「ピッ・・・コロ?」
今、カゲチヨの目の前には、別世界で敵対していた時期もあったが、共闘していくうちに頼れる仲間となったピッコロが自分たちの前に立ち塞がったのだ。
だが、驚きの表情しつつも冷静になったカゲチヨは今目の前に居る人物が自分の知るピッコロではないとすぐに否定した。
(・・・いや、俺の知ってるピッコロじゃねぇ。見た目は似てるが、気で違うとわかる。)
見た目はピッコロにそっくりだったが、道着の色は紫ではなく青。頭にターバンを巻き、肩当てが無く、多少ボロ付いた薄いオレンジ色をしたマントを羽織っていた。
そして、一番は気が別人だと物語っていた事だった。
「カゲ?あの人見てピッコロって言ってたけど、知ってるの?」
「いや、人違いだった。おい!そいつは一体何なんだ!!」
ヒサメの質問に軽く答え、カゲチヨはDr.コーチンに、ピッコロに似た人物の事を聞いた。
「特別に教えてやろう。そやつはガッキ族という種族の中でも最強戦士の異宙人だ。ワシが作った凶暴戦士だけでは心もとないのでな。我らの手駒として操らせてもらったのよ。」
「ガッキ族・・・・・・聞いたことがあります。」
依頼人はガッキ族について自分が知ってる事を話し出した。
「確かガッキ族は異宙の中でも優れた身体能力や不思議な力を持つ種族。その中でも戦闘タイプのガッキ族はトップクラスの実力者だと聞きます。・・・でもなぜ、そんなガッキ族の戦士が、こうも簡単に・・・。」
「簡単な事だ。村の住民を人質に取引をしたのだ。「ワシらの元に来れば住民を助ける。でなければ殺す」っと脅してな。ガッキ族は仲間意識が強い。おかげでまんまと条件を飲み、わしらの駒として洗脳させたって訳さ。」
「酷い・・・。」
「ではなぜ、そいつの身体を奪おうとしなかった。お前らが求めていた最強の身体じゃないのか?」
シディの質問にDr.ウイローは答えた。
『私はこの世で最も強い身体を欲している。陽狼と腐血が駄目だったら、そこのガッキ族の身体を奪うつもりだった。だが、陽狼はともかく、腐血の身体は素晴らしい!ほしい!!その身体を私によこせ!!』
「けっ。気持ち悪ぃ。美少女ならまだしも、お前のような頭でっかちな老害渡す身体なんか持ち合わせてねぇよ。」
『貴様の意見なんぞ聞いておらん!行けガッキ族の戦士よ!腐血を殺さない程度にいたぶって動きを封じるのだ!!』
カゲチヨ達の方へと襲い掛かったガッキ族の戦士。
その際に、ターバンとマントが脱ぎ捨てられた。
ターバンが脱げた事で、ガッキ族の戦士の後頭部が見え、オレンジ色の機械が頭に取り付けられていた。
「ヒサ!シディ!奴の相手は俺がする!!お前らは依頼人を何とかして助けるんだ!!」
「あ、カゲ!!」
カゲチヨは近付いてくるガッキ族の戦士に向かって行き、交戦応じる。
ガッキ族の戦士は容赦なく、カゲチヨに拳を振り上げるも、避けたり受け止めたりして対応。
「ガァァァァァ!!」
(なんて強さだ。バルボア・・・いやさっきの三人以上の強さだ。まさか、この世界にナメック星人みたいな種族が居るなんて・・・。こんな場面じゃない所で出会いたかったぜ・・・・っと!!)
襲い掛かるガッキ族の戦士に対応しつつも、どう元に戻すか、カゲチヨは考えていた。
例え敵になって襲い掛かろうとも、殺すのには躊躇していた。
そんなカゲチヨの考えも知らず、ガッキ族の戦士は畳みかかる。
「お前、ガッキ族の戦士だろ!だったら、あんな奴らに簡単に操られてんじゃねぇーよ!」
「ググググッ!」
空中後転で顎を狙って蹴り上げるカゲチヨだが、難なく避けられ着地した所を足払いされ、頬を思いっきり殴られようとしたが片手で防ぎ、ガッキ族の戦士の蹴りを後転飛びで避ける。
カゲチヨを追いかけ、攻撃を繰り出し、それにカゲチヨは応戦。
お互いの上腕がぶつかり押し合う。
「ぐぐぐっ・・・。」
「ぐぎぎっ・・・。」
押し合いの末、一旦距離を取り、再度お互いの攻撃を繰り出し、激しい戦闘が繰り広げていた。
そんな二人の様子を心配しつつも、ヒサメとシディは依頼人の前まで近づいた。
「どーしよ。触れる事も出来ないよ・・・・。」
「壊すか?」
「それだと、依頼人が危険だよ。」
「おそらく、何処かに動力源がある筈です。それを切れば・・・。」
「動力源・・・もしかしたら・・・。」
ヒサメはDr.コーチンの近くに動力源らしき物が設置されている事に気付く。
「あの人の近くに動力源があるかも!」
「それを壊せば、もしかしたら・・・。」
「愚か者め!そんな事させると思ったか!」
Dr.コーチンは自分の片方の手首を外し、腕からマシンガンの銃口が出てシディ達に向かって発砲しだした。
2人は慌てながらも、マシンガンの銃弾を避けた。
「ぎゃあああああ!!」
叫びを上げる依頼人にも複数の銃弾が飛んできたが、皮肉にも電撃が走るバリアによって弾かれるため、傷一つつかなかった。
「くっ、奴の腕は義手だったのか!」
「これじゃあ近づけないよ!」
「ヒサメ!俺が囮になる。その隙にあの装置を破壊するんだ!」
「で、でも、シディの身体はボロボロなんだよ!」
「確かに、カゲチヨみたいに戦う事はキツイが、避ける事は出来る。」
シディの言葉と覚悟を決めた表情に、ヒサメはシディの提案に乗る事を承諾。
火炎でDr.コーチンの方に目掛けて放ち、自分に注意を引き付けさせる。ヒサメはその隙に装置の方に向かって走る。
だが、そう簡単に事が運ばなかった。
「ええい!近付かせてなるものか!ガッキ族よ!その女を始末しろ!」
命令により、カゲチヨの隙をついてヒサメの前に高速で移動し、立ちふさがった。
「あっ!」
「ヒサ!」
高い身長からヒサメを見下ろし、右手から気を溜め始めた。
ヒサメはガッキ族の戦士の鋭い目付きで見られ、恐怖で動けなかった。
そんな事などお構い無しにガッキ族は至近距離でヒサメに特大の気功波を放つ。
「ヒサ!!」
放った瞬間、カゲチヨは素早く2人の所へと移動し、ガッキ族が放たれた気功波を横へと軸をずらした。
カゲチヨはヒサメを守りつつ、同時にDr.ウイローがいる方向へとずらし、直撃させた。
『ぐあああああああああああ!!』
もろに気功波をくらい、少しだけだか壁と機械を破損させた。
「ふぅ・・・、ぐっ!!」
なんとか間に合って安堵したが、その隙を突かれ、顔面に肘打ちをくらってしまった。追撃しようとするも、体勢を立て直し、再度戦闘が開始された。
交戦しつつ、カゲチヨはヒサメの方へと向き、指示を飛ばす。
「ヒサ!早くあのじじいの側にある動力源を壊すんだ!!もしかしたらこいつも元に戻るかもしれない!!」
「わ、わかった!!」
カゲチヨの言葉を聞き、ヒサメは急いで動力源の所へと向かった。
「があああああ!!」
「くっそ・・・、少しは自力で洗脳に抵抗する意思を出しやがれ!!」
カゲチヨはガッキ族の頭に頭突きをくらわせた。
「ぐぁっ!」
頭突きをもろにくらい、表情が歪み、頭の機械に亀裂が入る。
それでもカゲチヨに襲いくるガッキ族を相手してる中、ヒサメが動力源の近くへと辿り着いた。
「こんなものすぐに壊すから!!」
「させると思ってるのか小娘!!」
腕の銃口をヒサメに向け、発砲しようとしたが、シディがいつの間にかDr.コーチンの側まで近付き、銃口のある腕をへし折った。
「がぁっ!お、おのれ〜!!」
「ヒサメ!!」
「うん!!はああああああ!!」
電撃の能力で動力源を破壊。
その結果、依頼人の周りの電撃が走るバリアが解除され、ガッキ族の方は頭を抱える、急に苦しみだした。
「ぐっ、があああっ!!」
「!!
(動力源が破壊された事で洗脳からの抵抗心が芽生えたのか。)」
カゲチヨの予想は当たっており、顔に大量の汗をかきながらも洗脳に対する抵抗を試みていた。
すると、頭についた機械が、カゲチヨの頭突きで亀裂か入ったところから徐々に大きく機械に亀裂が拡がり始める。
「かあああああああああああ・・・・、だあああああああああああああ!!」
気を増幅さながら雄叫びを上げ、頭の機械を破壊した。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
片膝をつきそうな所を、カゲチヨが支える。
「大丈夫か?」
「お、俺は・・・。」
「お前はDr.ウイロー共に駒として操られてたんだ。」
「っ!そうだ思い出した。奴らめ、この俺を利用した事を後悔させてやる!」
ガッキ族のDr.ウイロー達に対する態度に、カゲチヨはクスリと笑った。
そんなカゲチヨをガッキ族は睨みつけるように見た。
「何が可笑しい。」
「いや、俺の知り合いに似てたもんでついな。不快に思ったのなら謝ろう。」
「フン。」
『ふふふ・・・・私の出番が回って来ようとは、頼もしい奴らよ。』
気功波により機械から煙を上げながらも笑いながら、次は自分が出ると言いたげに語るDr.ウイロー。
すると建物全体が揺れ出し、軽く雄叫びを上げ、Dr.ウイローが付いてる壁が崩れ出し、中から手足に尻尾が付いた巨大ロボットが飛び出した。
『ほぉぉおおお!!』
「ど、Dr.ウイロー!!」
あまりのでかさに驚く一同。
飛び出した瞬間、着地時にDr.コーチンの事など認識せずに踏み潰した。
踏み潰されたDr.コーチンの身体はバラバラになっていた。
「ド、ドク、ター・・ウイ・・・ロー・・・・。」
しかも、Dr.コーチン自身も機械で出来ていたが、カゲチヨ達はそんな些細な事はどーでも良かった。
カゲチヨ達の目の前にその巨大なメカボディで立ちはだかるDr.ウイロー。
ボディ全体から稲妻が走り、今まで戦ってきた凶暴戦士とは一段とレベルが違った。
『腐血。お前の肉体を手にいれればこんな醜い肉体に用はない。もうすぐ私は最強の。そしてもっとも偉大な生身のDr.ウイローとして復活するのだ!』
カゲチヨ達カレコレ屋とガッキ族の戦士が横並びに戦闘態勢に入る。
「さっきまでの奴らとはパワーが桁違いだ。」
「あぁ。カゲチヨみたいに気配が分かるわけではないが、それでもこいつはやばいと肌で感じる。」
(今の状態じゃ勝てない・・・ここでリデュース使った方が・・・。でも・・・。)
「あいつがこの俺をいいように操った元凶か・・・。」
不穏の感情を持ちながらも警戒をしていた。
カゲチヨ以外は。
今までも自分より強い相手の前に立ちはだかった事は幾度とある。
いくら「今の状態」の自分よりパワーが「少し上」だとしても、不安や恐怖は感じなかった。
カゲチヨは横にいるガッキ族に目をやり、このヤバイ状態なのに気にせずに話しだした。
「ガッキ族のお前。名は何て言うんだ?」
「・・・フルトだ。」
「フルトか。俺はカゲチヨだ。奴にいいようにされたんだ、一泡吹かせるのに協力してやるよ。」
「勝手にしろ。」
「あぁ。勝手にするさ。」
目線だけでお互いを見て、軽く口角を上げる。
『貴様らを全員殺し、腐血の身体を私の物にする!!』
「そんな事、絶対にさせねぇ!!テメェの野望なんざ、俺達が叩き潰す!!」