KAREKORE Z~Z戦士のカゲチヨ~   作:yakyo

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格闘技オーディションに参加した男

 

カゲチヨside

 

 

現在俺とヒサ、依頼によって格闘闘技場にやって来た。

 

 

「ガチの格闘イベントかぁ・・・。」

 

 

リングはフェンスで丸く囲われたリング。

その真ん中に司会者と思われる人と数名のラウンドガールが立っていた。

フェンスの外の周りは観客と参加者が大勢居た。

 

 

こういうのはシディいれば十分だろ。

なんでよりにもよって帰省すんだよ。

 

 

「こんな狭いリングじゃ暴れられねぇーよ。」

 

「暴れる前提なんだ・・・。一応カレコレ屋の依頼なんだからちゃんとやってよね。」

 

「分かってるって。」

 

 

そう、今回の依頼は俺が事務の門下生として本選まで行く事で宣伝するという物だ。

それくらい自分の所でやってほしいものだ。

 

 

「にしても結構人気のイベントなんだね。」

 

「男同士の熱いバトルが見れるって一部から結構人気らしい。」

 

「へぇー。だから依頼人も頼んで来たんだ。」

 

「そー言う事だ。後は俺がやっておくから帰っていいぞ。」

 

「私はカゲがちゃんと依頼が出来るか見届ける義務があるから。」

 

 

どんな義務だよ。

 

はぁ~。周りは強そうな奴はいなさそうだし、あんま乗り気じゃねぇーな。

 

こんなんじゃただ殴って倒すだけの作業試合になっちまうよ。

 

ここにフルト居たらいいんだが、気を探った所いなさそうだ。

 

 

「オーディションに参加する皆さん。時間になりましたので説明を始めます。今回の格闘イベントは武器や能力なしの完全なステゴロとなります。制限時間は5分。戦いはリングの上でグローブを付けてもらい・・・。」

 

 

司会者の説明を黙って聞いていた俺達。

 

すると周りが騒ぎ出し始めた。

 

 

「おい、あそこ見ろよ!」

 

「来たぜ!あいつだ!」

 

 

どうやら誰かが来たことで騒いでおり、そいつが来たという方を向いたら、片目を隠した黒髪の男性が歩いてきた。

 

 

「100人からの喧嘩を同時に買って全員病院送りにしたって言う・・・。伝説の喧嘩屋・・・「百人斬りの龍」!!」

 

「オーラ半端ねぇー!!」

 

 

誰だか知らないため、隣のおっさんに聞いた所、どうやらその喧嘩屋はこの辺では有名らしい。

 

 

「皆さん静粛に!対戦カードを配りますので確認をお願いします!」

 

 

今、俺のスマホから対戦相手が表示されたようだ。

 

 

「んだよw雑魚そうな奴じゃんww。」

 

 

どうやら俺の後ろにいる奴が対戦相手の様だ。

 

 

「こいつならワンパンで倒せそうだぜwww。」

 

 

まったく。弱い奴ほどよく吠える。

こんなの無視に限る。

 

 

「おらガキww怪我しないうちに帰って家に引きこもってなww。」

 

 

うるさい。絡んでくるな。

 

ヒサが止めようとするも、目だけで静止した。

 

 

「おいwwなんか言ったらどうなんだwwそれともビビッて喋れないかww。」

 

「はぁ・・・・失せろ。今すぐぶっ倒されたくなかったらな。」

 

「あぁ?テメェー、俺が親切に帰るのを進めてやったのにその言い分は何だ?えぇごら!!」

 

 

唾を飛ばしながら近づくな汚い。

 

 

「今すぐボコして病院から出られない様にし「バゴン!!」あああああああああああああああああ!!」

 

 

近付いて来た対戦相手の顔面を軽く裏拳で吹き飛ばした。

 

 

「誰か伝えといてくれ。1人棄権したと。」

 

「さっきのはムカついたけど・・・流石にやり過ぎじゃない?」

 

 

俺はちゃんと注意はしたぞ。

ぶっ倒されたくなかったら失せろって。

 

まぁそのせいで、変に目立ってしまった事は反省しよう。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

俺的な底辺試合を終え、本選までこぎつけた。

 

これで依頼も達成したことだし、棄権しようか。

これ以上、ここにいても意味無いしな。

 

 

コンコン

 

 

ドアのノック音が聞こえ、ドアが開く音が聞こえた。

 

入って来たのは喧嘩屋の龍という男だ。

 

 

「伝説の喧嘩屋が俺に何の用だ?」

 

「カゲチヨ、お前を男と見込んで頼みがある。」

 

 

頼み?

 

 

「本当はこんな事言いたくねぇ。だがお前はかなり強そうだからよ・・・。」

 

 

そういって俺の頭を下げてきた。

 

 

「頼む!次の試合、俺に負けてくれ!!」

 

「何?」

 

「妹がスポンサーに人質に取られているんだ。試合に負けたら妹がどうなるか・・・。」

 

 

人質か・・・。それは何とも。

 

 

「俺はこのイベントを引退して、真っ当に働きたいだけなんだ・・・。それをスポンサーに相談したら、こんな事になって・・・。」

 

 

スポンサーにとって、こいつの人気はイベントを盛り上げるために必要不可欠って事か。

 

よくある話だ。

 

 

「事情は分かった。まぁ、俺の目的は本選出場だ。」

 

「なら・・・!」

 

「お前の妹を危険に遭わせる真似はしねぇよ。」

 

「ありがとう!恩に着るぞ!」

 

 

俺に礼を言って龍は控室から出て行った。

 

さて、ヒサに連絡して動いてもらうか。

 

妹の方はヒサに任せて、俺は龍の方を何とかするか。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

《お次は伝説の喧嘩屋龍と新参者カゲチヨの対戦!!一体どんなバトルが繰り広げられるのでしょうか!!》

 

 

リング上には俺と龍がグローブ付けて立っていた。

 

ここで試合するのか。

そういえば、フェンスの上に付いてるあのカメラ。確か本選は動画になるんだったな。

 

さて、ヒサの合図が来るまでわざと打たれて耐えるか。

俺がやっちまったらすぐに終わっちまうからな。

 

 

(すごい筋肉だ。どれほど鍛えたらあんなになるんだ・・・。いくら八百長試合とはいえ、攻撃しても逆にこっちの手が痛み出しそうだ。)

 

「お兄ちゃ~ん!!がんばって~!!」

 

「あぁ!お兄ちゃん頑張るからな!!」

 

 

声が聞こえた方向に目をやると、そこには小さな女の子1人と、袴を着て黒いハット帽子を被った怪しいおっさんが俺らの近くに立っていた。

 

龍を見て兄と呼んだって事は、あの子は人質の妹でおっさんはスポンサーなんだろう。

 

 

「悪いが勝たせてもらう。妹のために負けられないんだ!」

 

「・・・・御託はいい。来いよ。」

 

《それでは・・・レディファイ!!》

 

「おらあぁぁぁ!!」

 

 

ゴングが鳴った瞬間、龍は勢いよく突撃し俺に殴り掛かった。

 

俺はあえて何もせず、わざと顔面を殴られた。

 

 

《開始早く龍の一発が決まったぁ!!》

 

「これはどうだ!!」

 

今度は俺の脇腹を蹴り出し、さらにまた顔面を目掛けて殴り出した。

 

ヒサ、早く妹ちゃんを助けてくれないかなぁ。

サンドバックになる趣味はねぇーぞ。

 

 

(わざと負けてくれてる・・・んだよな?それにしても何か変なんだよな・・・。)

 

《しかしカゲチヨ選手。攻撃をもろに食らってもなかなか沈まない!!これはいい勝負だぁ!!》

 

(こんなに殴っているのにどうして倒れない・・・?負けるならさっさと倒れちまえばいいのに・・・。)

 

 

そろそろだな。

 

 

「よそ見してていいのかよ。」

 

「え?」

 

「フッ!」

 

 

軽~くジャブを打ったつもりだが、龍にとっては相当危険な攻撃だったようだ。

 

掠っただけでよろけてしまったようだ。

やっぱ手加減は難しいな。

 

 

《おおっとここでカゲチヨ選手が反撃!!》

 

(やばい・・・!あんなのまともに食らったら一溜りも無い!!)

 

「言って置くが、俺はお前の妹に悪いようにはしないと言ったが負けるとは一言も言っていない。」

 

「なに!?」

 

「つまり、あんたの負けだ。」

 

 

俺は奴の腹を軽く殴り気絶させた。

 

 

「お・・・まえ・・・・。」

 

 

地面に倒れた龍。

一発KOで俺の勝利となった。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

全試合終了後

 

俺は龍との戦いの後、決勝戦で棄権し、着替えてヒサと合流。

 

ヒサの隣には助けたであろう龍の妹が居た。

 

 

「お疲れ様。」

 

「そこまで疲れてない。」

 

「改めて見たけど、カゲの筋肉って凄いね。」

 

「そうか?」

 

「そうだよ。」

 

 

ん?背後に龍の気が感じる。

どうやら、約束を破った俺を恨んでる様だ。

 

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

 

背後から襲い掛かった龍の拳を指一本で押さえた。

 

 

「お、俺の拳をっ・・・!!」

 

「危なかったな。俺が動かなかったら、ヒサの能力が飛んでたぜ。」

 

「ぐっ、この女も能力持ちかっ!」

 

「お兄ちゃん辞めて!!」

 

 

怒り狂った龍を龍の妹が止めに入って来た。

 

 

「お前、どうしてここに!!まさかこのクズ野郎に・・・!」

 

「落ち着いてください。事情はカゲから聞いてます。妹さんは私が試合中に助けておきました。」

 

「何!?」

 

 

驚いた龍のポッケからスマホの着信音が鳴り、誰かと通話しだした。

 

 

「もしもし・・・スポンサー・・・!!妹は・・・え・・・?俺は解雇・・・・?わ、分かりました・・・。あ・・・はい・・・。」

 

 

何が何だから駆らない龍を横目に俺は背を向け扉へと向かった。

 

 

「もうここに用は無い。帰るぞヒサ。」

 

「あ、待ってよカゲ!」

 

「おい!!お前・・・まさかこのために!?」

 

「ふっ、さぁな。」

 

 

今回は賭けだった。俺に一回負けた程度で龍の人気がどれだけ低下するか。

 

まぁもしそうならなくても、スポンサーのおっさんを脅せばいいだけの話だしな。

 

 

龍は妹を抱きしめながら真っ当に生きる事を誓った所で、俺はドアを開け部屋から出て行った。

 

 

「ふふ、カッコつけ。」

 

「やかましい。」

 

 

時間も遅いため、ヒサを部屋まで送り届ける事にした。

 

 

「両親が早く亡くなって、ずっと龍さんが妹さんの面倒見てるんだって。」

 

「ふーん。」

 

「助けられてよかったね。」

 

「あんなの依頼のついでだ。」

 

「素直じゃないなぁ。」

 

 

そのニヤついた表情でこっちを見るんじゃない。

 

まぁ2人仲良く幸せに暮らせる事は祈ってやるさ。

 

 

 

 

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