悟空と再会した次の日、朝一番に界王神がカゲチヨの前にやってきた。昨日の答えを聞くためだ。
「カゲチヨさん。おはようございます。」
「あぁ。昨日の答えを聞きに来たんっすよね。」
「はい。」
数秒ほど間を置いて、カゲチヨは界王神の目を見て超えた。
「帰りますよ。自分の世界に。」
少しとはいえ記憶が戻った今、大切な仲間のため、やらなければいけない使命のため帰らなければいけない。カゲチヨは数百年いたこの世界と別れる決心をついて、帰る答えを出した。
「そうですか。わかりました。それでは早速、行きましょう。」
「行くって・・・どこに?」
「トキトキ都です。」
界王神の瞬間移動でトキトキ都に着いたカゲチヨ。
「ここは・・・。」
「「トキトキ都」と呼ばれる、時の流れが集まる世界です。」
カゲチヨが周りを見渡すと、強者たちが大勢居た。もしここに悟空が居たら、喜びながら戦いに申し込もうとするだろう。そう思うとクスリと笑ってしまう。
「このトキトキ都にはタイムパトロールという隊員の方たちが、正しい歴史の流れから外れ、間違った未来を生んでしまう「歴史の改変」を元に戻す仕事をしています。」
「歴史の改変?」
「ええ。例えるなら、界王神界で戦った場所に、ミスターサタンさんがブウに殺される。」
「それは、まずい改変だな。」
「えぇ。ですので隊員たちはあらゆる時代へ行き改変を正すために戦っています。」
「そうか。どーりで強そうな奴らがゴロゴロといるわけだ。」
界王神の後をついて行くカゲチヨ。大き目の建物の奥に入り、付いて行くとそこには大きな扉の前に女の子が立っていた。
「初めまして!カゲチヨ君!トキトキ都にようこそ!!」
「・・・・この子供は誰だ?」
「な!?し、失礼ね!!これでもあなたより何倍も年上なんだから!!」
「か、カゲチヨさん。彼女は時の界王神様で名前の通り時を司る界王神です。」
「そう!あなたが百歳超えようと、私にとってはまだまだ子供なんだから!」
(そういうところが子供っぽいんだけど・・・。)
そんな会話しつつ本題に入ることになった。時の界王神は大き目のドアの前に立ちカゲチヨに説明をしだす。
「この扉の向こうには、あなたの世界とつながっているわ。」
「扉の向こう側に、俺の世界が・・・。だが、俺は100年以上あの世界で過ごした。元の世界も、それくらい経ってるんじゃないのか?」
「それなら安心しなさい。カゲチヨ君が悟空君達の世界に来た時と同じ時間軸に設定してあるから。経っても数秒くらいよ。」
「そ、そんな事も出来るのか。それはすごいな。」
「もっと褒めてもいいのよ!」
(いや、すごいのはこの扉の事なんだが・・・まぁいいや。)
カゲチヨはドアノブを握り、ドアを開ける。ドアの向こうは光で先が見えなかったが、不安はなかった。むしろ、この光にどこか懐かしいものを感じていた。
「この扉の向こうに言ったら、俺の記憶は全部戻るのか?」
「分からないわ。そもそもあなたがこの世界に来ることが前代未聞だもの。」
「そっか・・・。」
「それと、世界のバランスを調整するために今の力が半分以下になるかもしれなから注意してね。」
「そうか。」
今の力が半分以下っと聞いてカゲチヨの口角が少し上がった。
「や、やけに嬉しそうね。」
「あぁ。また一から鍛え直せるからな。」
「さ、流石悟空さんの義兄さんだ。」
そんなカゲチヨに呆れる時の界王神と苦笑いを浮かべる界王神。
一から鍛えられることを喜びつつ、ドアの方を向き顔だけ界王神たちの方を向いた。
「いままで世話になった。あんたたちの事は、一生忘れない。」
「私も、カゲチヨさんの事一生忘れません。元の世界でもお元気で。」
「向こうの世界でも独りぼっちになったらまたトキトキ都に呼んであげるわ。その時はタイムパトロール隊員になってもらうから!」
「あぁ。その時が来たらよろしく頼むわ。」
笑顔で、二人に別れを告げ扉の向こうへと歩き出し、光に包まれ消えていった。
「・・・っ!!」
目を覚まし起き上がると、そこはカレコレ屋の中だった。電気も点けず、ソファの上で寝ていたことに少しし間を開けて理解した。
(今までの事は全部夢?)
そう思っていたが、それはすぐに否定する。
なぜなら、悟空たちの世界に行く前とは比べ物にならないくらい筋肉がついており、何より体内に流れるサイヤ人細胞がある。
カゲチヨは確信した。
自分は一度、悟空たちの世界に転移したことに。そして、帰ってきたんだと。
元の自分の世界に帰ってきたことですべて思い出した。
神谷の葬式が終わって一ヶ月。
ヒサメとシディはファミリアたちの出来事を踏まえ、修行のためにゴブリンの里に帰郷。
俺は補習で行けず、アサヲ以外のキモ5でアサヲ達エルフが護衛する地衝祭に参加したら、トッププレデターのイーラと偶然遭遇し、後を追ったと思ったらゲイザーによってチダイ達やほかの一般人まで幻術にかかって、それで元凶を突き止めたと思ったら、バルボアっというヤベー奴と戦って俺とボティスはそいつに手も足も出なかった。
俺が弱かったせいで、争闘結界を守っていたアサヲがバルボアに殺された・・・。
そして、バルボアによって争闘結界が破壊され、俺は無様に誰もいないカレコレ屋に帰ってきた。
アサヲは死ぬ前に俺という人間を否定され、ヒサメたちに電話しても出ず、結界の管理の機関に話しても信じてもらえず、ボティスに嘲笑われ、絶望した俺は無気力になりカレコレ屋のソファで寝た。
全て、全て思い出した・・・。
この世界に帰ってきて、前よりかは力がだいぶ落ちた感覚はある・・・・だが。
「バルボアと戦える。今の俺ならな。」
オーナーから貰ったパーカーを着て外に出ようとしたところにボティスが呼び止めた。
「どこ行く気じゃカゲ男。まさか・・・一人で戦おうなんぞ、馬鹿なこと考えておらんだろうな?」
「あたりだ。」
俺の即答に少し呆気に取られたみたいだが、すぐにニヤけ顔になり、こちらを嘲笑う。
「キャハハハ!!本当に阿呆じゃの~!すぐにやられた事もう忘れたのか?ろくに吸血鬼化も満足にコントロールできず、戦ったところでやられるのがオチじゃ!」
「確かに、前だったらそうだろうな。だが、もしもってことはあるかもよ?」
「ないない!!億が一でも貴様に勝てる見込みなんぞない!諦めて大人しくしとるんじゃな!!」
確かに、ボティスの言う通り無謀なのかもしれない。・・・それが昔の事だったらな。
「留守番頼んだぞ。」
「待て!!まだ分からんのか!!貴様が行った所で無駄死じゃぞ!!」
「それは、お前にとって本望じゃないのか?」
「なっ!!」
まぁ、ボティスがどう思おうが、俺は死ぬつもりはない。
鈴の吸血鬼と決着つけるまではな。
ドアの方に向かってバルボアを探そうと思ったら、ドアが開いた。
そこには、チダイ、ルイ、マチャソが入ってきた。
「お、まえら・・・。」
「補習のサボりは許されぬぞ。」
「きしゃしゃしゃしゃ!!(一人だけ楽するとかありえないじゃろうがい!!)」
「ってか昨日祭りの途中で消えただろ!!あの後、僕が逆ナンされて凄かったんだから!!」
ルイの台詞にチダイとマチャソは逆ナンされたのは自分と言い争う。こいつら・・・変わってないな・・・。いや、俺が向こうの世界に行って、こっちに帰ってきてからそんなに時間が経ってなかったな。
「そいつは悪かったな。長い時間寝てたんだ。すまねぇが用事があるんだ。そこをどいてくれ。」
ルイ達を掻き分け、カレコレ屋から出ようとしたとき、俺の前に見知った奴が立っていた。
「その用事っていうのは補習よりも大事な事か?」
そこには俺の目の前で死んだはずのアサヲが俺の前に立っていた。
これには流石に驚きを隠せなかった。
「アサヲ・・・。お前、死んだはずじゃ・・・。」
「その反応、やっぱ何か知ってんなお前。」
「どいうことだ・・・確かに俺の前で・・・。」
「俺は殺されたのか?」
「あぁ。昨日の祭りでバルボアに・・・。」
「昨日から俺の影武者とエルフの兵士長と連絡が取れねぇ。」
「影武者・・・。なるほど、通りでなんか違うと思った・・・ははっ。じゃあお前は裏切ってないって事でいいんだな。」
「裏切り?俺もよく事情が分かってねーんだ。知ってることがあるなら教えろ。」
アサヲは真剣な顔で俺のかを見た。俺もそんなアサヲの顔を真正面に見て真剣に答えた。
「断る。」
「なっ!」
「これは俺の戦いだ。誰にも手を出させねぇ。」
「お前!カッコつけたつもりかよ!?そーいうのダセェからな!!」
「俺がダサいのはいつもの事だろ?」
「お前!!」
アサヲは俺の返答に怒り、険しい表情で胸ぐらを掴まれた。悪いが、お前らを巻き込むつもりはない。また、目の前で偽物とはいえ友達の死を間近で見たくないからな。
お前らに嫌われようともな。
「まぁまぁ。カゲチヨもアサヲも落ち着いて。」
アサヲと俺の間にルイが入り仲裁してきた。
「カゲチヨ。話しだけでもしてもいいんじゃない?」
「・・・。」
「アサヲは当事者であろう?なら、無関係ではないはずだ。」
「きしゃしゃしゃしゃ(一人だけ抱えて水臭いじゃろ!!)」
「カゲチヨ・・・。頼む。教えてくれ。何があったのか・・・。」
・・・確かに。アサヲはエルフの王子。元々は争闘結界を守る使命があり、側近がバルボアに殺された。
知る権利はある・・・か。
「いいだろう。今、どういう状況か話す。」
アサヲ達に、昨日までの出来事を簡潔に説明した。
ゲイザーによって祭り参加者を幻術で眠らせ、バルボアは争闘結界を守っていたエルフを殺害し、結界の結晶を破壊。
「とんでもないのが来たね。」
「そいつは有名なのか?」
「地球で言うアノニマスくらいだな。」
「分かるようで分からん例えだな。」
「おそらくバルボアは他の結界を破壊して入れる軍をどんどん増やしてって地球を征服するつもりだ。」
つまり、次はまた別の結界を狙ってくるというわけか。
「おそらく、今度はより多くの軍を率いると思うぞ。」
「このままだと大勢の人が犠牲になるね・・・」
「きしゃしゃしゃしゃ(破壊された結界の穴から入ってくるんかい)」
「あぁ。だから敵の軍の位置は結界の穴の中に絞れる」
「その軍を配置できそうな場所はどれくらいなの?」
「・・・ちょうど5ヵ所だ。」
「おい待て。」
俺が会話を中断させたせいでアサヲ達がこちらを見てきた。
だってそうだろ?
「話の流れ的に、お前らも戦いに参加するつもりか?」
「当たり前だろ。」
「俺はあくまで状況を話しただけで、別に戦ってほしいとは思っていない。」
「カゲチヨ、お前がなんて言おうと俺は戦うぞ。エルフの王子としてな。」
「友達を一人に戦わせたくないしね。」
「我らは共に誓い合った仲間だ。どんな困難も乗り越えていくつもりだ。」
「きしゃしゃしゃしゃ!!(お前が来るなって言っても勝手について行くからな!!)」
・・・まったくこいつらは・・・。普段は学校で馬鹿やってるのに、こんな時にかっこいいこと言いやがって。
「勝手にしろ。だがこれだけは言っておく。絶対に死ぬな。」
「「「「あぁ!(うぬ)(きしゃ)」」」」
待っていやがれバルボア。俺たちキモ5がテメェらをぶっ倒す!!
アサヲ「それよりカゲチヨ。お前、何か身長デカくないか?」
ルイ「がたいもいいよね。」
カゲチヨ「・・・気の所為だ。」