カゲチヨside
「カゲ叔父さん。」
「ん?」
カレコレ屋に行く準備をしていた俺に悟飯が話しかけてきた。
やけに真剣な顔をしているな。
何か大事な話でもするのだろうか?
「どーした?」
「俺、この世界で強くなりたいです。」
「・・・・。」
「元の世界で、俺はみんなの仇も取れずに人造人間にやられました。」
「・・・・。」
「いくらこの世界が平和とはいえ、いつかまた人造人間の様に邪悪な存在が現れるかもしれません。」
「つまり、俺に鍛えてほしいと言いたいんだな?」
「はい・・・。駄目ですか?」
こいつは真面目だな。
だが悟飯の言葉も一理ある。
前回、この世界での人造人間と戦ってかなりやばかった。
この先、もっとやばい奴が来るかもしれない・・・。
なら・・・。
「構わないぜ。俺も色々あって修行不足を痛感した。一緒に強くなろう。」
「は、はい!!」
悟飯が居れば、こちらとしても味方として助かる
さて、まずはどんな修行させようか・・・。
超サイヤ人をコントロールして普通の状態と同じ様にさせるか。
戦いが好きじゃない悟飯の事だ。超サイヤ人を超えると言う発想は多分なかったんだろうな。
◇◇◇◇◇
カレコレ屋に向かう途中、何やら騒がしい。
近付いてみると、何やらヒサが2人になって言い争っていて、シディは困惑していた。
い、いったいどーなってやがるんだ?
「おい、シディ。いったいどうなってるんだ?何でヒサが2人いるんだ?」
「か、カゲチヨ。それが俺にもわからなくて・・・。」
「カゲ、この私はロボットなの。実はちょっと前に変な人に捕まっちゃって、知らない場所で目が覚めた時、あの子が居たの。すごく精巧に出来てるけど、ロボットだって言ってた。」
「ほぉ・・・精巧なロボット・・・ねぇ。」
「その後、気を失って、気付いたら家に居たから・・・。私も夢かと思ってたんだ。」
「嘘だよ・・・!」
シディの隣に居るヒサは至って冷静に説明するが向かい合ってるヒサは動揺した表情をして否定した。
「私はロボットなんかじゃない!!」
「じゃあ、本人って証拠は?」
「証拠・・・って。いきなり言われても・・・。」
「私は昨日も今日も、ずっとシディやヨーメイちゃんと一緒に居た。もし私が偽物だとしたら、シディ達が気付くと思うけど・・・。」
俺は昨日、畑の収穫や搬送してたため、カレコレ屋に行く事は無かった。
「うむ・・・特に変な所は無かったように思うが・・・。」
シディは困惑した表情しながら、今までのヒサの行動について不審はないか考えてみていたが、その気になるほどの様子はなかったようだ。
「当たり前だよ。だって私は本物だもん。カゲ達と出会ってから今日の事まで私は全部覚えてる。」
「わ、私だって・・・。今日の事は捕まってたから・・・分からないけど。」
「あの男が言ってた。ロボットには私の記憶をコピーしたAIをインプットするって、その空白の時間がロボットの証拠だと思わない?」
「・・・っ、そんな・・・違うよ。」
言い寄られ、後退りしてるもう一人のヒサ。
「あの男」「記憶のコピー」・・・ね。
「私は・・・。」
「貴女が認めたくないのは分かるよ。私だって自分がロボットだったらって思うと・・・。」
「ところで、質問だが。俺達と出会ってから今日の事まで全部覚えてるんだったな。」
「そうだよカゲ。」
「カゲ!信じて!!私が・・・・!!」
「なら、俺が相手の気配を感じれるって事は知ってるよな?」
「?知ってるけど、それがどーしたの?」
ロボットの癖に、まだ分からないのか?
「お前はヒサじゃね。昨日今日一緒に居たのはロボットの方だろ。」
「!!」
「カゲ・・・!」
「カゲチヨ。何故分かったんだ?正直に言って、2人とも同じ臭いしていて俺は分からなかった。」
そこまで完璧に再現されてるとはな。
それじゃあシディが気付かなかったのも頷ける。
「俺が感じられる気配、「気」と呼んでるが、その気は生きとし生きる人や自然や生き物が誰しもが持ってるエネルギーだ。だが、ロボットには気はない。つまり気を感じないお前が偽物だって訳だ。」
「・・・っ。」
「さぁ、何の目的でお前を作ったのか。「あの男」とやらに会わせてもらおうか。」
ビィー!!ビィー!!ビィー!!
「回収依頼。こちら製造番号・・・座標位置・・・。」
「なっ!!」
偽物のヒサから警報が鳴り響き、懐から丸い機会を地面に投げつけ煙を出した。
「わぁ!ちょっ・・・離して!!どこに連れて行くの!!離して!!離してよ!!」
ヒサの悲鳴が聞こえたが煙で前が見えない。
煙が晴れて、目を開けるとヒサと偽のヒサが居なくなった。
「カゲチヨ!ヒサメが・・・!!」
「分かってる。」
皮肉だがヒサが攫われてよかったと言うべきだな。
偽のヒサが本物のヒサをまた攫ってアジトに連れて帰ったのだろう。
ロボット単体なら分からなかったが、ヒサの気をたどればすぐに見つかる。
我ながら最低なこと考えたな。
シディに言ったら怒られそうだ。
「ヒサの居場所は分かった。とっとと行こう。」
「あぁ!」
シディを背負って舞空術でヒサ達を追って行った。
◇◇◇◇◇
森林の中、目の前に大きな研究所が見つかった。
ここにヒサが居るのだろう。
さっそく侵入して・・・。
ドガァァン!!
!!
急に研究所が爆発した!!
まさかヒサがやったのか?
全体が炎が渦巻き瓦礫がそこら中に散らばっていた。
「カゲチヨ!ヒサメの居場所は分かるか!?」
「微かだが分かる。ヒサの奴、また無茶しやがったな。」
俺らはヒサが居るであろう場所へと向かったが・・・。
「待って!!」
偽物のヒサが俺達の前に現れた。
「どいてくれ、俺達は本物のヒサを助けに行くんだ。」
「奥はかなり火が強くなってるよ!!言ったら2人も危ないよ!!・・・いいじゃん!!私が居ればこれまで通りだよ!!あの子と私、同じでしょ?」
「同じじゃねぇーよ。」
「え・・・。」
「確かにお前の言う事が本当なら見た目も記憶も一緒かもな。でも本物はそんな、誰かを見捨てるような事は言わない。」
「・・・っ!」
「それに、ヒサはヒサ。お前はお前だ。誰の代わりにもならない唯一の存在だ。」
「・・・・。」
「それにあいつは。俺らの大切な仲間だからな。」
「なか、ま・・・。」
偽のヒサを置いて先に進んだ。
辺りは炎にまみれた、探すのにも一苦労だ。
「カゲチヨ居たぞ!!・・・っく、柱が倒れていて近づけん!!」
ガダッ!!
「ヒサ!!」
くっ!柱が倒れやがった!
今すぐに助け出さなきゃ!!
俺がヒサを助けるため少し屈んだ所で、偽のヒサが柱を支え本物のヒサを庇った。
「早・・・く、この子を・・・!!」
「ったく!無茶しやがる!!」
俺は高速で移動し、ヒサと・・・偽のヒサを助けた。
助けたヒサとロボットを、安全な場所に寝かしつけた。
偽の・・・いや、ロボットのヒサは、顔の半分と両腕、右肩が焼け落ち機械の骨組みが見えた。
「ヒサメは無事のようだ。少し火傷はしてるだろうが、時間が経てば綺麗に治る筈だ。・・・そっちは?」
「わからん。」
「・・・うっ・・・。」
ロボットのヒサが目覚め、俺らを見た。
「・・・良かった。みんな無事・・・で。」
「・・・なぜヒサを助けようと思った。」
「・・・仲間・・・だから・・・。大切な人を・・・守りたい、から・・・。」
「・・・!」
ヒサの記憶をコピーして作られたからか、誰かを・・・仲間を守るという思いも引き継いだのだと思う・・・。
だけど・・・こいつは自分の意志でヒサを守った。
自分を犠牲にしてまで・・・。
ロボットのヒサが瞳を閉じた所で、シディは他に人が居ないか確認しに行き、俺はヒサを抱えて病院へと連れて行った。
結局、何のためにヒサをモデルに作られたのか、目的は何だったのか、知らないまま騒動は終わりを迎えた。
◇◇◇◇◇
「え、えぇぇぇぇぇ!!」
「ど、どういう事だ?なぜもう1人のヒサメがここに居るんだ?」
あれから数日が立った。
カレコレ屋にてヒサとシディが驚いた表情で、あの時のロボットのヒサが目の前に座っていた。
「し、しかも髪の毛が何か黒いし・・・。」
「ボロボロだったから壊れたと思ったぞ。」
そう、見た目はヒサにそっくりだが、髪は黒く服装は紫の中華服、そして頭の角が無くなっていた。
「実は、ヒサを病院に送った後、再度見に行ったらまだ動力機能が生きてたから直した。」
「直した!?」
「カゲチヨは凄いな。ロボットを作る事が出来のか。」
「あくまで修理だけはな。この短期間で一から作るのは無理だぜ。」
「いや、十分凄いよ。」
まぁブルマやブリーフ博士に色々と手伝わされたからな。
悟空の友達に「はっちゃん」という人造人間の修理したり、ブルマが手が離せない時に16号の整備をしたりな。おかげで変に機械に詳しくなっちまったよ。
「ヒサメ。あなたを傷つけるようなことしてごめんなさい。私はあなたに成り代ろうとしてた。決して許されない行いをしたのは分かってる・・・。でも、直接会って謝りたかった。」
「ううん。もういいの。それにあなたは、自分が壊れると分かってまで私を助けてくれたんでしょ?だから許す!」
「・・・っ。」
「相っ変わらずお人好しだなお前。」
「そこがヒサメのいい所だ。」
「あはは・・・。」
「それで、ロボットのヒサメはこれからどうするんだ?」
「とりあえず私は私として生きていくよ。ヒサメの代わりじゃなく、私自身、唯一の存在になるために。」
「そっか・・・。」
ロボットのヒサは唯一の自分を見つけるために生きる事を決めた。
そんなもう1人の自分を見てヒサは笑顔になる。
「ところで、名前はどーするんだ?」
「確か、機械に製造番号が書いてあったな。」
「はい。私の製造番号はF-623174です。」
「じゃあ、その番号から取って「ムツミ」でどうだ?」
「ムツミ・・・。」
「ムツミか。いい名前だな。」
「カゲにしてはいいネーミングセンスじゃない?」
「「俺にしては」は余計だ!」
毎度毎度一言言わないと気が済まないのかこいつは・・・。
「はい・・・私の名前はムツミです。」
彼女は、満面の笑みで俺らに名乗った。
その後、ムツミは俺の別荘で畑や倉庫の監視役と売上の経理処理として住まわせた。
ロボットだから事務作業はスムーズだし、悟飯の勉強を見てくれるしで今では物凄く助かってる。