KAREKORE Z~Z戦士のカゲチヨ~   作:yakyo

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ヒーローになる(後編)

スタントマンの依頼を引き受けて数時間。イバリの嫌がらせを回避しつつ着々と撮影が進んでいた。

 

 

「次は戦車の中の人質を救うシーンだ。このシーンは爆薬を使うから、速やかな救出でお願いね。」

 

 

そう説明され、戦車の前を立った。軽く触れると作り物とは思えない固さを感じた。

 

 

「この戦車、本物っぽいですね。」

 

「本物らしいわよ。何でも使わなくなった戦車を安く買い取ったみたい。」

 

「そうなんですか。」

 

 

安くても本物の戦車買えるってすごいな。撮影の準備として俺と人質役の女性は戦車の中に入り、ハッチを閉めたらカチって音がした。何だ?この音は。

 

 

「それじゃあカッコよくお願いね!」

 

(くっくっくっく。あの戦車のハッチには閉めると自動的に鍵が掛かる様に細工を施したのさ。出れなくて無様な演技をして恥をかけばいい!)

 

「よーいアクション!!」

 

 

依頼人の撮影開始の声が聞こえ、ハッチを開けようとしたら開かなかった。おかしい・・・鍵なんて閉めてないはずなのに・・・・。さっきのカチって音が原因だろうか?

 

そんな俺に心配の表情で人質役の女性が声をかけてきた。

 

 

「ね、ねぇ・・・どーしたの?」

 

「いや、どーやらこのハッチが開かなくて・・・。」

 

「えぇうそ!?」

 

 

困ったなぁ。このまま突っ立ってるのもなぁ~。

 

 

「おーい!撮影はもう始まってるぞ!!何をしてるんだ!!」

 

「すみませーん!ハッチに鍵が掛かって出れませーん!!」

 

「はぁ!?何とかできないのかい!?」

 

(くくくっ。困れ困れ。調子に乗った罰だ。)

 

 

何とかって言ってもよぉー・・・あ。

 

 

「あのー!ちょっといいですかー?」

 

「何だー?」

 

「この戦車って爆破するんですよね?つまり壊しても大丈夫って事っすか?」

 

「あ、あぁそーだけど。」

 

 

それ聞いて安心した。

 

 

「それじゃあ今から壊して脱出しますので、タイミングよく爆破お願いします!」

 

「え、えぇ!?」

 

「こ、壊すだと!?戦車だぞ!?そんな事出来るわけ・・・!!」

 

 

さて、伝えることはちゃんと伝えたし。やるか。俺は人質役の女性を片手で腰に手を回し、出来る限り体に密着させる。

 

 

「しっかり捕まってくださいね。」

 

「えっちょ・・・っ!!」

 

 

女性を抱え俺は思いっきり高く飛び、戦車を突き破って脱出。

 

 

「・・・・・はっ!!い、今!!今爆破!!」

 

「は、はい!!」

 

 

その後、爆音が聞こえたからしっかりできた様だ。ゆっくりと着地すると撮影現場の人達はポカーンとしてこちらを見ていた。またこのパターンか・・・。

 

 

「か、カゲチヨ君。君は人型をした異宙人なのかい?」

 

「歴とした人間です。」

 

 

吸血鬼とゾンビのハーフで半分サイヤ人だけど・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそ・・・何なんだよあの野郎!!俺のポジションを奪いやがって!!絶対にゆるさねぇ!!」

 

 

人気のない場所で、カゲチヨに恨み言を言うイバリ。そもそもイバリが散々スタッフ達に威張り散らしたからの結果なため彼の自業自得である。

 

 

「あの野郎がチヤホヤするこんな糞撮影、ぶっ壊してやるっ!!」

 

 

心奥底からそう口にするイバリの背後にスライム状の物が現れ、身体に張り付きイバリの口の中に侵入しようとしてくる。

 

 

「おごっ!ごぼっごぼっ!?おごぉぉぉぉ・・・っ!!」

 

 

スライム状の物体が口の中に無理やり入った事で踠き苦しんでいたが、後に静かになり、目を赤く光らせ口元をニヤリと笑いだした。

 

 

「サツエイ・・・ブッコワス・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カゲチヨ君のおかげでいいドラマが出来そうだよ!君に依頼してよかったよ!!」

 

「あぁ・・・そーですか・・・。」

 

「ん?どうしたんだい?」

 

「いや、ただ疲れただけです。」

 

 

正直、このヒーロー衣装で褒められても素直に喜べないのは何だろう・・・。っと思ってしまうカゲチヨ。

 

 

「失礼します。」

 

 

何とも言えない考えをしていカゲチヨと監督達の前に警察の方達と研究員っぽい男性が撮影現場にやってきた。

 

 

「警察の方達が撮影現場に何を?」

 

「お忙しい中申し訳ありません。実はこの撮影現場にスライム型の異宙人「スライ」が侵入している模様で、少しばかり調査に協力してほしいのですが、よろしいですか?」

 

「スライム型の異宙人スライ?」

 

「あ、ニュースで聞きました!確か、その異宙人に寄生されたら体乗っ取られて狂暴化されるって!」

 

(そーいや、この依頼を引き受ける前にそんなニュース流れてたな。まさかこの現場付近に侵入してるとは・・・っ!?この気は!!)

 

 

 

ドガーン!!

 

 

カゲチヨが強い気を感じた瞬間、何かが壊れる音が鳴り響いた。

 

 

「な、何だ!?」

 

「あ、あっちだ!!」

 

 

破壊音の出所の方へと向かった先にイバリが撮影の機材や道具、車やバスなどを破壊していた。

 

 

「コワレロ!!モットコワレロ!!」

 

 

明らかにいつものイバリではなかった。人並みの小さな気が、人間とは思えないほど膨大に上がっていた。おそらく強さ的にはシディと同じ。

 

 

「い、イバリ!!何をしてるんだ!!こんな事として!!」

 

「ウルサイ!!」

 

 

近くにある岩を持ち上げ、依頼人に投げてきた所をカゲチヨが前に立ち拳で叩き割る。

 

 

「か、カゲチヨ君・・・。」

 

「大丈夫ですか?」

 

 

安否を確認すると勢いよく首を縦に振った。

 

 

「い、いったいイバリさんはどうしちゃったの?」

 

「まるで化け物みたい・・・。」

 

 

そう怯えるスタッフ達に研究員に男性が説明しだす。

 

 

「おそらく彼の体内にスライが侵入して身体を乗っ取っているんだ。乗っ取られたら最後、自分の意志では追い出す事は出来ず、持ち主が持つ憎悪を増幅させて暴れだすんだ。」

 

「しかも、最悪な事に、持ち主の力を更に数倍強くさせるため、我々の手には負えない状態です。」

 

「だから寄生する前に捕まえたかったのに・・・。」

 

「そもそもあなたがあの生物の研究するからでしょうが!!」

 

 

そう言って頭を抱える研究者の男性に怒鳴りつける警察官。

 

 

「ブッコワス!!」

 

「こ、こっちに来る!!」

 

「やむを得ない!!発砲して動きを止めるんだ!!」

 

こちらに襲い掛かってきたイバリを発砲し始めて警察官達だったが、弾丸を跳ね返しこちらへと走りながら近づいてきた。

 

発砲した警察官に殴り掛かろうとしたイバリの前に立ち、拳を素手で受け止める。

 

 

「!?」

 

「でりゃ!!」

 

 

イバリの腕を掴み思いっきり投げ飛ばした。

 

 

「おい!あいつを助ける方法は無いのか!!」

 

「え?あ・・・た、体内から追い出せれば元に戻るけど・・・。」

 

「なんだ。そんな簡単な方法でいいのか。」

 

 

ニヤリと笑いだすカゲチヨは勢いよくイバリの方へと飛び出し、目の前に立つ。

 

 

「そんなにぶっ壊したいなら。まずは俺をぶっ壊して見せろ。出来ればの話だがな。」

 

 

そう煽ると、ムカついたのかカゲチヨを睨みつけ襲い掛かる。

 

 

「コノヤロー!!!!」

 

 

イバリの拳がカゲチヨの顔面をとらえるが、あと数cmって所で止まる。

 

 

「ンギギギギッ・・・!!」

 

 

今度は身体に蹴り上げるがほとんど効いていなかった。更に攻撃をするもカゲチヨにはまったくもって効く気配はなかった。全力で殴り掛かった所で、その拳を掴まれ、どんなに足掻こうとびくともせずに離せなかった。

 

 

「それでお終いか。じゃあ次は俺の番だ!」

 

「っ!!」

 

「ふんっ!」

 

 

カゲチヨは思いっきりイバリの腹に拳を叩き込む。

 

 

「ぐはっ!!」

 

「でりゃ!!」

 

 

イバリの腕を掴んで、一回転して投げ飛ばし、追いかけて腹に両膝でめり込ませ地面に叩きつける。

 

 

「す、すごい・・・。」

 

 

そんなカゲチヨを見て呆然と眺める警察官や研究員、そして撮影関係者たち。

 

 

「・・・はっ!カメラだ!!カメラを回せ!!」

 

「え!?」

 

 

カメラマンにそう指示する依頼人。

 

 

「こんな素晴らしい戦闘。カメラに収めないわけにはいかんよ!!」

 

 

カゲチヨとイバリの戦闘を見て、自分が求めていた理想な演出に目を輝かせていた。

 

 

「コロス!!」

 

「そいつはお前には無理だ。」

 

 

懐に入り、顎に向けて拳を下から振り上げ足で腹に強烈な蹴りを叩き込む。苦しみながら腹と口を抑えるイバリ。

 

 

「ウッ・・・ウッ・・・・ウゥッ!!オボボボボボ!!」

 

 

我慢が限界なのか、イバリの口から液体状なものを吐き出す。吐き出し終えたイバリは地面へと倒れる。

 

液体は勝手に動き、人型へと姿を変える。

 

 

「ス、スライが人型に!?」

 

 

人型になったスライに驚く研究員。そして、カゲチヨは取り付いた時とは思えないほど力が上がっていた事に驚く。

 

一瞬にしてカゲチヨの前まで近づき顔面に拳を叩き込み、後方へと下がってしまった。

 

 

「ぐっ、こいつさっきより動きが早い!」

 

 

更に追撃してくるスライにカゲチヨも応戦。周囲に拳と拳がぶつかり合いとは思えない破裂音が鳴り響く。

 

 

「さ、さっきより強くなってない!?」

 

「お、おそらくですが。彼と戦っていくことで成長したんだと思われます!」

 

「何だって!?」

 

 

スライによって撮影スタッフ達の所まで吹き飛ばされるカゲチヨはギリギリで舞空術で止まる。スライは手から光の玉を出しカゲチヨへと放つ。

 

避けるのは安易に簡単だが、自分の背後に人が大勢居るため両腕で受け止め上へと飛ばした。飛ばされた光の玉は特大に爆発。

 

 

「か、カゲチヨ君・・・。」

 

「監督。」

 

 

スライの力に不安を抱き、カゲチヨの名を口にする依頼人に、安心させるように笑って見せる。

 

 

「大丈夫っすよ。絶対に勝つから。」

 

 

そう言って、スライの前まで飛んで行った。

 

 

「さっきより強くなったみたいで驚いた。」

 

「・・・・。」

 

「だが、俺の全力はこんなもんじゃねぇーぞ。ハァ!!」

 

 

気を全力で開放するカゲチヨ。突風が吹き荒れる、吹き飛ばされるのを耐えるスライに、全力の拳を叩き込む。吹き飛ばされたスライを追撃して攻撃を繰り出す。反撃されようも軽くいなし、顔面を殴り飛ばす。

 

 

「・・・・っ!」

 

 

手からさっきよりも大きい光の玉を出しカゲチヨへと放った。

 

 

「ヒーローらしくカッコよく決めたやるぜ!」

 

 

腰を下げ、体を横向けになり両手を後ろに持っていく。

 

 

「か~め~は~め~・・・・。」

 

 

両手から気が溜まり、輝きを見せる。

 

今までどんな困難も乗り越えたこの技の名を大声で口にして放つ。

 

 

「波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

一気に両手を前に出し、特大の気功波を発射。

 

 

「・・・!!」

 

 

放った光の玉を打ち消し、そのままカゲチヨの「かめはめ波」はスライを飲み込み消滅していった。

 

 

「・・・・・・」

 

 

一瞬のでき事で呆然としてしまった周囲だった。

 

 

「本当に・・・ヒーローみたいだ・・・。」

 

 

そんな中、誰かがそう呟き目を輝かせ子供のように憧れのような目線をカゲチヨに向ける。

 

依頼人は興奮してメガホンを取り出す。

 

 

「カゲチヨ君!!最後のヒーローらしいキメポーズをするんだ!!」

 

「き、キメポーズ!?俺そんなの教えてもらって・・・。」

 

「アドリブでいいからやってくれ!!」

 

 

興奮しながらカゲチヨに無茶振りを強要する。

 

 

「ひ、ヒーローらしいキメポーズって・・・。」

 

「さぁいくよ!3!2!1!」

 

「ちょちょっちょっと待って!!あ~もう!!」

 

 

カウントダウンしだす依頼人にカゲチヨは慌てだし、とっさに思いついた動きをする。

 

 

「わ、私は・・・。」

 

 

台詞を言いながら、仮面ラ〇ダーのような変身ポーズをとってから、身体を横にし、片足を上げ、右手を頭より上くらいの高さで左手を顔くらいの高さでパーにした。

 

 

「あ、悪を絶対に許さない正義の味方!!」

 

 

両手を広げ片足立ちをし、そこで足踏み。足を伸ばし広げ片手を地面に付け、もう片方を空に向ける。ガニ股立ちで手を×にしそこから大きく手を広げゆっくりと頭の方まで回す。

 

 

「グレートイチューマンだ!!」

 

 

最後に肘と手を曲げ、なんちゃってポーズをとる。

 

言うなれば、悟飯が2時間も練習したダサいポーズだった。

 

 

『・・・・・・・』

 

 

さっきまでカッコよかった姿が嘘かのようにダサかったことに先ほど以上に冷たい沈黙が流れた。

 

 

(ぐっ・・・。う、恨むからな悟飯めぇ!)

 

 

本人に聞かれたら理不尽ですよ!って言われそうな事をカゲチヨは悟飯に対して恨み言を心の中でつぶやいた。

 

今のカゲチヨは口が出てるヘルメットを被っていてわかりずらいがおそらく顔が赤くなっているだろう。

 

そんな中、約一名だけテンションが上がっている人物が居た。

 

 

「か、カッコイイ!!カッコイイよ!!最高だよ!!」

 

 

カゲチヨは思った。やっぱりこの監督は悟飯と同じ感性でおかしいと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

撮影が終わり、無事に劇場公演した。

 

カゲチヨが思っていたものと反して映画「お守りヒーロー グレートイチューマン」は子供も大人も見に行くほど大ヒットしてるらしい。

 

戦闘シーンは好評だがキメポーズは賛否あるそうだった。

 

 

「カゲチヨ!ヒサメ!今人気の『お守りヒーロー グレートイチューマン』をみんなで見に行こう!」

 

「確かその映画の見所ってド派手の戦闘シーンだったっけ。私も見に行こうかな。カゲは?」

 

「・・・俺はいいわ。」

 

「あれ?何か暗くない?」

 

 

あんな無様な姿、見たくもないし見られたくもないと思ったカゲチヨだった。

 

 

 

 




悟飯がセルを倒してから数年後の話。

チチ「頼むだカゲチヨさん!」

カゲチヨ「嫌だよ!なんで大人になってまで学校に行かなきゃいけないんだよ!」

チチ「悟飯ちゃんが初めて学校に通うだよ!?オラちゃんと悟飯ちゃんが学校生活送れるか心配で心配で。」

カゲチヨ「だからって俺に頼むことないだろ!?おっさんが若い子と一緒に勉強とか絶対に浮くだろ!!」

ブルマ「あら?あんた見た目は十代そこら辺だし、そのガタイも悟飯君と一緒に居れば違和感ないわよ。なんだったら大き目の服着れば問題ないじゃない。」

カゲチヨ「だからってなぁ~・・・そもそも悟飯一人でも・・・。」

悟飯「カゲチヨ叔父さんも一緒に行くんですか!嬉しいなぁ~!僕一人じゃちょっと不安だったんですよ!」

カゲチヨ「・・・・・。」

ブルマ「3対1で決まりね!あんたも学校に行ってなかったんだし少しは青春してきたら?」

チチ「悟飯ちゃんの事よろしく頼むだよ!」

カゲチヨ「・・・・・。」


がっくりと肩を落としたカゲチヨは、年齢を大幅にサバ読んで悟飯と一緒にオレンジスターハイスクールへと登校したとさ。





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