼かれるような痛みが走る。
「ただ、満たされる刻を破却する」
これは神秘を成す為の対価であり、人の身に余る力を扱う代償。
「──告げる」
僕はそれを耐え、神経を尖らせ集中する。
「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」
膨大な魔力が渦を巻き、虹色に輝く。
「聖杯の寄るべに従い、人理の轍より応えよ」
やがてそれは3本の光帯となり、高速で回転した。
「汝星見の言霊を纏う七天」
そして、光帯が収束する。
「走り、降し、裁きたまえ、天秤の守り手よ!」
魔法陣がより一層強く輝く。
光が収まると、そこに居たのはロマニに似た風貌のローブを着た男だった。
「──サーヴァント・アルターエゴ、人王ゲーティア。我が運命よ、人理を焼却せし力、存分に使うがよい」
…………へ?
ゲの字「私は我が運命の専属サーヴァントだ。崩壊する冠位時間神殿で殴り合いをした時から、ずっと」