怪物化した13号に苦戦を強いられていたカゲチヨ。
どんなに強烈な攻撃をくらい倒れても、何とか力を振り絞り立ち上がり、拳を強く握りしめた。
まだ諦めてはいなかった。
(俺が奴を倒さなきゃ・・・いったい誰が倒すっていうんだ!)
全力で気を解放し、13号に挑む。
しかし、どんなに全力で戦っても、全く効かず腹に赤い気弾をもろに直撃し吹き飛ばされてしまった。
「ぐ・・・。へ、へへっ・・・。」
傷だらけで立ってるだけでもやっとのはずなのに、カゲチヨは13号に不敵の笑みを見せ挑発する。
「・・・っ!!」
その姿にムカついたのか、怒りの表情を見せ、更に強めの赤い気弾を放ち直撃を食らった。
◇◇◇◇◇
カゲチヨが13号によってやられる姿を見たヒサメは、何とか怖さを誤魔化す様に身体に力を入れ始めた。
「このままじゃ・・・このままじゃ、本当にカゲが、死んじゃう!!」
足を震わせながら何とか立ち上がり、カゲチヨの元へと助けに行こうと思ったヒサメ。
「・・・・ヒサメさん。」
「ヒビキ・・・ちゃん?」
ヒビキはヒサメより一歩前に出て、ヒサメを笑顔で見た。
それはまるで、覚悟が出来たかの表情だった。
「カゲ君の事・・・・よろしく頼むね。」
「え?それって・・・。」
そう言って、ヒビキは未だに思う様に動けなさそうなヒサメを置いて、走ってカゲチヨの元へと向かった。
「何する気なの!?戻って!!ヒビキちゃん!!」
そんなヒサメの呼び止めを無視して全力で走り去った。
◇◇◇◇◇
「くっくっくっく。」
「・・・・っ。」
何度も攻撃をくらい、体力も身体も限界に近かった。
立ってる事もやっとで、攻撃すら出来なくなっていた。
ただできる事は、意地でも立つ事だけ。だがそれもいつまで続けられるか分からない。
(こりゃ・・・本格的にやべぇな。・・・ヒサ、シディ・・・みんなすまねぇ。)
諦めの感情になってしまったカゲチヨ。そんなカゲチヨの思いも汲み取らず、無慈悲に13号は手に赤い気弾を溜め、カゲチヨに向けて放たれた。
(これが・・・俺の最後か・・・あっけなかったな・・・。)
目を瞑り、衝撃を待った。
ドン!!
「っ!!」
その時、誰かに横から押された。
目を開け、押した相手を見たカゲチヨは目を大きく開いた。
そこには
「ヒビキっ!」
手を伸ばし、笑顔でこちらを見つめていたヒビキだった。
「あぁああああああ!!」
「ヒビキぃいいいいいいい!!」
カゲチヨの代わりにヒビキが13号の赤い気弾を直撃し、身体の半分が真っ黒に焦げ、痛々しい姿になって倒れた。
「ひ、ヒビキ!!」
13号は今度こそ止めを刺そうとカゲチヨに赤い気弾を食らわそうとするが、カゲチヨは邪魔をするなと言わんばかりの気功波で気弾を打ち消し、13号を吹き飛ばした。
その隙にヒビキの傍まで走って近付き抱きかかえた。
「なんで・・・。」
「そんな悲しい顔しないで・・・。」
半身が黒焦げになり、喋る事さえ苦痛なはずなのにヒビキは笑顔でカゲチヨに語り出した。
「私は・・・カゲ君が守れなかった誰かじゃないよ・・・。」
「もうこれ以上喋るな!」
「カゲ君聞いて・・・私の身体は・・・もうほとんど動かないんだ・・・。」
「・・・っ!」
「だからせめて・・・完全に動けなくなる前に、カゲ君の役に立ちたかった・・・。」
「馬鹿野郎・・・。例え・・・お前が作られた存在だとしても、犠牲になっていい理由にはなんねぇだろ!!」
「ハハ・・・やっぱりカゲ君は優しいね・・・。私、本当はカゲって・・・呼びたかったの・・・。」
「え?」
「でもやめた・・・。私よりも先にカゲって呼んでる子が居たから・・・。」
「・・・・。」
「でも・・・最後に・・・カゲって呼んでもいい・・・かな?」
「呼べよ。何度でも呼べよ!!だから!!」
「カゲ・・・好きだよ。」
『カゲ、好きだよ』
「!!」
昔ヒビキがカゲチヨに言った言葉と、今ヒビキが言った言葉が重なった。
ヒビキは告白ともに身体が塵の様に崩れ去り、涙を流しながらも笑顔のまま消えてしまった
「・・・・・・。」
カゲチヨはゆらりと下を向きながら立ち上がる。
ヒビキの別れを惜しんでいると、吹き飛ばされた13号が歩いてカゲチヨの前にやってくる。
「別れの挨拶は済んだか?だが安心しろ、貴様もあの出来損ないの所へ送ってやる。」
「っ。」
その発言に段々とカゲチヨの気が膨れ上がり、地面が小刻みに揺れ出した。
そして
プツン!
「うぅぅぅ・・・あああああああああああああああ!!」
「!!」
大きな雄叫びと膨大に気が上昇し、暴風が巻き起こり始めた。
さっきまでのカゲチヨとは違い、超吸血鬼よりも髪が逆立ち、カゲチヨの身体全体に稲妻が走る。
さっきまで瀕死状態だったカゲチヨの変動に驚く13号。
「カゲ・・・・。」
そして、ヒサメもカゲチヨの今の姿に驚きを隠せなかった。
「貴様だけは、絶対に許さねぇ。」
13号を睨みつけるカゲチヨ。
そんなカゲチヨに冷や汗をかき、一歩後退りをした。
「う、ぐっ・・・あぁああああああ!!」
カゲチヨの元へと走り、身体や顔面に連続パンチを食らわす。
「がぁあああああああ!!」
何度も何度も殴り続ける13号だったが、平然としてるカゲチヨを見て一瞬戸惑い、大振りで顔面に拳を叩きつけようとするが手首を掴まれ、足掻いても外れなかった。
「うぐっ・・・。」
「・・・・ふっ!」
バキン!!
「ぐぉお!!」
掴まれた13号の手首はカゲチヨによって握り潰された。
後退りし、一度距離を置いて体勢を立て直す。
カゲチヨは歩いて、13号に近寄る。逆に13号は一歩、また一歩へと後退する。
「・・・っ!」
「!!」
近くに、ヒサメが居る事に気付いた13号は、ヒサメに手の平をかざし、赤い気弾を放とうとした。
これ以上余計な事すれば、この女を殺すぞ。っという脅しの行動をカゲチヨに見せた。
ニヤリ顔を見せる13号だが、それでもカゲチヨは歩みを止めない。
「・・・・・。」
「ぐっ・・・!!」
13号は歩みを止めないカゲチヨに苦虫を噛み、ヒサメに赤い気弾を放つ。
「くっ!!」
ヒサメは、氷で壁を作ろうとしたが、いつの間にかカゲチヨが目の前に移動してきて、気弾を跳ね返した。
「!!」
気弾に当たりそうな所を避けた13号。
何故、遠くから一瞬にしてヒサメの傍まで辿り着いたのか驚きを隠せなかった。
「カゲ・・・。」
「ヒサ、どこかに隠れてくれ。」
「わ、私もカゲと一緒に・・・!」
「頼む。お前まで失いたくないんだ。」
「!!」
自分も一緒に戦いたい。そう懇願しようとしたが言葉を遮られ、カゲチヨの圧に押し黙ってしまった。
「・・・・。」
「・・・・。」
「・・・・死なないでね。私もカゲを失いたくないから。」
「あぁ。」
ヒサメは建物から出て、遠くへと非難した。
それを確認したカゲチヨは、13号に近付く。
近付いて来るカゲチヨに赤い気弾を連続で放つ。だが、全く無傷で近寄り数センチの距離になった。
「ぐぅっ・・・がぁああああ!!」
「フン!!」
「がはっ!!」
もう片方の手でパンチを繰り出そうとした13号だったが、カゲチヨの方が早く13号の腹を殴り、貫通させた。
腹を抑え、後退りする13号に追い打ちで蹴りを繰り出し吹き飛ばす。
「もうこれ以上。俺の大事なものを貴様なんかに奪わせたりはしねぇ。」
「ぐぅ・・・お、俺の全エネルギーを蓄積したS.Sデッドリィボンバーを貴様事この地球諸共消してやる!!」
片手でS.Sデッドリィボンバーを手の平で溜める13号。
以前よりも威力が断然に違う事はカゲチヨでもわかる。こんなの放たれたら本当に地球が消滅するであろう。
だが、カゲチヨは冷静だった。
そして、腰を低くし上半身を横に向け、両手を後ろに構え、両手の間に気を溜め始めた。
「か~め~は~め~・・・・・っ。」
「この世から消え去れ!!」
「波ぁああああああああ!!」
カゲチヨのかめはめ波と13号のS.Sデッドリィボンバーが同時に放たれ衝突した。
「・・・・っ!!」
が、それは一瞬であり、S.Sデッドリィボンバーはかめはめ波によって消され、13号を飲み込んだ。
「がぁああああ!!ふ・・・ふけ・・・つのぉおおおおお!!」
13号はかめはめ波を直撃し、バラバラになって消滅した。
しばし騒動が収まり、沈黙が流れた。
カゲチヨはかめはめ波の構えを解き、上を向いた。
「ヒビキ・・・仇は取ったぞ。」
そう静かに呟いた。