ゲェェエティアァアア! 作:ならば来い! カルデアァァア!
「──成る程な、大体分かったぜ」
状況を把握する為、僕達はクー・フーリンとの情報交換を終えた。
「にしても、ずいぶんとまあ……いや、何でもねぇよ」
意味深な事を言いながらチラリとこちらを見るクー・フーリン。
確かルーンで千里眼も手に入るんだったっけ。
何処まで知ってるんだろう。
ゲーティアを警戒してるしある程度は分かっているだろうけど……。
「アンタら、名前は?」
「僕は藤丸立香」
「そして私も藤丸立香」
「「2人合わせてぐだーずでーす!」」
「こんな状況だってのにノリノリだなアンタら。ま、うじうじされるよか良いんだがよ」
『それで、貴方の目的は僕達との共闘、と言うことでいいですね?』
「そういうこった。アンタらはこの異常を解決したい、俺は聖杯戦争を終わらせたい。目的は一致してるんだ、問題ないだろ?」
「相手がアーサー王と言うのなら戦力は幾らあってもいい。分かりました。貴方の提案を呑みましょう」
「そうと決まりゃ話が早い、早速行こうぜ」
話がサクサク進むなぁ。
僕が色々知ってたお陰でスムーズだ。
それから僕達は山の方へ向かった。
道中スケルトンに襲われたりもしたが、問題なく進むことが出来た。
ゲーティアは霊体化しているためいない。
戦闘経験を積む為、ギリギリまで手を出さないで貰うことにしたのだ。
いくらゲーティアが強いって言っても、アルターエゴの霊器だからね。
多分無双出来るのは5章までだろう。
それまでに強くなっておかないと。
その間彼には術式の改良をして貰っている。
完成はしているが、成功率を上げれるだけ上げておきたい。
「おう、信奉者の登場だ」
クー・フーリンはそう言って杖で前を指す。
そこに居たのは赤い外套を纏った男。
エミヤだ。
「相変わらず聖剣使いを守ってんのか、テメェは」
「信奉者になった覚えはないのだがね、つまらん来客を追い返す程度はするさ」
「ようは門番だろ? 永遠に終わらねぇゲームなんざ退屈だろ? どうなるにせよ駒を進めねぇとな? ここらで決着つけようや」
「その口ぶり、事のあらましは理解済みか。その上でそれとは、魔術師になっても性根は変わらないと見える。文字通り、この剣で叩き直してやろう」
「弓兵風情が何言ってやがる。いくぞ! 嬢ちゃん」
「はい!」
戦闘態勢に入り、構える2人。
シャドウなら兎も角、今の僕じゃサーヴァント戦にはついて行けない。
憑依経験にも限界がある。
なので、ここは後方支援に徹することにした。
「──
マシュが盾で攻撃を防ぎ、クー・フーリンがルーンで攻撃を飛ばす。
その様子を観察しながら投影を開始する。
「──憑依経験、共感終了」
これじゃダメだ。
ただの投影品ではサーヴァントに傷を負わすには足りない。
──基本骨子、補強
──構成材質、強化
──蓄積年月、加速
空中に投影された数多の剣。
それら全ての存在が高められてゆく。
「──
「ガンドッ!」
「──
所長のガンドによって動きを止められたエミヤに、多種多様な刀剣が降り注ぐ。
砂埃が舞い、エミヤの姿が見えなくなった。
攻撃を警戒し、集中する。
どうせ大して効いてないだろう。
「ふん、贋作の贋作、と言う訳か。創造理念、基本骨子、構成材質、どれもよくできている。だが、残念だったな。サーヴァントに傷を通すには、これでも足りん。せめてこれが宝具であれば、話は違っただろうに」
強化が甘かったか。
少し位は削れてると思ったんだけどな。
そこに、クー・フーリンが突撃する。
「オラァ!」
「魔術師になって知性が上がったのではなかったのかね」
「頭の出来と、趣味嗜好は別ってなぁ!」
双剣を巧みに手繰るエミヤと、杖を槍のように扱うクー・フーリン。
速すぎる。
最早僕には介入出来ない。
目で追うのもやっとで強化魔術をかけるのが精一杯の支援だ。
そうして数分の攻防が続き、遂に状況が変化する。
「では、そろそろ終わらせるとしようか」
エミヤがそう口に出すと、その場を支配する空気が変わる。
「
エミヤは投影した剣を弓につがえた。
それを視界に収めた瞬間に理解する。
それはダメだと。
その神秘が発する圧力に、呑まれてしまった。
マシュの盾では防げないと思ってしまった。
擬似展開でも出来るのならば、話は違っただろう。
だが、今のマシュではダメだ。
このまま防ごうとすれば死んでしまうだろう。
──マシュが、死ぬ?
ダメだ。
それは何があっても阻止しないと。
「──
──創造理念、鑑定。
──基本骨子、想定。
──構成材質、複製。
「っ! かはっ!」
体が負担に耐え切れず、吐血する。
身に余る力だ、それも当然と言える。
確かに僕の投影は『無限の剣製』だ。
だが、何処まで行っても劣化品でしかない。
投影した物は、永遠には残らず、宝具の投影も不完全。
それを膨大な魔力で強引に補っているに過ぎない。
剣以外の投影なら尚更だ。
その代償が訪れる。
肉は内側から引き裂かれ、刃が身体から突き破る。
「先輩!」
「問題ない!」
ここで止める訳にはいかない。
無理を押し通してでも、継続する!
──製作技術、模倣。
──成長経験、共感。
──蓄積年月、再現。
「『
「『
空間を穿つ剣が放たれる。
その脅威に対抗するべく、4枚の花弁が開花した。
それは全てを破壊する剣の猛攻を食い止める。
少しづつヒビが入ってゆき、1枚、また1枚と花弁が割れる。
そして、遂に全ての花弁が割れた。
だが──
「マシュ! 『瞬間強化』!」
「はぁぁああ!」
確かに減衰したそれを、マシュの盾が防ぐ。
「考えたな花の魔術師……! まさかその宝具にそんな使い道があったとは……! だが、まだだ──ぬっ!?」
「残念だがコイツで終いだ、アーチャー。焼き尽くせ、木々の巨人!『
木造の巨人、その片腕が大地より現れ、その剛腕でエミヤを拘束する。
そしてそれは炎を纏い、エミヤごと焼き尽くした。
「くっ……!」
「全く、無茶をする。『変成の時来たれり』」
ゲーティアがそう唱えると、魔術回路の暴走は収まり、一瞬にして傷が癒える。
あー、きっつ。
死ぬかと思った。
痛みを感じなくなるよう暗示かけてたんだけどな。
暗示苦手だからなぁ。
効果あるか知らないけどかけ直しておこう。
僕達は少し休んだ後、洞窟へ入った。
休憩の時には無茶をするなとみんなに叱られちゃったよ。
そして、円蔵山・柳洞寺地下、『龍洞』。
大聖杯の存在する大空洞へとたどり着いた。
「これが、大聖杯……」
凄い術式、僕でも凄さが分かるレベルだ。
でも、今はそれは気にしている余裕は無い。
聖杯の存在する崖を見上げる。
そこには、漆黒の騎士が佇んていた。
「……なんて魔力放出。あれが、本当にあのアーサー王なの?」
『こちらでも確認した。変質しているようだけど、あの霊基は間違いなくセイバー・アーサー王だ』
途轍もない魔力だ。
これが竜の炉心と聖杯による魔力か。
荒々しい魔力が迸っている。
「──ほう。面白いサーヴァントと人間がいるな。元とは言え獣と契約するとは」
ゲーティアが元ビーストである事も理解しているのか。
いや、それもそうか。
とはいえ今のゲーティアってロマニ姿なんだけどな。
「なっ!? テメェ、喋れたのか!? 今までだんまり決め込んでやがったのか!?」
「あぁ、何を語っても見られている。故に案山子に徹していた。だが──面白い。その宝具は面白い」
その言葉と共に、魔力の放出が一層激しくなる。
「行くぞ、名も知れぬ娘。その守りが真実かどうか、この剣で確かめてやろう!」